ソフトバンクでは、2020年5月に発表した「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトの下、SDGs達成に向けた取り組みを強化しています。グループ企業を含め全社一丸となったSDGsへの取り組み活性化・促進の一環として、昨年12月より、グループ内の特筆すべき取り組みを社内表彰する「SDGs Action Award」を開始し2022年2月25日、「SDGs Action Award 」第一回となる表彰式が開催されました。
グループ全体で取り組みを共有してSDGsの取り組みを強化
開会挨拶として登壇したソフトバンク株式会社 専務執行役員 兼 CHROの青野 史寛は、「ここ数年、ソフトバンクはSDGsに真剣に取り組んできました。300を超えるグループ各社で行われている素晴らしい活動を、各社だけでなく横の糸を通して良い事例をグループ全体で共有していくことが「SDGs Action Award」の趣旨であり、ぜひこの機会にグループ全体のSDGsに対する取り組みをさらに推進していきたい」と、「SDGs Action Award」開催の意義を語りました。
100を超える応募から選ばれたSDGsの取り組みとは。受賞企業6社が活動内容をプレゼン
表彰式では、グループ企業からの100件を超える応募の中から選ばれた受賞企業によるプレゼンテーションが行われました。
受賞企業選定にあたっては、社内各部門より選出された審査員に加え、環境省・農林水産省・厚生労働省のESG分野の政策会議委員を務める夫馬 賢治氏にも選定委員として参加いただき、環境変化の早いグローバルなサステナビリティの潮流を踏まえ選定が行われました。
株式会社ニューラルCEO、経営戦略・金融コンサルタント
夫馬 賢治(ふま・けんじ)さん
サステナビリティ経営・ESG投資アドバイザリー会社を2013年に創業。サステナビリティ経営・ESG投資ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長。環境省、農林水産省、厚生労働省でのESG関連の専門家会議委員。
社会、環境、情報開示/発信、ガバナンス、戦略5部門および大賞に選ばれた各社の取り組みがどういった点でSDGs達成に貢献できるのか、夫馬賢治氏による解説とともに紹介します。
SDGs Action Award 2021 受賞企業
プロジェクト名 | 受賞企業名 | |
---|---|---|
大賞 | HAPSプロジェクト | HAPSモバイル株式会社 |
社会部門賞 | ヘルスケアDXの推進 | ヘルスケアテクノロジーズ株式会社 |
環境部門賞 | Aquaculture Insights | SB Telecom Europe Ltd. |
情報開示/発信部門賞 | サステナビリティ情報開示 | 株式会社ZOZO |
ガバナンス部門賞 | SDGs推進体制整備 | SBペイメントサービス株式会社 |
戦略部門賞 | 5つのマテリアリティ特定 | SB C&S株式会社 |
【大賞】「HAPSプロジェクト」HAPSモバイル株式会社
世界中に通信を届け情報格差を生まない世界を
現在、世界の人口の半数近くが未だインターネットに接続できていません。
成層圏を飛行する無人航空機を使って、世界中に通信を届け、情報格差を生まない世界を目指すHAPSの取り組みです。HAPSを通して日本とアメリカで通信を行った実証実験や、国際標準化に向けた活動、ルワンダ共和国が推進するスマートアフリカへの参画など、2021年に実施された活動が紹介されました。
夫馬さんの解説
通信事業は今後大きな発展が予想される中、電力消費量の削減とデジタルデバイドの解消という2つの大きな課題を抱えることになる。HAPSプロジェクトのソリューションは、本業の将来課題そのものに対する抜本的な解決策の可能性を、世界の競合に先駆けて世に示した。まさに本業を通じた課題解決と呼ぶにふさわしいプロジェクト。
【社会部門賞】ヘルスケアテクノロジーズ株式会社「ヘルスケアDXの推進」
誰もが意識せずに健康になれる、健康であり続けられる社会の実現へ
医療相談チャット機能などを備えたヘルスケアアプリ「HELPO」の提供を通じてヘルスケアDXを推進し、人々の健康を支えると共に医療費の増加や医療従事者の労働環境の解決を目指す取り組みです。
夫馬さんの解説
健康増進と持続可能な社会制度の維持という2つの観点から、予防医療の必要性が叫ばれる中、デジタルでの健康医療相談をはじめヘルスケアサービスの提供は時代の需要を適確に掴んだ。今後、サービスを通じたインパクトを定量的に可視化できれば尚良い。今後の発展に大きく期待する。
【環境部門賞】「Aquaculture Insights」SB Telecom Europe Ltd.
