Googleカレンダーの会議室の自動提案機能のロジック検証(前編)

2022年12月10日掲載

キービジュアル

こんにちは!ソフトバンクの馬です。本記事を御覧いただきありがとうございます。

本記事では、Google カレンダーの会議室の自動提案機能はどういうものなのかを紹介し、どのロジックに従って会議室を提案してくれるのかを検証してみた記事になります。今回は前編です。中編、後編と更に詳しく分析していく予定です。

この記事は、ソフトバンク Advent Calendar2022の10日目の記事になります。

 

目次

はじめに

みなさんは普段Googleカレンダーをよく使われていると思います。
カレンダーを利用するときに、会議参加者の人数や勤務地によって適切な会議室を自動的に提案してくれた経験をお持ちかと思いますが、実際にGoogleがどのようなロジックに従って薦めてくれるかについて明確に把握していない方が多いかと思います。

本記事は提案ロジックを検証することで、会議主催者などがGoogleカレンダーを予約する際に、提案される会議室を予約前にある程度把握できるようになることを期待しています。

会議室の自動提案機能と事前設定

会議室の自動提案機能を使用すると、会議の主催者がさまざまな場所にいるゲストのために、簡単に会議室やリソースを予約できるようになります。会議に招待されたゲストの勤務地がカレンダーでチェックされ、各ゲストに近くて最適な会議室がカレンダーの [会議室] タブに表示されます。

このとき、各ゲストのGWSに設定されたアカウント情報に紐づく(1)ビルディング(2)階(3)予約履歴(4)音声機器(5)ビデオ機器の要件(6)収容人数が考慮されます。

実際に会議を予約する際には事前に次の 2 点を実施する必要があります。そうすると、会議室の自動提案機能を効果的に利用できます。

 

① 全ユーザの勤務地を追加する 

 ユーザのメインの勤務地が設定されていないと、その勤務地が自動提案で考慮されません。そのため、提案された会議室が小さすぎたり、当該ビルディング内の会議室の提案自体が行われなかったりする可能性があります。

② 体系化された形式で会議室を設定する 

会議室の自動提案は、体系化された会議室情報のみをもとに行われます。こうした各会議室の詳細情報に基づいて、スマートな判断が行われます。 

リソースの体系化について詳しくは、リソース体系の使用による影響とリソース体系への切り替えをご覧ください。

https://support.google.com/a/answer/1033925?hl=ja

 

また、メインの勤務地を追加するには、2 つの方法があります。

(1)管理者がユーザに代わって勤務地を追加する。

(2)ユーザが自分で勤務地を追加する。 

 

※事前設定の詳しいやり方と実施者の違いによる区別について知りたい方は、下記の公式サイトを御覧ください。

https://support.google.com/a/answer/9025584?hl=ja#zippy=

 

※本記事の検証を実施するためには、会議の参加者が自ら勤務時間と勤務場所を設定する必要があります。設定しておかないと、提案してくれる会議室は正しく参加者の勤務状況を反映することができない可能性があります。

Google カレンダーの会議室自動提案ロジックについて

本記事はGoogleカレンダーの提案ロジックを仮定し、複数の検証パターンを作りました。

その上で、提案のロジックはどのようなものか、それぞれ優先順位があるのかについて分析を行いました。

 

さて、仮定の提案ロジックは以下となります。

・スペース最適ルール(例:5人の参加者なら収納人数が最適な部屋を提案する)

・セクション (会議室) 近接ルール(主催者or多数の参加者がいるセクション/会議室を優先的に提案する)

・階層平等提案ルール(異なる階にいる参加者の勤務階層を全部提案してくれる)

・主催者優先提案ルール(主催者の勤務地条件により優先的に提案する)

・空間余裕提案ルール(ハイブリッド会議の際にスペース余裕の会議室を優先的に提案する)

 

提案ロジックの確認と優先順位についての検証

ここでは「勤務地の階層の近い会議参加者(7、8階)に対して会議室の提案ロジックの確認」というテーマをもとに下記の検証項目を実施しました。

検証1 仮定のルールは機能しているかを確認する

検証2 「スペース最適ルール」  と  「セクション(会議室)近接ルール」  との優先順位を比較する

 

