BCPとは? 非常時に実行できる計画の策定方法もご紹介

2023年3月31日掲載

BCPとは? 非常時に実行できる計画の策定方法もご紹介

相次ぐ自然災害や新型コロナウイルス感染症などを背景に、BCPの重要性が増しています。しかし、具体的に何をすればよいか分からない会社経営者・総務担当者の方は多いと思います。BCPを曖昧に策定すると、非常時の損害が思いのほか拡大し、ひいては事業の継続が危ぶまれる可能性があります。そのため、事業継続計画(BCP)は、計画倒れに終わることがないように実効性が担保された対策を講じることが大切です。本記事では、BCPの内容や具体的な策定手順などの解説と、非常時に確実に実行できる計画の策定方法をご紹介します。

目次

BCP(事業継続計画)とは

BCPとは、「Business Continuity Plan」の頭文字をとった言葉で、企業が非常時の被害を最小限に抑え、事業が継続できるように対策や方法をまとめた計画のことです。
BCPは、日本では1980年代から議論が始まり、主にシステム分野での対策が取り組まれてきました。2011年の東日本大震災で多くの企業が被災・倒産に至ったことや、2018年の西日本豪雨、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大から、BCPの重要性は高まっています。非常時に倒産や事業縮小を余儀なくされることを防ぐためには、BCPを周到に策定し、スムーズに平常化できる体制を整えることが大切です。

BCP・BCM・防災の違い

BCMとは、「Business Continuity Management」の頭文字をとった言葉で、事業継続マネジメントのことを指します。「事業継続に向けた計画」であるBCPに対して、その体制を「マネジメントする」のがBCMです。BCPはBCMの一部であり、計画とマネジメントの両輪がかみ合わないと効果的な対策にはなりません。BCPと防災はよく意味が混同されがちですが、防災は災害を未然に防止し、人や建物、資産への被害拡大を防ぐことが目的です。一方、BCPは企業が災害にあった時の事業継続や復旧に重点が置かれている点が異なります。

BCPの目的・必要性

BCPの目的は、「中核となる事業の継続と早期復旧」です。この目的を達成するためには、普段からBCPを策定し運用していくことが重要です。いつ起こるかわからない非常時への備えを普段からしておかなければ、事業継続も早期復旧もおそらく不可能でしょう。事業の継続ができなければ、企業は取引先や顧客からの信用を失い、最悪の場合は倒産に至る可能性もあるため、BCPは企業のリスクマネジメントに必須であると言えます。また、BCP策定にあたり、自社分析による中核事業の特定、経営の強み・弱みを把握できる機会にもなるため、BCP策定には経営戦略見直しの機会提供という機能もあります。BCPも経営戦略も、検討・策定するだけでは不十分で、非常時に実行できるか、機能するかを定期的に確認することも大切です。

BCPのメリット

BCPには、「倒産・事業縮小の回避」と「企業価値の向上」の2つのメリットがあります。

倒産・事業縮小の回避
BCPのメリットとして真っ先に挙げられるのが、倒産・事業縮小の回避が見込めることです。現状、経営が順調な企業にとっては倒産など無縁に思われるかもしれませんが、非常時による倒産はどんな企業にも起こり得るリスクであることは間違いありません。

企業価値の向上
非常時に事業を継続できることは企業価値の向上につながり、顧客や取引先、その他関係各社からの信頼や高い評価を得られます。BCPをしていない企業の場合、非常時に事業継続できず、納品目処がいつまでも立たないため、顧客や取引先は別の企業との取引に切り替えるでしょう。これに対してBCPが万全な企業は、いつ頃を目処に通常業務が再開できるか、発注分の製品がいつ納品可能かなのかを早期に顧客や取引先へ連絡できます。また、BCPによる企業価値・評判の向上は、これから就職を考える学生へもよいイメージを与えることから、人材獲得競争の面でもプラスに働くことが想定されます。

BCPの策定手順

BCPの策定には大きく分けて6つの手順があります。

1,BCP基本方針の決定
まずは経営者がBCPの基本方針を決めます。最初にBCPで何を目指すのかを決めておけば、判断や優先順位に迷った際の対応を導きやすくなり、非常時に従業員一人一人が適切に動けます。BCPの内容は、企業の複数部門にまたがって関係するため、策定の際は社内にプロジェクトチームを編成して進めることが多いです。

2,BCPの優先順位の決定
複数の事業を展開している企業の場合、優先的に復旧する中核事業を決めましょう。その際、主観的な判断ではなく、売上高・利益・顧客数など複数の定量的な観点から検討することが重要です。中核事業の選定後、中核事業に必要な資源の洗い出し、目標復旧時間・レベルを設定して、BCPの優先事項を具体的に検討します。目標復旧時間・レベルについては、想定するケースよって異なる場合もありますが、ひとまず原則的な目標をこの時点で決めておくと後がスムーズです。

3,非常時の被害分析・BCP案の策定
非常時の中核事業の継続と復旧のために何が必要かを把握するためには、まずどんな被害があるかを知る必要があります。自然災害や感染症の流行、サイバー攻撃など起こりうるケースを想定し、想定したケースごとに中核事業の被害を分析します。被害を分析することで、中核事業が停止した場合に復旧時間がどの程度かかるかをシミュレーションでき、自社の財務体力も勘案してより具体的なBCP案の策定が可能です。BCP案の策定については、事業に必要な資源が被災して利用できなくなった場合、臨時従業員、資金、情報のバックアップなど資源の代替を確保する手段の検討が必要です。拠点の複数化や他企業との連携、アウトソーシングやテレワークなど、費用対効果と照らし合わせながら考えましょう。また、社員の連絡手段や指示系統の確立も、事前対策として不可欠です。

