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ご覧頂き有難うございます。ソフトバンクの西野です。
弊社ではパブリッククラウド「Alibaba Cloud」を取り扱っており、中国での日中NWの改善に向けたご相談を多数頂いております。
これまで、AlibabaCloudのネットワークリソースを結ぶCloud Enterprise Network(以下CEN)に料金体系として帯域幅パッケージを紹介をしていますが、今回はCENの従量課金モデルの料金体系「データ転送」と新たに追加されたSLAの異なる回線タイプを紹介します。
Alibaba Cloudのグローバルネットワークを利用した、世界中に存在するAlibaba Cloudリージョン間を相互接続する高機能・低遅延・帯域確保型のエンタープライズ向けネットワークサービスです。
詳細な機能、構成面の解説は、以前掲載した「Cloud Enterprise Network(CEN)でつなげるクラウドネットワークについて」を参照してください。
CENの課金項目は以下の箇所があります。
サブスクリプションプランの「帯域幅プラン」と、従量課金プランの「データ転送」があります。
VPC、VBRなどの接続からトランジットルーターへのデータ転送量に基づいて料金が発生します。
トランジット ルーターの VPC、VBRなどの接続合計数に基づいて料金が発生します。
※CENの課金項目のみ記載しています。
※SAG、Express Connectm、VPC内のリソース料金は別途発生いたします。
※トランジットルーターはエンタープライズエディションの課金項目を記載しております。
※CCNはTR接続時間の課金対象ではありません。
中国、東アジア、東南アジアのエリアに絞り掲載します。(掲載時時点)
申込時に設定した帯域幅で月額料金が決定するプランとなります。
※帯域幅プラン or データ転送どちらかのみ料金発生
エリア間の帯域幅 | 中国本土 - 中国本土 | 中国本土 - アジア太平洋 | アジア太平洋 - アジア太平洋 |
2~100Mbps | $32 | $132 | $28 |
リージョン間、最大帯域幅を指定しトラフィック量(GB)で課金が発生する従量課金プランです。
※帯域幅プラン or データ転送どちらかのみ料金発生
エリア間の帯域幅 | 中国本土 - 中国本土 | 中国本土 - アジア太平洋 | アジア太平洋 - アジア太平洋 |
ゴールド回線 1GBあたり | $0.09 | $0.8 | $0.08 |
プラチナ回線 1GBあたり | $0.135 | $1.2 | $0.12 |
エリア毎 | 中国本土 | アジア太平洋 |
1GBあたり | $0.02 | $0.02 |
エリア毎 | 中国本土 | アジア太平洋 |
1時間あたり | $0.05 | $0.06 |
①クロスリージョン帯域幅はサブスクリプションプランの「帯域幅パッケージ」と従量課金プランの「データ転送」から選択することが可能です。
リージョン間、帯域幅を選択し購入する月額サブスクリプションモデル
ファイル転送やデータ移行など一定の流量を流し続けるシナリオには、帯域パッケージモデルの方をご選択することをお勧めします。
リージョン間、最大帯域幅(1Mbps〜1Gbps)を指定しトラフィック量(GB)で課金が発生する従量課金モデル
ビデオ会議などのトラフィック流量の増減が多いシナリオにはデータ転送量に応じた課金方式を選択することをお勧めします。
帯域幅プランには有りませんでしたが、データ転送では新たにSLAの異なるプラチナ回線とゴールド回線が選択できるようになりました。
クロスリージョン接続単位で回線タイプを選択できるため、冗長要件に合わせて柔軟に構成することが可能です。
例えば中国本土と日本の区間は業務上重要なトラフィックが流れるためSLAが高いプラチナ回線を選択し、他のリージョン間の通信は高いSLAを必要としないためゴールド回線を選択するなどです。
プラチナ回線:上海リージョン⇔日本リージョン
ゴールド回線:上海リージョン⇔北京リージョン
回線 | SLA |
プラチナ | 99.995% |
ゴールド | 99.95% |
SLA以外に回線速度に差があるのかAlibabaCloud上海リージョンと東京リージョンにて仮想サーバーを設置して相互に連続Pingを実施しました。
今回の比較結果ではゴールド/プラチナの回線速度に明確な差があると言えるほどの差はありませんでした。
計測期間2023/12/27 ~ 2024/2/29
回線 | 送信元⇒宛先 | 実行回数 | 実施間隔 | パケットサイズ | 失敗率 | min | max | average |
