シェアリングエコノミーとは?その概要と事例について解説

シェアリングエコノミーとは?その概要と事例について解説

(2021年1月27日掲載)

ニューノーマル時代が進むにつれて、新しいビジネスモデルの創出は、企業にとって継続的な事業発展の鍵となります。その選択肢のひとつとして、シェアリングエコノミーに注目する企業も少なくありません。本稿では、シェアリングエコノミーとはどのようなものなのかを確認した上で、シェアリングエコノミーサービスの具体的な事例を紹介しながら、市場規模や可能性について探ります。

目次

シェアリングエコノミーとは

近年は日本のメディアでも、シェアリングエコノミーという言葉が登場する場面が増えてきました。読者のなかには、シェアリングエコノミーサービスを使ったことがあるという人もいるはずです。もしくは、自社の新規事業として検討しているビジネスパーソンもいることでしょう。しかし、「シェアリングエコノミーとは何か」を正確に説明できる人は、意外と少ないのではないでしょうか。まずは、シェアリングエコノミーについて知っておきたい基礎知識を確認しておきましょう。

シェアリングエコノミーの概要

シェアリングエコノミーとは、一般の消費者がモノや場所、スキルなどを必要な人に提供したり、共有したりする新しい経済の動きのことや、そうした形態のサービスを指します。一般のドライバーがスマートフォンのアプリでマッチングした乗客を自家用車に乗せて運ぶライドシェア、一般の人が所有している物件の空き部屋をWebサイトやアプリを通して旅行者に貸し出す民泊は、シェアリングエコノミーの代表例と言えます。

従来のビジネスモデルは、企業が消費者を対象にモノやサービスを販売するBtoCや、企業から企業へモノやサービスを提供するBtoBが中心でした。シェアリングエコノミーサービスには、そこに当てはまらない、消費者どうしで取引をするCtoCのビジネスモデルが多いという特徴があります。そうしたCtoCのサービスでは、企業は消費者に直接商品やサービスを提供することはなく、あくまで消費者どうしをつなぐWebサイトやアプリなどのプラットフォームを提供するだけです。(なかには、企業が所有するモノ・資産を、ほかの企業や個人が必要とするときだけ貸し出すBtoC、BtoBのシェアリングエコノミーサービスも存在します。)

シェアリングエコノミーとよく似たビジネスモデルに、サブスクリプションサービスがあります。サブスクリプションサービスは、消費者が企業に定期的に定額の利用料金を払うことで、モノやサービスを利用・体験できるビジネスモデルのことです。両者は、消費者がモノを所有しないという点では似ていますが、シェアリングエコノミーは、使いたいとき、必要なときだけ利用してその都度料金を払うもので、一方のサブスクリプションは継続的な利用を前提としているという違いがあります。

シェアリングエコノミーサービスの5分野

シェアリングエコノミーサービスにはさまざまな種類がありますが、次の5つが主なジャンルとされています。

1. 空間をシェアするサービス:民泊、ホームシェア、駐車場シェアリングなど
2. 移動手段をシェアするサービス:カーシェアリング、ライドシェアリング、シェアリングサイクルなど
3. モノをシェアするサービス:フリマアプリ、レンタルサービスなど
4. スキルをシェアするサービス:家事代行、子育てシェア、クラウドソーシングなど
5. お金をシェアするサービス:クラウドファンディング

近年、シェアリングエコノミーは日本にも浸透しつつあり、シェアリングサービスに参入する企業は増え続けています。5つのジャンルのうち、特に増加しているのが、4のスキルをシェアするサービスです。

というのも、消費者がモノや空間、移動手段を提供するには、不動産や自家用車を所有していなければなりませんが、一方のスキルは所有する必要がないため参加への障壁が比較的低いと言えます。そのため企業側はプラットフォーマーとして参入しやすいという側面があるからです。CtoCサービスの場合、スキルの提供者が多ければ多いほど利用者が増え、サービスが一般に普及することが期待できます。

