球場に来場する、若い女性客が増えている。
野球は男が好むスポーツなんて過去の話だ。ひいきの球団を「アツく、かわいく、おしゃれに」応援する女性ファンの総称が世間でも随分と認知されてきた。広島東洋カープの「カープ女子」やオリックス・バファローズの「オリ姫」あたりも有名だが、実は福岡ソフトバンクホークスの「タカガール」もかなり熱い。
タカガール
ホークスを応援する女子のこと。テーマカラーは「ピンク」。
ヤフオクドームがピンク色と黄色い声援に包まれる日「タカガール♡デー」
福岡ソフトバンクホークスの本拠地であるヤフオクドームでは、2014年から球場内がピンク一色となる女性向けの特別イベント「タカガール♡デー」が開催され、全試合満員御礼の大ヒット企画となっている。2017年にはついに女性来場者だけで3万人を突破。ヤフオクドームのスタンドが鮮やかなピンクに染まり、歓声のトーンもいつもとは違った。
「タカガール♡デー」の来場者数
タカガールの数 | 来場者数 | タカガール率 | |
---|---|---|---|
2014年 | 28,450 | 38,561 | 73.8% |
2015年 | 28,074 | 38,500 | 72.9% |
2016年 | 29,507 | 38,500 | 76.6% |
2017年 | 30,357 | 38,585 | 78.7% |
女性来場者全員に「タカガールユニフォーム」が無料配布され、スコアボードや各塁のベースなどがピンク仕様に。さらにこの日のために用意された限定のグッズや球場グルメも登場し、女性ファンのハートを心地よく刺激する仕掛けが実に満載なのだ。
史上最多となる女性30,357人が来場した、2017年の「タカガール♡デー」
全ては「女子高生」から始まった
実は、ホークスは他球団に先駆けて、かなり前から女性ファンの獲得に力を入れてきた。2006年、福岡ダイエーホークスから福岡ソフトバンクホークスへ移り変わった2年目に「タカガール♡デー」の前身「女子高生デー」がスタート。あえて「女子高生」という野球から遠いイメージをターゲットにしたことで話題になり、毎年大好評の企画になっていった。
それがきっかけで野球の面白さを知りホークスのファンになった当時の女子高生たちが、今では母親となり、球場に子どもを連れてくるようになった。
部署の垣根を越えて。女性ファン専門のマーケティングを展開するプロジェクトチームとは
「若い女性の心をつかめるかが重要なんです。女性は家庭の消費サイクルの柱ですから」そう語るのは、福岡ソフトバンクホークス株式会社 マーケティング・コミュニケーション部主任の野田直子さんだ。彼女は、「タカガール・プロジェクトチーム」のけん引役となっている存在だ。
福岡ソフトバンクホークス株式会社 マーケティング・コミュニケーション部主任 野田直子さん
野田 「タカガールという言葉は『タカガール♡デー』に付随する言葉でしたが、2016年から、ホークスを応援してくれる女性ファンをもっともっと盛り上げていこうと、『タカガール』という言葉が独立しました。そして、女性社員でプロジェクトチームを作り、アイデアを出し合いながらさまざまな企画を行っています」
そこには部署の垣根はなく、仲間が集まり、仕事の合間やランチの時におしゃべりをする感覚で、アイデアを出し合っているという。
同プロジェクトチームで今年から中心的メンバーとなった、広報企画部の上木原さやかさんが新たな取り組みを紹介してくれた。
福岡ソフトバンクホークス株式会社 広報企画部 上木原さやかさん
上木原 「野球だけじゃなくてグルメやオシャレも楽しめるようにしています。福岡の繁華街の天神や大名、博多地区などの57店舗の人気カフェとホークスがコラボをして、『タカガールメニュー』を特別に考案してもらいました。『たっぷりイチゴのパンケーキ』だったり、『タカガール ピンクのパスタセット』だったり。このパスタはビーツや金時草、ラズベリーにマロウブルーなどの素材の色を使った、ピンクのパスタになっています。
また、店舗に協力していただき、今年のタカガールバンダナと観戦タブロイドを10万人の女性のお客さま向けにレジで配布してもらっています。街中でもホークスを感じて、楽しんでもらえればと考えています」
