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“日本一愛されるチームをつくる” 球場をエンターテインメント化させた福岡ソフトバンクホークス式マーケティング戦略(前編)

“日本一愛されるチームをつくる” 球場をエンターテインメント化させた福岡ソフトバンクホークス式マーケティング戦略

今プロ野球観戦が面白い。

昨年、プロ野球全体での観客動員総数は約2,514万人を記録した。昨今では「野球離れ」などとネガティブな見解も示されているが、これは実数発表を始めた2005年以降で最多の数字。ちなみに2005年は約1,992万人だったため、12年間で500万人以上も増加したことになる。

非日常を味わう。今、球場はまるでエンターテインメント空間

球場が、楽しい。

迫力あるプロ野球のライブ感はもちろんだが、特にエンターテインメントの観点ではひと昔前とはまるで別世界だ。非日常的空間と真剣勝負の高揚感をあおる光や音の演出、そしてビジョンの迫力もかつてとは比べものにならない。座席も多種多彩で、ソファ席やテーブル付きといった快適でリッチなシートも見られるようになった。

その最先端を突き進むのが、昨年日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスの本拠地「福岡 ヤフオク!ドーム」である。1993年に開業して以来、昨シーズンまで25年連続でパ・リーグ観客動員数1位を記録し続けている。

「ホークスでは、昨年主催した公式戦に72試合で約253万人のお客さまに来場いただきました。ヤフオクドーム以外で主催した5試合を含みますが、250万人を突破したのはホークスのみならずパ・リーグにおいても史上2回目(2005年の実数発表以降)です。チケットの売上も毎年右肩上がりになっています」と、笑顔を見せるのはホークス球団の取締役でマーケティング本部長などを兼任する吉武隆氏だ。

ヤフオクドームには「なぜ、これだけ多くのファンが毎年来場するのか」、そして「ホークスが誇るマーケティング戦略」とは? 吉武氏にアレコレ聞いてみた。

福岡ソフトバンクホークス マーケティング本部長 吉武隆氏

福岡ソフトバンクホークス マーケティング本部長 吉武隆氏

世界最大! 野球初心者でも楽しめるこだわりの大迫力ビジョン演出

その前にヤフオクドームについて簡単にご紹介しよう。国内2番目のドーム球場として開業。特徴は、「日本初の開閉式の屋根」だ。ホークスが勝った試合後には「ルーフオープンショー」が行われ(天候などの諸条件で実施されない場合もある)、さらに花火ショーも大名物となっている。試合時の最大収容人数は38,530人(2018年シーズン)で、古代ローマのコロシアムをモチーフにした円形スタイルの巨大スタジアムだ。しかし、一歩中に入れば、驚くほどに近代的なエンターテインメント性に溢れた設備や仕掛けが数多く揃っている。

まず目に飛び込んでくるのは巨大なビジョンだ。

世界最大の合計表示面積を誇る「ホークスビジョン」

世界最大の合計表示面積を誇る「ホークスビジョン」

外野席の上部には、世界最大の合計表示面積(球団発表)を誇る5画面構成の「ホークスビジョン」が備わっている。ジャンボジェット機約3機分の長さにもなるド迫力。さらにバックネット裏の屋根から吊り下げる形で設置されたビジョン「スカイスクリーン」も2016年から導入され、これが今季から2.4倍にパワーアップして、場内演出のさらなる盛り上げに一役買っている。

吉武「ビジョン演出にはこだわっています。クールでカッコいい演出で高揚感を高め、そして迫力にも驚いていただきたい。PLM(パシフィックリーグマーケティング株式会社)で、12球団本拠地の満足度調査を毎シーズン行っているのですが、ヤフオクドームは毎年1位の評価をいただいています。」

“日本一愛されるチーム”
=チームの強さ × エンターテインメント

マウンドや打席に立つ選手の顔写真が大きく映し出される他に、個人成績が詳細に表示されており、活躍度や特徴が一目で分かるようになっている。また、選手登場曲に合わせて「太鼓の達人」のようにメガホンを叩く演出や応援歌も表示される。プロ野球観戦初心者にも分かりやすく、かつ楽しめる工夫がなされているのが特徴だ。

吉武「プロ野球ビジネスの基本は、まず『野球へのリスペクト』です。地元の福岡をはじめ九州の方々から誇りに思ってもらい、かつ全国のファンの皆さまが誇れるチームづくりをすること。それには『チームが強い』ことが大前提で、ホークスは2010年から昨年までの8年間で5度のリーグ優勝と4度の日本一を果たしています。その上で、ホークスを核としたエンターテインメントを提供し、『日本一愛されるチームをつくる』ことが使命だと思っています。野球を好きな人はもちろん、野球に詳しくない人も楽しめる。どちらか一方ではなく、その両方を成立させなくてはならないと考えています。」

