ワーケーションとは?世界で広がるWorkとVacationの変化

2020年11月20日掲載

ニューノーマルな働き方の一つの選択肢としてワーケーションが注目されているが、休暇中に仕事をすることに抵抗がある、休暇を満喫できない、などネガティブなイメージを持たれることが多いのが現状だ。しかし、企業と社員の間で制度や評価など明確なルールを策定することで、ワーケーションは有意義なワークスタイルにもなりうる。本記事では、ワーケーションの概要と省庁・自治体・企業の取り組みを読み解き、ワーケーション導入を検討する企業と社員の一助とする。

目次

ワーケーションとは

ワーケーションの定義

ワーケーションとは「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、普段の職場と異なるリゾート地や観光地で働きながら休暇を取ることである。ノートPCやスマートフォンなどを利用して、場所にとらわれずに仕事を行うスタイルだ。
ワーケーションはノートPCやインターネットが急速に普及した2000年代から、アメリカで始まった働き方とされている。
日本では2020年7月27日、当時の菅義偉内閣官房長官が「観光戦略実行推進会議」において、「感染対策をしっかりと講じているホテルや旅館にかぎり、『Go Toキャンペーン』で宿泊代金の支援を行う。感染対策と経済活動の再開の両立という基本方針に沿って、うまく活用していただきたい」と述べ、ワーケーションが政府から発信されたことにより認知が広がっていった。
ワーケーションを利用することで、観光地での経済復興に加え、長期休暇や連続休暇が取りにくい業種でも休暇を取得し、有給休暇取得率の向上が期待されている。

ワーケーションの歴史

ワーケーションは2000年代に新しい働き方の一貫としてアメリカから始まったとされており、2015年にはThe Wall Street Journal日本語版でも『あなたもいかが?米で増える「ワーケーション」』として掲載されている。
ワーケーションが広がった背景として、アメリカは年次有給休暇を取得する権利が法律で保障されておらず、従業員の有給取得率の向上と長期休暇促進のため生まれたとされている。アメリカは日本と同様に有給取得率が低く、休暇中でも電話会議への参加やメール対応など完全休暇にならないことが多かったため、旅先などでも仕事を行うワーケーションが広まった。
日本では2017年頃からJALやJTBなどの民間企業や、和歌山県や長野県などの自治体でワーケーションが行われてきている。

ワーケーションとテレワークの違い

ワーケーションとテレワークは同じように捉えられがちだが、考え方は大きく異なる。
テレワークが「オフィス以外の場所である自宅やカフェ、コワーキングスペースなどで働くことが前提の考え方」に対して、ワーケーションは「休暇を前提として、好きな場所で働く考え方」である。
つまりテレワークは仕事を行うことが主目的に対して、ワーケーションはあくまで休暇が主目的なのだ。
ワーケーションは従業員のリフレッシュと休暇取得を促進させるための働き方であると言えるだろう。「働く、休む」を分けずに、「休みながら働く」という考え方がワーケーションである。

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ワーケーションのメリット

企業のメリット

企業がワーケーションを提示することで、社員の生産性向上や働き方の多様化によるエンゲージメントの向上も期待ができる。社員が従来と異なる場所で仕事を行うことはリフレッシュ効果や、ワークライフバランスへの貢献にもつながるからだ。
またワーケーションは社員の有給取得の推進にもつながると期待されている。例えばワーケーションのために観光地に行き、勤務日の後に有給を利用することで、観光地に長期で滞在することも可能だ。
日本は有給休暇取得率が低いことが知られている。旅行会社エクスペディアが実施した「世界19ヵ国の有給休暇取得率の国際比較」によれば、日本の有給休暇取得率は最下位だ。そのため有給休暇が取得しやすい環境が整うことは、社員の働きやすさにもつながるだろう。
こうした考えは経営層に広がりを見せており、株式会社日本旅行、株式会社We'll-Being JAPAN、株式会社あしたのチームが3社合同で実施した「経営者のワーケーション及びその取り組みの実態」の調査によれば、50.4%の経営者が自社での『ワーケーション』の導入に興味があると回答している。 ワーケーションによって社員の働きやすい環境が整えば、社員の離職率の低下や採用時のアピールポイントにもつながり、企業のメリットにつながるだろう。

