HRテックとは?導入する目的と期待できる効果

HRテックとは?導入する目的と期待できる効果

(2020年8月13日 掲載)

HRテックは、テクノロジーの活用によって人事業務を効率化するためのソリューション群を指す言葉です。日本でも注目を集めており、HRテックの市場規模は拡大傾向にあります。では、HRテックの導入でどのような効果が期待できるのでしょうか。今回はHRテックの概要を紹介した上で、その目的や効果について見ていきましょう。

目次

HRテックとは?

HRテックとは、人事を意味する「Human Resources(ヒューマン・リソース)」とテクノロジーを組み合わせた造語で、AI(人工知能)、クラウド、ビッグデータといった最先端のデジタル技術を用いて、採用、人材育成、評価といった人事に関わる業務を効率化するための技術を指します。

HRテックのほかにも、金融を意味する「Finance(ファイナンス)」をテクノロジーと組み合わせたFinTech(フィンテック)、教育を意味する「Education(エデュケーション)」をテクノロジーと組み合わせたEdTech(エドテック)などがあり、いずれも近年、増加しています。

HRテックが注目を浴びる社会的背景

HRテックが注目され、急速に普及している背景には、少子高齢化による人手不足という社会的な問題があります。売り手市場になっている採用市場において、ほとんどの日本企業が人材の確保に苦戦しています。かつての日本社会に根づいていた終身雇用制度が崩壊し、労働力が流動化する中で、企業には、優秀な人材を定着させるための取り組みも求められています。

そこで注目されているのがHRテックです。最先端のテクノロジーの力を借りて人事業務を効率化し、質を改善することで、人材を確保しやすくなると考えられているのです。

また、近年、働き方改革にあと押しされる形で、日本人の働き方は多様化しています。そのために人事業務が煩雑化していることも、HRテックの必要性を高めています。

さらに、2019年末以降の新型コロナウイルス感染症の流行も、企業の人事業務に少なからず影響を及ぼしました。感染予防のため、オフィスに出勤せずリモートワークで働く人が増加したのは周知の通りですが、対面での採用面接が難しくなったことから、オンラインでの採用活動も活性化しました。ウィズコロナのニューノーマルにおける採用活動を支えているのがHRテックなのです。

HRテック活用の効果

では、HRテックを活用すると、企業はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。次に、HRテックを導入することで期待できる主な効果を紹介します。

採用業務の効率化

人事業務の中でもHRテック導入による効果を最も享受しやすい分野が採用活動でしょう。

人手不足の中、従来の採用活動に多くの企業が限界を感じていますが、特に大企業では、応募者から送られてくるエントリーシートが膨大な数になるため、それら全てに目を通して選別するのに多大な労力が必要とされます。そのため応募者との交流や説明会、面談といったその他の採用業務に十分な労力を割けず、なかなか優秀な人材を確保できないという悪循環が起こりがちです。

また、書類選考の次のステップである面接選考では、多数の応募者とのスケジュールの調整作業に手間がかかる上に、他社とのバッティングや遠方に住んでいるといった事情で面接を受けられない応募者を取り逃がしてしまうという問題もありました。そこで近年、テクノロジーを活用して採用業務を効率化する取り組みが広がりを見せています。

分かりやすい例が、ソフトバンクが実践した「AI採用」です。ソフトバンクでは、採用業務にIBM Watson™️を活用しエントリーシート選考にかかる業務の大幅な効率化に成功しています。また、新卒採用選考において、AIシステムを導入し、動画面接の評価を自動で算出させ、その後、合格基準に達した動画については、次の選考を行い、不合格判定の動画については人事担当者が動画を確認して改めて最終判断をするという正確性を担保しつつ、選考業務の効率化を図っています。その結果、応募者と接する時間が増え、攻めの採用活動を行うことが可能になったのです。また、AIによる評価システムを導入することで、人が判断した場合に生じる評価基準のばらつきを防げるようにもなりました。
参考:新卒採用選考における動画面接の評価にAIシステムを導入(ソフトバンク プレスリリース)

このほかにも、応募者のデータを一元管理できるツール、リモートで録画選考やライブ面接できる機能を備えた動画採用面接ツール、企業の紹介からエントリーシートの受け付けまで、採用に関するやりとりをスマートフォンだけで完結できる採用アプリ、AIがデータを参照しながら応募者と面接を行うサービスなど、多様な採用支援ツールを利用する企業が増えてきています。

最近では、自社社員の友人・知人を紹介・推薦してもらう「リファラル採用」が効率的で、企業の求める人材を確保しやすい採用手法として注目されていますが、このリファラル採用を支援するサービスもあります。

