ちょっとこだわったお家ごはんや、レストラン、居酒屋、コーヒーショップなどで、料理やドリンク、スイーツの写真をスマホで撮って、SNSに投稿するのって楽しいですよね。「せっかく撮るなら、おいしそうに見える魅力的な写真が撮りたい」そう思う人も多いでしょう。今回は、「光とアングル」をテーマにした基本的な撮影テクニックと、ちょっと工夫するだけで魅力的な写真になる方法を紹介します。テクニックといってもどれも簡単で実践しやすいものばかり。すぐにでも試してみてください。
神崎 洋治(こうざき・ようじ)
TRISEC International,Inc.代表。テクニカルライター兼コンサルタント。報道写真や商業写真を年間4,000枚以上撮影。デジタルカメラやレタッチ関連の書籍も多く執筆、監修しているほか、初心者向けに撮影やレタッチ講座の連載、人を引きつける写真の撮り方の講演実績など多数。
- Twitter:@internetman
撮影に協力してくれたのは「やきとり家すみれ」
日本四名山の一つとして数えられる鳥取県の名峰・大山。その豊かな自然で育った大山どりを専任の焼き師が焼き上げる焼き鳥屋。長年の研究によって産まれたタレ、旬の食材と組み合わせた新メニューなど、焼き鳥屋としての歴史と技術は常に進化を続けています。「PayPay」での支払いも可能。
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撮影は千歳船橋店で実施しました(現在は閉店)。
目次
【基本編】道具不要! 今すぐできる撮影テクニック
① まず選んでおきたい撮影のアングル
料理やドリンクを撮るときに最も基本的なポイントになるのが「アングル」を選ぶことです。アングルは、被写体に対してスマホを構える角度(高さ)のことです。
ハイアングルとローアングルの違い
料理写真の場合、席に座っている目の高さから撮る「アイレベル」(約45度)を基準にして、それより高い位置から撮る「ハイアングル」、低い位置から撮る「ローアングル」があります。
これがハイアングルで撮った写真です。また、被写体から離れ気味に撮ることを「引きで撮る」と呼びます。
アイレベルやハイアングルで撮った写真は全体像や大きさが分かりやすいという利点があります。ただ、素材の魅力やおいしさを伝えるには物足りません。そこでアイレベルより少しローアングルにして撮りました。
素材の魅力を伝えたい場合は、料理に近づいて(寄りで)撮ってみましょう。
サラダのみずみずしさを伝えるには、さらに近づいて撮るといいでしょう。
インスタグラムではやっている真上からのアングル
インスタグラムでは真上から撮る独特のアングルがよく使われています。普段とは違った角度から見る風景が「かわいい」と評価される傾向にあります。
② 見栄えが大きく変わる、3つの構図
「構図」とは被写体などを配置すること。基本テクニックとしては「日の丸構図」「3分割構図」「対角線構図」を覚えておくとよいでしょう。
日の丸構図
日の丸のように被写体を中心に置いた構図のこと。落ち着いて見える反面、面白みに欠けるといわれています。
3分割構図
フレームに縦横に3本の線を引いたと仮定し、その線、または交点に被写体を置いて撮る構図です。撮影時のスマホ画面に「グリッド」と呼ばれる線を見たことがあるかもしれませんが、これはその目安にするためにあります。
写真はみずみずしいサラダに「ガチ国産いちごサワー」を添えて。彩り豊かでカラフルな写真になりました。
対角線構図
被写体を画面の対角線に大胆に配置する構図です。躍動感があります。
撮影テクニック③は、本来の魅力やシズル感が際立つ「引き算」
「写真は引き算」という言葉があります。撮りたいもの、見せたいものをフレームに入れるのは当然ですが、余分なものや見せたくないものはそのフレームから排除していくことです。
まずはこの写真を見てください。
ごちゃごちゃしていますね。焼き鳥を見せたいのに、使ったおしぼりや調味料、タレやお皿などは余分なものです。ここは引き算、余分なものをフレームから取り払いましょう。
スッキリはしましたが、まだイマイチです。たしかに食べるのには便利な向き(串が手前)ですが、焼き鳥のおいしさや彩りが伝わってきません。そこで、お皿の向きを変えてジューシーなお肉を手前に、ローアングルで、さらには被写体に近づいて撮ってみましょう。
同じ1枚の写真でも、焼き鳥本来の魅力やシズル感がより表現できている写真になったと思います。
対角線構図でも撮ってみました。
焼き鳥といえばビール、仕事終わりの一杯はたまりません。写真にもビールを添えてみましょう。
このとき「縦位置」の構図を選んだのは、高さや奥行きを表現したかったためです。ちなみに「横位置」だと広がりを表現できます。
ポートレートモードで主題以外を効果的にボカす
スマホで撮影時の「ポートレート」モードは人物撮影だけでなく、料理の撮影でも使えます。「ポートレート」モードは背景をボカす効果もあります。奥行き感を一層演出した、一眼レフで撮影したような写真を撮ることができます。また、主題の被写体以外のものをボカすことで、こんな風に焼き鳥を持った写真も面白いですね。
