SNSボタン
記事分割(js記載用)

停車中も走行中もカッコよく! 鉄道写真家が教えるスマホ電車撮影のスゴ技

停まってても動いててもかっこよく! スマホでもここまで撮れる電車撮影のスゴ技を鉄道写真家がたっぷり解説

駅で時々見かける、熱心に電車の写真を撮っている鉄道ファンの人たち。一眼レフを駆使してテクニカルに撮りまくる姿に興味を持ちつつも「私にはハードル高いかも…」と思ったことはありませんか?

諦めることなかれ。カメラ性能がぐんとアップしている最近のスマートフォンなら、かっこいいデザインの車体も、高速で走る姿もばっちりと写真に収めることができますよ。今回は、スマホで電車を撮影するためのコツを探るべく、プロの写真家の鉄道撮影に同行。スマホのカメラ機能やカッコよく写せる構図など、電車撮影ビギナーに向けた実践アドバイスをいただきました。

米屋こうじ(よねや・こうじ)さん

米屋こうじ(よねや・こうじ)さん

1968年山形県天童市生まれ。広告写真家・安達洋次郎、鉄道写真家・真島満秀に師事の後フリーランスとなる。生活感のある鉄道風景のなかに人と鉄道の結びつきを求めて、日本と世界を旅しながら撮影を続ける。アジアの鉄道旅で出会った人々との触れ合いをつづったエッセー集『ひとたび てつたび』、写真集『I LOVE TRAIN-アジア・レイル・ライフ』(ころから)など著書多数。

マナーを守って鉄道写真を楽しもう!

米屋さんは、小学生のときに鉄道写真に目覚めて中学2年生で一眼レフカメラを入手して以来、国内海外問わず数えきれないほどの鉄道写真を撮影してきたのだそう。この先もかっこいい電車を撮り続けるため、普段から撮影マナーには十二分に注意していると話します。

米屋さん 「電車はあくまでもみんなの移動手段。ホームの黄色い点字ブロックからは絶対出ないこと、乗客の方の邪魔にならないこと。粘って撮りたくなる気持ちも重々わかりますが、速やかに撮って場所を空ける意識で。またフラッシュは運転士の方がまぶしく感じるので絶対にNG! 鉄道写真が撮れなくなるとつらくなるのは自分なので、マナーは必ず守りたいですね」

撮影シーン① 駅のホームで車体をカッコよく撮る「形式写真」

まず撮影するのは、停車中電車の構造や形、色などをしっかり記録する「形式写真」。とはいえ難しく考える必要はなく、あくまでも「車両全体を収めること」だけを意識して挑戦してみましょう。

まずは撮影ポジション取り! 車体をしっかり収める秘訣って?

駅に到着するやいなや、米屋さんは上り方面の列車を撮るために、なぜか反対側の下りホームへ向かっていきました。いったいなぜなのか、撮影時のポジション取りのコツを聞いてみましょう。

まずは撮影ポジション取り! 車体をしっかり収める秘訣って?

米屋さん 「反対側のホームから撮ることで、列車の車輪までしっかりと写すことができるためです。特にホームドアがない駅なら、車体全体を撮影しやすいですからね。また、日差しの向きも重要。車体の正面と側面の両方に日差しが当たるのがベストです」

ホームに到着したら、今度はスタンバイ位置を探ります。線路に立てられた「停止位置目標」を見て、列車の停車位置をチェック。列車全体を写すために、何両編成で来るのかも事前に確認しておきましょう。

停止位置目標

停止位置目標

米屋さん 「列車は停止位置目標の少し手前に停まります。一つの車両の長さは約20mで、今回撮影する列車は2両編成なので、停車位置目標から40mくらい離れた位置に列車がくると想像しつつ、立ち位置を決めましょう」

ズーム機能を使ってアングルを探る。車両全体を画角に収めよう!

だいたいの立ち位置が決まったら、次はアングルの調整。遠くのものをきれいに大きく撮影できるスマホのズーム機能を駆使しながら、列車全体がカッコよく撮れる画角に調整します。

米屋さん 「列車までの距離によって、ズーム倍率を調整しましょう。今回の場合は2倍くらいが良さそう。ちなみに、線路の端を画面下の角にぴったり合うようにすると、かっこいい画角になりますよ」

Google Pixel

「W」をタップで2倍ズーム

「W」をタップで2倍ズーム

iPhone

「2」をタップで2倍ズーム

「2」をタップで2倍ズーム

あとはホームに停車した列車を確認して、シャッターを押すのみ! 停車時間は一瞬ではないので、焦らず撮影してみましょう。

くっきりきれいな形式写真

くっきりきれいな形式写真

車両先頭と側面にしっかりと光が当たり、車体の隅々までがきれいに写っています。さらにズーム機能を使うことで、画角の中の列車の存在感も抜群!

