【HELPO事例】福岡市11万人のPCR検査を支えるヘルスケアテクノロジーズ

2021年1月22日掲載

新型コロナウイルス感染症の第三波が全国的に猛威を奮う、2020年12月。

感染拡大を抑えるため、検査体制の拡充が急がれる中、ソフトバンク株式会社のグループ企業であるヘルスケアテクノロジーズ株式会社とソフトバンクグループ株式会社の子会社であるSB新型コロナウイルス検査センター株式会社は、福岡市の医療施設・高齢者施設・障がい者施設等の従業者およそ11万人を対象にPCR検査を開始した。

2020年9月に、SB新型コロナウイルス検査センターの池田 昌人代表取締役社長が、1回あたりの検査代2,000円の唾液PCR検査開始と東京PCR検査センター開設を発表。第三波の中で真価が問われることになった。

しかし、11万人という規模での検査体制をどのように実現するのか。福岡市保健福祉局 部長(新型コロナウイルス感染症対策担当)の中村卓也氏とヘルスケアテクノロジーズ代表取締役社長 兼 CEOの大石怜史に話を伺った。

目次

第三波で求められる検査数とリソース不足

ヘルスケアテクノロジーズはSB新型コロナウイルス検査センターと共同で福岡市内の医療施設や高齢者施設、障がい者施設の従業者を対象にした唾液PCR検査の実施を市から受託。2020年12月から2021年3月までの期間を予定しており、対象者はおよそ11万人になる。

福岡市保健福祉局の中村氏は、今回の取り組みの背景について次のように語る。

中村卓也 氏

福岡市 保健福祉局
部長(新型コロナウイルス感染症対策担当)

「これまで行政が主導して行っていたPCR検査は、検査リソースに限りがあるため、主に発熱などの症状のある方や濃厚接触者を対象としていました。しかし、感染拡大を抑えようと思えば無症状者への検査も行っていかなくてはなりません。

もともと福岡市では他の自治体よりも幅広い対象へ向けて検査を実施していましたが、2020年9月15日に政府から検査対象を広げる方針が発表されたことも後押しとなり、重症化リスクの高い入所者の多い医療施設、高齢者施設で検査を行う今回の取り組みを開始しました」(中村氏)

従来のPCR検査数に限りがあった要因の多くは、検査リソースにある。発熱症状のある人が受診できる医療機関や、検体採取をできるPCR検査センターをどうやって増やすか。そして、少なくない要因となっているのが、市の保健福祉局をはじめとする検査に関わる人的リソースだ。

福岡市の保健福祉局も、第一波の時は検査、隔離、入院の一連の流れがスムーズにいかず混沌(こんとん)とした状態だったという。

対応の流れこそ、第一波と第二波である程度確立できたものの、第三波になり必要とされる検査の数は圧倒的に増えている。これで無症状者への検査まではじまれば、リソース不足に陥ることは自明だ。

中村氏は全国の政令指定都市でも例にない規模の検査事業に「やれる、やれないではなく、やらねばならない」という思いだという。

福岡市は検査事業にあたり公募を実施。1日最大2,500件の検査。それを着実に行える体制。検査の実績。検査の精度、品質。申し込みから搬送、検査、検体回収、結果通知までの一連の流れを迅速かつ確実に行えるかどうかが審査の基準となった。

それにより採用されたのがヘルスケアテクノロジーズとSB新型コロナウイルス検査センターの合同チームだ。

大石怜史 氏

ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
代表取締役社長 兼 CEO

「今回我々は同じソフトバンクのグループである、SB新型コロナウイルス検査センターと、チームを組み福岡市の検査事業を受託することとなりました。
同センターには高品質の検査をお任せし、その他受検者への案内を含む全般を担うことがヘルスケアテクノロジーズの役目です。」(大石)

