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DXが企業の命運を握る? 産業活動、消費行動が大きく変わる今、「共創」をキーにビジネスへの貢献を目指す

DXが企業の命運を握る? 産業活動、消費行動が大きく変わる今、「共創」をキーにビジネスへの貢献を目指す

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、その推進が企業の成長を大きく左右するとさえ言われ、新型コロナウイルスとの共存を図る中で経済活動が大きな変貌を遂げる今、注目度はますます高まっています。ソフトバンクは日本の社会課題に対峙すべく、早くから、専門組織を立ち上げ、少子高齢化、労働人口の減少によるさまざまな社会課題の解決を目指し、新規事業で解決する取り組みを進めています。デジタルトランスフォーメーション本部長の河西慎太郎に、ソフトバンクが法人や自治体向けに提供するDXを聞きました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念。

ビジネスにおいては、データとデジタル技術を活用して企業が戦略やプロダクト、業務フローなどを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセスなども改革し、競争上の優位性を確立することを言う。

ソフトバンク 法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部長
河西 慎太郎(かさい・しんたろう)

通信業界で長くシステムエンジニア(SE)や営業に従事し、2017年の本部発足当時よりDX事業を牽引。本部ミッションは「日本の社会課題に対峙」「ソフトバンクの次の柱になる事業を創出」。行動指針は、「徹底的に挑戦する」「脳みそがちぎれるほど考える」、そして、一番重視することは「明るく、楽しく仕事をする」。

われわれが力を入れるDXは、ソフトバンクの経営理念そのもの

なぜDXに取り組む必要があるのでしょうか。ソフトバンクが産業界において目指すDXと合わせて教えてください。

日本は、「超高齢化」「労働人口減少」「地方過疎化」「インフラ老朽化」といった、深刻な課題を多く抱えていて、さらに、新型コロナウイルスとの共存を迫られています。DXの実現は、経済の復興と持続可能な社会の創造を可能にすると言えます。

ソフトバンク DX本部は、言い換えるならば「新規事業を開発する組織」。アプローチは、自力で新たな事業を検討する「0→1」ではなく、パートナーと事業を共創する「1→100」です。さまざまなアセットや新しいビジネスモデル、最先端のテクノロジーを用いてパートナーと共創し、社会課題を解決するための事業を立ち上げたり、そのパートナーの事業をより大きく高収益にしていくというのが目指すところです。

DX本部が注力する領域が、右側の「新規事業の創出」

DX本部を率いてもうすぐ3年たちますね。

2017年10月に、約120名でスタートしました。当時、ビジネスのデジタル化を実施している国内企業はまだ2割(※)でした。「DX本部」という文字を目にして「デラックス本部」と呼ぶ人もいて(笑)、DXの認知を高めるためにも、集まったメンバーたちとともに脳みそがちぎれるほど考えて、徹底的に挑戦を繰り返してきました。企業の働き方改革や物流、ヘルスケア領域などで、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。

  • 出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2018」

われわれの考えるDXは、社会のあらゆるプロセス・仕事を、デジタルの力、テクノロジー、アイデアを使ってより効率化し、仕事を進めやすくする、その結果、生産性・収益性を高める、というもの。DXを仕掛けることで、人々の暮らしがより豊かに安全になり幸せになる。まさに、ソフトバンクの経営理念「情報革命で人々を幸せに」そのものなんです。

ありとあらゆる課題に対峙する具体的なビジネスモデルとは

どのような領域に注力していますか? 具体例もいくつか教えてください。

さまざまな可能性があると思っていますが、大きな柱は「小売・流通」「不動産・建設」「サービス・観光」「ヘルスケア」の4つです。

先日、当社のグループ会社であるヘルスケアテクノロジーズ株式会社が、オンライン健康医療相談サービス「HELPO(ヘルポ)」の提供を開始しました。これは、スマートフォンなどを通して、オンライン健康医療相談や病院検索、一般用医薬品などの購入がワンストップでできるヘルスケアサービスで、当初は法人や自治体向けに提供します。ヘルスケア分野においては、少子高齢化や医療費の増加などの課題を抱え、一方で予防医療やセルフケアへの関心が高まっています。そこで、健康に関わるさまざまな相談を、一気通貫で対応できるヘルスケア・プラットフォームの展開を検討してきました。HELPOは、ヘルスケア領域の社会課題の解決を一層推し進めるためのヘルスケア・プラットフォームの中の一つとなります。

