地域金融機関向けDXセミナー開催レポート

2023年11月27日掲載

地域金融機関向けDXセミナー開催レポート

全国の地域金融機関では、近年DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが求められています。そのような金融機関の方々に向けて、2023年11月9日に「地域金融機関向けDXセミナー」をソフトバンク竹芝本社で開催しました。当日は、最先端のテクノロジーが体験できるEBCツアーの見学や、りそなグループやソフトバンクによる講演、金融機関どうしでの交流会が行われました。ここではセミナーの一部をご紹介します。

目次

りそなグループの顧客体験価値向上の取り組み

セミナーの一つ目は、FinBASE(フィンベース)株式会社 代表取締役、株式会社りそなホールディングス/株式会社りそな銀行 DX企画部 グループリーダー 大田大二郎さまによるりそなグループの顧客体験価値向上について講演が行われました。

FinBASE社設立の経緯について語る大田氏 FinBASE社設立の経緯について語る大田氏

近年、多くのフィンテック企業が金融業界に参入するなど金融業界を取り巻く環境は大きな変化が訪れており、非常に危機感を持っていると大田氏は述べました。

 

「お客さまの価値観はモノ消費からコト消費へと変化しており、金融機関としてお客さまに価値ある体験を提供していかなければ評価していただけないとの思いがありました。

その思いから、数多くの参加者が集うことでオープンイノベーションが促進され、競争力のある新たな商品・サービスが持続的に生まれる『金融デジタルプラットフォーム』を立ち上げ、その構想を加速させるためにFinBASEを設立しました。

金融デジタルプラットフォームをご利用いただいたときのメリットですが、『利用企業さま』においては、自社で単独開発するよりも人的リソースや開発コストなどを最小限に抑えて、スピーディにお客さまに多種多様なサービスを提供することができるようになります。また、『機能提供企業さま』においては、単独では接点をもつことができなかったお客さまにリーチすることができるようになり、幅広い企業やその先のお客さまへの機能・サービス提供が可能になります」

金融デジタルプラットフォーム概要

りそなグループでは、個人分野における既存のお客さまのうち実際に会えるお客さまは1割程度であり、残り9割のお客さまにどうやって接点を取っていくかという点に課題がありました。

「会えないお客さまと接点をとることで、お客さまのニーズを把握・課題を解決し、顧客価値の創造を地道に続けていくことが重要です。

そのため対面チャネルだけでなく、非対面チャネルにおいてもしっかりとした価値を提供し、お客さまにチャネルを自ら選らんでいただくことが、これからの時代には必要だと思っています。そこで我々は、スマートフォンのアプリを中心に据え、HP(ホームページ)やコンタクトセンター、メール、TV電話、Chat、SNSなど、さまざまな非対面チャネルと連携しOne to Oneマーケティング実践しています」

2018年2月にりそなグループアプリをリリースし、外部機関からも高い評価を得ていると言います。

りそなグループアプリ

「使い勝手の良さにこだわってきた結果が、現在の評価に繋がっていると思います。例えば、ネット上の反応に対してお客さまに返信したり、改善策をすぐに取り入れたりといった地道な活動の結果が今の形になっていると思っています。

アプリには3つの提供価値を置いています。

一つ目が日常使いで使ってもらうためにフルバンキングの機能を提供していることです。
二つ目はいつでも・どこでも・簡単便利という点です。操作性において直感的なサービスでないとお客さまには使っていただけないと思っています。
そして、三つ目は気づきや発見などの新しい価値の提案です。特別な用事がなくてもアプリを覗いてみようと思っていただけるような仕掛けづくりをしています」

りそなグループアプリの提供する価値

そのために、ワンタップで取引が完結するようにしたり、例えば積立定期の項目名を「○○ちゃんの大学費用」とカスタマイズできるようにしたり、搭載した家計簿機能ではAIで分析し、お客さま一人ひとり違うコメントになるようにこだわって設計していると述べました。

結果として、チャネル別の利用者数(DAUの月間平均)は約700万DL(2023年9月末時点)に達しています。

スマートフォンの普及率が9割を超えると言われている昨今、若年層だけに限らず高齢者の方々も使われている中で、金融機関としてお客さまに評価されるアプリを提供することは必要不可欠であり、継続的な改善を続けていくことが重要だと大田氏は語りました。