シェアリングエコノミー普及の経緯

シェアリングエコノミーは、2000年代後半に、アメリカ西海岸のシリコンバレーで始まりました。空き部屋の持ち主と宿泊したい人をつなぐ民泊仲介サービスとして2008年にサービスを開始した「Airbnb(エアビーアンドビー)」、移動したい利用者と自家用車のドライバーをマッチングさせる配車サービスとして2010年にサービスを開始した「Uber(ウーバー)」が、その代表格です。その後、同種のサービスは欧米各国やアジアの新興国でも急速に発展、普及しました。日本でも2012年ごろから参入する企業が増えはじめ、市場規模が拡大しつつあります。

シェアリングエコノミーが登場し、普及した背景には、まずインターネットの普及とIT技術の進歩があります。今や誰もがスマートフォンのようなデバイスを使って、消費者が所有するモノや空間に関する情報を簡単に公開し、消費者どうしで共有することができるようになり、さらにはオンラインでの決済も安全に行えるようになりました。その結果、シェアリングエコノミーのような新たな発想に基づいたビジネスモデルが実現可能になったというわけです。

もちろん、テクノロジーの進歩だけが、シェアリングエコノミーサービスをこれほどまでに急速に普及、拡大させた要因とは言えません。時代の流れや消費者のマインドの変化も、少なからず影響しています。

第二次世界大戦後、アメリカのような海外の先進国や高度成長期を迎えた日本では、経済成長とともに消費社会が進展し、人々はどんどん物質的に豊かになっていきました。しかし、やがてそうした“モノ消費”の時代は限界に達します。人々のモノへの所有欲が低下しはじめ、モノを所有することよりも、価値ある体験やサービスを求める“コト消費”へと、消費行動が変化してきました。そこへ登場したのが、モノやサービスを所有せず、必要なときにだけ利用できるシェアリングエコノミーだったのです。

また、日本では、1990年代以降、景気の低迷や非正規雇用の増加を背景に、若い世代ほど生活が厳しさを増しています。節約志向の強い若い世代に、新たにモノを買うよりもシェアリングエコノミーサービスを利用する方が無駄なく経済的だと見なされたことも、見逃せない要因のひとつです。近年ではエコロジー(環境保全)やサステナビリティ(持続可能性)へ人々の意識が高まっていますが、余っているモノや空間を活用するシェアリングエコノミーが、そうした現代人の感覚とマッチしたという側面もあります。2019年3月に開催された「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」では「消費者調査からみる日本におけるグッドライフ戦略のリ・デザイン」と題したセッションが行われました。その中でZ世代(1990年代から2000年代生まれの若者層)が多く占めているWeb読者アンケート結果として、「Z世代の7割以上が社会課題に関心がある」と紹介されました。また「同会議2020横浜」でもZ世代は社会的課題への関心が高い世代であり、サステナビリティがZ世代の価値観や行動基軸にあることが強くメッセージされています。こうした点からもZ世代が当たり前の行動として、シェアリングエコノミー活用を促進していると考えられます。

さらには、SNSを始めとするソーシャルメディアの利用が一般的になり、インターネットを介した他人とのやり取りに抵抗感が薄くなったことも影響していると考えられます。

前項では、シェアリングエコノミーの5つのジャンルの中でも、国内では特にスキルをシェアするサービスが伸びている理由として、スキルの提供者が参加しやすく、企業も参入しやすいというハードルの低さがあることを説明しましたが、それ以外に、家族の形やライフスタイルの変化も関係しているという見方があります。

現代の日本社会では、両親、その子ども、祖父母といった多世代が同居する世帯が少なくなり、単身世帯や核家族世帯、共働きの子育て世帯が増えているため、家庭で家事や育児、介護を担う人手が不足する傾向があります。さらに、働き方改革で女性やシニア世代の就労と柔軟な働き方が促進されているという事情もあり、家事や育児などのスキルをシェアするサービスの需要は、今後も高まっていくと予想されます。