被写体を印象づける順光と逆光
光の向きにこだわる人が増えています。被写体が写し手の方向からの光を浴びていることを「順光」、被写体が後ろから光を浴びるのを「逆光」、斜めからの光を「斜光」と呼びます。
「順光」と「逆光」で撮った写真では、どんな違いが出るのでしょうか。具体的に見てみましょう。
順光の写真はサラダ全体に光があたって、とても明るい写真です。逆光はサラダの後ろから光が当たることで影ができ、凹凸がはっきりと表現されます。
ちなみに、順光で撮るときは撮影者の影がフレームに入らないように注意してください。
プロの撮影現場では基本は一般に逆光か斜光です。スタジオ撮影では四方から光を当てて影を消したり、ライティングの光に強弱をつけたりして影の角度や濃さをコントロールします。しかし、レストランや居酒屋では一般に、案内されたテーブルや席によって光の向きは決まってしまうので、逆光や斜光を選んで撮影するのは困難ですし、撮影のために席を立ってワイワイとやるのは個室でもない限り、他のお客さんの迷惑になるのでお勧めできません。上記の特性を理解した上で、少し料理の向きや身体の向きを変えるなど、工夫しながら静かに撮影してみましょう。
【応用編】押さえておきたい被写体別の撮影テクニック
ドリンク
ドリンクの撮影は、引きで全体を撮る方法と、寄りでドリンクそのものの魅力を表現する場合があります。お店の雰囲気も伝えたい場合、構図に工夫して引きで取るケースがありますが、何気なく撮った写真は多くの場合、魅力的な写真にはなりません。
次は、意識的にローアングルの3分割構図に。あえて背景にお店の雰囲気を入れた写真です。
サワーやビール、カクテルは思い切り寄った写真もステキです。
「ガチ国産いちごサワー」の彩りも加えるととても雰囲気のあるおしゃれな写真になりました。逆光だとドリンクに後ろから光があたって透明感を出すことができます。
写真の明るさを調整する方法
スマホのカメラでは、どこにピント(フォーカス)を合わせたいかを指定することができます。また、写真の「明るさ補正(露出補正)」を使って、写真を明るくしたり、暗くしたり調整することができます。最近のスマホのカメラは性能が高く、“シャッターボタンを押す”だけでそこそこキレイな写真が撮れるのですが、明るさの調整(露出補正)をすることでもっと良くなります。
フード
料理の写真では「シズル感」を表現することでステキ度が大きく異なってきます。今までアングルや構図の基本、写真は引き算という解説してきましたが、料理写真の場合は、シズル感にも通ずるものがあるのです。次の写真は卵焼きですが、アングルと構図の違いでシズル感も変わってきます。
シズルの意味
もともとの意味はお肉がジュージューと音を立てる様子、焼けて肉汁がしたたっているようなおいしそうな光景です。それを拡大していかにもおいしそう、食欲をそそる感じをいいます。肉料理の熱々感や肉汁感、鍋料理のグツグツ感、サラダのみずみずしさ、ビールのコップの水滴などを写真で表現することなどが例です。
もっとも端的な例として「もつ鍋」の撮影テクニックを例に解説します。これまでの復習を兼ねて楽しんでください。
もつ鍋の写真です。既にカセットコンロでぐつぐつと煮込んでいますがシズル感は特に感じません。また、カセットコンロは引き算で排除したいところです。
そこで、立ちのぼる湯気とグツグツが見えるところまで近寄ってみましょう。また、カセットコンロの姿は必要ありませんが、コンロの火を入れて見てはどうでしょうか?
シズル感満点、おいしそうなもつ鍋の様子が浮かび上がってきました。
さらにガスコンロも引き算して、もつ鍋自体に焦点を当てるのもいいですね。こんな感じで。
ちなみに、湯気は背景が黒い(暗い)と立ち上る様子をきれいに写すことができます。また、料理番組でよく見かける、こういう演出も楽しいかもしれませんね。スマホでも十分、きれいに撮ることができますよ。
背景に気を配ることも重要です。次の2枚はほとんど同じ写真に見えますが、右は背景が黒いところまでモツを持ち上げていることで、モツ単体がはっきりと見せることができます。
(おまけ)ユニークなスイーツ
さて、デザートに新名物のスイーツ「コッコちゃんのすみれプリン」を注文してみると、初めて見るプリンが登場しました。なめらかプリンとシロップ、そして専用の容器「コッコちゃん」がセットになっています。
ニワトリをかたどった「コッコちゃん」の中には黄身が入っていて、なめらかプリンに落とします。きっと子どもは大喜びですね。その様子は連写で撮りました。
黄身の上からシロップもかけて出来上がり。おいしそう。
(掲載日:2022年3月3日、最新更新日:2024年7月23日)
文・写真・監修:神崎洋治
編集:ソフトバンクニュース編集部
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