 

検証1 仮定のルールは機能しているかを確認する

まずは階層の近い会議参加者(7、8階)に対する会議室の推薦ロジックを確認しました。

下記はこの検証に対象ユーザとその情報になります。

検証対象

  ユーザ名

メインの勤務地

階層

セクション

役職

A

Ep Admin

竹芝

7

S区

一般職

B

Dynamic user03

竹芝

7

N区

課長

C

Calendar test

竹芝

8

S区

部長

※「役職」とは提案のロジックに関わるパラメータではありません。

 

※7階の会議室リソース一覧

 

※8階の会議室リソース一覧

検証1の結果

すると以下の3つの会議室が提案されたので、提案された3つの会議室について分析を行いました。

● 第1提案(7- N - 小、収納6人)

- 参加者が同じ階の割合が高いです。

- 参加人数にふさわしい会議室が提案されます。(出社者2人、在宅1人、会議室収納人数は6人)

- 主催者の勤務セクション (N区) の会議室と同じです。

● 第2提案(8- S - 中、収納14人)

- 出社構成は7階1名、8階1名の構成に対し、8階の小(4人)ではなく、中が優先的に提案されます。

● 第3提案(7- E - 小、収納4人)

- 7階の会議参加人数を収まる会議室が提案されます。

 

第1提案~第3提案までを分析してみると、下記の仮定のルールが効いていると考えられます。

機能する仮説ルール

根拠

セクション (会議室) 近接ルール

第1提案

スペース最適ルール

第1、3提案

主催者優先提案ルール

第1提案

階層平等提案ルール

第1、2、3提案

空間余裕提案ルール

第1、2提案

 

次に、自宅参加の方を出社に変更することで、提案される会議室にどのような変化が起こるかを検証してみましょう。

検証1の結果

上記の結果を見ると、全員出社の場合、提案された会議室が少し変わることを確認できました。

そのため、提案に際して機能しているルールは下記になると考えます。

機能する仮説ルール

根拠

セクション (会議室) 近接ルール

第1提案

スペース最適ルール

第1、2提案

主催者優先提案ルール

第1提案

空間余裕提案ルール

第1、3提案

 

ここまでの検証を通して、おおよそ仮定のルールは全部存在することを確認できました。

次は、どのルールが優先的に機能するかについて検証を行います。

 

検証2  スペース最適ルール と セクション近接ルール との優先順位の比較

検証1において、「スペース最適ルール」と「セクション近接ルール」の存在を確認できたと考えます。

では、その2つのルールの内、どちらが優先されるのでしょうか?

検証1に第1提案として出てきた「会議室7-C (小) 7-N区」の会議室リソースを「会議室7-C (小) 7-E区」に変更します。それにより、「スペース最適ルール」と「セクション近接ルール」はどちらが優先なのかを明確にすることが可能と考え、検証してみました。

 

下記が変更後の会議室の提案結果になります。

検証2の結果

上記結果により、参加者条件が不変の場合、一見提案される3つの会議室は変わらないように見えますが、第1提案と第2提案との順番が変わっていることが分かります。つまり、第1提案はセクション(N区)が変わらないままで、会議室の収納人数が減少になります(6人→4人)。

故に、もし会議室提案の順番において1,2,3の優先順位が存在したら、「セクション近接ルール」は「スペース最適ルール」より優先的に機能しているようと考えられます。

まとめ

ここまでの検証を通して、仮定した各ルールは存在する可能性が高いと思います。

かつ、セクション(会議室)近接ルールはスペース最適ルールより優先順位が高いかと考えます。

※一点気づきがあります。会議参加者人数が変わらなくても、自宅参加の方がいると会議室を大きく設定する傾向があるようです。

また、今後は他のルールの存在を更に検証しながら、それらのルールの間にある複雑な提案ロジックとフローを明確にするため、本記事の中編と後編を作成していくつもりです。

今後もこの検証を継続的に実施する必要性を感じているので、これからの記事でも掲載を続けていく予定です。

※会議室が既に埋まっていた場合、予想外規格の会議室が自動提案される可能性があります。

おすすめの記事

条件に該当するページがございません