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自宅でコールセンター業務を行う「在宅コールセンター」はコロナ禍をきっかけに急激に検討が進みました。当初は、「オペレータの感染防止」や「ソーシャルディスタンスの確保」が目的でしたが、現在では「多様な働き方への対応」「優秀な人員の確保」の手段として目的が変化しています。本ブログでは、在宅コールセンターの概要やメリット、導入方法について、コールセンターの現状に詳しいビーウィズ株式会社の形柳氏に解説いただきました。
ビーウィズ株式会社
経営企画部 部長
在宅コールセンターとは、自宅でオペレータが電話対応をする形態のコールセンターのことです。コールセンターにも複数の形態があり、ここでは2と3が在宅コールセンターに該当します。
完全在宅やハイブリットなどの形態がある在宅コールセンターですが、センター型のコールセンターと比較して複数のメリットがあります。
センター型のコールセンターでは、「センターに通える距離に住んでいる人」という採用条件があるため、採用が可能な母集団が少なくなります。一方、在宅コールセンターでは居住地を選ばず母集団の形成ができるため、全国から応募を受けることが可能です。
また、求人情報タウンワークの「コールセンター求人掲載件数」を当社(ビーウィズ社)で調べたところ、在宅コールセンターの求人数はコールセンター求人数全体のおよそ2%しかありませんでした(2023年9月時点)。在宅勤務で働きたいオペレータは多いものの、受け入れ可能なコールセンターは少ないというのが実態です。そのため、在宅勤務が可能なコールセンターは企業にとって人員を選びやすい点で優位性があると言えるでしょう。
当社コールセンターでは、全く同じ業務・条件であっても、「在宅勤務を可能にしただけ」でおおよそ応募数が10倍ほどに増えた実績があります。業務によっては20倍、30倍のケースもあります。そのため、センター型のオペレータは応募者が少ないため1回の面接で採用可否を決定しているところを、在宅型オペレータでは、説明会→書類選考→面接と3回のステップを踏んで決定しています。これは応募数が圧倒的に多いことから、厳選した採用を可能にしているということです。
コロナ禍による「オペレータの感染防止」のためにはじまった在宅コールセンターでしたが、コロナ禍以降も「夫の転勤で引越しをしないといけないが、仕事を辞めたくない。在宅で仕事を継続できないか」「介護のため長期の休みが必要だが、在宅であれば夜の数時間だけシフトに入ることができるので、在宅で働きたい」など、オペレータからの在宅要望が出てくるようになりました。
オペレータの退職理由はさまざまですが、上記のような「物理的にセンターに通うことができない」というような場合、当社では、在宅勤務が可能なセンターにおいては、在宅型にすることで勤務を継続することを面談の中で提案しています。
このようなオペレータにとって働きやすい環境を整備することで、結果として、在宅(ハイブリット型含む)型のコールセンターでの退職率は、センター型のコールセンターと比較して約半分で推移しています。
1990年代から2000年代前半にかけて、飲食業や小売流通業を中心に24時間365日稼働するサービスが増えてきました。そのころは24時間365日営業であるコンビニエンスストアが店舗を休業するという話はほとんどありませんでした。しかし、東日本大震災以降はコンビニエンスストアであっても、台風などを含めた自然災害によって交通機関の乱れが想定される場合、従業員の安全性確保のため休業することが多くなっています。
コールセンターでも同様の傾向があり、翌日に大きな台風の接近が予想される場合などには、事前に営業休止の決定が下されることが増えてきました。従業員の安全確保においては、大変良いことです。一方、台風のような悪天候だからこそお問い合わせが増加するライフライン系のコールセンターや、コールセンターでの受注売上が全社の売上の大半を占める通販会社などは、コールセンターを止める決断をすることは簡単ではありません、
そこで有効なのが、在宅コールセンターです。あらかじめ全従業員に在宅用のパソコンを配布しておき、有事の場合は在宅で対応できるようにするなど、BCPを目的とした在宅コールセンターの導入も増えています。在宅勤務を可能にすることで、コールセンターを止めずにオペレータの安全を確保することができます。
ここまで、在宅コールセンターのメリットについて解説しました。しかし、在宅コールセンターをはじめるにあたっての課題(壁)も存在します。
