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詐欺サイトを見抜いてブロックする「みやブル」。巧妙化するネット詐欺への対策と備え|SoftBank SDGs Actions #33

詐欺サイトを見抜いてブロックする「みやブル」。巧妙化するネット詐欺への対策と備え|SoftBank SDGs Actions #33

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsの実現に向けて取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、社員自らの言葉で紹介します。33回目は、新しい名称に生まれ変わったネット詐欺専用セキュリティソフト「みやブル」を提供するBBSS株式会社のネット詐欺対策に関する取り組みです。

  • 2025年6月26日に「詐欺ウォール」から「みやブル」に名称変更しました。

池谷 秀文(いけや・ひでふみ)さん

BBSS株式会社 プロダクト本部 PR企画部 ディレクタ

池谷 秀史(いけや・ひでふみ)さん

2011年にBBソフトサービス(現BBSS)に入社。営業部門を経た後、現在はマーケティングから広報、CSRまでを担当

小津 謙一(おづ・けんいち)さん

BBSS株式会社 プロダクト本部 プロダクト企画部 ディレクタ

小津 謙一(おづ・けんいち)さん

2012年にBBソフトサービス(現BBSS)に入社。スマホ向けアプリやPepper向けコンテンツの企画を経て、現在は「みやブル」の製品責任者として企画ディレクションチームを指揮

フィッシングから偽サイトまで。日本発の詐欺特化型サービス「みやブル」

池谷さん 最近は、詐欺の手口がますます巧妙になってきています。2024年のクレジットカードの不正利用被害は過去最悪を記録しています。これまではサイトの見た目を注意して見れば怪しい点を見つけて避けられましたが、今は本物そっくりなサイトも多く、プロでも見極めが難しいほど。だからこそ、フィッシング詐欺などに対応できる専用の対策ソフトが必要です。

クレジットカード不正利用被害

当社の主力製品である「みやブル」は、「ネット詐欺専用」のセキュリティソフトです。長年にわたり「詐欺ウォール」という名称で提供してきましたが、よりユーザーの皆さんに親しみやすいように名称変更を行いました。スマホでもPCでも、ブラウザで詐欺と疑われるサイトにアクセスしたときに警告を出してくれます。ウイルスやマルウェアの検知・駆除やファイアウォールなど、端末を守る機能が複数備わっている一般的なセキュリティソフトとは違い、“ネット詐欺” に特化しているのが最大の特長です。

みやブルとは

小津さん 「みやブル」には3つの検知エンジンが搭載されており、複合的にブラウザを守っています。1つ目は、すでに詐欺と認定されているURLを蓄積し、該当するものがあればブロックする機能です。2つ目は、それでは検知できない領域をカバーできるヒューリスティック検知。詐欺サイトにありがちな特徴をルール化して、合致した場合に警告を出します。

みやブル独自の高精度検知エンジン

2018年からはそこにAI検知を追加しました。フィッシング詐欺が社会問題化し始めた時期で、この頃から詐欺サイトのライフサイクルが圧倒的に短くなりました。数時間単位で詐欺サイトが消えては新たに現れる状況に対して、人の手では追いつかなくなり、機械的に学習させる必要が出てきたのです。AI検知機能は日々学習を続けていて、より高度な詐欺にも対応できるようになり、高い検知率を維持しています。

池谷さん 「みやブル」は2006年にサービスを開始していて、もう20年近くになります。もともと日本国内の詐欺対策を目的としているので、近年のトレンドや国民性に合った対策ができるのが強みです。たとえば、海外ではスマホやパソコンメーカーをかたる詐欺が多い一方で、日本では「Yahoo! JAPAN」や「LINE」といったメジャーサービスをかたるものや、最近のトレンドでは新NISAに関連した詐欺が多くなっています。また真面目な国民性からか、「いまのクリックで有料サイトに登録されました」と言われると本当に連絡してしまう人も多い。こうした国ごとの違いに対応するためには、やはり国内に根差した対策が必要なんです。

小津さん AIエンジンの導入以降も「みやブル」の機能は進化を続けています。AIエンジンはもともとフィッシング詐欺に特化していましたが、商品も店舗も実在せず、お金だけだまし取る偽販売サイトや、サポート詐欺といった偽の警告画面などにも対応できるようになりました。

