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“コレいいな” を探すときは「SNS検索」を。目的やシーン別の使いこなし検索術

“コレいいな” を探すときは「SNS検索」を。目的やシーン別の使いこなし検索術

SNSプラットフォームに備わる「検索機能」。たまに固有名詞を検索してみることはあるけれど、しっかり調べ物をしたい! というときは、やっぱりYahoo! や Google といった検索エンジン頼り… という方は多いのでは。けれどもし、SNS検索を上手に取り入れることで、精度の高い情報を、効率よく収集することができるとしたら、ぜひ活用したいものです。そこで今回は、SNSマーケティングの研究に日々取り組む、株式会社電通「メディアイノベーションラボ」主任研究員の天野彬さんに、今こそ知りたいSNS検索のコツを伺いました。

天野彬(あまの・あきら)さん

株式会社電通 メディアイノベーションラボ 主任研究員

天野彬(あまの・あきら)さん

東京大学大学院学際情報学府修士課程修了(M.A.)。2012年電通入社後、マーケティング・新規事業開発部門を経て現職。SNSのマーケティング活用や若年層のトレンドについての、研究開発・コンサルティングを専門とする。メディア出演・著作・講演・広告賞審査員など経験多数。

検索エンジンと何が違う? SNS検索でできることを押さえておこう

昨今、メジャーになってきた「SNS検索」というリサーチスタイル。普段検索エンジンでの調べ方がメインの人にとっては、いったいどんな良さがあるのか、イメージがつかないのではないでしょうか。 Yahoo! や Google といった検索エンジンにはないメリットなど、SNS検索の基本情報を教えてもらいましょう。

近年は、「SNS検索」する人の割合が増えているのでしょうか?

天野さん 「2010年代以降、スマホの普及によって誰もが気軽に情報発信できるようになりました。それを背景に、SNSが “情報のプール(たまり場)” として優秀だと、注目を集め始めたんです。そして実際にSNS検索が一般化したのは、2010年代の中頃からだと思います。

現在SNS検索を日常的に利用しているのは、若者世代がメインです。実際、『モバイル社会研究所』の調査によると、年代によってばらつきはあるものの、10代で63.7%、20代で57.2%と、若年層ほどソーシャルメディアから情報収集している傾向が見てとれます」

今さら聞けない! ここでおさらい! SNS検索でできること

年代別・情報収集経路の推移(2023年)
モバイル社会研究所「【ライフスタイル】生活情報を得ているSNS:10~30代はInstagram・Twitter約4割、10代はTikTok約4割」図2を引用

SNS検索のメリットって?

SNS検索にはどんなメリットがあるのか、教えてください。

天野さん 「そうですね… 以下の4つが挙げられるのではないでしょうか」

SNS検索のメリット

  1. リアルタイムで世の中的に話題になっているモノ、コト、最新情報を素早く知ることができる
  2. 一般ユーザーによるレビューなどのUGC(User Generated Contents=ユーザーが作成したコンテンツ)から、企業が発信できないリアルな評判を得られる
  3. 専門家的なアカウントを見つけやすく、そのアカウントをフォローすることで、継続的に情報を入手可能
  4. 友人や知人といった、身近な人々の発信を捕捉することができる

天野さん 「この中でも私が特にSNSならではと感じるのは、4つ目です。やはり、価値観や生活スタイルが似ている人たちがおススメする情報は、自分にとって有益な可能性が高くなりやすいもの。例えば、友だちがSNSでアップしていた映画や飲食店をさらにSNS検索することで、より精度の高い情報にたどり着くこともできます」

SNS検索のメリットって?

SNSごとに得意なジャンルってあるの?

Instagram、X、TikTokなどなど… どのSNSを使って検索したらいいのか、迷ってしまいます。それぞれ、得意としている情報ジャンルはあるのでしょうか?

天野さん 「ライフスタイルを発信する側面のあるInstagramは、衣食住分野に強く、グルメや美容情報などが得やすいとされています。Xはトレンド全般やリアルタイムの話題が把握しやすく、ドラマや映画、ゲームといったコンテンツ系の情報が豊富。TikTokはレビュー系のコンテンツが多く、新商品や話題のスポットについての評判などをキャッチしやすいと思います。

とはいえ、各種SNSサービスが相互に影響し合い、動画やレコメンド(おススメ)機能が全てに搭載されるようになってきた現在は、かつてのような違いは小さくなってきている印象です。それもあって、特にデジタルネイティブといわれる世代(物心ついた頃からPCやネットが普及していた環境で育った世代)は、各プラットフォームを抵抗なく活用していて、あるSNSで知った情報を、他のSNSで検索しながら検証することが日常化しています。

