2024年6月21日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の第44回定時株主総会が開催されました。 出席や議決権行使、質問などは株主専用ウェブサイトを通じてオンラインで行われ、併せて希望する株主は東京ガーデンシアターの会場にて決議に参加。代表取締役 会長 兼 社長執行役員の孫正義が議長を務め、報告事項、決議事項議案、事業戦略の説明と質疑応答を行い、2つの議案について決議が行われました。
「株主価値の増大」とはビジネスモデルを「進化」させ、それを「増殖」させること
プレゼンテーションの冒頭、孫は「ちょうど今朝、1年前から考え続けていた “あること” への答えが出た」と切り出しました。「今、非常に頭がスッキリしています。うれしくて仕方がない」と述べ、株主価値と中長期のビジョンについて説明を始めました。
「これまでのソフトバンクグループを振り返ってみても『進化と増殖』、これに尽きる」と言う孫は、「株主価値の増大」について説明。ビジネスモデルを「進化」させ、それを営業力で売って「増殖」させることこそが株主価値を最大化させる方法だと述べました。「株主価値(NAV)」は「保有している株の価値から純負債を引いたもの」とし、投資家的な目線で事業部門の価値を日々追っていくべきだと強調。孫自身も、生成AIで自動計算されたSBGの株主価値のデータに毎日目を通していると言います。
続いて、44年前にソフトウエアの流通事業からスタートしたSBGの「進化と増殖」の歩みを振り返りました。ブロードバンド、モバイルインターネットの時代をけん引するにあたり、さまざまな企業を傘下に迎えながら成長してきたとし、「これからはAIの時代。ビジョンファンドで種まきを始め、その過程では大失敗もあった」と1年前の株主価値に言及しました。
「そこから1年経ち、今日はどうなったでしょうか?」と会場に問いかけた孫は、この1年間で株主価値が14兆円から34兆円に増加したことを報告しました。
その大きな要因は、2016年に3.3兆円で買収し、現在24兆円の価値に達したアームであることを説明。買収後、アームがさまざまな取り組みを続けてきた結果、AI関連事業の基盤を築くことができたと述べました。アームのチップは、携帯端末や自動車、ロボットなどさまざまな分野で利用されており、出荷数は世界最大です。アームの強みは設計力と電力効率にあり、「今後もAIに関連するあらゆるシーンで重要な役割を果たすと確信している」と期待を込めました。
ソフトバンクグループの使命はASI実現による人類の進化
次に孫は、人類の20万年の進化をたどり、「人類だけが道具を発明して身体の機能を延長させ、進化を遂げてきた」と、「進化」のワードを再び挙げました。そして、「ソフトバンクグループの使命がはっきりと見えた。それは人類の進化」とし、昨年に自身の役割を再確認して以降、この使命を果たすために考え続けてきたと語りました。「人類の進化」の手段として「ASI(人工超知能)の実現」を掲げ、「それが本当にできるのか1年間問い続け、今朝難解な方程式が解けた」と、冒頭の発言の理由を明かしました。
「ASI」とは何か。人類の叡智を10倍上回ると言われる「AGI(汎用人工知能)」に対し、ASIは「人類の叡智を1万倍上回るもの」と孫は説明。AGIが天才的な頭脳を持つ人間だとすると、ASIはAGIが脳の神経細胞のようにつながることで、AGIの1万倍の賢さを持つものと説明し、「本気でASIの実現を目指す」と明言。これからの10年間で、人類が人工知能に追い抜かれる転換期が訪れ、全ての常識が変わると予測しました。
「ソフトバンクグループはASIを実現するために存在している」と改めて語る孫は、グループの総力をあげてその実現のためにまい進しているとし、一例を紹介しました。スマートロボットとASIがつながる未来を見越し、グループにあるロボットカンパニーや自動運転技術の進化についても言及。従来の自動運転のように事前に詳細な地図を必要とせず、生成AIが自動で学習することで初めての場所でもスムーズに運転できる「自動運転2.0」を挙げました。
孫は、ソフトバンク創業以来の経営理念は「情報革命で人々を幸せに」であり、そのために新しいテクノロジーを取り入れて進化し続けてきたと述べました。「ASIが実現し、人間の叡智を1万倍も超えるようなものができれば、がんや脳梗塞、交通事故、災害、パンデミックなどの絶望から人類を救えるかもしれない」と、ソフトバンクグループが目指す未来への強い意志を込めました。
質疑応答を経て、「剰余金の処分の件」「取締役9名選任の件」の2議案の採決が行われ、両議案が原案通り承認可決されました。
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(掲載日:2024年6月20日、更新日:2024年6月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部