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2022年12月5日掲載
皆さまこんにちは!AI戦略室の内海です。
この記事は、ソフトバンク Advent Calendar 2022 の 5日目の記事になります
【One Tech】とは、様々な部署・職種のエンジニアが世の中にある様々なIT関連のキーワードや流行の1つに着目し、独自あるいはその職種ならではの視点からIT関連の技術用語やトレンドについて執筆していく連載企画です。
気がつけば2022年も残り1ヶ月を切りましたね。流行語大賞のノミネート語も既に発表されており、それを見ながらこの1年を振り返るのがこの時期の楽しみとなっています。
その中で今年特に目を引いたのは「AI絵師」という造語です。SNS流行語大賞2022にノミネートされています。皆様は「AI絵師」に聞き覚えがありますか?これに馴染みがないという方でも「画像生成AI」なら見たことあるという方が多いのではないでしょうか?
実は2022年は「画像生成AI元年」とも言われており、「画像生成AI」技術とそのサービスに関心が集まっています。思い返すと今年は「画像生成AIはクリエイターを脅かすのか」「AIが生成した画像の著作権は誰にある?」といったニュースがネットを初めテレビでも報道されました。
しかしどうして今年になって「画像生成AI」がこれほどまでに世間の注目を集めたのでしょうか。今回は私、内海が「画像生成AI」流行のきっかけから「AI絵師」の誕生までを簡単に紹介していきます。
画像生成AIとは読んで字の如く、自動で画像を生成してくれるAIを意味し、ユーザーが生成してほしい画像を文章で入力すると、AIがその文章に沿った画像を出力してくれます。
一文は百聞にしかずということで、気になった方はLINEで簡単に画像生成できる「お絵描きばりぐっどくん」をぜひお試しください。下図は私が実際に遊んでみた例です。不自然な箇所もありますが、概ね指示通りの画像を生成してくれています。
画像生成AIの流行に火がついたのは今年の7月から10月にかけてでした。下図は画像生成AIに関する出来事年表です。上の赤色の矢印がニュースに関して、下の青色の矢印が技術に関してそれぞれ重要なイベントをピックアップしてまとめています。
本記事で技術の詳細は説明しませんが、進化のスピード感をお伝えします。技術の歴史や詳細を知りたい方は「Stable Diffusion を基礎から理解したい人向け論文攻略ガイド」という記事をおすすめします。
現在話題となっている画像生成AIモデルの原型と呼べるものは2020年6月にDDPMとして公開されましたが、当時は文章を入力するというスタイルではなくランダムに画像が生成されるだけで、出力される画像のサイズも小さいものでした。それからたった2年で目まぐるしい進化を重ねて今年の4-5月には上で紹介したようなクオリティの高い画像を文章入力で作成できるような技術にまで発展しました。
しかしこの凄さはAIの研究者やAIエンジニア(以下AI界隈と呼ぶ)でしか話題になっていませんでした。なぜならこの時、研究成果のほとんどが非公開であったためです。例えば2022年6月にGoogleが発表したImagenというモデルは社会へ及ぼす影響が不明瞭という理由で一般向けには公開されていません。
その流れが変わったのが今年の7月でした。アメリカのAI企業が発表したMidjourneyやStability AIの公開したStable Diffusionが一般向けに提供されたのです。
このStable Diffusionを用いたLINEサービスが上で紹介した「お絵描きばりぐっどくん」です。これらのサービスによって、AI界隈だけでなく世間一般の方々にも「画像生成AI」が浸透し、楽しまれるようになりました。
一般利用が可能になってから、瞬く間にユーザーの数や登場するサービスの幅が広がりましたが、その結果倫理的な課題が幾つも浮き彫りとなりました。
世界的に最も物議を醸したのはおそらくAI生成画像が美術コンテストで1位を受賞したことでしょう。人間の作品を凌駕するほどのクオリティの高さに衝撃が走ったと同時に、AIに文章を入力しただけで画家と呼んで良いのか、その作品の著作権は誰のものなのか、など様々な論点で現在も議論が繰り広げられています。
類似のニュースとして日本で注目を集めたのが画風を学ぶイラストAIサービス「mimic」です。イラストの盗用・悪用が懸念され、8月29日にβ版がリリース後わずか一日でサービスが一時停止となりました。
その他にも人種・性別の偏りやフェイク画像の拡散など、次々と問題が取り上げられました。現在各国で法や規則の整備が進んでいますが、画像生成AIの在り方については当分議論が必要そうです。
画像生成AIの一般利用が可能になってから2-3ヶ月後の10月6日に「AI絵師」という単語が日本のTwitterでトレンド入りしました。これは、イラストに特化した高精度モデルNovelAIのリリースがきっかけです。NovelAIが二次創作文化やファンアート文化とマッチして利用が急速に広がりました。
ここで、画像生成AIを用いてイラストを生成するユーザーのことを「AI絵師」と称するようになりました。少し前からAI界隈では、AIの思考に沿って入力文章を工夫する職人を「プロンプトエンジニア」と呼んでいますが、単にその日本語版が「AI絵師」という造語なのでしょうか。出来立ての言葉であるため未だ曖昧です(プロンプトエンジニアとAI絵師は別物だという意見もあり)。
AI絵師の誕生により著作権問題やプロ絵師の存続問題など論争が激化していますが、画像生成AIに特化したイラスト投稿サービスも登場し、プロ絵師との共存の道も見えてきたように思えます。
今回は今年世間を賑わせた画像生成AIについて説明しましたが、いかがだったでしょうか?
課題は山積みですがそれらを丁寧に解決していけば、便利で面白い技術です!この記事を通して少しでも多くの方々に「画像生成AI」に興味を持っていただければ幸いです。
それでは、次回の【One Tech】もお楽しみに〜!
明日は、ソフトバンク Advent Calendar 2022 の 6日目です。木村さんよろしくお願いします。
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