【2023年3月】Google Cloud(GCP) BigQueryの料金体系変更を解説

2023年3月30日掲載

BigQueryの料金体系変更

2023年3月30日、Google Cloud (GCP) のBigQueryで価格体系の変更が発表されたので、その概要について解説します。

また、この価格体系の影響を抑えるための方法についても紹介します。

目次

今回変更があった価格体系について

今回価格体系の変更があった部分は2つあります。1つはStorageに関する価格体系の変更で、2つ目はComputeに関する価格体系の変更になります。

1つ目のStorageに関する価格体系の変更

  • Preview段階であったPhysical Storageによる課金が一般提供開始になりました。
  • 名称が Compressed Storage に変更になりました。

2つ目のComputeに関する価格体系の変更

  • Flat Rate 料金モデルがなくなり、BigQuery Editions(以下BQ Editionsと呼ぶ)という料金モデルに自動的に切替になります。
  • オンデマンドでの利用については引き続き継続利用可能ですが、+25%の価格変更が入ります。継続利用するか、BQ Editionsにプラン変更するかを選択が可能です。

こちらの2つの新しい料金体系について紹介します。

Compressed Storage (旧称 Physical Storage ) について

新しい料金プランを説明する前に、従来の料金プランを解説します。

従来の料金プランではlogical storageという「非圧縮」状態のデータ量に応じて費用が発生しておりました。それに対して、今回の新料金プランでは Compressed Storage という「圧縮済」状態のデータ量に応じて費用が発生します。また、新料金プランでは、タイムトラベル用のストレージとフェイルセーフ用のストレージに対しても課金が発生します。

新料金プランの物理単価は従来の料金プランの2.4倍程度にはなるものの、データの圧縮率が4倍から12倍と想定されるため、ストレージの料金は1/2(0.5倍)から1/6(0.17倍)に抑えられます。

こちらの新料金プランへの変更については、パフォーマンスの影響もないため、ほとんどのユーザの方へ推奨です。

注意点として、組織内で1つでも従来の Flat Rate が残っている場合には Compressed Storage はご利用いただくことはできません。もし Compressed Storage を利用する場合は、Flat Rate を任意で BQ Editions に移行いただくか、Flat Rate の契約終了後、自動的にBQ Editionsに移行されますのでそのタイミングでご利用いただけます。

新しい料金への切り替え方法については、以下のコマンドを実施していただく必要がございます。(BQの動作への影響は及ぼしません)
※このコマンドは Preview で使用されているもので、今後変更になる可能性があります。

bq update -d --storage_billing_model=PHYSICAL <プロジェクトID>:<データセット名>

BigQuery Editions の料金体系

BigQuery Editions(BQ Editions) は、3つの料金Edition(プラン)からなる従量課金型のサブスクリプションモデルになります。3つの料金プランには「Standard」「Enterprise」「Enterprise Plus」があり、上のプランになるにつれて使える機能が増えていきます。

以下はプランごとの使える機能と料金についての一覧(図1)です。

図1.BigQuery Editions料金プラン 図1.BigQuery Editions料金プラン

3つのプランがあるのでワークロードやニーズにあわせてプランを選択できるようになりました。

料金の考え方については、1slot あたり1時間利用した時の金額になります。

例えば、「Standard」プラン(US)で、100slot を1ヵ月間利用したとすると100×24×31×0.04=$2976となります。従来のFlat Rate 料金モデルの月定額契約の100slotの1ヵ月の費用は$2000なので、従来と同じ利用方法をすると大きく値上がりしてしまうことがわかります。しかし、BQ Editionsにて利用できる「BigQuery Autoscaler」機能をうまく利用することでこの費用を抑えることができるかもしれません。

影響を抑える方法( BigQuery Autoscaler の紹介)

BQ Editionsの費用を抑えるためのコア機能とも呼べる「BigQuery Autoscaler」を紹介します。この機能の特徴はワークロードにあわせて使った分だけ課金されるという仕組みです。従来のFlat Rate では事前に定量のslotを購入していたため、ワークロードが動いていなくても余計なスロットが確保されている状態(図2)でした。

 図2.BigQuery Autoscaler比較_BigQueryの料金体系変更 図2.BigQuery Autoscaler比較

「BigQuery Autoscaler」では、使った分だけの課金でありながら、Baselineと最大スロットを設定することによって利用料金を予測可能な範囲に抑えることもできます。(図3)
Baselineは最低限確保するアイドルスロットの値を設定します。Baselineを0に設定することも可能ですが、その場合、使いはじめのwarmupに数秒かかります。

図3.Baselineとスロットの最大値を指定した例_BigQueryの料金体系変更 図3.Baselineとスロットの最大値を指定した例

価格体系の変更による影響例

ここまで2つの価格体系の変更について紹介しましたが、どれほどの影響が発生するかを数値化してみます。

なお、こちらの数値はあくまでもイメージするための数値です。実際の金額とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

ComputeについてはFlat Rate 料金モデルではなく一般的に利用されているオンデマンドからの移行を想定しています。

シミュレーションの条件

  • データの圧縮率4倍
  • タイムトラベル用ストレージとフェイルセーフ用ストレージは0
  • Autoscaling は Baseline 0 
  • ComputeはオンデマンドからBQ EditionsのEnterprise Editionへの移行

このシミュレーション例で行くと以下のような料金推移になります。

シミュレーション例

    最適化する前の料金移行ではCompute が+25%されています。
    最適化した場合、まずストレージの料金は圧縮率4倍で単価が約2倍なので1/2の料金になります。Autoscalingについては、スロットの利用量にもよりますが、今回の算出した値では0.52倍ほどの金額になりました。
    ※金額についてはわかりやすくするためにおおまかな値に変更しております。

    BigQueryの料金体系変更_シミュレーション

    まとめ

    Big QueryのStorageとComputeについての料金体系の変更について紹介しました。

    Storageについては、ほとんどの場合で料金を抑えることができるため料金プランの変更を推奨します。

    Computeについては、性能やスロットの利用量の監視が必要になり、性能の問題によっては引き続きオンデマンドを使い続けることも選択肢として検討しなければなりません。Computeの価格については2023年7月5日以降から切り替わりますので、BQ Editions への料金プランへ切り替えるかの検討をお勧めします。

    また、現在Flat Rate 料金モデルをお使いのユーザーの方はBQ Editions へと自動的に移行されます。システム上のBQ Editionsへの移行は4月1日に、課金の変更は7月5日以降での変更になります。自動的に移行される際は全てEnterprise Editionに移行されますので、StandardやEnterprise Plusなど、別のEditionを利用したい場合は手動での対応が必要です。ご注意ください。

     

    以上最後までお読みいただきありがとうございました。

    参考リンク

    New BigQuery editions: flexibility and predictability for your data cloud(公式アナウンス)

    Introduction to BigQuery editions (公式アナウンス)

    Cloud Storage の料金改定のお知らせ (公式アナウンス)

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