4,BCP発動基準・体制整備
BCPを策定するためには必ず、「BCPの発動基準」と「BCP発動時の体制・要員」を明確にする必要があります。発動基準が曖昧だと発動に時間がかかってしまい、損害が拡大する恐れがあります。また、非常時は冷静な判断が困難であるため、事前にチームを形成し、組織的に素早く動けるようにしましょう。誰が指示を受けて実際にどのような行動をするのか、細かい部分まで具体的に決めることで混乱を防ぐことができます。

5,BCPの文書化・社内周知化
最終的には、非常時に全従業員が共通の情報にアクセスできるよう、これまでに定めたBCPを文書化します。緊急時の対応手順を文書としてマニュアル化しておくことで、非常時にも社員がスムーズな行動を取りやすくなります。文書化に当たっては、中小企業庁が用意しているBCP様式類フォーマットを使用すると効率的に作成できるため、ぜひ参考にしてみてください。
参考:中小企業庁BCP策定指針

6,運用テストや定期的な見直し・改善
BCPの精度を上げるには、継続的にテストと改善が重要です。策定内容に沿ってテストすることで、BCPの内容に問題がないか検証しましょう。そこで課題を洗い出し、必要があれば都度計画を改善していきます。完成したBCPがうまく機能するかどうかは、非常時にならないと分からない点が多いかもしれません。しかし、BCPに対して意識を高めるためにも、非常時を想定したテストを継続的に行うことが大切です。また、BCPが非常時に実発動し収束した後は、問題がなかったかどうかをていねいに振り返り、新しい課題に基づいて計画を更新しましょう。

 

ここまで説明したBCPの策定手順をまとめると、以下のとおりになります。

・BCPで何を目指すのか決める

・優先的に復旧させる事業を決めておく

・復旧時間などをシミュレーションする

・非常時に誰が指示を受けてどのような行動をするのかを決めておく

・全従業員が共通の認識を持って行動できるように、策定したBCPをマニュアル化しておく

・非常時を想定したテストを継続的に行い、課題の洗い出しと計画の見直しを行う

BCP策定のポイント

BCPのポイントには、「命を守ることが最優先事項」「BCP簡易版マニュアルの作成」「非常時に強い情報共有ワークツールの導入」の3点が存在します。

命を守ることが最優先事項
BCPを策定する際、想定する非常時のケースや業種によって、BCPの内容は企業ごとにそれぞれ異なると思われます。しかし、BCP について考えるときに最優先されるべきポイントは、人命を守ることです。従業員の命と安全を第一に考えてから、その他の BCP を策定するようにしましょう。従業員の安否確認を速やかに行えるようマニュアルを作成したり、安否システムを事前に構築したりすることも大切です。

BCP簡易版マニュアルの作成
BCPは、非常時にどのような対策を講じて事業継続または復旧を目指すのかを整理した文書ですが、ボリュームも多く、非常時には不便である可能性が高いです。非常時に慌てず対応するためには、誰が何をするのかが簡潔にわかるような簡易版のマニュアルを用意しておくと効果的です。

非常時に強い情報共有ツールの導入
BCPの内容が平常時とあまりにもかけ離れている場合、非常時にスムーズな体制移行ができず、計画倒れに終わる可能性があります。平常時と非常時とを区分する意識を捨て、非常時でも平常心で問題なく使えるシステム・体制を構築する方が、従業員の負担も軽く実効性が担保されやすいでしょう。社内の多くの部署が関係する中核事業を守る観点、従業員の命を守る観点双方で効果を発揮するのは、「非常時に強い情報共有ツールの導入」です。災害や事故にあった際、従業員に対する速やかな安否確認や連絡が必要ですが、普段利用しているメールはサーバに負担がかかり、非常時は利用できないことがあります。非常時でも円滑に連絡のとれる情報共有ツールの導入が、実は一番のBCPなのです。

非常時にも使える情報共有ツールで万全のBCPを!

BCPは策定して終わりではなく、運用テストや定期的なメンテナンスを経て、「確実に実行できる計画」に仕上げることが大切です。そのために、非常時から平常時へのシームレスな体制移行ができるよう、非常時に強い情報共有ワークツールの組み込みが有効です。リモートワークが定着した今では、便利なワークツールが数多く登場しているため、BCPに効果的なワークツールの選定は大きな課題といえるでしょう。

ソフトバンクではBCPにおススメのサービスとして、下記のサービスをご提案しています。

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「衛星電話Thuraya」はネットワーク設備が被災している地域、あるいは非常時にアクセスが集中してつながりにくい地域においても影響を受けずに荷電ができるので、各拠点からの情報を確実に集約できます。大規模災害によって携帯電話の基地局が被災し、携帯電話やスマートフォンなどのモバイルネットワークが使えなくなった場合の対策になります。

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安否確認機能と社内コミュニケーションツールがセットになった「WowTalk」(ワウトーク)は、通話やチャット、掲示板など複数の連絡手段を利用できる社内コミュニケーション機能に加え、非常時に利用する安否確認機能も一つのサービスで利用できます。社内連絡として日常的に利用できるため、緊急時にも使い方に困ることなく確実に安否確認を実施できます。また、インターネットにつながっていればスマートフォンやPCを利用してどこからでも情報共有、安否確認が可能です。

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