データ活用によるマネジメント力の向上

データを最大限に活用したマネジメントが可能になる点も、HRテックがもたらすメリットのひとつです。

働き方や仕事への価値観が多様化する中、従業員の経歴やスキル、評価、志向などの人事データは膨大になる傾向があります。これらのデータを、Excelなどを用いた従来のシステムで管理しようとすると、業務が煩雑になる上、せっかくのデータを生かしきることができません。

こうした従来のやり方では、データを活用しきれないだけでなく、人材の配置や異動に人事担当者の主観が反映されやすいため、不公平感が出やすく、従業員のモチベーションやエンゲージメント(従業員の企業に対する愛着心・思い入れ)の低下につながる場合もあります。

HRテックを活用すれば、クラウド上で情報を一元管理することや膨大なデータをAIに分析させて評価することが可能になるため、データをもとに、従業員の経歴やスキル、志向を十分に考慮した公平な人事異動、人材配置を行うことができます。各従業員が適切な部署で能力を発揮できるようになれば、生産性も向上するでしょう。モチベーションやエンゲージメントもアップするため、離職率の低下にもつながるはずです。

人材育成の強化

人材育成に活用されているHRテックといえば、インターネット上でeラーニング(オンライン講座)を配信し、学習の進捗状況や成績・受講履歴、教材などを一括管理する機能を備えた「LMS(学習管理システム)」がポピュラーです。

従来、企業の人材育成の場では、オンサイトの研修やeラーニングをただ受講させるだけで、人事担当者が従業員の学習の進捗度や理解度を把握して管理することまではできませんでした。LMSのようなサービスを導入すれば、データをもとに、各従業員の成績や学習の進捗度に応じた教材や講座を提供することが可能になるため、より効率的で効果の高い人材育成ができるようになります。

HRテックを可能にしたもの

もちろん、HRテックの普及には、近年のデジタル技術の発展も大きく影響しています。

まず、過去のデータから学習し、自ら推論する「AI(人工知能)」が実用可能なレベルにまで進化したこと、ビッグデータを高速で、しかも容易に分析・活用できるようになったことが、HRテックを可能にした大きな要因と言えるでしょう。また、スマートフォンやタブレット端末といった性能の高いデバイスが誰にでも手に入るようになったことで、それに合わせて幅広い対象を想定した使いやすいサービスやアプリが次々と開発されたという面もあります。

さらに、ソフトウェアがより利用しやすい形に変化してきたことも要因のひとつです。従来は人事支援ツールといえば、自社に設置したサーバ内で人事データを管理する「オンプレミス型」のソフトウェアが主流でした。ただ、オンプレミス型のソフトウェアの導入やバージョンアップにかかるコスト負担は大きく、利用者の多くは大企業に限られていました。

近年では、自社サーバを持たなくてもネットワーク経由でソフトウェアを利用できる「クラウド型(SaaS)」のサービスが登場し、急速に普及しています。例えば、ソフトバンクが提供している対話型AI面接サービス「SHaiN(シャイン)」もそのひとつです。応募者がいつどこにいてもオンラインでAIと面接できるサービスで、月額基本使用料金(5万円)+自社の採用活動の規模に合わせて選べるパックプラン料金(10万円〜)で利用することができます。

このように、クラウド型サービスの普及によってコスト面のハードルが低くなったことで、中小企業にもHRテック活用の間口が広がり、導入が進んできています。

HRテック導入で、採用業務を変革しよう

ミック経済研究所の調査によると、HRテックの市場規模は2018年度に256.4億円、2019年には349.0億円に伸び、さらに2024年度には1,700億円規模に成長すると予想されています。(出典:日経電子版

大企業、中小企業にかかわらず、導入する企業はますます増えていくと考えられます。ユニークで便利なツール・サービスも、今後登場してくるでしょう。自社の人事業務を効率化し、効果的に人材を確保・育成するためにも、常にHRテックの進化に注目しておく必要があります。

ソフトバンクでは、AIによるエントリーシート評価判定やリモート動画面接などの最新のHRテックを自ら導入し、採用業務をはじめとする人事業務を変革してきました。あわせて、多彩なHRテック関連のサービスを他社に提供しています。

HRテックは、採用活動時はもちろん、入社後の適切な配置、人材の管理・育成、エンゲージメントの向上など、幅広い用途、目的に活用可能です。そのためソフトバンクのような実績と専門知識のある企業に導入段階から相談し、効果的なHRテックの活用方法についても考えてみるのもひとつの方法です。

ソフトバンクの働き方改革の取り組みを特集した「Smart & Fun!」のHRテック編では、ソフトバンクで実際に活用したHRテックの事例やHRテック関連のサービスを紹介しています。HRテック関連の問い合わせや「どのサービスを選べばいいかわからない」といった相談も、このページから受け付けています。ぜひチェックしてみてください。

ソフトバンクが考える「ニューノーマル」をまとめたページはこちら。 ニューノーマルの時代