AlibabaCloud バックアップサービス「Hybrid Backup Recovery」とは

あらゆる業界で、データのバックアップは将来の事業継続のために不可欠な取り組みです。統計レポートによれば、災害などによってデータを失った場合、90%の組織がデータを即座に復旧できず、倒産のリスクに直面します。したがって、バックアップは事業の持続的な運営のために不可欠なプロセスとなっています。

しかし、バックアップには個人情報の保護、バックアップのコスト、信頼性や可用性の低さなどの課題が付きものです。これらの課題は、バックアップするデータ量に応じて複雑さが増します。こうした課題に対処するのが、「Hybrid Backup Recovery」（以下、HBR）です。

2. HBRとは

HBRは、Alibaba Cloudが開発した、費用対効果が高く、安全で信頼性の高いクラウドベースのデータバックアップサービスです。HBRは、Elastic Compute Service（ECS）インスタンス、SQL Server、SAP HANA、NAS、OSSなどのファイルをバックアップすることはもちろん、オンプレミス環境や他のクラウド環境にあるファイル、NAS、VMware仮想マシン、MySQL、Oracle、Microsoft SQL Databaseなど、さまざまなデータソースをバックアップし、保護することができます。

Alibaba CloudのHBRが優れている理由の１つとして、従来のローカルIDC Backupソリューションと比較して、コスト、デプロイ時間、運用&保守、堅牢性などの観点から次の利点があります。

3. HBRの特徴

3-1. 技術的特徴

HBRは、効率的な重複データの排除をサポートし、重複したデータセグメントを明確に特定します。変動長スライスを使用して、重複したデータを正確に識別し、新しいデータセグメントのみをアップロード/バックアップします。

3-2. 運用と保守の特徴

HBRは、必要に応じてフルバックアップ、増分バックアップ、ログバックアップ、リアルタイムバックアップのポリシーを設定することができます。SMSメッセージや電子メールなど、さまざまな方法でアラート通知を受け取ることができます。また、HBRコンソールでは、過去のバックアップジョブの詳細やエラーログレポートを確認することができます。

3-3. ユーザーエクスペリエンスの特徴

HBRは、ファイルやデータベースなど、さまざまなバックアップシナリオおよびECSのディザスタリカバリーシナリオに対して、使いやすいインターフェースとバックアップやリカバリー手順を提供します。HBRコンソールにより、バックアッププラン、バックアップポイント、リカバリーポイントが一目でわかるため、複雑な災害復旧作業も簡単に実行できます。

4. HBRの機能

・クラウドのバックアップ

 HBRは、インターネットを介してAlibabaCloudのECSファイル、セルフホスト型のMySQL/Oracle/SQL Server、SAP HANA、NAS、OSS、Tablestoreなどの重要なデータをバックアップリポジトリにバックアップできます。さらに、MySQLとOracleデータベースのほぼリアルタイムのバックアップ機能も提供されています。

・オンプレミスデータのバックアップ

フレキシブルなバックアップポリシー設定により、ローカル環境のローカルファイル、NASファイル、VMware仮想マシン、データベースなどをクラウドバックアップリポジトリに直接バックアップできます。

・地域間バックアップとECSの地域間ディザスタリカバリ

ミラーバックアップリポジトリ機能により、地域間でのバックアップを実行し、複数のデータ保護を実現できます。ECSに対しては、秒単位のRPO（復旧ポイント目標）と段階的なRTO（復旧時間目標）が提供され、高性能な地域間ディザスタリカバリが可能です。