1つ目の「導入の壁」は、主に在宅コールセンターをはじめる際のシステム上の課題です。
2つ目の「運営の壁」は、遠隔地でのオペレータの教育やフォロー、勤怠管理、紙のマニュアルのデータ化など運営上必要となる壁です。
3つ目の「高度化の壁」は、在宅コールセンターを行いながら日々の業務運営をどう改善していくかということです。
本記事では、1つ目の壁である「導入の壁」の突破方法について解説します。
在宅コールセンターをはじめようと思ったときに初めに遭遇する「導入の壁」では、オペレータが自宅でも業務を行える環境を作るためには企業としてシステム面を整える必要があります。大きくは「PBX」「閉域網」「セキュリティ」の3つのポイントに分けられます。それぞれ、見ていきましょう。
「PBX」とは、Private Branch eXchangeの略です。 企業の拠点内に設置し、IP電話などの外線の発着信の制御や内線電話の接続をコントロールする構内交換機のことです。いわゆる、電話の受発信や転送、保留にするシステムを指します。PBXには、「オンプレミス型」と「クラウド型」が存在します。以下の図を見ていただくと分かるように、オンプレミス型では物理的な機器をオフィス内に置く必要があるため、在宅コールセンターには向いていません。在宅コールセンターにおいては「クラウド型PBX」の用意が必要になります。
クラウドPBXやCRMシステムにアクセスする際、オペレータは自宅のインターネット回線から会社のネットワークにアクセスする必要があります。しかし、不特定多数のユーザが利用しているインターネット回線で会社のネットワークに接続するのは、企業の機密情報や顧客情報、個人情報などの重要情報の漏えい事故が心配です。
そこで、重要になるのがこの「閉域網」です。閉域網は、文字どおり「閉じられたネットワーク」のことです。自宅のインターネットが「誰でも通れる一般道」ならば、閉域網は「限られた人しか通れない専用道」に例えることができます。閉域網は、通信キャリアやデータセンター事業者がサービスとして提供しています。例えば、東京の拠点と大阪の拠点を閉域網で接続した場合、拠点間の通信は閉域網の中だけで完結させることができ、インターネットを経由しません。もちろん、閉域網を導入した企業でも、外の世界=インターネットに接続する必要はあることが多いため、閉域網からインターネットの世界への出入り口を限定して運用することで、効率よく管理しつつセキュリティを確保するわけです。
近年は、クラウドサービスの利用やテレワークなどの業務環境の変化など利便性があがる一方で、標的型攻撃をはじめサイバー攻撃も日々進化し、企業におけるセキュリティリスクは拡大しています。そこでEDRと呼ばれる対策を行うことが求められてきました。
「 EDR(Endpoint Detection and Response)」は、エンドポイントへの脅威は防ぎきれないという前提のもと、不審者がネットワーク環境内で悪意ある活動をしていないかを監視し、クラウド上のAIエンジンにより情報を分析することで、脅威を検知するサイバーセキュリティプラットフォームのことです。EDRを利用し、ネットワークへの攻撃を詳細を素早く検知・処理をすることで業務への影響や被害を最小限とどめることが可能となります。
当社では、近年のマルウェアの高度化や巧妙化、被害の深刻化も踏まえ、ネットワークセキュリティ対策としてエンドポイント上で発生する事象を検知するため、従業員の使用するすべての業務用端末約8,000台にEDRを導入しています。
今回は在宅コールセンターの概要と導入について、ビーウィズ社形柳氏より説明いただきました。
コロナ禍では、コールセンターが企業とお客さまをつなぐ、社会インフラとして重要性が再認識されました。そのような中、在宅コールセンターは労働力人口が減少していく日本において、人員を確保する有効な手立てです。在宅コールセンター実現するための3つの壁を乗り越え実現した先には、採用コストの削減、離職率低減による補充人員の削減による研修費、採用費の削減など大きなコストインパクトを見込むことができます。
ソフトバンクでは、お客さまにあわせた多種多様なご提案が可能です。ぜひこのブログを参考に在宅コールセンター導入をご検討してみてください。
在宅コールセンターは、従業員の多様な働き方に対応するだけでなく、全国各地から優秀な人材を確保する手段としても注目されています。本資料では、在宅コールセンターの導入に向けた「環境づくり」に焦点を当ててご紹介します。
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