タカガールバンダナ(左)/タカガール ピンクのパスタセット(右)
6,000人以上の女性ファンと作る、タカガールユニフォーム2018総選挙
タカガールのテーマカラーであるピンクも、実にこだわり抜かれている。
野田 「今使用しているピンクは、昨年、天神地区の商業施設のアパレル店員さんと話し合いを重ねながら開発したものです。たくさんのピンクの中から10種類以上の候補を出し、一番幅広い年代で着こなせる、少し落ち着いた感じの『ダスティピンク』を基本色としました」
そして、今年のタカガールユニフォームは花火柄だ。ここにもタカガールたちの声が反映された。
2018年のタカガールユニフォーム。テーマは「勝利の花火」
野田 「天神・博多ほか福岡市内の各大学や、東京で実施した『タカガールユニフォーム2018総選挙』で集まった6,000人以上の女性の投票と、監督・選手によって、9種類のデザインの中から選ばれました。タカをイメージした羽や今年のトレンドのチェリー柄も人気でしたが、ホークスといえばヤフオクドームの名物『勝利の花火』を連想したタカガールが多かったみたいです。
花火柄はお祭りも意識しています。福岡はお祭り好きな人も多いですし、このデザインは集まれば集まるほど映えるんです。だから、友達同士で誘い合ってヤフオクドームに来て、タカガールユニフォームでスタンドに『勝利の花火』を咲かせてほしいですね。そして、試合中はもちろん、試合後もぜひそのままの格好で街へ遊びに行ってほしいです! せめて、西鉄電車の改札まではタカガールコーデのままで(笑)」
タカガールユニフォーム2018総選挙(デザイン・カラーはイメージ)
タカガールのコンセプトは「かわいく、楽しく、女子らしく」
今年、ヤフオクドームにある女性限定の「タカガールシート」がリニューアルされ、「タカガールシート♥INTEGRATE」となって生まれ変わった。
タカガールシート♥INTEGRATE(左)/タカガール・プロジェクトチーム(右)
タカガールシート♥INTEGRATE(上)/タカガール・プロジェクトチーム(下)
上木原 「全面ピンクのソファシートで、長時間座っていても疲れにくいふわふわの座り心地となっています。また、テーマパークや結婚式場の待合室にも使われている『プリンセスソファ』も導入し、そこに座るとお姫さま気分を味わえます。また、女性はバッグなど荷物も多いので、荷物入れも完備しています」
お土産付きだったり、ハート型や人気キャラ「ふうさん」をあしらった個性的なソファシートもあったり、インスタ映えも抜群。女性社員ならではのアイデアがここでも存分に盛り込まれている。
野田「女子の遊びのプランに『野球観戦』を加えたくて。映画や買い物に行くとか、お茶するのと同じレベルで、『じゃあ、今日はホークスを応援しに行こうよ』となってほしいんです」
これらの工夫、努力も実り、球団の公式ファンクラブ「クラブホークス」の女性会員数も右肩上がりだ。
これからも進化し続けること間違いなしのタカガールプロジェクト。新しい展開が待ち遠しい。また、史上最大規模となる今年5月の「タカガール♡デー」も非常に楽しみだ。
今年の「タカガール♡デー」は史上最大規模! 5月12日(土)・13日(日)は、ヤフオクドームへ行こう!
福岡では、これまで1試合だった「タカガール♡デー」を初めて2試合開催する。「タカガール♡デー」では、当日来場した女性全員(ビジター応援席を除く)に、タカガールユニフォームがプレゼントされる。さらに、今だけの限定グルメやグッズ、チケットの当たるキャンペーンも実施中。詳細はタカガール特設サイトへ。
2018 タカガール♡デー
日程 | 対戦相手 | 開始時間 | 球場 |
---|---|---|---|
5月12日(土) | 北海道日本ハムファイターズ | 14:00 (開場 12:00) |
福岡 ヤフオク!ドーム |
5月13日(日) | 13:00 (開場 11:00) |
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(掲載日:2018年5月10日)
文:田尻耕太郎(フリーライター)