その作業計画、休日出勤が前提になっていませんか?意図せぬ工期延長に陥らないため、知っておくべき建設業の2024年問題

2022年9月15日掲載

その作業計画、休日出勤が前提になっていませんか?意図せぬ工期延長に陥らないため、知っておくべき建設業の2024年問題

建設業は、工期に間に合わせるための休日出勤や業務時間後の報告書作成など、長時間労働のイメージが根強い業界です。事実、国土交通省「建設業における働き方改革」によると、建設業の年間実労働時間は他業界と比較しても高止まりしており、長時間労働が常態化してしまっていることが分かります。

しかし、そんな建設業界も2024年4月に大きな変化を迎えます。このタイミングまでに労働時間に関する課題を改善出来なかった建設事業社は、工期の延長やコストの増大、ひいては刑事罰の適用まで受ける可能性があるのです。

本記事では、2024年4月、建設業界にどんな変化が訪れるのか解説します。

目次

2024年4月から残業規制が適用

2019年より順次施行されている「働き方改革関連法」が、建設業界にも適用開始されるのが2024年4月です。以降「時間外労働の上限規制」が建設業界にも適用されることになります。

具体的な規制内容は以下の通りです。

  • 労働時間は原則1日8時間、1週に40時間まで
  • 36協定を結んだ場合でも時間外労働は原則月45時間、年360時間まで
  • 特別条項付き36協定を結んだ場合の時間外労働は年720時間まで(休日労働を含まない)
  • 一時的に業務量が増加する場合にも上回ることのできない以下の上限を設定
     a.時間外労働と休日労働の合計は、1ヵ月100 時間未満  
     b.時間外労働と休日労働の合計は、2ヵ月~6ヵ月平均で80時間以内
     c.月45時間の時間外労働を拡大できるのは年6ヵ月まで
  • 違反した場合、罰則(6ヵ月か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦)が科される可能性

参照:
https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/content/contents/000812940.pdf

 

例えば、これまで以下のような作業計画で現場を回していた場合は、上限規定を優に超えてしまうことになります。

<従来型の作業計画>
・勤務時間:最大11時間(3時間の時間外労働)
・月の作業日:20日

1ヵ月あたりの時間外労働時間:3時間×20日=60時間 (上限規定を15時間オーバー)

休日出勤を前提としていた場合も同様です。現状の工事は週6日の作業が基本ですが、2024年以降は週5日が基本になるといえるでしょう。

すでに「時間外労働の上限規定」の影響を受けた事例としては、愛知県に建設中の設楽ダムがあります。上限規定に対応するため作業計画を見直した結果、建設期間が8年延び、事業費も800億円増えてしまいました。

深刻な人員不足が継続

上限規定により不足する労働時間を補うための策としては、第一に人員増員を思いつくでしょう。しかし、追加人員確保も、かなりハードルが高い状況です。

厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況(令和2年12月及び令和2年分)について」によると、「建設の職業」の有効求人倍率は4.39倍、専門的・技術的職業として「建設・土木・測量技術者」の有効求人倍率は5.51倍となっています。職業全体における数値が1.03倍であることからすると、求職者1人に対してかなりの求人があることが分かります。つまり、求人をしてもなかなか人が集まらない状況が続いており、中でも技術職は特に人が集めにくい状況となっています。
また、総務省の労働力調査(2020年)によると、10年以内に高齢作業員が大量離職することは確実となっています。

現状すでに人材確保が難しい中、今後10年でさらに熟練労働者が減少していくという状況では、労働力不足を人員追加で補うことは相当難しいと言えます。

長時間労働問題を解決するには、生産性向上が不可欠

ここまで、表面化しつつある建設業の2つの危機「2024年問題」と「人員不足」について解説してきました。

労働時間が減り、かつ、人員も増やすことができないとすると、解決策としては、人員一人当たりの生産性向上しか選ぶ道はありません。では、生産性を高めていくには何から取りかかかればよいのでしょうか?

建設現場には、関係者間でのコミュニケーションが円滑でない、紙ベースでの報告書作成や伝票作業といった、アナログな環境に起因する課題がたくさん残っています。
アナログからデジタルへの切り替えによりこれらの課題を解決していくことができれば、現場の生産性向上が実現できます。

ソフトバンクは、デジタルツールを用いて現場の生産性を向上させるソリューションを幅広くご提案しています。建設現場の長時間労働解決に向けた第一歩として、ぜひ以下の資料をご確認ください。

2024年に向けた働き方改革

建設業界が直面する課題に対して「コミュニケーション」と「オペレーション」それぞれで、まずは手の届く範囲から、既存業務における負担を減らすためにどのようにデジタル化を取り入れるべきかを解説します。

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