おいしい料理や、すてきな景色に出会ったとき、スマホで撮影しても、なかなか良い感じに撮れない… という悩みを抱えている方はいませんか? もしかしたらその写真、「構図」を意識することで、劇的に変わるかもしれません。
基本の「構図」を解説した前編記事に続き、今回もフォトグラファーの大崎あゆみさんが「構図」のいろはを伝授。今回は実際にスマホで撮影した写真をもとに、大崎さんがより効果的な「構図」の活用方法を教えてくれました。
目次
まずは腕試し! 「構図」を知らずに撮影すると…?
「花」「食べ物」「海と空」「階段」の4つのお題に沿って、普段から特に構図を意識せずに写真を撮っているという編集部員が、スマホで思うままに撮影をしてみることに。果たして出来栄えやいかに…?
お題① 花
編集部員 「一輪の花を撮るって結構難しい…。写真のポイントは、花びらが何枚も重なるバラの感じが分かるように、少し自分の方にバラを傾けて撮ってみました。一輪のバラの背景には、緑が映るように撮影してみました!」
お題② 食べ物
編集部員 「2つ置いてあるドーナツをどの角度から撮ろうかすごく悩みました。とにかくアップで撮った方がおいしそうに見える気がしたので、スマホのカメラを被写体に寄せて撮りました。ドーナツの砂糖もいい感じに写っているのではないでしょうか!」
お題③ 海と空
編集部員 「見晴らしのよい景色をカメラに収めたかったので、なるべく見たままの景色を撮るように意識しました。遠くの方にレインボーブリッジも見えたので、画角に入るように調整しました」
お題④ 階段
編集部員 「下まで続く階段と、階段の中央を流れるように垂れ下がるライト。どこにポイントを置いて撮ったら良いのかとても迷いました。階段とライトがバランス良く収まる配置で撮ってみたつもりですが、どうでしょうか…」
撮影するのにどのアングルが良いか迷い、手こずる様子も見せた編集部員たち。「構図」を意識すると、これらの写真がどう変化するのでしょうか。教えて、大崎先生!
極意その① 近接写真はズームを使うこと
まずは、被写体との距離が近い「花」と「食べ物」の改善ポイントを解説します。大崎さんいわく、そもそも多くの人が「スマホで写真を撮るときの前提」を間違えているのだとか!
大崎さん 「前提として、食べ物など近接写真を撮るときは、ズーム機能を使いましょう。スマホのカメラは広角で撮れるレンズが付いているので、1.5〜2倍にズームすることで、実際に自分が目で見ている景色に近づけることができます。逆に広角のままだと画面に無駄な余白やゆがみが出て違和感の原因に。まずはこれを押さえておきましょう。
そして、スマホを被写体に近づけるのはNG。広角のまま近づけても、余白やゆがみが出てしまうので、『基本はズーム!』と、覚えておきましょう」
極意を学んだところで、編集部員が撮影した写真を大崎さんにチェックしてもらいましょう。意識すべきポイントと、大崎さんが構図を意識して撮ったお手本写真も紹介していきます。
花を撮影するときの構図テクニック
大崎さん 「中央の赤エリアに花があるのは良いですね。でも、せっかくきれいな花なのに、サイズが少し小さく、青エリアに別の植物、黄エリアに建物があるのが目移りの要因に。また、花より背景が明るくて、目立ってしまっています」
一輪のバラを、大崎さんが “ある構図” を意識して撮ってみると…
大崎さん 「日の丸構図は四隅に余白が出るので、被写体が目立つように工夫が必要です。今回は近くにあった黒い柱を背景にして、花を大きく配置。同時にズームを使い、実際に目で見ている画に、スマホの画を近づけます。また、花に当たる太陽の光がきれいに映る角度を探すようにすると、花びらの輪郭もくっきり見せることができます」
大崎さんからのアドバイス
- 日の丸構図を意識して
- 花を大きめに配置し、背景は極力シンプルに。さらに光を当て被写体を主役にする
- ズームを使って自分の目で見えている画と合わせる
食べ物を撮影するときの構図テクニック