社員のメリット

ワーケーションは社員にもメリットが多くある働き方だ。
ワーケーションを利用すれば、リラックスできる場所や職場から離れた場所で自分のペースで仕事ができるため、ワークライフバランスの向上や心身のリフレッシュにつながる。職場では同僚や上司に声をかけられる、電話が鳴るなどで集中できない場合もあるが、ワーケーションを上手に活用できれば、静かな場所で集中して仕事が行え、働き方の選択肢が広がるだろう。
家族がいる人は、ワーケーションを活用することで家族旅行の行きやすくなるのではないだろうか。

自治体のメリット

ワーケーションは企業や社員だけでなく、ワーケーションの場を提供する自治体にもメリットがある。ワーケーションを活用する社員が自治体を訪れることで、地域活性化を期待できる。
例えば社員が静かな場所で仕事を行いたいと考えて自治体を訪れた場合、地域のホテルなどで「ワーケーションプラン」などを用意できれば新たな顧客獲得につながることもあるだろう。ワーケーションに対応することで宿泊者が増えれば、従業員などの地域の雇用増加にもつながる。
また地域の空き家や空きホテルなどを再活用することで、地域資源を有効活用することも可能だ。
さらにワーケーションで訪れた社員が地域を気に入った場合、将来的な移住につながる可能性もある。ワーケーションは一過性のものではなく、長期的なメリットにつながる可能性を持っていると言えるだろう。

ワーケーションのデメリット

企業のデメリット

企業にとっては導入に向けたデメリットが存在する。「ワーケーション導入のコスト」「セキュリティ対策」「適切な労務管理の規定」などだ。
まず社員へのノートPCなどの支給やインターネット環境の整備など、導入コストがかかってくる。ワーケーションを利用する社員との円滑なコミュニケーションのために、オンライン会議システムやチャットツールなどの導入も必要だろう。従来とは異なる働き方を行うため、社員が問題なく仕事を行う環境を整備する必要がある。
また社外で仕事を行うにはセキュリティ対策も万全にしなければならない。VPNの整備や、デバイスの紛失に備えた対応など、デジタルとアナログの両面からの対策が必要になる。
さらに労務管理も難しくなる。ワーケーションは休暇を前提とした働き方のため、社員が業務を行った時間を把握するのが難しい。そのため評価方法の変更やテレワーク用の勤怠管理システムを導入するなど、社員が不満を抱かないような労務管理が必要になる。

社員のデメリット

社員側のデメリットもある。「完全休暇ではないこと」「運用ルールが適切でないと、きちんとした休暇が取れない」などが挙げられる。
ワーケーションは「休みながら働く」という考え方のため、完全休暇ではない。人によっては旅先でも仕事のことを考えなければならず、素直にリフレッシュできない人もいるだろう。業務時間外では連絡を取らないようにするなどの工夫が必要になる。
また連絡にはツールの利用が必須だ。社内のように頻繁に顔を合わせるわけではないので、チャットやオンライン会議ツールを使いこなす必要がある。
ツールの活用が社内でルール化されていなければ、業務時間外にもかかわらず連絡を取っていたなど、旅行先でもほとんど仕事している状態になってしまう。

自治体のデメリット

自治体のデメリットは主に初期コストの面だ。企業や社員をワーケーションで受け入れるためには、宿泊施設のWi-Fi環境整備などコストがかかる。ワーケーションに予算を投じたが、思ったよりも移住希望者は増えず、人口増加につながらない場合もあるだろう。
既存の地域資源を活用するなどしてコストやリスクを抑える工夫が必要になるほか、将来的なリターンとリスクを見極める必要があるだろう。

日本のワーケーション普及の課題と対策

課題① 仕事と休暇のバランスが不明瞭

課題

ワーケーションは「休みながら働く」という考え方のため、仕事と休暇のバランスが不明瞭になりやすい。
例えば社員には「旅行先にまで仕事を持ち込みたくない」と考えている人も多いだろう。中には休日出勤のように感じてしまう人もいるかもしれない。またマネージメント側は、部下がワーケーションとして休暇先できちんと働いているかを把握するのが難しいだろう。