また、デジタルネイティブ世代は口コミを大切にする傾向があり、それゆえに他者へおススメの情報をシェアすることも多いようです。私の知っているデジタルネイティブ世代は、情報を誰かに伝えるとき、検索エンジンで得た情報リンクではなく、SNSの画面をそのままスクリーンショットして送ることが多いらしいんです。彼らはSNS検索を、肌感覚で直感的に使いこなしている印象ですね」

【イメージ】デジタルネイティブ世代が、スクリーンショットで情報共有している様子

【イメージ】デジタルネイティブ世代が、スクリーンショットで情報共有している様子

SNSでの情報収集では、身近なつながりのある人たちを起点にさまざまな物事を気軽に調べるのに向いているようです。次のページでは、SNS検索時のテクニックについて、詳しく解説いただきます。

欲しい情報に早く正確にたどり着く、SNS検索のステップ

次は「SNS検索実践編」として、検索ワード設定の仕方など、具体的なテクニックを天野さんの解説を通じてひもときます。

欲しい情報を得るためのSNS検索テクニックを教えてください。

天野さん 「まず、できるだけ検索目的に合わせたSNSを選ぶことが重要です。前ページでも話した、プラットフォームごとの得意ジャンルも参照してみてください。

そのプラットフォームで、検索エンジンで調べるときと同じように『検索ワード』を入力して調べるだけで、目的の半分は達成です。どんなことを調べていいか見当がつかないときは、Xで言えばトレンド欄を参考にしたり、TikTokならレコメンド欄にでてきたワードを検索したりするといいと思います。

【イメージ】Xのトレンド欄

【イメージ】Xのトレンド欄

とはいえ、『おススメに出てくる内容欄、なんかしっくりこないな…』などと、自分好みの情報が上がってこないと感じることもありますよね。そんなときにやっておきたい “レコメンド欄の鍛え方” としては、自分の関心事にそぐわないワードやアカウントが出てきたときに、どのSNSにもたいてい備わっている、『興味ない』ボタンや『ブロック』ボタンを押すのもいいでしょう」

SNS検索は、段階を踏んでやってみよう!

なるほど、コツをつかめてきました。では実際に、SNS検索の流れを教えていただけますか?

天野さん 「はい、検索する機会の多そうな、飲食店の探し方を例にやってみましょうか! この場合は、やはり衣食住に強いInstagramを使うのがおススメです」

飲食店をリサーチするやり方(Instagram)

  1. 「(行く場所)+(店舗形態)」などの検索ワードを入力し、「おすすめ」欄をチェック(「タグ」欄からハッシュタグで検索をしても)。

    飲食店をリサーチするやり方(Instagram)

  2. 「●●のおススメカフェ●選」などといったまとめ投稿を確認し、店内の様子やメニューなどから好みの店舗を絞り込む。
  3. 気になる店舗の公式アカウントに飛んで、メニューや店内の雰囲気、営業時間など詳細を確認。

天野さん 「このように段階的に検索を行い、獲得する情報の解像度を上げていくイメージで進めていきましょう」

SNS検索は、こんなシーンでも使える!

飲食店の他にも、SNS検索が活用できそうなシーンはありますか? 例えば、仕事で調べ物をするときとか、旅行中とか…。

天野さん 「仕事でも旅行中でも、SNS検索は便利ですよ!

まずは、仕事でのSNS検索について話しますね。私の場合は、自分の関わっている企業、商材、企画やキャンペーンに関するワードでSNS検索をすることが多いです。そうしてリアルな反応があるかを把握するソーシャルリスニング(SNSで収集した情報を分析し、ビジネス戦略に反映させるマーケティング手法)を日常的に行っています。

私は日本のユーザー数が多いXで検索することが多いですが、最新の流行や若者文化を追いたい場合は、TikTokでの検索も向いていると思います。ちなみに、ExcelやPowerPointなど、ツールの使い方を知りたい場合は、YouTubeの解説動画を検索することもあります。長尺の動画形式で、ツールを操作しながら分かりやすく解説してくれているので、理解しやすいんですよね。

続いて旅行中について。目的地を探すときに活用したくなることが多いと思いますが、土地勘のない場所での検索になるので、マップ機能が搭載されているInstagramでの検索にアドバンテージがあると感じます。先ほどの飲食店でのリサーチと同じように、『場所+目的』で検索したのちに、段階的に絞り込むことを意識してみてください」

災害時における、SNS検索で知っておきたいことは?

地震や大雨などの災害時にSNS検索をする場合、注意しておくべきことなどはありますか?