・VMware仮想マシンの移行

エージェントは不要で、ローカルのVMware仮想マシンをクラウドに簡単かつ迅速に増分移行できます。

・ローカルNASの戦略的アーカイブ

ローカルNASの大容量ファイルをクラウドバックアップリポジトリにアーカイブすることができ、役立ちます。

・NASファイルのアーカイブ

HBRはNASファイルのバックアップにも対応しており、ローカルおよびクラウドのデータ保護を強化します。

5. HBRと他社製品の比較

5-1.HBRと他社製品の比較

ほかのパブリッククラウドと比べてHBRは重複削除技術とバックアップデータソースの多様性で優位性を持ちます。

5-2.ECSの地域間ディザスターリカバリー比較

ほかのパブリッククラウドと比べてHBRはRPO/RTOのパフォーマンス指標は強い、OSのカバレッジはやや弱めです。

6. HBRのシナリオ

実際のビジネスで想定される課題と、HBRを使って解決できるソリューション例を5つ紹介します。

6-1. オンプレミスデータをクラウドにバックアップ

・ビジネス課題

     1. ファイルの場所が分散しているため、バックアップの設定が難しい

     2. ファイル数が多く、バックアップに時間がかかり、バックアップ SLA を保証するのが難しい

     3.  大容量のデータとローカルバックアップハードウェア費用が高い

     4．基幹データベースシステムのバックアップを単純なスクリプトに依存するリスクが高い

     5．従来のオールインワン機では設置が複雑で、一回の投資額が大きい

     6．クロスリージョンバックアップの難しさ

・解決策

    1．ローカルファイルバックアップとクラウド上での統一制御で管理を簡素化する

    2．HBR NASバックアップによる複数ノードの並行接続でバックアップ速度を3倍以上に向上させる

    3．ローカルハードウェア不要でのクラウドへのバックアップと重複削除による容量と帯域を節約する

    4．HBRバックアップクライアントで直接バックアップが可能

    5．VPN または ExpressConnect を使用してAlibabaCloudに接続し、データの安全性を高める

・メリット

    1．バックアップ設定の大幅な簡素化と統一制御による毎日の一回バックアップの保証

    2．80%のTCO圧縮

    3.  MySQL、SQL Server、Oracle の全面サポート

    4．オールインワンマシン不要でのインストールや構成の簡単さ、低コストなクラウドバックアップ

・データベースバックアップ主な機能

    1．全バージョン対応の MySQL、Oracle、SQL Server データベース

    2．フルバックアップ、増分バックアップ、ログバックアップに対応

    3．リアルタイムバックアップによるほぼ 0 の RPO の実現

    4．ECS データベースのオートディスカバリをサポート

    5．5:1 の重複排除率とコンピューティングリソース消費量の削減

    6．テーブルスペースのきめ細かなリカバリ

6-2. NAS/HDFSシステムをクラウドへのバックアップとアーカイブ

・ビジネス課題

    1. ファイル数が膨大でバックアップに数日または数週間かかる場合がある

    2. 巨大なデータサイズに対応できるオンプレミスのバックアップおよびストレージハードウェアは手頃な価格で入手できない

    3. ファイルを復元する必要がある場合、データサイズが膨大であるため、ファイルを短時間で見つけるのは難しい

    4. アーカイブ ハードウェアの構築とデプロイには、多大な時間とコストが必要

    5. アーカイブ ポリシーの構成や、アーカイブパフォーマンスの予測が難しい

    6. アーカイブされたデータの取得が難しく、復元の効率が悪い

・解決策

    1. ファイル分析 

　  　- データをどう管理するのに役立つ。

    2. ポリシーベースのバックアップとアーカイブ

　 　 - ポリシーの設定は1回のみ

    3. ハイパフォーマンス 

　  　- 1億ファイルの増分バックアップに15分しかかからない

    4. グローバルの重複排除

       - Isilon Diff APIと連携し、スキャンサイクルをなくし、バックアップを10倍以上高速化する

    5. グローバルインデックスと検索

      - HBRグローバル検索により、復元したいファイルを数秒で検索可能

・メリット

    1. ビジネス要件に基づいてアーカイブポリシーを構成可能、アーカイブポリシーは構成後に自動的に実行される

    2. アーカイブされたファイルを数秒以内に検索して復元できる。

    3. 50% 以上のTCO削減

6-3. 大容量NASストレージIsilonでクラウドへバックアップ

・ビジネス課題

    1．ファイル数が多く、1回のバックアップに数日から数週間かかる

    2．データ量が多く、ローカルバックアップストレージのハードウェアコストが高い

    3．複雑なデータ構造で復旧時に該当するファイルを素早く見つけることが難しい

・解決策

    1．Isilon Diff API との連携によるバックアップの高速化

    2．マルチクライアント並行バックアップでストレージとネットワークの性能を最大限に活用

    3．HBR グローバル検索による数秒でのファイル検索

・メリット

    1．バックアップサイクルを短縮し、1日バックアップを実現

    2．グローバル文書検索でデータ管理を効率化

    3．TCO を70%削減

6-4. VMwareのエージェントレスバックアップとディザスターリカバリー

・ビジネス課題

    1．従来のマイグレーション方法だとセキュリティ上の懸念や運用の複雑さがある

    2．データベース用 VM のマイグレーションに長いダウンタイムとスイッチオーバー時間が必要

    3．ファイル数が多い場合、増分マイグレーションの効率が低い

・解決策

    1．HBRエージェントレスでVMwareをクラウドに移行し、侵入性を排除

    2．一貫性を保証したエージェントレスなインクリメンタルマイグレーションの対応

    3．複数のVMで並行移行

・メリット

    1．侵入性なしでのエージェントレスなマイグレーション

    2．データベース用VM切り替えサイクルを15分に短縮し、効率的な増分マイグレーションを実現

6-5. ECSインスタンスのバックアップ

・ビジネス課題

    1．ECSの数が多く、バックアップ構成の管理が難しい

    2．スナップショットではファイルまたはデータベースレベルでの保護ができない

    3．データベースバックアップの要求が高く、一般的なバックアップソフトウェアで実現が難しい

    4．複数のデータソースの要件が異なり、バックアップ設定が難しくエラーが発生しやすい

・解決策

    1．HBR ECS バックアップでECS上のすべてのデータをサポート

    2．新旧バージョンのデータベースをフルサポートし、フルバックアップ、増分バックアップ、ログバックアップを提供

    3．オラクル、MySQLデータベースの連続ログバックアップでほぼ0のRPOを実現

・メリット

    1．ECSの全データのバックアップを統合的に解決

    2．最大5:1の圧縮率でデータ保持とストレージコストを削減

・SAP HANAバックアップ

1．アジア初のSAP認定のパブリッククラウドバックアップサービス

2．バックアップ速度最大500MB/s、リカバリ速度260MB/sによる効果的なRTO短縮

7. 対応リージョン

「2023年9月時点では次のリージョンにて利用できます。

– 中国本土

・青島

・北京

・張家口

・フフホト

・杭州

・上海

・深圳

・成都

・香港

– 中国本土外

・シンガポール

・シドニー

・クアラルンプール

・ジャカルタ

・マニラ

・ムンバイ

・東京

・シリコンバレー

・バージニア

・フランクフルト

・ドバイ

8. 料金について

二つのユースケースを元にバックアップ/リストア利用料金の概算費用について紹介します。

1．1TBをクラウドに保存、100GBをオンプレミスにリストアした場合の月額利用料金

2．100TBをクラウドに保存、1TBをオンプレミスにリストアした場合の月額利用料

※2023年02月09日現在のご提供価格に基づいた試算です。

9. さいごに

HBR は多様なバックアップニーズに対応するクラウドバックアップサービスです。オンプレミスからクラウドまで、幅広いデータソースとデータベースのバックアップとリカバリーを実現します。さまざまなビジネスシーンにおいて、データ保護とビジネスの持続可能性をサポートします。

興味を持っている方はぜひお試しいただければ幸いです。

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