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皆さま、こんにちは。 ソフトバンクの結城です。
Virtual Private Cloud (VPC)で新機能のVPC Peering Connectionが追加されましたので、紹介します。
VPC Peering Connectionは2 つのVPC間を接続するプライベート ネットワーク接続サービスです。機能としては、Alibaba Cloudの異なるVPC同士を接続することができ、なおかつ異なるアカウントのVPCやリージョン同士も接続することができます。(同一アカウント、リージョンのVPC同士も接続することが可能です)
VPC Peering Connectionでは、リクエストを送信する側を『requester』、リクエストを受信する側を『accepter』と呼んでいます。
また、VPC Peering Connectionでは以下の制限(上限)があります。制限についてはクォータ管理ページで上限を変更することができます。
機能 | 制限 |
---|---|
各VPC でサポートされる VPC Peering Connectionの最大数 | ※10 |
Alibaba Cloudアカウントでサポートされる各リージョンのVPC Peering Connectionの最大数 | ※20 |
国境を越えた接続でサポートされる最大帯域幅 | ※1024Mbps |
リージョン間接続でサポートされる最大帯域幅 | ※1024Mbps |
※上限をクォータ管理ページで変更可能
VPC Peering Connectionがリリースされる前には、異なるVPC同士を接続するにはCENを使って接続する方法、またはIPsec-VPNを使って異なるVPC同士を接続する方法の2つがあり、異なるVPC同士を接続するには、料金が発生していました。
新機能のVPC Peering Connectionでは、異なるリージョン間の通信であればデータ転送料金が発生しますが、同一リージョン間の通信であればデータ転送料金が発生しないので、利用しやすくなります。
VPC Peering Connectionを使って異なるリージョン同士を接続する場合、Cloud Data Transfer (CDT) によって課金が管理されます。
CDTの詳細については、What is CDT?をご参照ください。
※VPC Peering Connectionで異なるリージョンのVPC同士を接続した場合、リージョン間の通信料金が発生します。
現在、異なるVPC同士の接続方法は以下の方法があります。
VPC Peering Connectionは、異なるVPC同士を接続する機能です。異なるVPC同士を接続する設定方法がシンプルで、なおかつ課金項目が1つであるため、料金計算も分かりやすい特徴があります。
CENは異なるVPC同士の接続ができることをはじめ、Alibaba Cloudのさまざまなネットワークリソースと接続することができます。
高度な構成(複数のVPC間やオンプレミス環境を接続する大規模な構成など)を実現することに向いています。
VPN GatewayのIPsec-VPNの機能を利用して、異なるVPC同士を接続することができます。VPC Peering Connectionが追加される前までは、異なるVPC同士を接続するための方法の1つでした。設定方法が複雑でVPC Peering ConnectionやCENを使って異なるVPC同士を接続する方法と比較をするとメリットがあまりありません。
異なるリージョンVPC / 同一リージョンVPC同士の接続を行い、複数のネットワークリソースと接続する場合はCENを選ぶとよいでしょう。
一方、ネットワークリソース(VPCを除く)には接続せず、異なるリージョンVPC /同一リージョンVPCのみを接続したい場合は、VPC Peering Connectionを選ぶとよいでしょう。
VPC Peering Connectionを使って同一リージョンに属する2つの異なるVPCを接続する方法についてご紹介します。今回は、接続テストにECSを使って双方でpingを実行し、接続を確認します。利用プロダクト、環境情報については以下の通りです。
東京リージョン
Virtual Private Cloud (VPC)
Elastic Compute Service (ECS)
<VPC A>
CIDR Block : 10.0.0.0/16
vSwitch CIDR Block : 10.0.1.0/24
<VPC B>
CIDR Block : 192.168.0.0/16
vSwitch CIDR Block : 192.168.0.0/24
ECS : CentOS 7.7 (共通)
<環境詳細>に記載があるCIDR BlockでVPC, vSwitchを作成します。作成後、2つのVPCに作成したvSwitchのCIDR Blockに1台ずつECSインスタンスを作成します。
※今回はECSに外部からSSHログインするため、グローバルIPを付与しています。ECSにグローバルIPを付与することは必須ではありませんので、任意でご設定ください。
作成したECSのセキュリティグループで通信先のvSwitch CIDR Blockを許可します。
<VPC A (10.0.0.0/16)に作成したECSの設定>
Action : Allow
Protocol Type : All ICMP(IPv4)
Port Range : Dest-1/-1
Authorization Object : 192.168.1.0/24
<VPC B (192.168.0.0/16)に作成したECSの設定>
Action : Allow
Protocol Type : All ICMP(IPv4)
Port Range : Dest-1/-1
Authorization Object : 10.0.1.0/24
① Alibaba Cloudコンソールにログインします。
② プロダクト一覧より、『Virtual Private Cloud』を選択します。
③ 表示された画面の左ペイン『VPC Peering Connection』をクリックします。
④ 『Create VPC Peering Connection』をクリックします。
⑤ 以下の通り、パラメータを設定します。
Peering Connection Name : 任意の名前を入力します。
Initiator : VPC A (10.0.0.0/16)
Acceptor Account Type : Same-Account
Acceptor Region Type : Intra-Rejion
Acceptor : VPC B (192.168.0.0/16)
⑥ 作成したVPC Peering Connectionの『Configure Routes』をクリックします。
⑦
【VPC B側の設定】
Accepter VPC(192.168.0.0/16)のRoute TableのCustom Routeで『Add Route Entry』をクリックし、エントリを作成します。
以下の通り、パラメータを指定し、エントリを作成します。
Name : 任意の名前を入力します。
Destination CIDR Block : VPC AのvSwitchのCIDR Block (10.0.1.0/24)を指定します。
Next Hope Type : VPC Peering Connection : ⑤で指定したVPC Peering Connectionを指定
【VPC A側の設定】
Initiator VPC (10.0.0.0/16)のRoute TableのCustom Routeで『Add Route Entry』をクリックし、エントリを作成します。
以下の通り、パラメータを指定し、エントリを作成します。
Name : 任意の名前を入力します。
Destination CIDR Block : VPC BのvSwitchのCIDR Block (192.168.0.0/24)を指定します。
Next Hope Type : VPC Peering Connection : ⑤で指定したVPC Peering Connectionを指定
設定は以上です。
作成した2台のECSにログインします。
ログイン後、別VPCに属するECSのプライベートIPに対して、pingを実行します。
ecs-vpc-a# ping : 192.168.0.248
ecs-vpc-b# ping 10.0.1.245
pingを実行すると、別VPCに属するECSから応答が返ってきており、異なるVPC同士の接続ができていることが分かります。
今回は新しく追加された機能である、『VPC Peering Connection』のご紹介をさせていただきました。異なるVPC同士の接続には、機能追加される前だと別プロダクトを利用する必要があり、料金が発生していました。しかし『VPC Peering Connection』が追加されたことによって、同一リージョン間の異なるVPC同士の通信が料金が発生せず、利用することができるようになりました。もし、同一リージョンで異なるVPC間の通信を別プロダクトを使って接続されている場合は、『VPC Peering Connection』をご検討ください。
また、Alibaba Cloudに関する記事や、マルチクラウド比較の記事も公開していますので、そちらについてもご覧いただけますと幸いです。
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