ニューノーマル時代においても、シェアリングエコノミーサービスが勢いを失わない理由

新型コロナウイルス感染症の流行は、さまざまな業種の企業に打撃を与えました。シェアリングエコノミーも例外ではありません。海外からの渡航が制限され、外出自粛が推奨されるなか、民泊仲介のような観光・旅行系サービスやライドシェア、カーシェアのような移動手段を共有するサービスは、大幅に売り上げを減らしました。感染への懸念から、対面型のサービスやモノや空間を共有するサービスが以前に比べて敬遠されるようになったのは、自然な流れと言えるでしょう。

ニューノーマル時代に入って人々の消費マインドは、共有し、体験する“コト消費”から、所有する“モノ消費”に立ち返る、との見方も広がっています。しかし実際のところは、シェアリングエコノミーのムーブメントが終わりに向かっているわけではありません。シェアリングエコノミーサービスのなかには、コロナ禍で低迷する業態がある一方で業績を伸ばしている業態もあり、全体的には好調と言えます。また、体験型サービスをいち早くオンライン化するといったように、社会情勢にあわせてビジネスの内容を見直すことで、集客に成功している企業も少なくありません。

その代表例が、配車サービス「Uber」をメインに展開していたウーバー・テクノロジーズです。コロナ禍では、感染対策の観点からリモートワークが急増し、家で過ごす人が増えたことで、食事を届けてほしい人と配達を代行するドライバーをつなぐフードデリバリーサービス「Uber Eats」が急成長しました。新たなニーズにあわせ、Uberはコロナ禍以降、フードデリバリー事業を強化する方向に舵を切っています。

もともとシェアリングエコノミーは、テクノロジーの進化とともに生まれた新しいビジネスモデルであり、従来のビジネスよりも社会の変化に柔軟に対応しやすい性質を持っています。また、シェアリングエコノミーの大半は提供者と利用者をつなぐCtoCのマッチングサービスなので、事業内容を変更しても、自社で商品・サービスを用意したり、スキルを持った専門のスタッフを一から育成したりする必要はありません。基本的にはインターネット上に、見直した事業内容にあわせたプラットフォームを用意するだけでいいのです。この点が、ニューノーマル時代においてもシェアリングエコノミーが力を失わない理由であり、強みと言えます。

新たなニーズが生まれやすいニューノーマル時代は、シェアリングエコノミーサービスを提供する企業にとっては、新しいビジネスモデルを生み出し、業績を伸ばすチャンスとなるでしょう。ただし、社会情勢に応じて柔軟に事業内容や形態を見直していくとともに、利用者に新たな価値や利便性、幸せをもたらす画期的なサービスを生み出す努力も求められます。

ニューノーマル時代は、非接触型や、接触の機会が少ないサービス、あるいはリモートワークの増加などによる新たなニーズの増加に対応したサービスがより伸びていくと予想されています。モノをシェアするサービスも衰退するわけではなく、今後は、本当に必要なモノだけを所有し、そうでないものはシェアするという消費行動が定着していくはずです。

また、コロナ禍以降、巣ごもり需要で動画や音楽などのサブスクリプションサービスの普及が広がっていますが、例えば自動車の利用サービスでは、他人と車を共有するカーシェアよりも、月単位の定額料金で継続的に車を利用できるサブスクリプションサービスの方が、より感染リスクが低いと見られ、人気が高まっています。モノをシェアするサービスでは、こうしたサブスクリプション型の利用方法を柔軟に取り入れていくのもひとつの方法でしょう。

ニューノーマル時代に注目を集めるシェアリングエコノミーサービス事例

では、ニューノーマル時代に入って、どんなシェアリングエコノミーサービスが注目を集め、利用者を増やしているのでしょうか。次に、空間、移動手段、モノ、スキル、お金という5つのジャンルごとに具体的な事例を紹介します。

空間をシェアするサービス

SPACEE(スペイシー)

株式会社スペイシーが運営する「SPACEE(スペイシー)」は、貸し会議室・レンタルスペースを簡単に貸し借りできるWebサービスです。使用していないオフィスの貸し会議室やレンタルスペース、営業時間外の飲食店といったスペース(空間)と、それを利用したい人をマッチングさせる典型的なシェアリングエコノミーサービスです。