上り列車を上りホームから撮った場合

上り列車を上りホームから撮った場合

一方、試しに上り列車を同じ上りホームから撮ってみると、車輪より上の車体だけしか写らず、側面が影になってちょっと惜しい感じ。太陽の位置を事前に調べられるスマホアプリがあるそうで、米屋さんは普段から活用してベストな撮影位置を導き出しているのだとか。ちなみに米屋さんは「太陽の軌跡」や「日の出、日の入」というアプリを使っているそう。

米屋さん 「さらに、ズーム機能について補足すると、最近のスマホは『光学ズーム』と『デジタルズーム』、2種類のズーム機能を両立しているんです。光学ズーム機能を備えたスマホなら、ズーム倍率5倍くらいまでなら、画質を維持することができるようですね。それ以上の倍率だとデジタルズームに切り替わるので、画質の低下を感じる可能性があります」

「光学ズーム」「デジタルズーム」とは?

光学ズームは、カメラレンズを動かして、画質を維持しながら被写体をアップにすること。いっぽうデジタルズームは、トリミングして被写体を引き伸ばすようなもので、画質が落ちて見えることがあります。

米屋さん 「もし逆光などで車体が影になってしまったら、スマホの画像編集機能を使って明るさ調整をするのも手。その場合、データを圧縮しない『RAWデータ』の状態で写真を記録しておくと、加工したときに画像が荒れにくくなります。ただ、機種によってはRAWで保存できないこともあるので、事前に対応しているかどうか、確認してみてくださいね」

明るさ調整前

明るさ調整前

明るさ調整後

明るさ調整後

停車中の電車の撮り方ひとつとっても、なかなか奥深い…! 続いては動く電車を撮影するときのテクニックについて、米屋さんに教えてもらいましょう。

撮影シーン② 颯爽と走る電車を美しく切り取る「編成写真」

次は電車が走っている様子を撮影する「編成写真」を撮ってみましょう。まずは電車が見えるロケーション探しから。米屋さんはいつも Google ストリートビューを活用しているそうです。

米屋さん 「電車全体が見える、見通しの良い場所が理想的です。電気で走らないディーゼルカーが運行している “非電化路線" では、車両に電気を送るための電柱が立っていないことが多いので、開けた画が撮りやすいですよ」

ズーム機能は、障害物のトリミングにも使える

スタンバイ位置を決めるポイントは、障害物の有無。電柱やビーム(車両に電気を送る架線を吊るために、電柱から水平に架設された梁)が画面の微妙な位置に入ると、写真の中で悪目立ちしてしまいます。立ち位置とズーム倍率を調整しながら、ベストなポジションを導きましょう。

米屋さん 「今回はズーム倍率を3.2倍にすることで、上のビームを画面の外に出しています。また電車の先頭に電柱が来ると、電車が電柱にぶつかったような構図になるので注意。今回は、電柱があまり目立たない位置にスタンバイして、電車が電柱を通過したところでシャッターを切るのが良さそうですね」

画面左端に左右に伸びているのがビーム。これができるだけ画角に写り込まないようにし、電柱も目立たないような位置を検討すると、開けた画角に

画面左端に左右に伸びているのがビーム。これができるだけ画角に写り込まないようにし、電柱も目立たないような位置を検討すると、開けた画角に

フォーカスロック機能とトップショット(連写)が便利

カメラ位置が決まったら、走ってくる電車を待ちましょう。最高の構図になるのは一瞬のため「編成写真」は一発勝負。最初はトップショット(連写)機能を使って撮り、後からベストショットを選ぶのもおススメ。また、事前にフォーカスする位置をロックしておくこともできます。

Google Pixel

シャッターを押した前後まで撮れるトップショットの操作画面

シャッターを押した前後まで撮れるトップショットの操作画面

撮影したトップショットから写真を切り出す操作画面

撮影したトップショットから写真を切り出す操作画面

画面長押しでフォーカスロックが可能

画面長押しでフォーカスロックが可能

iPhone

撮影ボタンを押したまま下にスワイプすると連写できる

撮影ボタンを押したまま下にスワイプすると連写できる

画面長押しでフォーカスロック(AE/AFロック)が可能

画面長押しでフォーカスロック(AE/AFロック)が可能

米屋さん 「動くものを撮るのでタイミングが難しいですが、トップショット(連写)機能を使うと後から選べるので安心です。僕はベストタイミングで1ショット入魂! にロマンを感じますけど(笑)」

一般車両も特急列車も、走っているのにくっきりきれい!

一般車両も特急列車も、走っているのにくっきりきれい!

一般車両も特急列車も、走っているのにくっきりきれい!

成功例たちはこちら。周りに余計な障害物が入らず、電車全体にピントが合っていて、線路の上を悠々と走る電車の姿が写し出されています。さすが、お見事です!

