5G時代。ソフトバンクの取り組みと今後の戦略

5G時代。ソフトバンクの取り組みと今後の戦略

(2020年12月2日 掲載)

目次

2001年に通信キャリアに参入して以来、ソフトバンクはITで企業の課題解決に取り組んできた。スマートフォンが本格的に世の中に普及し始め、アプリケーションで仕事をしたり生活をするというようなことがもう当たり前になっている。5G時代、産業の改革に貢献するために「人と人」「産業」「世界」をソフトバンクはどう「つなぐ」のだろうか。

5G・IoTを実現する次世代の通信技術社が出展した第3回 5G/IoT通信展におけるソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井康之の講演を抜粋し、企業課題・社会課題解決に貢献するための「5G時代における戦略と取り組み」について考えたい。

今井 康之

いよいよ来た、5G時代。

今井:「いよいよ5Gの時代が来ました。
5G時代、重要なのはデバイスです。デバイス側のAIで解析するエッジAI解析。そして、収集したデータをネットワークを通じてマルチクラウド上でAI解析すること。この両方が5G時代には展開されてくると思います。」

最先端のテクノロジーをワンストップでご提供

ソフトバンクは、企業や社会の課題解決を実現するために、AI解析やセキュリティなどを含め、最先端のテクノロジーをワンストップで提供するという。しかし、今この時代、どのように今までの仕事のやり方から新しいテクノロジーを使って新しい仕事のやり方に変えていったらいいのだろうか。そういう問い合わせが顧客から多く聞こえてきているという。

今井:「ソフトバンクは産業における『共創』をキーワードに企業の皆さまと接点をもっております。新しいテクノロジーを使った事例を2つご紹介したいと思います。「業界の垣根を超えたスマートサプライチェーン」そしてもう1つが「スマートシティ」です。」

業界の垣根を越えたスマートサプライチェーン

業界の垣根を越えたスマートサプライチェーン

今井:「最初にスマートサプライチェーンについてお話したいと思います。製造から小売までいろいろなサプライチェーンが作り上げられていますが、コロナ禍をきっかけに、企業はリアル店舗で商品を提供するだけではなく、Eコマースで商品を提供していくという時代に変わってきています。
そんな中、小売や製造、そして物流における人材の不足は、約2030年までに119万人に上ると言われており、人材不足をまかなうために、ソフトバンクでは業界のニーズにお応えするソリューションをパートナー企業と一緒に創り上げています。」

工場の高度デジタル化

今井:「通信やAIといったソフトバンクのノウハウを生かしてサポートする分野の1つに、工場があります。工場もデジタル化が必要です。全ての業務をオートメーション化することが工場におけるデジタル化と言えます。デジタル化をいかに早期に実現してしまうかということが、競争力強化の1番重要なポイントです。」

工場のオートメーション化

今井:「しかし、全てがロボットでできるわけではありません。当然のことながら、ロボットの操作をする人もいれば、保守メンテナンスをする人もいます。そして、できあがった商品を検品することも必要ですし、人的な細かな作業も必要です。このような人的な業務をロボットが代替する上で一番重要な要素、これが『映像』です。
例えば、工場で「人」が行っている業務を、遠隔から商品画像を見て操作したり、AIが外観検査したりすることで、工場は効率的に動いていきます。そのために期待されているのが5Gです。」

しかし、5Gで大容量の映像のデータをインターネットを通してクラウドにアップロードすると遅延が起こりやすく、いくら5Gでも、遅延を無くすことはかなり難しいという。

エッジデバイスで解析するメリット

今井:「そこで重要となってくるのが『エッジコンピューティング』です。エッジコンピューティングとは、例えば工場の中に4Kのカメラが付いた無人搬送機があるとします。無人搬送機が映した映像データをインターネットを経由して処理するのではなくて、工場内のサーバでエッジ処理していくということです。このような工場内の輸送を効率化するためには、エッジコンピューティングの設計が必要です。そして、エッジコンピューティングも、工場内のサーバで処理するだけではありません。
今のムーブメントはデバイス側のカメラにAIが組み込まれている『エッジデバイス』です。映像データの情報を大容量のまま通信するのではなく、カメラそのものでエッジ処理して、非常に軽いテキストデータにしてクラウドへ受け渡していく。そんなことがエッジデバイスではできるのです。」

今現在、映像から機密情報や個人情報をカットして、それをテキストデータに変えて受け渡すということがAIでできる時代になっている。となると、やはり主流はエッジデバイスになるといえるかもしれない。

今井:「実際に5Gやエッジコンピューティングを活用できるユースケースができています。例えば、工場警備では、服装や挙動から不審者を検知し管理者へ異常を通知できたり、工場の安全管理では、監視カメラが空間の奥行きを認識することで、作業員の危険エリア侵入を防いだり、AIが解析してリスクをアラートする。そういったことをソフトバンクが目指すサプライチェーン、製造・物流・小売全てにおいて、5Gを生かした業務のやり方に切り替えていけるようにサポートしていきたいと考えています。」