利用者は、1時間当たり100円からという格安価格でスペースを予約し、会議・ミーティング、作業、セミナー、習い事など、さまざまな用途で使うことができます。2013年の設立以降、働き方改革の推進とともに伸びていたサービスですが、ニューノーマル時代になって、テレワークやWeb会議ができる場所として借りる人が増えているといいます。

SHOP STOP(ショップストップ)

株式会社Mellowは、屋外の空きスペースとフードトラックをマッチングさせて、オフィス街のような場所で働く人のためのランチスポットを提供する事業を展開しています。一般の利用者は、アプリ「SHOP STOP」を使って近くのSHOP STOP(フードトラックが出店している場所)を探し、メニューや価格などの情報を得ることができます。

フードトラックは、新型コロナウイルス対策として3密を避けられる外食手段としても注目を集めています。2020年、Mellowは、マンションや住宅街にフードトラックを誘致するパッケージ「おうちでTLUNCH」を展開し、外出自粛中の一般家庭やテレワーカーに好評を博しました。また、コロナ禍で苦境に陥った飲食店のフードトラック開業を支援する取り組みも進めています。

ADDress(アドレス)

「ADDress」は定額制の全国住み放題サービスです。株式会社アドレスが全国各地で管理運営している家に、光熱費混みで月額4万円から居住することができ、サービス利用中は何度でも移動することができます。インターネット環境や家具などの生活に必要なものはすべて備えられており、家族は無料で同伴可能。遊休資産と地方に住んでみたい利用者をマッチングするシェアリングエコノミーに、サブスクリプション型の利用方法を導入している点が特徴です。

「ADDress」も、コロナ禍でテレワークが増えた影響で注目を集めたサービスのひとつです。従来はフリーランス中心に利用が進んでいましたが、コロナ禍以降は会社員の利用を増やしています。都会を離れた新しい暮らしや多拠点生活を求める人が増えるなかで、今後も注目度は高まっていくでしょう。

移動手段をシェアするサービス

Uber Eats(ウーバーイーツ)

「Uber Eats」は、前出の通りウーバー・テクノロジーズが提供するフードデリバリーサービスです。アプリやWebサイトから「Uber Eats」に登録している飲食店のメニューを注文すると、ドライバーがマッチングされ、注文した食事が配達されるというシステムです。

新型コロナウイルス感染症の流行以降、特に2020年4月の緊急事態宣言以降にニーズが急増しました。今や都市部では、街中で「Uber Eats」のドライバーを見かけない日はないほど普及しています。運営するウーバー・テクノロジーズはアメリカの企業ですが、現在では世界各国で事業を展開しています。

HELLO CYCLING(ハローサイクリング)

OpenStreet株式会社が運営する「HELLO CYCLING」は、アプリを介して電動自転車をシェアできるシェアサイクルサービスです。首都圏を中心に全国の約3,000ヵ所(2020年12月18日公式ツイートによる)にステーションがあり、空いている自転車があればどこのステーションでも借りられ、好きなステーションに返すことができます。自転車は、ニューノーマル時代において感染リスクの低い移動手段として注目されています。感染リスクを抑えるために公共交通機関を避けて自転車で通勤する人が増え、シェアサイクルの利用者も増加しています。

モノをシェアするサービス

メルカリ

2013年にサービスを開始したフリマアプリ「メルカリ」も、シェアリングエコノミーサービスの一種です。誰でも簡単に不用品を売り買いできる手軽さに加え、支払いトラブルを回避する独自の決済方法や匿名配送といった利用者が安心して使えるシステムが高く評価され、急成長を遂げました。日本のベンチャー企業である株式会社メルカリが運営しています。現在では、アメリカでも事業展開しています。

もともと成功をおさめていたサービスですが、ニューノーマル時代を迎え、自宅にいる時間が長くなったことで、部屋の整理や不要品の処分方法として「使いたい人に譲る、売る」という行動が促進されたこと、また、不要不急の外出を控えるために買い物に行く機会が減ったといったことから、さらに新規利用者や既存会員の利用回数が増加しました。このような状況から、海外での展開も含め、今後も市場拡大が期待されています。

airCloset(エアークローゼット)