大崎さん 「ドーナツとテーブルがゆがんで見えてしまうのは、スマホレンズが広角で映るようになっているから。ズーム機能を使うとゆがみがなくなり、赤エリアの無駄な余白もカットできます。ドーナツが載っているお皿の青エリア部分の余白も不要なので、ドーナツがきれいに見える位置に動かして調整しましょう」
大崎さんが “ある構図” を意識して撮ってみると…
大崎さん 「食べ物には『C字構図』を使うのがおススメ。ドーナツを目立たせて画面のメインにすることができます。また、穴が開いているドーナツは、穴がきちんと見えるように写すのもポイント。ズーム機能で1.5〜2倍までズームをすることで、周りの余計な余白を消し、実際に目で見ている自然なサイズ感に近づけることができますよ」
大崎さんからのアドバイス
- ズーム機能を使って、周りの無駄な余白を削除する
- 食べ物や飲み物などを撮影するときには、「C字構図」を使うとおしゃれ度がアップ
極意その② 風景写真などは「何を撮りたいか」をイメージする
次に紹介するのは、より大きな被写体である風景など、ちょっと遠くを撮影するときのテクニック。今回のお題は、「海と空」「階段」でしたが、被写体の範囲が広い場合は、「何を撮りたいか」を考えるのが大事だと大崎さんは言います。
大崎さん 「遠くの風景はダイナミックに撮りたくなりますが、ただ漠然と写しても『何を伝えたいのか』が、分からない写真になってしまいやすいです。見えている景色をどう写真におさめたいか、どこを撮りたいかを事前に考えることで、切り取るべき画が分かりやすくなります。どうしても分からないときは、まずは何枚か撮ってみて、しっくりこない原因を探したり、先に使う構図を決めたりして、そこへ当てはめるように撮るといいです!」
風景を撮るときの構図テクニック
大崎さん 「海と空がテーマですが、青エリアや黄色エリアのビルに目が行ってしまいますね。赤エリアの橋は生かせそうですが、広角で撮れていることがあだとなり、こちらも余分なものが多く入ってしまっている印象です…」
大崎さんが “ある構図” を意識して撮ってみると…
大崎さん 「赤エリアに見えた橋が写真のモチーフとして魅力的だと思ったので、橋を中心に『二分割構図』で海と空を大きく撮りました。ズームで思い切って黄エリアにあったビル群を消すことで、画がシンプルになり、少し日本離れした印象のヨーロッパにある港町のような一枚になりました」
大崎さんからのアドバイス
- 二分割構図を使って、1:1の比率でパキッと2つに分けると雰囲気のある印象に
- 広範囲な風景写真は、まずどこを切り取りたいか撮る前にポイントを押さえる
形状や外観などを撮るときの構図テクニック
大崎さん 「どこをメインに撮っているのか分からない、やってしまいがちな例ですね。黄エリアのらせん階段は、下に続いていそうなのに切れてしまっていて形もよく分からず、ライトを見せたいわけでもなさそう。また、赤エリアの部分が暗いことも気になります」
大崎さんが “ある構図” を意識して撮ってみると…
大崎さん 「上から下まで全体を撮ることで、手前と奥の対比を出した『囲み構図』にしています。今回はらせん階段の流れと、そこに垂れ下がるライトが面白かったので、最後まで見せると良いです。建築物を撮影するときに、全体を映さずに途中で切ってしまう場合は、明確な意図がない限り、中途半端な画になってしまうので要注意です!」
大崎さんからのアドバイス
- 全体をとらえることで、奥行きを感じるような構図を意識
- 囲み構図を使って、手前と奥の対比を出す
とにかく何度も撮って試すのが写真上達への道
大崎さん 「写真を撮るときに一番大切なのは、被写体をどんな風に撮りたいかをイメージすること。その上で、どの「構図」やテクニックを使えばイメージに近づくかを何度も試すのが大事です。もしもイメージするのが難しい場合は、先に使う「構図」を決めてしまうのもアリ。まずは三分割構図、食べ物はC字構図から始めるなどして、自分好みの写真を探ってみてください」
今日から「構図」を意識して、理想の写真を目指して撮り続けましょう!
(掲載日:2023年12月21日)
写真:大崎あゆみ
文:井上麻子
編集:エクスライト
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