ソフトバンクのインサイドセールスが語る
デジタルセールスの最先端

2022年04月20日掲載

ソフトバンクのインサイドセールスが語る デジタルセールスの最先端

メールや電話を用いてお客さまとのコミュニケーションを図るインサイドセールス。移動時間の削減や営業範囲の拡大など、BtoBにおける効率的な営業手法として注目されています。一方で、「インサイドセールスのチームを立ち上げたものの期待していた効果が得られなかった」「フィールドセールスとの分業化でかえって混乱が生じてしまった」という声も聞かれます。

本記事ではソフトバンクのインサイドセールスがいかにして効果を発揮しているか、デジタルセールスをテーマにした担当者へのインタビューをお届けします。

目次

片岡 兼一

ソフトバンク株式会社
法人事業統括
カスタマーサクセス本部
エンタープライズ第三統括部
インサイドセールス部 1課 課長

藤本 奈己

ソフトバンク株式会社
法人事業統括
カスタマーサクセス本部
エンタープライズ第三統括部
インサイドセールス部 2課 課長

対面営業からインサイドセールスへ

ーソフトバンクがインサイドセールスをはじめた背景を教えてください。

藤本:過去の経緯からお話しすると、かつてのソフトバンクは強力なフィールドセールスに支えられてBtoBのビジネスを伸ばしていました。しかしフィールドセールスでは対応しきれない弱点もあり、特に日本企業の約9割にあたる中堅・中小規模のお客さまへのリーチ数が非常に少ない状態で、多くのビジネス機会を損失していました。また当社は800以上の商材を取り扱っているため、ひとりのフィールドセールスが全ての商材を然るべきお客さまに提案することは不可能な域に達していました。

 従来の対面営業では限界があることから、デジタルを活用したセールスの本格稼働に舵を切り、2018年にマーケティングとインサイドセールスを統合した新しい本部が設立されました。メール・Webコンテンツ・ウェビナーなどのデジタルマーケティングを駆使した案件創出と、電話やメールを用いて非対面で完結させるインサイドセールスの相互連携によって、対面営業ではリーチできないお客さまの獲得を目指しています。

ーインサイドセールス発足当時から順調に成果は現れたのでしょうか。

藤本:インサイドセールス開始当時の業務内容は、解約や機種変更などの手続きに関する問合せ対応が中心で、お客さまからのご要望に対応するカスタマーセンター的な意識が浸透していました。「モバイル以外のご案内はできません」といった回答も多く、処理件数を重視するあまりクレームが発生したこともあります。

 こうした受け身の姿勢から営業マインドに意識変革するために、フィールドセールスと同等の評価基準やセールスコンテストを取り入れました。また、顔の見えないお客さまへ効果的にアプローチするために、トークスクリプトのひな形を作成し、セールススキルの平準化を図っています。ほかにも、成功事例や「こんなご案内をしたらこのような反応があった」というお客さまの声を共有する仕組みを導入して、チームで案件を獲得する取り組みを進めています。

 組織体制に関しては、お客さま対応を行う営業部門と事務処理を行う支援部門に分けて、営業が新規案件の獲得に集中できる環境を整備しました。さらに組織内には多くのシニア営業を配置して、長年培ってきた営業の経験とノウハウをインサイドセールスに活かしています。

 こうした試行錯誤の結果、営業一人当たりのモバイル新規獲得実績は1年間で約2倍に向上しました。

インサイドセールスとマーケティングの連携

ーインサイドセールスではどのように提案を進めているのでしょうか。

片岡:例えばお客さまが当社のWebサイトから資料をダウンロードしたことが分かった時点で、インサイドセールスからコンタクトをとり、「こうしたことを実現したい」「こうした製品を検討している」という情報をヒアリングします。その後は関係部署と連携しながらお客さまのご要望に応える提案を検討し、一つ一つクリアにしていくという流れです。

 大手企業のお客さまであれば、商材の具体的な説明やお客さまの検討状況の確認はインサイドセールスがメインで動き、案件確度が高まった段階でインサイドセールスからのトスアップを受けたフィールドセールスが見積り提案を行います。中堅・中小規模のお客さまに対しては、顧客育成からクロージングまでを一貫してインサイドセールスが対応しています。

 こうした受注までの一連の流れはインサイドセールスとマーケティング、そしてフィールドセールスが連携することで実現しています。

ーマーケティングとインサイドセールスの連携について詳しく教えてください。

片岡:以前から当社では接点のあるお客さまに向けてメールマーケティングは実施していましたが、見込み顧客の育成に使うMAツールは単独で利用しており、営業活動データを管理するSFAとの連携は行っていませんでした。そのため、メールの開封などのリアクションや、お客さまとのコミュニケーションで得られたフィードバックを紐づける仕組みがなく、部門全体としての顧客理解は進まない状態でした。

 その改善に向けて、Treasure Data というCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を使って、お客さまの声や行動履歴などの顧客データを一元的に管理する仕組みを作りました。

 これによって、お客さまの課題や要望に対して解決策を仮説立てられるようになり、「こちらもいかがですか?」といったアップセル・クロスセルを実施できるようになりました。また、「このウェビナーはお客さまの役に立っていた」とか「このメールのホワイトペーパーは少し物足りなかった」といったフィードバックを集積できるようになり、その後のコンテンツ制作やメールマーケティングに活用しています。

ソフトバンクのインサイドセールスを支えるデジタルツール

ーインサイドセールスにおいてどのようなデジタルツールを活用しているのでしょうか。

Web商談ツール

藤本:お客さまとのコミュニケーションにおいては電話やメールが中心でしたが、資料を共有しながらの提案であればオンライン商談ツールのZoom を利用しています。多くの会社が利用しているツールのため事前の操作説明が必要なく、電話と同じような手軽さでお客さまとコミュニケーションを取ることができます。対面でのコミュニケーションと同じように、お客さまの表情や反応を見ながら話ができるので、より深くヒアリングして、多くの提案ができるのもよいですね。

SEツール

藤本:インサイドセールスの業務効率化を図るため、 SEツール(セールスイネーブルメントツール)を利用しています。これはメール送信、タスク管理、メール開封数の可視化など、お客さまとのコミュニケーションをサポートするツールです。例えば、ウェビナー後のフォローメールを120名の参加者に送るとすると4時間近く掛かっていた配信作業が、SEツールを使うと数クリックで一括自動送信が可能になり、約30分で完了できるようになりました。SEツールの導入によって削減された時間は、ほかの業務や社内調整、自己学習にあてています。

ほかにも、これまでは「メールよりも架電が第一優先」とされていたアプローチ方法の考え方が、SEツールの導入によって大きく変わりました。メールをファーストタッチとすることで、アプローチ範囲の拡大や、確度の高いお客さまとコンタクトを取れるようになり、案件発掘件数の増加や質の向上にも繋がっています。

顧客データ基盤

片岡:顧客データ管理は、先ほどお話しした通りTreasure Data というCDPを使って、Webマーケティングツール、MAツール、SFAのデータを統合・蓄積しています。これによってWebの行動履歴からお客さまの関心が高いコンテンツを予測することが可能となり、ある施策ではメールのクリック率が3倍に伸びました。また、これらの情報をもとにインサイドセールスからフォローできるため、効果的なタイミングでお客さまにアプローチできるようになりました。

案件獲得のタイミングを逃さないようにスピーディな対応を求められるインサイドセールスとしては、データが統合されて1つの画面で情報を確認できるようになったので、とても助かっています。

ーさまざまなデジタルツールを活用して、インサイドセールスの高度化を図っているのですね。
ありがとうございました。

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