Yahoo!検索や Google 検索などの検索エンジンで情報を探しても、欲しい情報になかなかたどり着けない、そんな経験はありませんか?
インターネットで検索すると、企業などの公式サイトやニュースメディア、ショッピングサイト、個人ブログなど、さまざまなサイトや情報がヒットします。便利な一方、たくさんの情報がありすぎて「本当に知りたい・欲しい情報」にたどり着くのが難しくなっている状況です。
そこで、検索の仕組みに詳しい辻正浩さんに、インターネット検索やSNSを活用した上手な情報の見つけ方について聞いてみました。
目次
情報量が増えているのに、なぜ期待する情報にたどり着けないのか?
スマホの普及によって、インターネット検索がより身近になった現在では、日常的に膨大な数と量の情報に触れられるようになりました。すぐに知りたい情報を見つけられる手軽さや便利さの一方で、情報が多すぎてなかなか見つけられない、たどり着きにくいと感じたことがある人もいるのではないでしょうか。
これは、検索エンジンの仕組みを意識して注目度の高い話題や人気ジャンルについての記事を作る人や企業が増えたことが一因です。現在の状況は、こうした仕組みを利用した競争によって情報が増えたために、必然的に起こった結果だといえます。
「2010年頃は、検索エンジンのアルゴリズムを逆手に取った記事が量産されるようになり、読者のニーズと関連性の低いコンテンツが検索結果で上位に表示されていました。しかし、『それではいけない』と、検索エンジンはユーザーにとって価値のあるコンテンツを重視するように。読者の問題解決に役立つコンテンツが上位に表示されるよう、アルゴリズムのアップデートを重ねていきました。
その結果、インターネット検索で上位に表示されている記事は年々良質なものに改善されてきています。まだまだ同じ情報ばかりが並んでいるなどの問題は感じるかもしれませんが、現在は検索結果がより良くなるまでの過渡期ともいえます。良い情報を探すためには、いろいろな工夫が必要です」
検索エンジンが進化していく中で、ウェブサイトを運営する企業などは「もっと自分たちのコンテンツを検索結果の上位に表示させ、多くのユーザーに見てほしい」と、SEOを行っているというわけですね。
検索と切っても切り離せない「SEO」とは?
ユーザーが情報を探す過程で、検索エンジンが検出しやすいようにウェブサイトを改善する取り組みのことで、Search Engine Optimization(=検索エンジン最適化)の略称。Yahoo!検索や Google 検索などの検索エンジンは、検索アルゴリズムにもとづくさまざまな評価指標で検索結果ページにおけるウェブサイトの表示順を決定しています。
SEOについては、こちらで解説しています。
欲しい情報にたどり着くには? 今日から実践したい検索のコツ
旅行やグルメ、買い物、医療… と、さまざまな目的で検索エンジンを利用しますが、なかなか “欲しい情報” にたどり着かないことも多いものです。
“検索ワード選びのコツ” はあるのでしょうか?
「欲しい情報にたどり着くためには、キーワードの精度を上げていくことが大切です。知りたい情報が少しでも書かれた記事を見つけたら、その記事のタイトルや見出しなどからキーワードをピックアップするのもいいと思います。例えば、旅行先を探す場合でしたら、検索ワードの『オススメ』を『レポート』に変えると、個人の宿泊体験記にたどり着きやすく、リアルな情報が得られるかもしれません。旅先の口コミであれば『泊まってみた』『コスパ』『旅日記』なども。気になったキーワードを見つけながら検索を繰り返すことで、より求めている情報に近づけますよ。
まったく土地勘のない旅行先のホテルを調べるときなどは『○○市 ホテル オススメ or 人気』などの “検索する人が多いキーワード” を使って検索すると、複数の情報が表示されるのでそこから比較検討したり、情報を絞り込んでいく… という使い方もできますね」
キーワードが思いつかない場合はどうすればいいですか?
「そういったときは、まず『夏休み 旅行』のようなキーワードで広く情報をチェックして、その検索結果の中から気になる情報を探します。例えば、 “夏休みにおススメの旅行先ランキング” のような記事で『北海道が良さそうだな』と思ったら『北海道 旅行』、さらに『道東 旅行 自然』などと絞り込んでいくといいと思います。一発で知りたい情報にたどり着くのは難しいので、キーワードを変えながら検索の精度を上げていくのがポイントです。また、ホテルの口コミなど新しい情報を知りたい場合はブラウザに『ツール』という機能があるので、1年以内など絞り込みもできます」
地図アプリでお店を探すことも多いと思いますが、便利な使い方はありますか?
