【One Tech #01】サイバネティック・アバター基盤の構築と関連技術の動向について解説してみた!

2022年10月17日掲載

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皆様こんにちは!コンシューマIT本部の小野です。
今回から【One Tech】という連載企画が始まります。

【One Tech】とは、様々な部署・職種のエンジニアが世の中にある様々なIT関連のキーワードや流行の1つに着目し、独自あるいはその職種ならではの視点からIT関連の技術用語やトレンドについて執筆していく連載企画です。

今回は私、小野が【サイバネティック・アバター】というキーワードに着目し、サイバネティック・アバターについての説明をしつつ、関連する情報の提示することで実現が期待される未来社会について解説することにしました。

目次

  • この記事はサイバネティック・アバターについてご存じない方向けに、興味を持って貰えるように記事を書いています。
  • 新たな技術革新を目指すサイバネティック・アバターの研究に関する概要を把握することができます。

サイバネティック・アバターとは

「サイバネティック・アバター」は「身代わりとしてのロボットや 3D 映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張する ICT 技術やロボット技術を含む概念」のことであると定義されています。これはSociety5.0時代のサイバー・フィジカル空間で自由自在に活躍するものを目指しているとされています。

そもそも「アバター」の語源は、ヴィシュヌ神の「アヴァターラ(化身という意味)」を意味するサンスクリット語に由来します。この言葉に着想を得て製作されたのが、ジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター(Avatar)』であるとされてます。つまり「アバター」という用語は、「自らの分身」という意味合いで用いられることが多いですが、語源から推測するには「神の分身(化身)」が本来の意味であるといえます。

また「サイバネティクス(Cybernetics)」という用語は「ヒトと機械における制御工学と通信工学を統一的に認識した学際的学問領域」を意味し、アメリカのノーバード・ウィーナーが提唱した用語で、ギリシャ語の「舵手」から着想を得たとされています。

つまり、サイバネティック・アバターは「ヒトと機械を統一的に認識した化身」を意味すると言えます。

研究開発におけるサイバネティック・アバターの立ち位置

サイバネティック・アバターに関する研究開発について説明する際にはムーンショット型研究開発制度について説明しなければなりません。

ムーンショット型研究開発制度は、”我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進する国の大型研究プログラム”で、以下の9つの目標が設定されています。

内閣府公式Webサイトより引用

サイバネティック・アバターは、この中の目標1「2050 年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」における柱となる存在であり、これによってサイバネティック・アバター基盤の構築とサイバネティック・アバター生活の実現が期待されています。

サイバネティック・アバター基盤

サイバネティック・アバター基盤の構築に期待されているのは、「2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発すること」であり、そのために「2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築すること」が期待されています。

サイバネティック・アバター関連技術と動向

サイバネティック・アバター基盤の構築には、材料・ロボティクス・AI・ライフサイエンスなどの様々な研究分野において技術的な研究開発が求められるだけでなく、これらの研究開発成果を統合する必要があり、挑戦的な研究開発が期待されています!

研究開発構想「ムーンショット目標1」 (PDF)より引用

また関連する技術の動向についてですが、汎用的な共通技術を基本として、身体・脳・空間・時間の制約を軽減し、あるいはこれらの能力を更に拡張・強化するための応用的な技術と、それらを利用したシステムやサービスが社会に提供されてきたという歴史がそもそもあります。

研究開発構想「ムーンショット目標1」(PDF)より引用

 

これらの様々な研究開発分野の中で特に重要なのが、計算脳科学・機械学習の新理論、それらの理論に裏付けされた高度な開発が必須とされています。またヒトと関わるサービス的観点が必要な技術革新であることから、ソフトロボティクスや生物規範型ロボティクスなどの基礎的な研究領域がより重要であるとされています。

サイバネティック・アバター社会

サイバネティック・アバター社会では、誰もが自由にデザインできる「もう1つの身体」を手に入れることができて自分の能力を最大限に発揮できるようになります。さらに他者の技能や経験をもらいながら、障がいや年齢、得意不得意関係なく、自由に活動できるようになることが期待されています!

サイバネティック・アバター生活でできることの事例として、以下のようにイラストで描かれています。

JST note記事より引用

このイラストからも、サイバネティック・アバター生活では、能力を最大限に発揮しながら、多様な人々の多彩な技能や経験を共有できることがわかりますね!めちゃくちゃ楽しそうです!

まとめ

今回はサイバネティック・アバターについて解説していきましたが、いかがでしたでしょうか?

サイバネティック・アバターには様々な技術革新が必要であることがお伝えできたと思いますが、同時に複数の身体を持つことができるようになることで、社会における”あたり前”が変わり、肉体に対する倫理観変化し、そもそも我々ヒトがサイバネティック・アバターをどのように扱っていくのか注目していきたいです!

次回の【One Tech】もお楽しみに〜!

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