株式会社エアークローゼットが提供する女性向けの洋服のレンタルサービス「airCloset」。プロのスタイリストが利用者の属性や好み、悩みなどにあわせて服を選んでくれる点が画期的で、忙しい働く女性のニーズを捉えて注目を集めています。シェアリングエコノミーサービスでありながら、支払いは月額定額制というサブスクリプション型を採用している点もポイントです。

料金プランには「ライトプラン」「レギュラープラン」「プラスサイズ」の3タイプあり、一度に発送される洋服はそれぞれの料金タイプによって異なります。例えばライトプラン(月額6,800円税抜)なら月3着ですが、返却期限はなく、返却をすればまた別の3着がクリーニングをすませた状態で送られてきます。レギュラープラン(月額9,800円税抜)なら、アイテムの交換回数は無制限です。それぞれのプランで気に入った服があれば、レンタル利用後に購入することも可能です。

ドレスや着物などのレンタルサービスはイベントの減少に伴って需要が落ち込んでいる業態ですが、「airCloset」をはじめとするサブスクリプションサービスは、好調に会員数を伸ばしています。感染を懸念して多くの人が外出を控えるなかで、家にいながら自分に似合うファッションに出会える方法のひとつとして支持が広がっているようです。

スキルをシェアするサービス

タスカジ

株式会社タスカジが運営する「タスカジ」は、家事を依頼したい人とハウスキーパーをマッチングさせるスキル系のシェアリングエコノミーサービスです。共働き世帯の増加や核家族化を背景に、近年、注目を集めていたサービスですが、臨時休校やリモートワークの増加によって人々が自宅で過ごす時間が増えたことで、新たなニーズが生まれています。

ストアカ

「ストアカ」は、教えたい人と学びたい人をWeb上でマッチングさせるサービスです。受講できる講座のジャンルはビジネススキルをはじめ、デザイン、英語、料理、スポーツなど多岐にわたります。本来は講師と利用者がリアルに対面して行うサービスですが、運営会社であるストリートアカデミー株式会社は、ニューノーマルに対応するため、対面限定としていたルールをオンラインでも可能と変更。巣ごもり需要が高まるなかで、家にいても興味のあるジャンルについて学べるサービスとして人気を集めました。

クラウドワークス

株式会社クラウドワークスが運営する「クラウドワークス」は、オンラインで在宅ワーカーと仕事の発注者をマッチングする「クラウドソーシング」と呼ばれるサービスの代表格です。募集されている仕事は、ライティング、デザイン、サイト制作、データ入力といったPC作業が中心です。

もともと働き方の多様化が進むなかで注目されていたサービスですが、コロナ禍でサービス業のような対面の業務が減ったことで、主に非正規雇用の人たちが収入を得る手段として、クラウドソーシングのニーズはますます高まっています。テレワークになった会社員が副業としてはじめるケースも少なくないようです。

お金をシェアするサービス

お金をシェアするサービスの代表格といえば、クラウドファンディングサービスです。クラウドファンディングとは、プロジェクトの発案者がインターネットを介して支援者から資金を集める仕組みで、完成した商品やサービスが支援者に提供される購入型と、品物や金銭などのリターンのない寄付型の2種類があります。

Makuake(マクアケ)

株式会社マクアケが運営する「マクアケ」は、購入型のクラウドファンディングサービス。さまざまなジャンルを扱っていますが、特に日本企業の商品開発支援に力を入れていて、大企業の利用も少なくありません。コロナ禍以降は、売り上げが落ち込んだ企業がクラウドファンディングを利用して再起を図るケースも多く、マクアケにもこれまで以上に注目が集まっています。

READYFOR(レディーフォー)

READYFOR株式会社が運営する「READYFOR」も、日本有数のクラウドファンディングサービスのひとつ。購入型プロジェクト、寄付型プロジェクトの双方を扱っていて、社会課題を解決しようとするプロジェクトが目立つのが特徴です。