対策

こうした課題への対策として、企業側には制度やルール作りが求められる。ルールが定まっていなければ混乱をきたす可能性があるため、業務日や業務内容に関する明確な制度やルールを策定し、周知させることで、社員が安心してワーケーションを利用できる環境を作らなければならない。

例えば、週末から水曜日にかけて4泊5日で家族旅行をしたいが、月曜日にどうしても外せないミーティングがあるとする。今までならば旅行は週末だけにして月曜日は普通に出社してミーティングに参加しなければならなかったが、月曜日のミーティングの時間だけ旅行先からWeb会議で参加することを、企業がワーケーション制度として許可することで、社員は水曜日まで旅行を楽しむことが可能になる。勤怠管理面では、ミーティングの時間のみ休日出勤とし、その時間分だけの休日出勤手当を上乗せして給与計算する、といった人事制度を整えることで、企業側、従業員側ともに納得できる仕組みとなるだろう。 

課題② ワーケーション費用を誰が負担するのかが不明瞭

課題

不明瞭になる部分は業務と休暇のバランスだけではない。例えばワーケーションは「休む」ことが前提にあるが、業務を行うことも求められているため、滞在先までの移動費や宿泊費などを誰が負担するのか曖昧になりやすい。社員が自ら費用を支払った旅行先でまで仕事をさせられるとなると、誰もワーケーションを利用したがらないだろう。

対策

ワーケーションを推進するためには、出張などと同様に企業側が一部費用を負担するなどの工夫が必要だろう。ワーケーション滞在先として企業が指定した宿泊先に限り、宿泊費を一部負担する、出張の前後でワーケーションをする場合、交通費は会社負担、宿泊費は出張日程内は会社負担、それ以外は社員負担にする、など明確なルールを策定し、周知することが必要だ。

課題③ 人事評価、労務管理が難しくなる

課題

ワーケーションは社員が職場と離れた場所で仕事を行うため、仕事に対する評価や労務管理が難しくなる。物理的に離れた場所で仕事を行うため、きちんと仕事をしているか、仕事量が適切かなどを判断しにくくなるのは大きな課題と言えるだろう。

対策

こうした課題への対策として、Web会議システムやチャットツール、勤怠管理システムなどを導入し、円滑なコミュニケーションを促し、業務の進捗を管理・把握する必要がある。
テレワークも同様だが、場合によっては、むしろ時間管理をせず成果をもって評価する、という従来とは異なる評価方法が課題を解決することもある。前例にとらわれず、新たな働き方に合った評価制度を模索すると良いだろう。

課題④ 社員の理解が不十分

課題

ワーケーションを実施するには社員の理解も必要だ。例えば、ワーケーションを利用できる職種と利用できない職種の社員間で不公平感が生まれたり、積極的にワーケーションを利用する社員とそうでない社員の間で摩擦が生じたりするケースが想定される。
こうした否定的な意見が多く出てきてしまうと、ワーケーションを活用できない空気になってしまう。

対策

こうした課題への対策として、企業は社員に対してルールや制度を十分に説明し、浸透させることで、ワーケーションを肯定的に捉える空気を作ることが求められる。肯定的な空気作りのために、経営層やマネージャ層が積極的にワーケーション制度を活用すると社員も活用しやすくなるだろう。また、多くの社員に実際にワーケーションを体験してもらうために、部署単位でのワーケーションを推進することも有効だ。

課題⑤ 生産性の低下

課題

ワーケーションが長期に及ぶと社員の生産性が低下する恐れもある。既にテレワークでも同様の問題が発生しているケースも少なくない。
社内にいなければ、どうしても社内にいる社員と比べてコミュニケーションの質と量が劣ってしまい、生産性の低下が起こりやすい。また、社内でなければ対応できない仕事が出てくることもあるだろう。場合によっては、仕事をサボってきてしまう社員が出てくることもあるだろう。

対策

こうした課題への対策として、Web会議システムやチャットツール、電話などを積極的に利用した細かなコミュニケーションは有効に働きやすい。しかし、これらのツールを利用したからと言って必ず生産性の低下が防げるわけではないため、まずはテレワークから始めて段階的にリモートで働く環境に慣れさせていくなど、進め方の工夫が必要だろう。