「地図アプリは、まずはログインして使うことをおススメします。多くの地図アプリではログインするとさらに便利になるものです。例えば、 Google マップでは、身近な場所や検索履歴などから『その人の好み』を学習して、初めて行く土地お店でも『その人が好むであろうお店』などが表示されやすくなっています」
評価やレビューは信頼できるものでしょうか?
「例えばホテルの情報でしたら、大手旅行サイトに掲載されている宿泊先のレビューやブログは信頼できることが多いと思います。ここ数年で質は改善されてきていますし、実際に宿泊していないと書けないような偽装対策もされていることが多いです。一方で、誰でも自由に投稿できて事前にチェックもされないサービスには、偽のレビューも紛れていることがあるので注意が必要です。自分が信用できるサービスを見つけておくことが大切です」
知りたい情報を見つけるための検索テクニック
- 適したキーワードを探しながら複数のキーワードを組み合わせた検索を繰り返して精度を上げる
- 画像、動画での絞り込みなど目的に応じて検索エンジンの「ツール」を活用する。例えば、新しい情報を手に入れたい場合「1か月以内」「11年以内」などの期間指定を
- 口コミなら「レポート」「コスパ」など、自分が知りたい情報に近い具体的なキーワードを盛り込む
SNSも上手に活用。目的に合わせた使い分けを
検索エンジンにはYahoo!検索 や Google 検索、Bingなどさまざまな種類があります。さらに、若い世代は検索エンジンを使わずに、TwitterやInstagramなどのSNSで情報を探す人も増えています。
検索エンジンごとに “使い分け” が必要なのでしょうか?
「基本的には、必要ないと思います。ただ、 Google は細かな設定が可能な画像検索をはじめさまざまな検索機能が充実しているので、一定のITリテラシーがあれば Google は使い勝手がいいでしょう。一方、Yahoo!検索は広告の掲載基準が厳しく、比較的ではありますが悪質な広告が少ないなどの安全性が高いため、お子さんなどにも勧めやすい※ですね」
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Google 検索では、子ども向けにセーフサーチが提供されています。
電車の遅延情報はTwitter、カフェ情報はInstagramなど、目的別にSNSを使い分ける人もいますよね。
「事件や事故など、リアルタイムの情報を調べるときにSNSを使う方は多いと思います。その場合も、 “誰が発信しているのか” が重要です。SNSは知識の有無にかかわらず自由に発言できる場所なので、間違った情報に触れる可能性も否定できません。そういったSNSの性質を念頭に置いて活用するといいのではないでしょうか」
ファッションの参考にSNS検索を使う人もいますよね。
「Instagramは、ファッションのトレンドを調べるのには適していると思います。ファッション関係のSNSアカウントはそこから購入できるものもあって便利ですが、詐欺への誘導目的であることも。SNSで欲しいアイテムを見つけたら、メーカー公式サイトやECモールで似た商品や同じ商品を探して購入するのが安全です。欲しい商品がある程度決まっている場合は、各検索エンジンの『画像検索』も有効でしょう。
Google アプリに新しく追加された『マルチ検索(画像とテキストを組み合わせた検索)』は、ファッションの検索にも便利です。例えば、欲しい服の画像を撮影・アップロードして『秋物』とテキストを追加して検索すると、似た服の秋物が検索できるという便利な機能です」
日々変化する検索機能は今後、どのように変わっていくのでしょうか?
「インターネットは常に変化していくもので、古くから善意と悪意の戦いが続いている世界でもあります。検索については、検索エンジン側での対策が強化され、悪意あるネット広告やアフィリエイト広告、ステルスマーケティングの規制も強まっているので、過渡期といえる今の状況を越えれば、使いやすくなると考えています。気を付けるべきこともありますが、検索がきっかけで良いサイトに出会うことも多いですし、検索はインターネットの価値と可能性を広げるものだと私は信じています!」
目的に合わせたSNSやアプリの使い分け方
- リアルタイムの情報はSNSが便利。発信元や情報の信頼性に注意して利用する
- ファッションのトレンドを調べるならInstagramや各検索エンジンの「画像検索」が便利
- 欲しい物や探したい物の特徴が決まっているなら Google アプリの「マルチ検索」を使うと、よりイメージに近い検索をしやすい
情報が増え、検索すればすぐに情報に触れられる便利な時代だからこそ、目的に合った検索テクニックを身につけて自分の欲しい情報をうまく見つけていきたいですね。
(取材日:2023年3月8日、掲載日:2023年5月8日)
文:深谷歩、ツキナガユイカ+type-e
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