データ管理による海洋養殖で食糧問題を解決
環境保護の観点からライセンス管理が厳しく養殖場を増やしづらいアトランティックサーモン養殖の課題を、センサーやAIの知見を生かした生簀の生体情報測の高精度測定、データ管理プラットフォームの構築によって解消を図り、海洋養殖経営を支え、人口増加・異常気象・天然魚の乱獲などによる食料確保の不安解決への貢献を目指す取り組みです。
夫馬さんの解説
養殖での環境負荷低減という最先端の課題分野に挑んだ世界でも先進的なプロジェクト。天然魚の資源量が低下する中で、養殖需要が高まっているが、一方で養殖は海洋の生態系を悪化させる潜在的な懸念を抱えている。また抗生物質の使用を抑制しながら、魚の感染症対策も不可欠。データを活用した精密養殖の実現は、サーモンだけでなく、養殖全体にとっての明るい兆しを創出した。
【情報開示/発信部門賞】「サステナビリティ情報開示」株式会社ZOZO
ファッションとサステナビリティがつなぐ
企業サイトのサステナビリティページやサステナビリティレポートの発行、消費者向けのサステナビリティ啓蒙ページにおいて、強みであるファッションを軸に読み手のSDGsへの関心を高める工夫を取り入れた情報開示を実現しました。
夫馬さんの解説
社会・環境課題を数多く内包するアパレル業界で、小売企業としていち早く消費者向けの情報発信を開始した意義は大きい。
日本のアパレル業界は、中小のブランド企業で構成するユニークな市場となっており、1社1社での対策が難しい。その点でプラットフォーマーの役割と事業機会ポテンシャルは大きく、今回社会的な要請に見事に応えるものとなった。
また、今回のウェブサイトの改訂では、ステークホルダーにとっての情報把握のしやすさを考慮し、包括的でかつESG毎の開示が実現されたものとなっている。レポートでは、ステークホルダーの実際の声を掲載したことで、ステークホルダーの意見や情報が臨場感あふれる形で伝えることができるようになった。ZOZOが今後大きく進化していくことを感じさせる内容となっている。
【ガバナンス部門賞】「SDGs推進体制整備」SBペイメントサービス株式会社
社内のコンプライアンスや情報セキュリティの向上を貢献
少子高齢化による人材不足や、レシートなどの資源消費削減といったさまざま課題解決への貢献が期待されるキャッシュレス社会を推進する企業として、SDGs達成に向けた推進体制を構築しました。
夫馬さんの解説
マテリアリティの特定から、社内8部門の部門別KPIの設定までやりきった姿から、社内での充実した議論がなされた様子が伺える。見落とされがちなサイバーセキュリティや不正利用というサービス課題もカバーしている点は高く評価できる。デジタル決済の普及という社会課題と事業成長には大きな関連性があり、事業として成長していくイメージが湧いた。
【戦略部門賞】「5つのマテリアリティ特定」SB C&S株式会社
全社参加型で「共感」「仕事と密接に関係」を生み出す
全社参加でチームを編成しビジネスを通じてどのように社会課題を解決できるかという問いに取り組み、C&Sの価値を具現化して新事業ビジョンを作成し、それを基に5つのマテリアリティを特定して各事業部門に共有することによって組織全体を動かす取り組みです。新事業ビジョンを戦略に取り入れ、コミュニケーションを取ることによって、全社参加型で仕事がどういう社会課題の解決に結びついているということを社員1人ひとりが実感できるような環境を作りました。
夫馬さんの解説
マテリアリティを特定する中で、企業が生み出す社会的価値の探究、推進室だけでなく各事業部門からの参画、そして社会課題解決が明日の利益の源泉となることへの理解の促進にこだわった点は高く評価できる。「苦労は早いうちにしたほうがよい」との格言があるが、SB C&Sは、マテリアリティ特定を単なる作業としてとらえず、会社組織全体を動かしていく重要な起点としてプロジェクトを進めた。このことは、容易なことではないが、大きな壁を初期に乗り越えたことで、今後の大きな推進力が期待できる状態を早期に作り上げることができた。
グループ総出でSDGsへの取り組みに期待
最後にソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川 潤一が登壇。
「ソフトバンクグループでは、いち早くSDGsに取り組み、実行することにこだわってきた。プレゼンを聞いて、皆がSDGsの大切さを理解し、グループ総出でアクションしてもらったことに感謝したい。先日「第3回日経SDGs経営大賞」において、社会価値賞を受賞させていただいたが、受賞自体が目的ではなく、企業が持続可能なビジネスモデルをやり続けることで、中長期で社会の役に立っていくことが重要。今後も総力を挙げて、SDGsに対し前向きにやり遂げていきたい。」とさらなる取り組み活性化への意欲を語り表彰式を締めくくりました。
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(掲載日:2022年2月24日、更新日:2022年3月2日)
文:ソフトバンクニュース編集部
SoftBank SDGs Actions
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