課題⑥ セキュリティへの不安

課題

ワーケーションでは職場を離れて業務を行うため、社員へのデバイスの支給やセキュリティ環境の整備は必須である。総務省が実施した『ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究』によれば、テレワークを導入している企業、検討している企業の43.7%が「情報セキュリティの確保」を課題に挙げている。

対策

こうした課題への対策として、ウイルス対策ソフトのインストールといったデバイスへの対策はもちろん、安全な通信環境の用意やVPN利用による暗号化通信、パスワード管理ツールの利用など、環境整備を行う必要がある。また、完全に防ぐことが困難なヒューマンエラーを想定し、デバイス紛失時に備えたMDM(Mobile Device Management 、モバイル端末管理)サービスの利用のほか、紛失対応を予めマニュアル化しておく、社員に対するセキュリティ教育を徹底するなど、教育面での対策も忘れてはならない。

テレワーク環境におけるセキュリティ対策の指針としては、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」や「日常における情報セキュリティ対策」 を参考にして、自社にあったガイドラインを策定するとよいだろう。

課題⑦ 感染症拡大への不安

課題

新型コロナウイルスの流行による積極的なテレワーク実施など、感染症対策は官民が力を入れて行っている。ワーケーションによる移動は新型コロナウイルスの感染拡大リスクと表裏一体と言えるだろう。また滞在先での感染症対策が十分であるかなどの懸念も考えられる。

対策

こうした課題への対策として、事前に感染症対策を十分に調査した滞在先に限って、社員がワーケーションを利用できるなどの仕組みが必要だ。調査時には、自治体や滞在先のWebサイトを確認する、担当者に問い合わせるなどのほか、万が一体調が悪化した場合に備えて近隣の医療機関を調べておくと良い。また、ワーケーション先で勤務をする際には、開始時に社員から体温や体調の報告をしてもらう、といった対策も取っておくと良いだろう。

首相官邸・観光庁のワーケーション推進の取り組み

ワーケーションについては、前述の通り2020年7月27日に菅義偉氏が 「観光戦略実行推進会議」で言及し、観光庁、環境省がワーケーションを新たな旅行スタイルとして推進している。 観光庁の『旅行消費の増加及び休暇分散に向けた取組について』によれば、ワーケーション推進のために企業への働きかけに加え、ワーケーション需要に対応したいホテルへのアドバイザー派遣、ワーケーション実施のためのWi-Fi環境整備、ワーケーションスペースへの対応などを支援するという。 また環境省の『国立公園における最近の取組状況 (ワーケーション及び上質なサービスを求める 旅行者の誘客に向けた取り組み)』によれば、国立公園や国民保養温泉地の旅館やホテルなどに対して、ワーケーションツアーの企画・実施や家族旅行と合わせた子供向けプログラムの企画・実施を行うとしている。 今後も政府によるワーケーション支援は広がりを見せていくだろう。

参考:[動画] 2020年7月27日の菅義偉氏による発言

自治体の取り組み事例

和歌山県の取り組み

和歌山県では2017年からワーケーションを推進している先駆け的な存在である。県内には観光地としても名高い白浜町があり、南紀白浜空港から10分で白良浜に到着するという自然に囲まれた立地が魅力的だ。
白浜町のワーケーションには2017年度~2019年度の3年間で104社910名が体験しているという。現在では白浜町にあるサテライトオフィスが満室の状態とワーケーションを行う企業の誘致に積極的だ。
また和歌山県独自に「関係人口創出拡大事業」や「親子ワーケーション」などの事業を行っており、ワーケーションを価値創造ツールとして位置付けている。
こうした取り組みが評価され、全国65の自治体からなる「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」の会長に和歌山県の仁坂吉伸知事が就任している。日本でも有数のワーケーション先進地域と言える。

