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日々の暮らしを防災につなげるコツとは? 仙台市防災・減災アドバイザー及川さんにお伺いしました

日々の暮らしを防災につなげるコツとは? 仙台市防災・減災アドバイザー及川さんにお伺いしました

東日本大震災から8年――。防災について今一度考えてみませんか?

東北地方初の女性消防官として東日本大震災を経験し、現在は仙台市の防災・減災アドバイザーとしても活動する及川由佳里さん。ご自身の体験も踏まえ、災害への備えについてお伺いしました。

プロフィール

及川由佳里さん 仙台市防災・減災アドバイザー

及川由佳里さん
仙台市防災・減災アドバイザー

1996年4月に東北初の女性消防官として仙台市消防局に採用され、 消防隊員、救急隊員、119番オペレーターと災害対応の現場での勤務を経験。2016年4月から仙台市危機管理室減災推進課に所属し、自主防災組織等の育成・支援業務などを担当。2017年4月からは第5代目 仙台市地震防災アドバイザー(現 仙台市防災・減災アドバイザー)として活動中。

日々の暮らしを防災につなげるコツとは?

家や家の中の対策は定期的に確認を、専門家の手も借りて

一番無防備になる寝室の家具の配置を見直したり、月日がたつと緩みが出てくる家具の固定器具なども年末の大掃除とあわせて定期的に点検しましょう。そもそも家自体の耐震構造が十分か不安をお持ちのご家庭は、専門家にきちんと見てもらうことも大切ですね。お住まいの市町村などで耐震診断や耐震リフォームの助成金を設けていることもありますから、ぜひ調べてみてください。

及川由佳里さん

避難所は、とても過酷な場所。身体への負担だけではなく、プライバシーも確保できない状況なので、災害の際も自宅が無事であれば避難所へ行かず、自宅で過ごせるように備えることが大事です。

散歩で家の周囲をチェック! ハザードマップも使って確認を!

散歩で家の周囲をチェック! ハザードマップも使って確認を!

家の周囲やお子さんの通学路、避難場所へ向かうルート上の危険箇所を把握しておくことも大事です。崩れそうなブロック塀や古い看板、ガラス張りの建物だと割れるかもしれない。そういう自宅周辺の災害リスクを、普段から散歩がてら家族でチェックしておいた方がいいですね。

各市町村などで出されているハザードマップで、自宅に河川からの浸水や土砂災害・津波のリスクがないか確認しておくことも大事です。地震が起きた際の“揺れやすさ”などが分かるマップもありますよ。

及川由佳里さん

家族でのお散歩の際には、避難先の集合場所も全員で確認してみましょう。その場所へ行けない場合を考えて、いくつか場所を挙げて確認しておくことも必要ですよ。

家族の安否確認は「複数の手段を確保」しておくこと!

家族の安否確認は「複数の手段を確保」しておくこと!

災害では予測し得ないことも起こりますから「どの安否確認方法が有効か」も事前には分かりませんよね。身近な確認方法にはメールやSNSがありますが、その他にも通信各社が連携している「災害伝言版サービス」や「災害用伝言ダイヤル(171)」を活用したり、通信網に影響がない遠方の親戚などを経由して連絡したりする方法もあります。

「災害伝言版サービス」や「災害用伝言ダイヤル(171)」は、毎月1日・15日、正月三が日などに体験サービスが提供されているので、ぜひご家族で利用してみてください。

及川由佳里さん

震災の直後、一番精神的につらく困るのが家族の安否が分からないことでした。ただ、自分だけが連絡手段を知っていても相手は確認できないので、日頃から家族で話し合っておく必要がありますね。

水や食料は「いつも食べているものも含めて1週間分」

水や食料は「いつも食べているものも含めて1週間分」

ライフラインや物流が止まってしまった時のために、水や食料は1週間分備蓄しておくことをおすすめしています。実際に、東日本大震災の時、仙台市内では1週間くらい通常どおりの買い物ができなかったんです。