新型コロナウイルス流行以降、売り上げ減に苦しむ飲食店や音楽、演劇などのエンターテインメント関係者、過酷な医療現場で働く医療従事者への寄付や応援をしたいというニーズが急増し、自宅にいながら社会貢献できるクラウドファンディングの人気が高まりました。特にREADYFORでは、感染症に立ち向かうプロジェクトやコロナ禍の影響で苦境に陥っている人を支援するプロジェクトを多数扱っています。

シェアリングエコノミーの市場規模

日本での市場規模も、拡大の一途をたどっています。2020年12月、株式会社情報通信総合研究所は、一般社団法人シェアリングエコノミー協会と共同で実施した調査結果を発表しました。それによると、2020年度のシェアリングエコノミーの市場規模は2兆1,004億円になると推計されています(出典:株式会社情報通信総合研究所「シェアリングエコノミー関連調査2020年度調査結果」)。

また、現状のペースで成長すれば2030年には7兆4,719億円、認知度の低さや新型コロナウイルスの流行による不安などの課題が解決した場合には、不動産業と同程度の14兆1,526億円の規模になるとも予測されています。

2018年に実施された前回調査では、2030年のシェアリングエコノミーの市場規模は、11兆1,275億円になると予測されていました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、2020年度の市場規模自体は予測を下回りましたが、一方ではニューノーマルに対応した新しいサービスの利用が拡大する動きも見られ、今回調査による2030年度の予測値は、前回調査の予測値を上回る結果となっています。

認知度の低さ、コロナ禍による社会不安といった課題はあるものの、シェアリングエコノミーは、これからのニューノーマル時代においても、国内外を問わず伸び続けていくでしょう。なお、前出の情報通信総合研究所、シェアリングエコノミー協会の共同調査では、シェアリングエコノミーの発展が既存産業に好影響を与えることや、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献効果があることも分かっています。

シェアリングエコノミーがSDGsに貢献する例としては、モノやスペースをシェアするサービスが広がることで、新品を購入する人が減り、ゴミが減少すること、サイクルシェアやライドシェアが広がることで、エネルギー消費の減少につながること、家事・育児スキルをシェアするサービスやクラウドソーシングが活用されることで、労働に参加できる女性が増加することなどが挙げられます。

新たなビジネスモデルとしてのシェアリングエコノミーを考える

余っている資産やリソースを有効活用するシェアリングエコノミーは、便利に低価格で利用できるだけでなく、SDGsとの親和性が高く、私たちの社会をより豊かにする可能性を秘めています。自治体がシェアリングエコノミーサービスを提供する民間企業と連携して、シェアリングエコノミーを就業機会の創出や育児支援、地域活性化など、社会課題を解決するために活用するケースも増えています。

新型コロナウイルス感染症の流行は社会に大きな変化をもたらしましたが、ニューノーマル時代においてもシェアリングエコノミーサービスの多くは好調を維持しています。そして今後も市場規模を拡大していくでしょう。テクノロジーの進化とともに生まれたシェアリングエコノミーは、目まぐるしく変化する現代社会でこそ真価を発揮するサービスと言えます。

企業規模、業種にかかわらず、これからの企業にとって、シェアリングエコノミーは、新しいビジネスモデルに挑戦する場合の有力な選択肢のひとつです。シェアリングエコノミーの概要や発展の経緯、主な事例などの基礎知識を身につけ、最新の動向も確認しながら、自社でも選択可能かどうか検討してみることが重要です。

シェアリングエコノミーの要素を含むビジネスモデルを実現するには、最新のデジタル技術とそれに関する高度な知識が不可欠です。自社にITに詳しい人材が不足している場合や、自社だけで新規事業の創出が難しい場合は、さまざまなICT技術やSDGs達成に向けた新規事業創出のノウハウなどを有するソフトバンクに相談し、力を借りるという手もあります。ぜひシェアリングエコノミーサービスの展開も視野に入れて、柔軟な発想で自社の今後の可能性を探ってみてください。