写真を撮影し後から見返したときに、「なんだか写真のバランスが悪くていまいち…」や「この写真は何を撮りたかったんだっけ…?」と、思った経験はありませんか? 実は写真を撮り慣れていない人ほど、意識してほしいのが「構図」。
今回は、フォトグラファーの大崎あゆみさんに「構図」のいろはについて取材。本記事では、8つの代表的な構図と、活用方法を教えてもらいます。構図を意識して、写真を見違えるほどキメてみませんか?
目次
初心者こそ意識したい。基本の構図を押さえて実践あるのみ
例えば、手元の飲み物をスマホで撮ろうと思ったとき、飲み物をスマホの画面のどこに置けば一番かっこよく撮れるか迷いますよね。「構図」とは、画角の中に撮りたいもの(被写体)をどう配置するかを考える手段のこと。 写真の世界には基本的な構図がいくつかあり、それをガイドに被写体を配置することで、バランスの良い写真に仕上がります。
大崎さん 「構図を意識することで、主役となる被写体が際立つし、撮影者が被写体をどう見せたいのか、視点や趣向を表現することができます。慣れるまで最初は大変ですが、基本の構図にならって撮り続けることで、身体が自然とバランスの良い配置を捉えるようになっていきますよ」
まずは、構図を意識して撮影するときのポイントを押さえておきましょう。
構図を意識して撮影するときのポイント
①「グリッド線」を表示させよう
スマホの場合、構図を意識する上で欠かせないのが「グリッド線」。簡単に表示させることができるので、設定しておきましょう。
iPhoneで「グリッド線」を表示させる
「設定」から「カメラ」を選択し、「グリッド」をオン。
Google Pixel で「グリッド線」を表示させる
「カメラ」アプリを起動し、画面左上にある設定をタップ。「その他の設定」から「グリッドの種類」を選択。
大崎さん 「画面の水平・垂直感覚を身につけることは基本中の基本。画面がゆがんでいると、不安定で収まりの悪い写真になってしまいます。グリッド線があれば簡単に水平・垂直を確認でき、この後に紹介する構図においても必須になるので、常に表示させておくのがおススメです」
② いろんな角度から撮影してみよう
被写体を360°いろいろな角度から撮影してみましょう。そうすることで、意外なベストアングルが見つかるかも。
大崎さん 「同じ構図でも、被写体のアングルを変えるだけで印象がガラッと変化します。特に撮り始めの頃は、いろいろ試すことでアイデアが広がりますし、自分の好きなテイストを知るきっかけにもなります」
ここからは大崎さんに、基本の構図を5つ、加えて、少しレベルアップした構図を3つ、それぞれ教えてもらいます。
まずはここから押さえよう! 基本の構図5選
構図の重要性やポイントが分かったところで、どのような構図があるのかを見ていきましょう。まずは基本として、覚えてしまえばすぐに使える5つの構図について、大崎さんが撮影した珠玉の写真を例に、解説してもらいます。
三分割構図
三分割構図
画面を3つに分け、縦横のグリッド線が交わる4点のどこかに被写体を持ってくる構図。
大崎さん 「どんな被写体にも使える、最初に覚えておきたい基本の構図です。この写真では、猫の顔をグリッド線の交点に置き、フェンス越しに撮ることで、奥に何かありそうな雰囲気を表現しました。三分割構図は片側に余白ができるので、見る人に写真の背景を想像させる効果があります」
日の丸構図
日の丸構図
主役にしたい被写体を、写真の中央に配置した大胆な構図。
大崎さん 「パッと見で主役が一目瞭然ですよね。単体でドンと写し、その周囲はシンプルにすることで、撮りたい被写体をしっかりとフィーチャーすることができます。人物の表情、特にお子さんを撮る時にもおススメですよ」
二分割構図
二分割構図
画面を縦または横に、1:1の比率でパキッと2つに分けた構図。
大崎さん 「安定感がある、かっちりとした雰囲気をプラスできる構図。この写真は、空と海が画面の中央でくっきりと分かれている様子を撮ったもので、他にもビル群と空などの景色や、建築物を撮る時にも相性が良いです。画面の中にすてきな境界線を見つけたら、1:1の比率を意識して撮ってみてください」
三角構図
三角構図
画面の中に三角形を意識した配置をする構図。
大崎さん 「奥行きや高さを表現する時に効果的なのが、三角構図。手前が広く奥が狭い、遠近法のような効果が生まれます。写真では、建物を三角形に見立てて、高さを強調しています」
C字構図
C字構図
画面に「C」の字の形の曲線が生まれるように被写体を配置する構図。
大崎さん 「被写体をアップで見せたい時に使いやすい構図。写真のように、『ラテアートを撮りたい、さらに緩急もつけたい……』といった場合は、お皿をCの形に切ることでラテアートの全容をしっかりアップで写しつつ、画面に動きをプラスすることができます。背景の色味を、メインの被写体に合わせて調整すれば、さらに完成度の高い写真にできますよ」
ちょっとハイレベル? でもマスターしておきたい構図3選
さらなる高みを目指したい! という方へ、ちょっとハイレベルな構図も紹介します。これをマスターできたら、あなたもフォトグラファーのように、さらに趣のある写真が撮れるようになるかも!?
囲み構図
囲み構図
障害物などを利用し手前と奥の差をつけ、景色を覗くように見せる構図。
大崎さん 「この構図では、奥に見える景色が主役になります。手前の雲を額縁のように使うことで、奥の山々をより魅力的に演出することができます。厳密に定義付けられているわけではないのですが、手前と奥にギャップがあればあるほど、幻想的な写真になりますよ」
S字構図
S字構図
画面内に「S字」のような、なだらかな曲線が生まれるように被写体を配置する構図。
大崎さん 「山道や川など、自然の中にS字を見つけたらシャッターチャンス。自然の広大さを表現できます。またテーブルに複数のお料理がある時は、なんとなくS字を意識して配置するとテンポよくまとまった写真になります。複数のものを撮る時に『なんか違うな?』と思ったら、S字を意識してみるとしっくりくるかもしれません」
フィボナッチ螺旋構図
フィボナッチ螺旋(らせん)構図
黄金比とも呼ばれる「フィボナッチ数列」の比率、つまり「1:1.618」という数値を用い、長方形、正方形を少しずつ組み合わせて螺旋を生み出し、その「最終地点」に被写体を配置する構図。
大崎さん 「この構図は、『最終奥義』として参考までに紹介します。とにかく『フィボナッチ』の比率を頭に入れながら撮影する必要があるので、ものすごく難易度の高い構図になります。ちなみに、私もこの構図を常に意識して撮影はしていません(笑)。有名な絵画でもこの構図が使われているそうですよ。
厳密に活用するのは難しいのですが、最初に紹介した『三分割構図』と少し似ているので、グリッド線の交点上に被写体を置くことを意識すると、フィボナッチ螺旋(らせん)構図に一歩近づけるかもしれません!」
構図とあわせて、最新のスマホもチェック!
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(掲載日:2023年11月29日)
写真:大崎あゆみ
文:井上麻子
編集:エクスライト