「HELPO」画面イメージ

さらなる働き手の減少に備えて、小売りや物流の面においてはサプライチェーンのデジタル化など、DXによって画期的に変化するさまざまな仕組みを検討しています。

具体例の一つ目として、ヤフーとイオン九州が手掛ける、注文から最短30分で商品の受け取りが可能な「PayPayダッシュ」の実証実験にソフトバンクも協力しています。福岡県天神エリア限定で実施しており、これは共働き世帯や高齢者など、実店舗まで日用品を購入しに行くことに不便や苦労を感じる方の課題解決ができるものとなります。

二つ目には、子会社のMagicalMoveが提供する「Scatch!」をご紹介します。こちらは、AIを活用した宅配サービスですが、東京の一部エリアでは生鮮品の宅配に対応し、AIを活用して宅配の最適化を試みているところです。

ITを活用して運送業界の改革を促進するため、軽貨物クラウドソーシング事業を手掛けるCBcloudと資本・業務提携を結び、ドライバー不足や再配達増加などの物流業界の課題解決に向けて、サプライチェーンの全体最適化も狙います。

スマートシティの取り組みにも着手されていますね。

業界横断プロジェクトとして、動いています。竹芝地区(東京都港区)においては、東急不動産などと共同で最先端のテクノロジーを街全体で活用するスマートシティの共創を目指して、多様なデータをさまざまな事業者がリアルタイムで活用できるデータ流通プラットフォーム(都市OS)の実装に向けた取り組みを進めています。

福島県会津若松市には、「会津若松デジタルトランスフォーメーションセンター」を立ち上げました。こちらでは、地方自治体が提供するサービスのデジタライゼーションを目指します。

例えば、今住んでいるところから他の市区町村へ引っ越しをするときのことを考えてみてください。転出届と転入届をそれぞれ出す必要があって、煩雑ですよね。これは、自治体ごとに独自の政策や条例があり、異なるシステムが採用されていて共通化・標準化が実現されていないために起こります。もし1回の手続きで済ませることができれば、負荷は軽減しますよね。そこでIoTを活用、つまり都市のオペレーティングシステム(OS)すなわち「都市OS」からAPI(Application Programming Interface)を介して、多地域での共有を前提とした手法で課題を解決したいと考えているのです。

次世代から見ても価値ある仕組みを考えたい。そして世界中から声が掛かる企業へ

日本が抱える超高齢化による労働人口の減少問題、そして新型コロナウイルスによる産業活動や消費行動の変化により、DXがますます話題になっていますね。

DXで、現在も次世代も良くすることを考えていく

WithコロナでのDXはわれわれが今最も力を入れたいことの一つですね。新型コロナウイルスにより人々の思考や行動は変わり、企業の経済活動も変化しています。これらの環境に順応するため企業自身が変革しようとしている今、DXの力で企業活動の継続を支援したいと思っています。

さらに中長期的な取り組みとして、次の世代の担う人たちに対して、価値ある仕組みを作りたい、世界で戦うための武器をどう作るかも考えているところです。

ソフトバンクが果たすべき役割を踏まえて今後の展望をお聞かせください。

ソフトバンクはSDGsの達成を重要な経営課題としており、持続的な社会づくりに向けて取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。この一つ目が「DXによる社会・産業の構築」です。われわれが目指す新規事業も、サステナブルなものでないといけません。5GやAIなどの最新のテクノロジーを活用し、新しい産業を創出するとともに、世の中のさまざまなビジネスを変革していくためのソリューションを提供し、最先端テクノロジーによる産業基盤拡充と効率化やDXによる新しい産業の創出といった価値を生み出したいと思っています。

しっかりと日本の社会課題に対峙し、ソフトバンクがパートナーと共創する新たな事業が人々から最も必要とされることを理想としています。日本で最も必要とされる企業となり、日本のみならず、世界からわれわれと手を組みたいと思ってもらえる企業になりたいですね。

(掲載日:2020年8月3日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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