ホークスは2010年から昨年までの8年間で5度のリーグ優勝と4度の日本一

試合だけじゃない、「面白そうだから、行きたくなる」仕組みづくり

巨大ビジョンを用いた細かな選手情報などはコア層に向けたサービスだ。球場に何度も足を運ぶリピーターも数多い。

吉武「以前までビジョン演出の基本的な部分は3年に1度ほど変更するだけでしたが、今は毎年変えています。常に新鮮なものを提供することで楽しんでいただきたいし、驚いていただきたい。『飽きさせない』というのも大切なキーワードです。」

ファンの拡大、来場者数アップに当然ライト層へのアプローチも欠かせない。来場のきっかけをつくるのは野球ファンだ。「面白そうだから、行ってみようよ」と誘いやすくなる仕組みをホークス球団はとにかく実行している。

毎試合ほぼ完売! 孫正義オーナー発案の人気席

吉武「以前の野球場は座席も均一なシートが並ぶだけでしたが、ヤフオクドームには『コカ・コーラシート(フィールド席)』をはじめ複数名で楽しめるボックス席やソファ席、『AUTOWAY RECAROスタジアムシート』など快適な座り心地を追求した特別席などお客さまのさまざまなニーズに対応した座席をご用意しています。2015年から導入した外野スタンド前方の『ホームランテラス』はプラチナチケットとなっていて、毎試合ほぼ完売です。

実は、この区画は孫正義オーナーの発案で作られました。『東京ドームと同じサイズの球場にして、ホームランの迫力をファンの皆さまに楽しんでいただこう』と。ただ、われわれのこだわりがあり、『ホームランテラス』に関しては年間予約席を設けていないのです。出来るだけ多くのファンの皆さまに体感していただきたいというのが願いです。」

福岡 ヤフオク!ドームの座席表

福岡 ヤフオク!ドームの座席表

ヤフオクドームには「ハズレ席」がない?

グラウンドに近い座席ならば野球の迫力が存分に楽しめるが、後方だと豆粒大の選手を眺めるしかなかったのがひと昔前のプロ野球観戦だった。

しかしヤフオクドームは、例えば、「SMBC日興証券ダブルシート」は内野最後列に設置されているし、「ボックスファイブ」にしても決してスタンドの前方とは言えない位置にある。その分居住性に優れており、快適に野球観戦を楽しめるようになっている。そして先述した大きなビジョンやスクリーンはどの座席からもよく見えるようになっている。いわゆる「ハズレ席」が存在しないのはヤフオクドームの大きな魅力だ。

  • タカガールシート♥INTEGRATE
  • タカガールシート♥INTEGRATE

今シーズンも、クッション性が優れた新シート「コンフォートシート」が登場。女性ファンをターゲットにした「タカガールシート♥INTEGRATE」も全面的にリニューアルされた。

お客さまのために、利益はひたすら設備投資

吉武「試合前からプレィボールそして試合終了まで、興奮と感動を味わっていただきたいと思っています。ヤフオクドームでは光の演出にも力を入れています。2015年シーズンよりグラウンド照明をLED化しました。以前の照明は一度消してしまうと再点灯するのに10分以上もかかっていましたが、LED照明を採用したことで一気に解消されました。試合直前にドーム内を暗転してレーザー光線を使った幻想的な演出も行うことができるようになりました。」

圧巻! 試合前のレーザー演出

圧巻! 試合前のレーザー演出

ものすごいスピードで進化し続けるヤフオクドーム。その進化は、2012年にソフトバンクが球場の所有者だったシンガポール政府投資公社(GIC)から870億円で買収したことでより加速した。

吉武「それまでは座席一つを変えるにしても制約があったり時間がかかったりしていましたが、球場が球団のモノになったことでスムーズになりました。」

設備投資を惜しまない。後藤芳光オーナー代行 兼 球団社長も「選手たちが常に上昇志向を持つのと同じで、企業も緊張感を持ちながら『去年より今年、今年より来年』と死にもの狂いで頑張らないといけない。安住しようと思った瞬間にお客さまは離れていく。だから、ヤフオクドームが毎年変化するのも大事な事。何もしなければもちろん利益は出ますが、トントンでいい。設備投資をして償却費で埋めるくらいの気概があって良いんです」と社員の背中を常に押しているという。

規格外のスケールを誇るヤフオクドームだが、それはハード面だけでなく、ソフト面でも同じことが言えるのだった。(後編に続く)

2018年はホークス球団創設80周年

福岡ソフトバンクホークスは、2019年シーズンを「ホークス福岡移転30周年」の記念の年とし、2018年~2019年の2年間に渡って、さまざまな周年事業を展開します。

ホークス球団創設80周年サイトをチェックする

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(掲載日:2018年4月11日)
文:田尻耕太郎(フリーライター)