11万人、6,500施設を対象としたPCR検査スキーム

これまで行政が主導するPCR検査は検査対象者と個別に電話連絡を取り合うなど、人の手作業に頼るところが大きかった。しかし、11万人、6,500施設を対象となると、一連の流れをDXし、効率化していく必要がある。

今回のPCR検査の流れは以下の通り。

大石は「コロナ禍で福岡市の職員もかなり逼迫(ひっぱく)した状況でした。そのため、職員になるべく負担をかけないようにオペレーションを組みました」と語る。

福岡市の対応は、対象となる施設へのメールや郵送による一斉送信での周知と、検査により陽性反応が出た場合のみに限られる。

その他の業務については、施設管理者が施設の検査枠予約から職員の結果確認までを一括で行える独自のシステムを開発、リスクを限りなく抑えた独自の運用を確立した。
具体的には施設管理者がシステム管理画面で検査枠確保を行い、郵送で検査キットを受け取る。そのあと、集団検査で唾液を採取し、専用の箱に梱包して当日の対応は終了。翌日、施設に直接訪問する回収センタースタッフに検体を渡して完了。結果については唾液採取した2日後に通知される。

なお受検者は、ヘルスケアテクノロジーズが提供するオンライン健康相談スマホアプリ「HELPO」で、施設管理者が確保している検査日程内での検査予約申し込みと検査結果の確認ができる。スマホを持ってない受検者は、専用フォームでメールアドレスを登録し検査予約申し込み実施、検査結果はメールで通知されるようになっている。

施設管理者システムの検査枠確保画面 施設管理者システムの検査枠確保画面
施設管理者システムの検査結果確認画面 施設管理者システムの検査結果確認画面

この独自の運用により、検査に関わるオペレーションの大部分が自動化・効率化され、11万人を対象とする検査に耐えうる体制を短期間で構築することができた。

「『HELPO』は、医療専門職(医師・看護師・薬剤師)にスマホアプリからいつでも健康医療相談をすることができるサービスです。今回の取り組みでは受検者との検査に関わる連絡の窓口の役割を果たしていますが、検査前後でのさまざまな不安に対してもアプリ上から相談を受け付けしています」(大石)

全ての国民が安心して、安価に検査を受けられる体制を

取材当日は福岡市の医療施設や高齢者施設、障がい者施設の従業者への検査が開始してから、1週間程度が経過したタイミング。まだ今回の取り組みの実績を語るには尚早だが、中村氏は次のように語る。

「まだ施設から具体的な声は届いておりませんが、助かっているのは間違いありません。従来であればこういった集中検査は本当に人海戦術でした。リストで名前を確認して、連絡先を聞いて、その後の結果通知を送付する。全て、保健所の職員が総出で行っていましたから」(中村氏)

また、福岡市は中洲エリアでのクラスター多発を受けて、取材の前日から飲食店を対象とした無料のPCR検査も開始した。同検査においても、ヘルスケアテクノロジーズとSB新型コロナウイルス検査センターによる同様のスキームが適用されている。

「私が市の新型コロナウイルス感染症の担当になってから数ヵ月経ちますが、その間にも刻一刻と状況は変化しています。その状況に応じた検査対象者や検査ボリュームが求められる中で、デジタル化により臨機応変な対応が可能なPCR検査ソリューションはとても重要です。

私はコロナ以前から、市のヘルスケア分野におけるDXに関わって参りました。オンライン診療に遠隔服薬指導、医療データのプラットフォーム化。今回のコロナ禍における検査事業はもちろんのこと、ヘルスケア分野におけるDXの恩恵はとても大きいと感じています」(中村氏)

また取材の最後に、大石はヘルスケア分野における今後の展望について次のように語った。

「全ての国民が安心して生活ができるような支援をしていきたいと考えています。現状PCR検査は有効な手段の一つと考えており、SB新型コロナウイルス検査センターと連携してより多くの人にサービスをお使いいただくことで、安心して暮らせる環境づくりをサポートしていきたいと考えております」(大石)

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