SNSボタン
記事分割(js記載用)

成長記録や行政への手続きをスマホから。子育て支援のDXをサポートする、デジタルこども手帳「てくてく」

成長記録や行政への手続きをスマホから。子育て支援のDXをサポートする、デジタルこども手帳「てくてく」

スマホで子どもの成長を記録できたり、母子手帳の機能が使えたりすると、いつでもさっと確認できて便利ですよね。元気に育っているか記録を付けるだけでなく、子育て中の悩みにも応えていきたい、そんな思いからヘルスケアテクノロジーズがソフトバンクの協力の下で2022年5月から提供を開始したデジタルこども手帳「てくてく」。子育て世代の悩みをデジタルでどう解決していくのか、サービスを開発した担当者に話を聞きました。

目次

お話を聞いた人

藤枝 将史(ふじえだ・まさし)さん

ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
藤枝 将史(ふじえだ・まさし)さん
ヘルスケアアプリ「HELPO」や「てくてく」全体の企画を担当

松尾 祐吾(まつお・ゆうご)さん

ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
ヘルスケアコンサルティング部 メディカルコンサルタント課
松尾 祐吾(まつお・ゆうご)さん
ヘルスケアアプリ「HELPO」の健康医療相談・コラムなどの監修を担当

永井 正和(ながい・まさかず)

ソフトバンク株式会社
コーポレート統括 CSR本部 CSR企画統括部 CSR企画部 多様性推進課
永井 正和(ながい・まさかず)
「てくてく」サービスの企画・推進を担当

佐藤 里美(さとう・さとみ)

ソフトバンク株式会社
コーポレート統括 CSR本部 CSR企画統括部 CSR企画部 多様性推進課
佐藤 里美(さとう・さとみ)
発達アセスメントを担当
子どもの困りごとをICTで解消する「魔法のプロジェクト」ディレクター

子育て世代の保護者の悩みをデジタルで解決

はじめに、「てくてく」を提供しようと思ったきっかけを教えてください。

藤枝さん

「HELPO」の健康医療相談サービスを提供する中で、小さなお子さんがいる親御さんからのご相談が多く、そうした子育て世帯の困りごとを解消していくために母子手帳をはじめとした子育て支援までサービス領域を広げたいと考えるようになりました。

その頃ちょうど、ソフトバンクのCSR部門より「電子母子手帳を活用した成長課題の早期発見」を通じた社会貢献を一緒にできないか? という相談を受けたこともあり、一緒に開発に着手することになったのがきっかけです。

  • ヘルスケアテクノロジーズが提供する、健康医療相談や病院検索、一般用医薬品の購入、オンライン診療の受診などが可能なヘルスケアアプリ。詳しくはこちらをご覧ください。

「てくてく」の基本機能

「てくてく」にはどんな機能があるのでしょうか? 従来の紙の母子手帳との違いについても教えてください。

藤枝さん

主に次のような機能を提供しています。

①母子手帳の基本機能はそのままに(省令様式に準拠)
②成長記録の基本データを入力すると自動でビジュアル化され、よりわかりやすく
③妊娠中〜子育て中の保護者が参考にできる医療の専門家が監修したコラムを提供

「てくてく」の基本機能

紙とのわかりやすい違いは、「てくてく」では長期間記録を残すことができる点です。デジタルデータなので、スマートフォンがあればいつでも記録が確認できます。紙の手帳だと、紛失する、確認をしたいときに手元にないこともありますよね。

他にも、お住まいの地域の情報が集約され、児童手当等の行政手続きのオンライン申請などができる「Yahoo!くらし」への動線や、なかなか見つけにくい自治体ごとの子育て関連のページへ直接アクセスできる機能を提供しています。今後も順次、利用者や自治体が求める機能を追加していく予定です。

「てくてく」がタイミングを逃さずサポートするための「気づき」のツールに

「てくてく」の特徴的な機能は何でしょうか?

藤枝さん

他社にはないユニークな機能で力をいれているのが、成長段階のセルフアセスメント機能「発達アセスメント」(2022年秋提供予定)です。創価大学 教育学部 安部博志准教授が作成された、「運動」「言葉」「社会性」「生活」のカテゴリで子どもの発達状態を確認できるアセスメントを活用します。教授の監修を受けながら、成長の早い乳幼児に合わせて、2~3カ月ごとに発達状態をチェックできるようソフトバンクがアップデートしています。

「てくてく」がタイミングを逃さずサポートするための「気づき」のツールに

佐藤

チェックしていくことで「この時期の子どもはこんなことができるんだ」と親御さんが自然に子どもの成長を意識できるようにしています。母子手帳に記載されている項目より細かく項目を設定し、より短い頻度で確認できるようにしているのがポイントですね。

「特定の月齢において99%の子どもができていることを、自分の子どもはできない」のであれば、何らかの確認やアクションが必要、という気づきにつなげることを目的に、セルフアセスメントを充実させています。発達が気になるお子さんをサポートすべき適切な時期を逃さないようにしてほしいです。

「てくてく」がタイミングを逃さずサポートするための「気づき」のツールに

藤枝さん

子育て中に周囲から発達の早い子どもの話を聞くと「あれ、うちの子はハイハイがまだなのに… 」とできないことに目を向けて、つい焦ってしまいがちです。そんなときに、アセスメントの項目を照らし合わせることで、「うちの子は、適切な時期にこれができるようになっている」と冷静に判断でき、安心材料につながると思います。

自治体経由で保護者に提供されていますね。なぜ自治体を通じてなのでしょうか?