生産性向上を最大化するデータの活用

企業の生産性を最大限に向上させるためには、5G・IoT・AI・RPA・クラウド・ロボット・セキュリティそしてデータを活用し、サプライチェーンを一気通貫でデジタル化する必要がある。次の競争力を生むためにも生成されたデータをいかに活用するかが、1番重要なポイントだ。

生産性向上を最大化するデータの活用

今井:「データ収集・蓄積・統合という分野でトレジャーデータという会社があります。企業はサービスごとにお客さまデータを持っていると思うのですが、そのお客さまデータは統合できていないことが多いですね。それぞれサービスの中でお客さまデータを閉じてしまう。それを仮のIDを使って、データを統合していくような仕組みが、トレジャーデータのキーポイントです。そのトレジャーデータとYahoo! JAPANの持つデータを統合して、お客さまの思考やお客さまは今何を求めているのか?そして、今何が売れるのか、どれくらいの量を作ったらいいのか、などを知ることができます。
次にご紹介するのは、Findability Sciencesというデータ分析・予測の会社です。例えば配送会社と一緒に取り組んでいる例をお話しすると、過去3年分の配送データを蓄積し、そのうち過去2年分のデータを分析して、直近1年について拠点間の荷物量を予測するということを、今やっています。実際のデリバリでは、どの時間帯にどの地区に何台車を配車したらいいか。今までは、ベテランの人が人的に分析をして荷物量を予測していました。
Findability Sciencesでは、6回実験を行い、初め2回の荷物量の予測精度は人に負けました。その後4回は、人の予測を超えて96%の精度で荷物量を予測し、どの地区にどのくらい配車したらいいかの参考になる情報を提供できるようになりました。」

進化し続ける最先端のまちづくり

今井:「さて、次にスマートシティについてお話しします。ソフトバンクは、2020年9月14日に開業した東京ポートシティ竹芝へ、年内いっぱいをかけて汐留から引っ越しをしています。
そして、VANTIQというスマートシティプラットフォームで、竹芝地区のビルや街のデータを収集しつなぎます。そのつないだデータを、竹芝地区で働いている人や住んでいる人のメッセージアプリやメールに配信していくのです。例えば駅到着前に電車の遅延情報を通知して、別ルートを案内することで、駅に行くことなく電車が遅れていることを認識できます。」

進化し続ける最先端のまちづくり

今井:「また、ソフトバンク本社が入居している東京ポートシティ竹芝の2階には飲食店がありますが、同ビルの別フロアにいても、飲食店の混雑状況を知らせてくれるサービスもあります。そして、空いている店舗を優先してクーポンを自動配信することで、集客しづらい時間帯にも、お客さまを効率的に集客することができる。こんなテクノロジーが竹芝で生まれています。
竹芝スマートシティは、データのリアルタイム活用で、陳腐化せず進化し続ける街になるでしょう。このテクノロジーは、スマートビルから竹芝地区全体に広がり、そして他の地域にも連携していきます。」

ビルや街のデータを収集し「今、必要な情報」を働く人・住む人・訪れる人に提供する。新しいテクノロジーと一緒に進化するまちとして竹芝スマートシティから目が離せない。

世界中から圏外をなくす

今井:「日本の話の次に、世界の話に移りたいと思います。世界をつなぐ成層圏通信プラットフォームのHAPSについてです。」

ソフトバンクが子会社のHAPSモバイルを通して実現する次世代の通信システム「HAPS(ハップス)」。衛星通信に比べて、上空20キロメートルという地上から近い位置に配備されるHAPSが実現する通信は遅延が少ない。地上の状況に影響されないHAPSは、災害時にも安定したネットワークを提供し救助・復旧活動を支える重要なインフラになりえる。また、離島などのインフラ遠隔監視、農業や酪農に用いられるさまざまなIoT機器との通信には欠かせないツールとなるだろう。

世界中から圏外をなくす

今井:「世界中でインターネットにつなげられる世界をつくりたい。今まだ人口の約半分がインターネットを使うことができません。HAPSを活用したインターネットで生活の利便性を図る。アフリカでも南米でも通信がつながります。今までインターネットにつながらなかった場所でもつなげることができます。
通信事業者として、世界中どこでもインターネットにつながる通信網を創り上げていくということが、ソフトバンクの使命だと思います。」
※出所:Statista 「Number of Internet users worldwide from 2005 to 2018」

通信インフラが整っていない場所でも、HAPSによって実現される超広域通信網の実用化はまもなくだという。HAPSの導く情報革命。人々を幸せにする通信がまもなく実現する。

最後に、今井は次のメッセージで講演を締めくくった。

今井:「テクノロジーで未来を創っていくということをぜひやっていきたいです。人々をつなぐ、そして産業をつなぐ、世界をつなぐ、そういったことをソフトバンクとして企業の皆さまと一緒に提供していきたいと思います。」

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