目前に迫る「脱・紙文化」。電子帳簿保存法改正のポイントをご紹介

2022年1月27日掲載

目前に迫る「脱・紙文化」。電子帳簿保存法改正のポイントをご紹介

2022年1月1日に電子帳簿保存法の改正が施行され、2年後の2024年には、電子的に授受した取引情報を紙に出力して保存することが禁止される予定です。今回の法改正で電子保存を導入する際の「税務署長の事前承認」が不要になるなどの見直しが行われたことから、電子保存を導入しやすい環境が整備され、本格的に「脱・紙文化」の下地ができたと言えます。

当ブログは、施行された電子帳簿保存法改正のポイントをご紹介します。今後、普及が進むことが予想される電子保存への対応を検討している方はぜひ一読ください。

目次

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、備付けや保存が義務付けられている帳簿や書類を「一定の要件の下でデータ保存」を容認する法律です。簡単に言えば、帳簿や書類を紙で保存するだけでなく、電子データで保存することを認めた法律です。電子保存ができれば原本となる紙の書類は不要となり、保存スペースを確保する必要もなくなります。さらには整頓作業も容易になるため、大幅に業務を効率化できます。

保存方法は3種類

電子帳簿保存法上、電子書類の保存方法は大きく3つに区分されます。法改正のポイントの前にこの区分を理解しておくことをお勧めします。

① 電子帳簿等保存

電子帳簿等保存は、自らが電子的に作成した帳簿や書類を一定要件の下、電子データのまま保存する方法です。例えば以下のようなケースが挙げられます。

・会計ソフトなどで作成した帳簿(総勘定元帳・仕訳帳など)

・電子的に作成した国税関係書類(契約書・請求書など)

② スキャナ保存

紙で受領または電子で作成し紙で出力した書類を一定要件の下、電子データで保存する方法です。例えば以下のようなケースが挙げられます。

・紙の領収書をスキャンしたり、スマートフォンで撮影して電子データとして保存したもの

・PCで作成した書類を紙に出力し、スキャンしたり、スマートフォンで撮影して電子データとして保存したもの

③ 電子取引

電子的に授受した取引情報を一定要件の下、電子データのまま保存する方法です。例えば以下のようなケースが挙げられます。

・取引先から注文書や領収書の取引情報をメールで授受したもの

・Webサイトから契約書や領収書などの取引情報をダウンロードしたもの

 

電子帳簿保存法上の区分 (イメージ)

電子帳簿保存法改正のポイント

今回の法改正で大きく変わったポイントを3つご紹介します。

① 税務署長の事前承認制度が廃止

電子帳簿等保存・スキャナ保存を導入する場合は、原則3ヵ月前までに税務署長へ申請をし、承認を受ける必要がありました。しかし、今回の法改正でこの承認が不要となりました(電子取引は以前から不要)。非常に手間のかかる申請がなくなったことで「脱・紙文化」のハードルが下がったといえるでしょう。

② 紙の保管が不要に(紙原本をスキャン後すぐに破棄できる)

紙の原本とスキャナ画像との同一性を担保し、改ざんを防止する観点から、原本とスキャナ画像が同一であることを社内や税理士がチェックする必要がありましたが、改正後はこの同一性のチェックが不要となりました。これにより、紙で保管していた原本は不要となり、スキャン後すぐに廃棄できるようになりました。(一定の要件を満たしている場合)

③ 罰則規定の強化

スキャナ保存・電子取引に関して、税務処理上の不備があった場合のペナルティーが重くなりました。具体的には、隠蔽や仮装された事実があった場合、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%加重されます。

法改正に対応するサービスの検討

電子保存は紙の書類の保管にかかる手間やスペースをなくすだけでなく、書類を手入力することで起こるミスを防いだり、経費申請のための出社や帰社をなくすことができ、業務効率化を実現させることができます。

また、2024年1月1日からは、電子取引で使用した電子書類を紙に出力して保存することが禁止される予定です。つまり、電子データで受領・発行した領収書や請求書は一貫して電子保管をしなければいけなくなります。いずれ電子保存への対応が必要になるのであれば2年後ではなく今から対応を進めてみてはいかがでしょうか。

電子帳簿保存法改正の詳細は国税庁のWebサイトをご確認ください。

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