さて、ここまで停車中電車と動く電車の撮影テクニックを見てきましたが、ここからは応用編。次のページでは、街中で電車を見かけたときに、風景とうまくマッチさせながら撮る方法について見ていきます。

撮影シーン③ 電車と景色が一体になった「風景写真」を撮ろう

電車そのものをカッコよく撮るだけでなく、電車のある風景を写すのも鉄道写真の楽しさ。ロケーション選びのコツと、米屋さんおススメの構図を教えてもらいました。

米屋さん 「電車はその車体の長さを見せないと形としての魅力が薄れてしまうので、できるだけ車両全体が写る場所がいいですね。線路をまたいで架かった橋があると、良い写真が撮れることが多いです。歩道があって安全に撮影できる場所を探して撮ってきました」

電車×風景が映える! おススメのロケーションと構図の作り方3選

① ビルと電車のマリアージュ

① ビルと電車のマリアージュ

米屋さん 「左上のビルと、右下の赤い丸の内線の対照的な構図がきれいなスポット。ビルの高さと合わせるために、電車が少し走り出してから撮ったのがポイントです。ちなみに、現場には金網があったのですが、スマホはレンズが小さいので、金網越しから撮るのにもってこいです」

② 複数の路線と川が都会的

② 複数の路線と川が都会的

米屋さん 「左右に線路があり、真ん中には川、周りには都市圏らしいビル景も広がるという奇跡の構図。奥にはアーチ形の橋があり、運がよければその上に電車が通ることも。晴れの日は車体に影がかかりやすいので、日差しの弱い曇りの日に撮るのが実はおススメなんですよ」

③ 大迫力の新幹線を楽しむ画角

③ 大迫力の新幹線を楽しむ画角

米屋さん 「線路に架かる橋の上から新幹線を撮影。ビルを生かしたかったので縦位置にして、広角にしすぎないことで電車の存在感も出せます。ビームの影が車体の良い部分とかぶらないように位置を調整するのがポイントです」

撮影テクとロケ地選びのイメージをつかめれば、あなたはもう立派な鉄道写真家。最後に、プロの写真家でも難しいという、ハイスピードで走る電車を疾走感たっぷりに収める「流し撮り」に挑戦してみましょう!

撮影シーン④ 疾走感のある「流し撮り」にチャレンジ!

最後は「流し撮り」のコツをご紹介。シャッタースピードや明るさを調整して、走る電車の疾走感を表現します。プロでも難しい技ですが、上手に撮れたときのうれしさはひとしお。米屋さんの技を伝授していただきましょう。

NDフィルターは必須アイテム

カメラは「シャッター速度」「絞り」「ISO感度」の3つを調節することにより、カメラのセンサーが受ける光量を調整しています。流し撮りを成功させるカギはこの中の「シャッター速度」。シャッター速度を遅くすると電車の背景がザザッとした残像っぽくなり、疾走感をプラスできるというわけです。しかし、単にシャッター速度の調整だけでは流し撮りは難しい、と米屋さん。

米屋さん 「明るい時間帯にシャッター速度を遅くすると、絞りとISO感度を調整して光量を減らしたとしても、センサーの許容量をオーバーするため、画面が真っ白になってしまいます。そこで必須なのが『NDフィルター』という黒いレンズ。いわばサングラスのように光量を減らすもので、これをレンズの前に取り付ければ、シャッター速度を遅くしつつも画面の明るさを適正化できます。つまり、流し撮りには必須アイテムです。スマホレンズに装着できるものも売っているみたいですよ」

NDフィルター装着前

NDフィルター装着前

NDフィルター装着後

NDフィルター装着後

スマホに装着できるNDフィルターは、Yahoo!ショッピングで探してみましょう!

NDフィルターを探す

電車と一緒にスマホを動かしながらシャッターを切る

流し撮りをするときのスタンバイ位置は電車の真横、できれば目の高さに電車が走る場所がベストです。ポイントは背景に木々や建物など、何かしらのモノを配置すること! 疾走感をプラスするために、走行中の電車の背景に変化を付けられる場所を選びましょう。

米屋さん 「電車が走ってきたら、電車の動きに合わせてスマホを動かしながら、画面の中の良い位置に先頭が来たところでシャッターを切ります。シャッターを押すときにもスマホは動かし続けましょう。成功すると、電車の先頭にだけピントが合いつつ、背景はサーっと流れているという、疾走感あふれる1枚が撮れます」

電車にはピントがあっているのに、背景はすごい疾走感!

電車にはピントがあっているのに、背景はすごい疾走感!

米屋さん 「シャッタータイミングが難しいですが、何度か撮ると感覚がつかめると思います。特急や新幹線など、走行速度が速い車両であればあるほど、カッコいい写真が撮れますよ!」

好きな車両を風景とともに残せる鉄道写真。安全とルールを守りながら、すてきな1枚を収めてみてください。

電車と一緒にスマホを動かしながらシャッターを切る

(掲載日:2025年3月18日)
電車の写真:米屋こうじ
その他写真:大崎あゆみ
文:井上麻子
編集:エクスライト

最新のスマホもチェック!

最新のスマホもチェック!

ソフトバンクでは、停車中の電車も高速で動く電車もキレイに撮れる、スマートフォンを多数ラインナップしています。

スマートフォン製品ページ