天野さん 「災害時のような緊急なシーンでは、リアルタイムの情報が一番つかみやすいXでの検索が有効ではないでしょうか。拡散したニュースをチェックできるのはもちろん、自分がフォローしている友人や知人は、比較的近辺に住んでいる場合が多いですから、彼らの安否確認ができて、安心できる効果もあると思います。

ただ、さまざまな研究で言われることですが、災害時はとても誤情報が飛び交いやすいもの。誤情報を広げるという悪意がなくても、曖昧な情報が広がって、後から見ると間違いだったというようなことも、残念ながら起こり得るんですね。

そんなとき、誤解を招く可能性があるポストに、ユーザーが協力して背景情報を提供できるXの機能『コミュニティノート』は、情報を検証するのにとても役立つと思います。災害時だけでなく、エビデンスが曖昧な健康情報などを見極めたいときにもおススメですよ」

Xのコミュニティノート機能

Xのコミュニティノート機能

段階を経て、少しずつ自分の欲しい情報に突き進んでいく。これがSNS検索のポイントと語る、天野さん。最後のページでは、SNS検索によってたどりついた情報の真偽の見極め方、さらには「SNSの未来」に至るまで、さまざまに解説いただきます。

検索後も気を抜かない。結果をしっかり見極めよう

最後に、SNS検索を日々の情報収集に生かすため、検索後に心がけたいことを天野さんにお聞きしました。

SNSのデマ情報で混乱する、などの事例もあります。何に気を付ければいいですか?

天野さん 「まずステルスマーケティング(通称・ステマ。消費者に広告であると明記せずに隠した販促・宣伝行為)に関しては、日本では2023年10月より、景品表示法に基づく規制が始まりました。これまでは、インフルエンサーが請け負った広告案件であっても、投稿の最後に申し訳程度に『PR』とだけ書かれているようなケースがありました。今では誰が見てもはっきり広告と分かるよう明記することが求められています。とはいえ、まだ曖昧な表記が撲滅された、とは言い切れないのが現状です。

【イメージ】投稿の上部に「タイアップ投稿」と明記している、Instagramの広告案件例

【イメージ】投稿の上部に「タイアップ投稿」と明記している、Instagramの広告案件例

ですから、私たちはSNSアカウントの信頼性や発信者の節度を注視する必要があります。その際、フォロワー数とフォロー数の比率や、投稿に付いているコメントが自然かどうか、が手がかりになるでしょう。フォロー数だけ異様に多い場合は、怪しいケースが散見されますね。

また、インフルエンサーの投稿は、その本人が詳しいことや好きなことに関連した軸を持って発信しているのであれば、仮に広告案件であっても有益な情報と考えていいと思います。一方で、いつもばらばらなジャンルのアイテムや内容を、節操なく紹介している場合は、あまり信頼がおけないなあと感じますね。

さらに、怪しいアカウントやスパム(望んでいなくても一方的に送りつけられてくる投稿、メッセージ)は、ミュート、ブロック、通報によって徐々に自分のタイムラインに上がってこないように対策できるものの、いたちごっこ感は否めません。それに、自分は情報を見極められると自信をもっている人の方が、誤情報に一度引っかかると、抜けられなくなってしまうケースがあります。

そのため、正しい情報を見分けるのが難しいというのは大前提として、発信者の意図、ある商品のPR時期が不自然に集中していないか、そもそも自分に必要な情報なのかなど、時間をかけて落ち着いて判断してほしいですね。

だれが、いつ発信したのか。事実の情報なのか、自分と関係しているのか。そして、なぜその情報が発信されたのか。この『だ・い・じ・か・な』の視点を持って、情報を見極めていきましょう」

SNS検索は今後、どう変わっていく?

最後に、“SNSの未来” は今後どうなるのか、お聞かせいただけますか? 最近はAIの台頭もめざましいですが……。

天野さん 「そうですね。アメリカのテクノロジーに強いリサーチ企業・ガートナー社によると、AIチャットボットなどの新しい情報収集手段の台頭により、今後検索エンジンの利用は25%程度減少すると予測されています(2024年2月発表)。また、レコメンド機能の高度化に伴い、SNSの性質自体が変わりつつあります。かつてのSNSは友人や知人の投稿を眺めるための、いわば “牧歌的な場所” でしたが、今やAIによって自分の好みにどんどん最適化された情報配信の場となりつつあるんです。

このようにSNSの役割は大きく変化していますが、人々が身近なつながりの中で情報をシェアする欲求は、今後もなくなることはないでしょう。SNS検索についても、まずは身近な友人や知人の発信をヒントにして、ご自分の世界を広げてみてはいかがでしょうか」

SNS検索は今後、どう変わっていく?

SNS検索の特長やコツを知ると、早速試してみたくなりますね。各SNSが得意な検索分野を把握しつつ、リサーチの幅を広げてみましょう。また、情報の正誤についてはきっちり気を配って。ぜひお気に入りのSNSプラットフォームで、自分の知りたい情報を検索してみてくださいね。

(掲載日:2024年6月26日)
写真:山﨑悠次
文:皆本類
編集:エクスライト

SNS検索の理解が深まったらYahoo! やGoogle など、検索エンジンを使ったリサーチ術についてもおさらいしてみては? ソフトバンクニュースの以下の記事もご参考に。

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