「1週間分」と言われるとかなり多く感じられますが、乾パンのようないわゆる非常食ばかりをイメージするからではないでしょうか。キッチンには、レトルト食品や乾麺といった普段から食べ慣れている保存食品も結構ありますよね。それが1週間分あればいいんです。いつもどおり食べて「食べたらその分を買い足す」。これが「循環備蓄(ローリングストック)」です。この方法なら、しまい込んだ非常食のように、全部一気に賞味期限が切れてしまうこともありません。

それに災害時の落ち着かない中で、食べ物まで普段と違うものばかりだと、喉を通らないこともよくあります。特に高齢者の方は負担も大きくなります。いざという時だからこそ、普段から食べ慣れているようなものを備蓄しておくと、ストレスなく食べられますよ。

及川由佳里さん

震災の時にとても役立ったのがカセットコンロ。お鍋や焼き肉などで使うためご家庭にあるお宅も多いと思いますが、ガスボンベにも使用期限があるので、備蓄とあわせ、使った分を都度買い足すようにしましょう。

やっていますか? 非常持ち出し袋は季節ごとに中身の点検を!

やっていますか? 非常持ち出し袋は季節ごとに中身の点検を!

いざ避難所へ行かなければならない時のために用意しておきたいのが、非常持ち出し袋。避難所で過ごすために自分に必要なものは、すぐに持ち出せるような準備をしておきましょう。

でも、一度用意した持ち出し袋。そのままにしている方も多いのでは? 夏にカイロは不要ですし、逆に夏に必要なものは冬に不要な場合も。季節によって変わることを念頭に、衣替えと一緒に中身を点検するのがおすすめです。また、持ち出し袋に入れる食料はそのまますぐに食べられるものを準備しましょう。

及川由佳里さん

ただ買って入れておくのでは、どんな非常食が自分の好みに合っているか分からないもの。ピクニックやキャンプなど野外でのレジャーの際に、家族であれこれ食べ比べてみると、いざという時の練習にもなりますし、これも大事な備えのひとつになります。

赤ちゃんのいるご家庭は、マザーズバッグをいつも準備万端に

赤ちゃんのいるご家庭は、マザーズバッグをいつも準備万端に

マザーズバッグの中身には、赤ちゃんと生活するために使えるものがそろっているはずです。普段はお出掛けしたら中身も使ってしまいますが、次のお出掛けのためにも、お家に帰ったらすぐに補充しておく。そうすると、非常持ち出し袋代わりにもなると思います。

実用品だけでなく、赤ちゃんが好きなお菓子やおもちゃを入れておけば、避難所でぐずった時に使えますし、ママやパパも、自分が好きなもの、例えばチョコレートなどひとつ入れておくのもおすすめです。大変な時でも、それがあるだけで少しホッとして、心がやすらぎますから。

及川由佳里さん

小さなお子さんがいるご家庭では、遊びながら子どもを守る訓練をしてみましょう。「ギュ~するよ!」という掛け声で、いざという時にお子さんの頭を挟みこむような姿勢をとれるよう教えてあげてくださいね。

一人でも多くの人が助かるために、伝え続けたい

一人でも多くの人が助かるために、伝え続けたい

消防官として勤務していた東日本大震災当時、及川さんは津波の被災地を管轄する若林消防署に勤務していました。

「『あのつらい経験からもう8年たったんだ、早かったな』と思いますね。今でも思い出すと苦しい気持ちになりますが、だからこそ同じ経験はもう二度と誰にもしてほしくない。そのために、震災の状況や、そこからの教訓をずっと伝えていかなければと思います」と、震災の体験を語ってくれました。

一刻を争う通報、全勢力を注いでも、太刀打ちできなかった

発災時は事務所内にいて、何分間も治まらない揺れを感じながら「あぁ、宮城県沖地震がとうとう来てしまった…」と。日頃から「99%来る」と聞かされていたので、とっさにそう思ってしまったんですね。

実は揺れた直後は、火事や救助などの通報はそれほど入ってきませんでした。「こんなに揺れたのに、みんな宮城県沖地震が来ると思って備えていたんだ」とも思ったのですが、本当に大変だったのはその後でした。消防ヘリから「津波だ! 津波だ! 荒浜の町を飲み込んでいる!」といった激しい口調の無線が入ってきたのです。