プラチナ | 上海⇒東京 | 91,668回 | 1分間隔 | 64byte | 0% | 29ms | 39ms | 33ms |
ゴールド | 上海⇒東京 | 91,791回 | 1分間隔 | 64byte | 0% | 29ms | 102ms | 32ms |
CENのプラチナ回線で構成した場合、他社と比較しても高いSLAであることが確認できます。
パブリッククラウド | プロダクト名 | SLA | 備考 |
AWS | Transit Gateway | 99.99% | マルチAZ TGW SLA |
99.9% | 単一AZ TGW SLA | ||
Azure | Virtual WAN | 99.95% | - |
GCP | Network Connectivity Center | 99.95% | - |
AlibabaCloud | Cloud Enterprise Network | 99.995% | プラチナ回線 |
99.95% | ゴールド回線 |
最後に帯域幅パッケージプランとデータ転送プランの見積もりを試算してみます。
試算モデル
①CENのクロスリージョン接続
帯域幅パッケージ:10Mbps
データ転送モデル:200GB(双方向課金のため)
②中国リージョントランジットルーター:インバウンドトラフィック100GB
③中国トランジットルーター接続料金:730時間
②’日本リージョントランジットルーター:インバウンドトラフィック100GB
③’日本トランジットルーター接続料金:730時間
項目 | 詳細 | 料金($) | 料金(\) $1=\140 |
① | 帯域パッケージ(サブスクリプション) クロスリージョン帯域幅 中国 - アジア太平洋地域 10Mbps | $1,320 | \184,800 |
② | 中国リージョンTR インバウンドトラフィック100GB | $2 | \280 |
②´ | 日本リージョンTR インバウンドトラフィック100GB | $2 | \280 |
③ | 中国リージョンTRとVPC(1つ)を730時間接続 | $36.5 | \5,110 |
③´ | 中国リージョンTRとVBR(2つ)を730時間接続 | $87.6 | \12,264 |
合計 | $1,448.1 | \202,734 |
項目 | 詳細 | 料金($) | 料金(\) |
① | リージョンを転送する 双方向トラフィック 200GB プラチナ回線 | $240 | \33,600 |
② | 中国リージョンTR インバウンドトラフィック 100GB | $2 | \280 |
②´ | 日本リージョンTR インバウンドトラフィック100GB | $2 | \280 |
③ | 中国リージョンTRとVPC(1つ)を730時間接続 | $36.5 | \5,110 |
③´ | 中国リージョンTRとVBR(2つ)を730時間接続 | $87.6 | \12,264 |
合計 | $368.1 | \51,534 |
項目 | 詳細 | 料金($) | 料金(\) |
① | リージョンを転送する 双方向トラフィック 200GB ゴールド回線 | $160 | \22,400 |
② | 中国リージョンTR インバウンドトラフィック 100GB | $2 | \280 |
②´ | 日本リージョンTR インバウンドトラフィック100GB | $2 | \280 |
③ | 中国リージョンTRとVPC(1つ)を730時間接続 | $36.5 | \5,110 |
③´ | 中国リージョンTRとVBR(2つ)を730時間接続 | $87.6 | \12,264 |
合計 | $288.1 | \40,334 |
見積もりモデルではトラフィック流量が100GBと少ないためデータ転送の方が安くなるシナリオの見積もりとなります。
では、どのくらいの転送量があると帯域幅パッケージの方が安くなるかというと、ゴールド回線の場合、データ転送より帯域幅パッケージが1,650GB以上のトラフィックを使用する場合は、帯域幅パッケージの方がメリットが安くなる計算です。目安として参考にしてください。
今回はCENのデータ転送モデルを紹介しました。
CENは他社パブリッククラウドの類似プロダクトと比較してもリージョン間通信にサブスクリプションプランがある、帯域がベストエフォートではなく帯域保証である点が差異ポイントでした。
データ転送プラン限定にはなりますが、SLAを選択できるという点が新たに加わりミッションクリティカルな要件にも対応できるようになりました。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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