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スプリントとTモバイルUS合併合意の背景とは?群戦略を加速させるソフトバンクグループ決算説明会レポート

ソフトバンクグループの2018年3月期 決算説明会に登壇した、代表取締役会長 兼 社長の孫 正義。「自分自身の人生とソフトバンクを切り分けることはできない。ソフトバンクは、私の人生そのものである。何を目指し、何に喜び、何を成したいのかという人生観に密接に結びついている」と説明を始めました。

スプリントとTモバイルUS(以下「Tモバイル」)の合併でもたらされる効果、そしてソフトバンク株式会社の上場準備開始など、ソフトバンクグループの目指すこれからとは――。

  • 本取引はスプリントとTモバイルの株主および規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を必要とします。

最終利益が2年連続で1兆円を突破!

2018年3月期の連結業績は、売上高 9兆1,588億円(前年同期比3%増)となり、調整後EBITDA 2兆6,051億円(同2%増)、営業利益 1兆3,038億円(同27%増)。
最終的な当期純利益については、前年同期にスーパーセルの売却益やアリババ株の売却益を計上していたほか、アリババ株資金化に係るデリバティブ損失などの影響で1兆390億円(同27%減)となったものの、2年連続で1兆円を突破しました。

通信事業からの転換

通信事業からの転換

「『ソフトバンクとは何の会社なのか』『通信会社なのか、投資会社なのか』『どこへ向かおうとしているのか』という質問をよく聞く」と語る孫。

継続的に約5,000億円のキャッシュフローをあげるのが、国内通信事業を担うソフトバンク株式会社です。今後も安定した事業展開と共に、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する世界のユニコーン企業が日本に上陸する際には、その国内パートナーとしてソフトバンク株式会社およびヤフーが重要な役割を担うなど、通信事業領域を超え、さらなる成長機会を追及していくことになります。これが、孫が発明した「群戦略」であり、質問の答えです。

スプリントとTモバイルの合併合意によるシナジー

スプリントとTモバイルの合併合意によるシナジー

マルセロ・クラウレCEO体制となり、創業以来119年の歴史の中で過去最大の営業利益を出したスプリント。今回、Tモバイルとの合併が何を意味するのか。ここでもキーとなるのが「群戦略」です。

米国においては新規参入事業者も増える激しい競争の中で、まず5Gを舞台としたネットワーク競争に勝つこと。IoT時代に欠かすことのできない十分なキャパシティー、スピード、レスポンスタイムを持つネットワークをどこよりも早く構築することが重要となります。孫は、「スプリントとTモバイルが保有する周波数帯を合わせると、全米で最も強い5Gネットワークを構築する組み合わせを持つことになる」と自信をみせました。

この合併によってもたらせる統合シナジーは、ネットワーク、セールス、バックオフィスを合わせて430億ドル規模に上るとみられます。また、この合併によりキャッシュフローが大幅に改善することで、固定費だけではなく、設備投資に対する経営効率も一気に改善することになります。マーケットシェアを増やし、一位を狙うための戦略として、さらにネットワークや価格で競争を仕掛けることで、「低価格」で「高付加価値」となる消費者目線の戦略を促進することができ、米国の雇用促進、ひいては米国経済への貢献にもなる戦略的意思決定と位置づけています。

孫は合併合意に至った背景を、「より大きな結果を出すための戦略的な意思決定である。意思決定権では譲った形となったが、経済的な面ではプレミアムを受け取る形となった。群戦略の中の一環としてトータルで考えると、誤差の範囲内と考えている」と説明しました。

スマホ向けチップにおける世界市場のシェアのほとんどを持ち伸び続けているアーム、大幅な増収・増益が続くアリババなど、ソフトバンクグループは世界のNo.1企業との群戦略で、今後もさらなる成長を目指します。

決算説明会の詳細はこちら

(掲載日:2018年5月9日)
文:ソフトバンクニュース 編集部

    • 原則として、株式会社や有限会社、社団法人などを省略して社名・団体名を表記しています。