警察やグループ会社とも連携してネット詐欺に立ち向かう。約20年分の知見を生かして啓発も

小津さん ネット詐欺に立ち向かうには自社の努力だけではなく、パートナーとの連携も不可欠です。警察庁などの公的機関と連携し、被害情報のURLを提供していただき、毎日リストを更新しています。またLINEヤフー株式会社、PayPay株式会社などのグループ会社とも各社の公式サービスをかたった偽URLなどの情報交換を行っている他、Yahoo! JAPANアプリなどとの連携で、「みやブル」をお使いのユーザーであればアプリ内ブラウザにも対応できるようになりました。

「みやブル」は、ソフトバンクが提供している「セキュリティパックプレミアム」にエンジンを提供する他、国内主要PCメーカーの製品への体験版プリインストールや、全国70以上のISP事業者と連携した製品訴求などを通じ、多方面に展開し、お客さまへ届けています。

警察やグループ会社とも連携してネット詐欺に立ち向かう。約20年分の知見を生かして啓発も

池谷さん 約20年にわたるネット詐欺に関する知見を生かし、他にもさまざまな取り組みを行っています。一般の方向けには、誰でも無料で使える「詐欺サイトチェッカー」を提供しています。「怪しいかも?」と気になったサイトのURLを入力すると、詐欺の可能性を簡易判定できるツールです。教育現場でも使われていて、反響をいただいています。

2025年5月からは、ネット詐欺に関する情報コンテンツを集めた「ネット詐欺総研」という情報サイトを立ち上げました。詐欺ウォールの運用実績をもとに、早稲田大学・森教授の監修を受けた傾向分析レポートや、ユーザーから寄せられた体験談などを掲載し、身近にとらえてもらうことで啓発につなげています。今後はSNSでも発信して、もっと身近に感じてもらえるようにしたいと考えています。

ネット詐欺総研のコンテンツ例
ネット詐欺総研のコンテンツ例

ネット詐欺総研のコンテンツ例

池谷さん 青少年へのセキュリティ教育にも力を入れており、学校や自治体と連携し、スマホリテラシーの授業を行っています。闇バイトや出会い系詐欺など、SNSを通じたトラブルの実例をもとに、相手の心理を考えてみる、だまされるメカニズムを知る、といった視点から啓発しています。「SNSは危険」と決めつけず、いかに安全に使いこなすかを伝えることを大切にしています。

警察やグループ会社とも連携してネット詐欺に立ち向かう。約20年分の知見を生かして啓発も

教育関係者向けには、子どもとどう向き合うか、接し方にも焦点を当てたコンテンツを提供しています。深く介入するのではなく、対話のきっかけになるような教材を心がけています。

警察やグループ会社とも連携してネット詐欺に立ち向かう。約20年分の知見を生かして啓発も

手口は変わっても使命は変わらない。詐欺を正しく怖がり正しく防ぐ世の中へ

小津さん 「みやブル」には、月間30億件を超える検査ログや検知ログが蓄積されています。これを分析して、どこでどんな詐欺が起きているのか傾向をつかみ、新しい対策につなげていくのが今後の課題です。

また、現在はウェブを経由した詐欺が主流であり、「みやブル」もそれに対応するサービスですが、将来的には電話やチャット、DMなど、非ウェブ経由の詐欺にも対応できるよう、研究開発にも取り組んでいます。詐欺被害を少しでも減らすために、できることはすべてやっていきたいと思っています。

池谷さん 以前に心理学を学び、人がなぜ詐欺に引っかかるのかを考えるようになりました。たとえば確証バイアス。「自分だけは大丈夫」という気持ちから、怪しい兆候があるのに見ないふりをしてしまう場合があると言われています。そういう側面を知った上で、少しでも気にかかることがあったら立ち止まってもらうきっかけを提示できるよう、詐欺ウォールが蓄積してきた知見やデータをどう社会に還元していくか。SDGsの観点でも、安心・安全な暮らしを支えるための活動を今後も続けていきたいです。

詐欺はネット経由のものが広まるより前からある犯罪で、完全になくすのは難しいんです。詐欺がある社会の中でも、安心してデジタルと付き合っていける。そんな環境を整えることが、私たちの使命だと思っています。

手口は変わっても使命は変わらない。詐欺を正しく怖がり正しく防ぐ世の中へ

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(掲載日:2025年6月26日)
文:ソフトバンクニュース編集部

みやブル

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