長野県の取り組み

長野県では「リゾートテレワーク」と称して、軽井沢町、信濃町、白馬村など県内に多くのテレワーク拠点を有しており、リゾートテレワークの環境整備を行う事業については県から助成金を出す仕組みづくりも行っている。 長野県の魅力は東京からアクセスしやすく、自然やアクティビティなどが揃っていることだ。ワーケーションの一環として「森林セラピー」や「星空鑑賞」など自然を活かした施策を行っている。
ワーケーションのメリットのひとつに「移住」が挙げられる。長野県では13年連続で移住したい県1位の実績だが、「テレワークデイズ2019」によれば、長野県からの転出が進んでいるのが現状だ。
そのためワーケーションを活用して長野県への移住を促進したい狙いがある。今後も県を挙げてワーケーションを推進していくだろう。

北海道の取り組み

北海道では道と道内17市町が連携して「北海道型ワーケーション」を行っている。「北海道型ワーケーション」とは東京一極集中からの本社機能分散化などを提言し、首都圏企業の社員やその家族などを対象に、北海道ならではの広域周遊型ワーケーションである。
ワーケーションを一ヵ所に滞在して行うのではなく、まさしく道内を旅行しながら行うのだ。また道内114ヵ所に「公設の体験移住用住宅」が用意されており、家具や家電が備え付けられているため低コストで滞在することも可能だという。広い北海道という土地を生かした施策を行っている。

企業の取り組み事例

セールスフォース・ドットコム

セールスフォース・ドットコムは2015年秋に和歌山県白浜町にサテライトオフィスを開設。総務省が推進した「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」に参画し、白浜町と手を組んで進めたという。現在では常時10人程が滞在しており、強制ではなく個人のキャリアプランに応じて自主的に行っているという。
セールスフォース・ドットコムが白浜町を選んだ理由として「東京からのアクセスの良さ、Wi-Fiが提供されている、自治体の熱意」が挙げられている。
実際にサテライトオフィスが開設してから、多くの成果が出ているという。例えば生産性のアップや残業時間の削減などだ。白浜オフィスは東京オフィスと比べて、生産性が20%高いという結果が出ているという。生産性アップには通勤時間が関係していると考えられている。
白浜での通勤は10分足らずで東京の通勤時間と比較すると短くストレスもないため、自由な時間が作りやすく、結果として業務に集中できる環境になっているという。生産性アップを達成しているセールスフォース・ドットコムはワーケーションの好例と言えるだろう。

JAL(日本航空)

JALでは2017年から働き方改革の一環としてワーケーションを取り入れている。「長期休暇を取りにくい」などの社員の声を参考にワーケーションを導入し、休暇中であってもあらかじめ決めた日の業務を行うことを認めている。
社員へのワーケーション浸透を図るために体験ツアーを行う、社員が制度を使いやすいように役員が率先してワーケーションを行うなど理解を深める活動をしている。
2020年の秋には岩手県、兵庫県、石川県、愛媛県、宮崎県の各地にJAL社員が訪れてワーケーションを実施する予定で、愛媛県では果樹園での農作業など地域貢献活動も行うという。5~10人程度が複数の日程に分かれて参加し、働き方に効果があるのかを検証する予定だという。

参考:日経クロストレンド

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は2019年からワーケーションを取り入れている。
軽井沢を筆頭に全国6ヵ所にサテライトオフィスを設置しており、10人程度の行員が利用できるという。オフィスには備え付けのPCがあり、旅行の際に1日だけ業務を行う場合に活用するなどを想定している。現在までに50人以上がワーケーションを活用し、好評を得ているという。

まとめ

コロナウイルスの流行を契機に、日本でもテレワークをはじめとした多様な働き方が注目され始めている。トレンドリサーチが実施したアンケートによれば、今後ワーケーションが普及していくと思うと回答した人は約4割に上るが、従来とは全く異なる働き方という点で、否定的な意見も少なくない。しかしアメリカで始まったワーケーションの目的は、長期休暇を取得しやすくし、社員の生産性を向上させるなど、企業にとってもメリットが多い。
とはいえ、ワーケーションをすぐに導入するのはハードルが高い。まずはテレワークの導入を行い、リモート環境やルールの整備などを進めていくことで、多様な働き方の理解を深めていくとよいだろう。
課題はあるものの、企業側の制度やルールの整備と、社員側の理解が整えば、ワーケーションはニューノーマルの働き方の一つの選択肢になり得るのだから。

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