銀行業界における非対面保険サービスの活用と将来展望

続いて、ソフトバンク株式会社 フィンテック事業推進部 DXコンサルティング課 課長、リードインクス株式会社 カスタマーサクセス本部 DXコンサルティング部 部長 田口智章による講演が行われました。

田口によるリードインクス事業概要のご紹介 田口によるリードインクス事業概要のご紹介

リードインクス社は保険のデジタル化を進める目的で発足し、保険会社には売り場の拡大、保険代理店となる事業会社へは付加価値向上のための保険販売を支援するとともに、システム開発やコンサルティングを行っています。

リードインクスが支援している保険商品の中で代表的なものが、ソフトバンクのグループ企業の一つであるヤフー株式会社(現 LINEヤフー株式会社)が展開するYahoo! JAPANのサービス上の小口保険や、キャッシュレス決済サービス「PayPay」のミニアプリ上で提供中の小口保険で、累計加入件数は400万件を超えています。(2023年8月時点)このような取り組みで得られた知見を皆さまに提供できるのではと田口が語りました。

「非対面保険サービス(デジタル保険)の導入により、アプリやWebを通じて、新しい保険へ『簡易に入れる』という優れた顧客体験を生み出すことができるのでないかと思っています」

非対面保険サービスの種類や若者の傾向についても続けました。

「非対面保険サービスには、アプリやWeb上で保険商品を並べるマーケットプレイス型、複数の保険会社の保険料や補償内容を比較して、ユーザが適切な商品を選択できる比較型、旅行などのサービス申込時に、保険にも同時に申し込むことができるシナリオ型があると定義し、キャッシュレス決済サービス『PayPay』のミニアプリにおいてはマーケットプレイス型、Yahoo! JAPANのサービス上においてはシナリオ型の保険を中心に取り組んでいます。

若年層では、保険の加入チャネルとしてWebなどのデジタルチャネルを好む傾向が見て取れます。非対面保険サービスは、今後マーケットが拡がっていくことも予想されており、我々としては、旅行の申し込みや家電購入時などのさまざまなサービスに保険販売の動線を設置して、簡単で分かりやすく保険に加入できる仕組みをつくっていくことが重要だと考えています」

非対面保険サービスの定義

「また、データ活用として、例えば、性別・年齢・子あり世帯などの属性データに加え、契約前後にどの保険商品のページに流入・離反したかなどの行動データを分析することが重要です。属性データと行動データを組み合わせて分析することで、どのようなお客さまであれば、どういった施策で認知をして、何の商品を購入するのかという具体的な仮説が立てられます。実際にそれらの仮説を踏まえて、マーケティング施策やユーザインターフェース(UI)の改善を行っていきます。例えば、特定の商品ページで顧客が離反している傾向が強ければ、原因を分析して、アプリやWebのユーザインターフェース(UI)改善を行います。このように、データに基づいてサービス改善のサイクルを回すことが重要ではないかと考えています」

この後、他社の非対面保険サービス事例や、リードインクス社が提供する「Fusion(フュージョン)」というデジタル保険システムについても触れ、Fusionの導入によって短期間でさまざまな保険商品の展開が可能になる、と説明しました。

Fusionのご紹介

開催を終えて

実施イベントアンケートは満足度100%(大変満足、満足)となり、「顧客体験を向上させたい」という意見も多くありました。ソフトバンクでは全国の金融機関さまのDX化に向けてサポートを実施しています。ぜひソフトバンクへご相談ください。

 

P.S.おまけ

会の最後には交流会も実施され、笑顔でコミュニケーションをとりながら多くのネットワーキングが構築されました。次回開催の際はぜひ皆さまお越しください。

懇親会

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DX with SoftBank


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ITを駆使してさまざまな業界における社会課題やビジネス課題を解決へと導く。働く人々の問題も、人々の生活も、よりよい方向へ社会が進むよう、ソフトバンクではさまざまなDX事業を推進しています。

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