津波が防潮林をなぎ倒し、集落に襲い掛かる(写真提供:仙台市)

消防ヘリの乗員はいつも遠い上空から状況を見ているので、とても冷静です。その、火災現場でも慌てないような人たちが、聞いたことのないほどけたたましい声を荒らげている。そこで初めて、私たちもかなりひどい状況なのが分かり、警戒に出ていた隊に退避するよう呼びかけました。ただ、その仲間たちも無事に帰ってこられるか分からない。

消防ヘリによる救援活動(写真提供:仙台市)

消防ヘリによる救援活動(写真提供:仙台市)

そのうちに、どんどん救助を求める通報が入ってきました。それが「屋根の上に取り残されている」、「赤ちゃんを抱っこしたお母さんを早く助けて」、「電信柱にしがみついている人がいる」と、どれも一刻を争うものばかり。もちろん全勢力で救助活動をしたものの、圧倒的に人が足りず、資材のゴムボートもがれきでダメになったりして、全ての「助けて」の声に応えることができなかった。私たちは人を助けるために消防官になったのに、それができなくてすごく苦しかった。

阪神淡路大震災を経験した消防官からも「火災があまりに多くて対応しきれなかった」という話は聞いていたものの、それを自分も実際に経験して、本当に自然の力にはまったく太刀打ちできなかったと実感しました。

感謝、そしてこれからできることを

感謝、そしてこれからできることを

当時は、眠れない、食べられない、過酷な日々でした。夫婦共に消防官であったこともあり、何かあった時のために事前にお願いしていた義理の兄が子どもを迎えに行ってくれましたが、それから1カ月間は子どもとは会うこともできませんでした。そんな中、官民問わず、早い段階で全国から支援に来ていただき、本当に支えていただきました。

神戸市等から応援に駆けつけた消防車の列(手前は山形空港行き高速バスの列)(写真提供:仙台市)

神戸市等から応援に駆けつけた消防車の列(手前は山形空港行き高速バスの列)(写真提供:仙台市)

仙台市では、震災後に「自助・共助・公助」が連携して対策をしていこうという取り組みを進めています。例えば「避難所は行政職員だけで運営するのではなく、地域の方々と学校、行政が連携して運営しよう」と、住民の皆さんが中心となる訓練を毎年各地でやっているんですよ。

田子西復興公営住宅における防災訓練(写真提供:仙台市)

田子西復興公営住宅における防災訓練(写真提供:仙台市)

「自助」つまり自分の命は自分で守ることに加えて、「共助」の大切さも震災を経験して分かったことです。地域コミュニティーがしっかりしていたからこそ、協力し合って難局を乗り越えられた地区も多かった。そして今も、自主防災活動に力を入れて取り組んでいます。そんな私たちの経験から皆さんも、地域の防災訓練などには、積極的に参加してほしいですね。

及川由佳里さん

仙台市内の沿岸から5キロぐらい入ったところに「浪分神社」という神社があります。なぜこんな内陸部でその名前なのか――。実は、昔そこまで津波が来たからだったんです。
先人たちはそうやって津波の教訓を伝えようとしたけれど、それでも現在はそのことを知らない人も多い。震災を経験した今、事前にもっと津波の知識があって、地域で啓発できていれば、もっとたくさんの命が助かったと思い返すことはいまだによくあります。

だからこそ、皆さんの「自分の命は自分で守る」意識を高めるようにしていかなければならない。8年過ぎて震災が風化しつつあり、震災を知らない子どもたちも増えてきています。まじめに「防災」と構えてしまうとなんだか堅苦しいイメージもあるので、もっと気軽に防災について考えるきっかけを作っていきたいですね。それが、これからの私の役目だと思っています。

ソフトバンクでは、万が一の災害に備えた対策を実施するとともに、これからも、私たちだからできる活動を、東北の皆さまと共に取り組んでいきます。

災害対策・復興支援

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(掲載日:2019年3月11日)
文:ソフトバンクニュース編集部