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看護師同乗の車両と病院の医師を遠隔でつなぐ。大分県杵築市で医療MaaSの取り組みが始動

医療×MaaSで新たな選択肢を。大分県杵築市で診療看護師を起用したマルチタスク車両が登場

2月18日、大分県杵築市(きつきし)で杵築市立山香病院を中心とした医療×MaaS(Mobility as a Service)の取り組み開始を記念したセレモニーが開催されました。当日はMONET Technologies株式会社(以下「MONET」)が提供したマルチタスク車両のお披露目とオンライン診療のデモンストレーションが行われました。

医療×MaaSで地域の医療も身近に。医療スタッフが車両に乗車して遠隔で診察

緑豊かな山間地域と別府湾・伊予灘を望む海岸地域をあわせ持つ杵築市。東京23区よりも広大な面積を誇る市内は、医療機関の分布が大きく偏っているという課題があります。特に山間部では、医療機関が全くない無医地区が存在しているなど医師の数が不足しています。また、公共交通機関が十分に整備されていないため、通院が困難であり、患者に付き添う家族の負担も増大しています。このような現状を解決するために、MONETのマルチタスク車両を活用したオンライン診療が2025年3月上旬に開始されることになりました。

さまざまな検査や測定機能を搭載したマルチタスク車両に加え、診療の予約状況とそれに応じた最適な運行ルートを確認できる運行管理システム、車両の稼働状況などを確認できる管理者向けのシステムが備わっています。

医療×MaaSで地域の医療も身近に。医療スタッフが車両に乗車して遠隔で診察

マルチタスク車両には、電子血圧計や遠隔聴診器、ポータブルのエコー(超音波診断装置)などの医療機器を搭載。看護師や技師が乗車して山香地区の公民館などを訪問し、大分大学医学部附属病院から派遣された杵築市山香病院の医師が遠隔で診療を実施。医師は病院で外来診療を行いながら、遠隔で患者さんの診療を行えるため、診療の効率化や持続可能な医療体制の構築を図ることができます。
通信環境が整っていない地域では、ソフトバンクが提供する衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」を活用してオンライン診療が行われます。

地元で愛されるゆるキャラ「きつみん」が採用。親しみやすいデザインの鮮やかな車両がお披露目

2月18日に杵築市立山香病院で行われたセレモニーでは、杵築市のゆるキャラ「きつみん」がラッピングされた鮮やかなマルチタスク車両がお披露目されました。

地元で愛されるゆるキャラ「きつみん」が採用。親しみやすいデザインの鮮やかな車両がお披露目

車両のコンセプトについて、杵築市立山香病院 都甲秀幸 事務次長から「黄色とオレンジ色を基調とした明るい印象の配色となっています。黄色は人々の気分を明るくして創造性を引き出す効果があるのと、視認性が高いため安全性の向上にも寄与しています。オレンジ色は創造性や安心感を表現しています。人々のつながりを大切にする温かみのある色彩で、活発なエネルギーが感じられます。この2色をベースカラーとして、さらに市のマスコットキャラクター『きつみん』を車体に配置。市民の皆さまに親しみやすく、愛されるデザインを目指しました」と説明されました。

地元で愛されるゆるキャラ「きつみん」が採用。親しみやすいデザインの鮮やかな車両がお披露目

また、MONET Technologies株式会社 執行役員 弓掛正史氏は、「MONETはモビリティサービスを通じてさまざまな社会課題の解決を目指す中で、『医療』は大きな課題の一つだと考えています。現在、日本の21個の自治体にサービスを提供しており、今後さらに拡大していく予定です。高齢化が進む中で、医療サービスを受けづらい方々が増えてきているため、医療MaaSを通じて少しでも多くのサービスを提供したいと考えています」と、今後への意気込みを語りました。

車両の内部には、ウィーメックス株式会社が提供する医療機器をはじめ、患者一人がゆったり寝て診療できるベッドや数台のモニターを搭載。医療機器は企業版ふるさと納税を活用して提供されています。
今回、看護師や技師が超音波画像診断装置を使って患者を診療し、遠隔でその様子と超音波画像をリアルタイムで見ることができる様子をデモンストレーションしました。

医療MaaS 車内

車両内で医療スタッフが診察する様子

車両内で看護師が診察する様子

遠隔で医師が診察している画面

遠隔で医師が診察している画面

車両内で看護師が診療する様子(左)と遠隔で医師が診療している画面(右)

取り組み開始の門出をお祝いしてテープカットも実施。永松悟市長は、「本日、医療MaaS事業によるオンライン診療車のお披露目式を盛大に開催できましたことを、心より感謝申し上げます。私自身も昨年の夏、オンライン診療を体験しました。車内で鮮明な画像を見ながら検査と診療をしてもらい、病院での診療と同様の安心感と納得感を得られました。自身で通院することが難しい方への一つの手段として、このオンライン診療車を存分に活用し、市民の健康維持増進に努めてまいります。今後、より高度なオンライン診療を目指すことはもちろん、災害医療や高齢者施設への診療、各公民館での健康チェックや健康相談など車両の拡張的な活用方法も積極的に取り入れていく」と意気込みを示しました。

地元で愛されるゆるキャラ「きつみん」が採用。親しみやすいデザインの鮮やかな車両がお披露目

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(掲載日:2025年3月7日)
文:ソフトバンクニュース編集部