永井

我々ソフトバンクのCSRの部門は、地域の課題の解決にどう貢献するかに注力しているのですが、自治体が発信する情報が、住民の方に十分に届いていないことが課題の一つであると感じています。子どもの発達の問題に対しては、適切な段階で対処することが大切とされていて、早いタイミングで気がついて対処することでその後が変わってくることもあります。

アセスメントで何か気になる点があれば、タイミングを逃さず自治体の適切な相談先へ誘導することを目的に、自治体を通じて提供しています。

「てくてく」がタイミングを逃さずサポートするための「気づき」のツールに

現時点で自治体からは、おおむねよい評価を得ています。今年度中に100程度の自治体に導入いただけるよう、説明会などを実施している最中です。発達のアセスメント機能があることや、「HELPO」と併用できることに関心が高いようです。また、「てくてく」という名前やアプリのデザインには、「両親で使う」「子育てのやわらかさ・あたたかさ」というメッセージを込めました。既存の母子手帳はピンクベースのものが多いのに対し、「てくてく」のベースカラーは、ジェンダーレスや父親の育児参加も意識してオレンジ色を選びました。

24時間365日休みがない育児に寄り添える存在に

「HELPO」でも「てくてく」を利用するような子育て世帯からの相談は多いそうですが、相談時に注意している点はありますか?

松尾さん

自治体で「HELPO」を契約している場合、住民の方は無料でオンライン健康医療相談が利用可能です。

オンラインチャットで相談者とやりとりしますので、親御さんやお子さんの顔が見えない分、特に緊急性の高い症状を見逃さないように常に気をつけています。写真が判断材料になる場合は、撮影して送ってもらうこともありますね。皮膚の状態、外傷の程度、便の状態など写真から症状を想定して、医療機関の受診の必要性や医療機関の案内、市販薬などについてお話します。地域によっては電話での救急相談窓口がありますが、電話をかけるのはハードルが高い、回線が混雑してつながらないなどの理由で、チャットのほうが気軽に相談しやすいという方もいますね。

オンライン健康相談のイメージ

オンライン健康医療相談のイメージ

日常的な育児に関する相談も多く寄せられます。お子さんの年齢や性別、季節や曜日、時間帯、家族の状況など、さまざまな側面を考慮して、回答するようにしています。例えば、同じ症状でも、金曜日午後の相談の場合、土日は休診する病院が多いため金曜日中の受診を勧める、翌日診察できるのであれば少し様子をみるなど、柔軟に対応を変えています。住んでいる地域の休日診療体制なども考慮して案内しています。

24時間365日休みがない育児に寄り添える存在に

実際には、約8割が緊急の受診が不要と思われる相談内容ですが、「24時間365日いつでも相談できる」という点が親御さんの安心材料になっているだけでなく、地域の夜間・休日診療の体制サポートや医療機関の混雑緩和など自治体へもメリットにもなっているのではないでしょうか。

今後、追加していきたい機能などはありますか?

永井

子育て世代の多くがLINEを利用していること、LINE公式のアカウントを持っている自治体も非常に多いことなどから、LINEと連携した通知などサービス面での連携も検討したいと考えています。日常的に使っているLINEであれば、使い始めるのも簡単ですし継続して使ってもらいやすいと思います。

藤枝さん

育児記録や予防接種スケジュール管理などの機能を追加し、それらが両親の間で共有でき、記録されたデータにもとづき必要なサポートを自治体や私たちが自然に行えるようにしていきたいと思います。
行政として検討している母子手帳のデジタル化やマイナンバーとの連携などもしっかりとキャッチアップしていき、「てくてく」によって子育てがより安心で便利なり、行政や医療とも連携していける、そんな世界を目指しています。

最後に、気になっていた「てくてく」という名前の由来を聞いてみました。

さまざまな家庭・多様なお子さんの子育てにしっかり寄り添い、共にあゆんでいきたいという思いから、一緒に一歩ずつ歩く姿をイメージした “てくてく" という名称になったそうです。

多くの方に活用されるアプリになるといいですね。

(掲載日:2022年7月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部

デジタルこども手帳「てくてく」

デジタルこども手帳「てくてく」

子育てに関する課題の早期発見などのサポートを行うことができるウェブサービス。自治体のLINE公式アカウントと連携することができます。子育てに役立つ情報を入手したり、母子手帳などの機能を利用したりすることができます。

デジタルこども手帳
「てくてく」を詳しくみる