断水時も継続的な水の利用が可能
パチンコ店を有事の際の防災拠点として活用する
株式会社 日光商事の取り組み ~防災特化型店舗~

2022年4月5日掲載

断水時も継続的な水の利用が可能 パチンコ店を有事の際の防災拠点として活用する 株式会社 日光商事の取り組み ~防災特化型店舗~

愛媛県新居浜市を中心に国内で 13 店舗のパチンコ店を経営する株式会社 日光商事グループ。同社は、岡山市泉田に建設中の新店舗を有事の際に地域住民が利用できる防災特化型店舗として設計。防災設備としてソフトバンクと資本業務提携をするWOTA株式会社のポータブル水処理システム「WOTA BOX」を採用し、平時・有事の両シーンでの活用を予定しています。

インフラ機能が失われた際も地域全体で連携し助け合うことを目的とした本プロジェクトの取り組み内容や考え方、そして「WOTA BOX」だからこそ実現できる地域とのつながりについて、日光商事の代表取締役 川井 祐介氏にお話を伺いました。

目次

お話を伺った方

株式会社 日光商事 代表取締役

川井 祐介氏

新店舗の概要

200人の人々が3日間生活できる設備を整える

地震や豪雨による水害など、有事の際に地域住民が防災拠点として利用できる新店舗の概要を川井氏は次のように話します。

「岡山市泉田に新店舗をオープンしますが、この店舗は有事の際に地域住民が防災拠点と して利用できるように設計しています。具体的には災害発生から自衛隊など外部支援が見込めるまでの見込み時間、72時間(3日間)を200人が生活できる設備を整えます。朝昼晩の食事やトイレはもちろん、医療サービスを受けることができ、全ての人が24時間以内にシャワーを浴びることができます。1階のホールや休憩室を利用した滞在を考えていますが、水害により店舗の1階が冠水してしまった場合でも、立体駐車場を活用して3階以上で滞在することも可能です」(川井氏) 

必要になる電力も考慮して店舗の設計を行ったと言います。 

「太陽光のパネルを屋上階に設置し、3台のEV車に接続して蓄電を行います。こうして蓄電した電力で周辺区域が停電になっても店舗内は照明や電源コンセントが使えるように情報インフラに必要な電力も考慮して設計しています」(川井氏)

 

▼防災特化型店舗

新店舗を ”防災特化型” とした経緯

社会貢献を通して弊社を知っていただく

地域の方々に自社のことを知ってもらわなければ、お店に来てもらえないと川井氏は話します。

「弊社はパチンコ業界が事業を縮小していく中でも、成長を続けています。その理由は、人口減少や社会変化に伴ってパチンコ店の在り方が変化する中で変化に対応し、装置産業としてではなくエンターテインメントとして完成された娯楽事業に転換を図ったからだと思います。

パチンコ店にはパチンコ台があり、お客さまがそれに触って楽しむという機能が基本です。しかし、パチンコ台があるだけではなく、お店に行くことで『元気がもらえる』とか『楽しい気持ちになれる』こうした期待に応えるのがエンターテインメントじゃないかと思います。

しかし、『楽しい』と思ってもらえる前に『日光ってどんな会社なの?』『どういう事業をしているの?』という部分の浸透がないと、そもそもお店に来てもらえません。ですので、サッカークリニックの開催や地元新居浜市の観光名所を伝えるCMなどの社会貢献を通して地域の人とのつながりを持ち、弊社のことを知っていただく活動を行ってきました」(川井氏)

岡山県での豪雨を経験し、新しい社会貢献の形を知る

新店舗を防災拠点として活用するにあたり、岡山県での豪雨の経験が生きていると川井氏は話します。

「2018年7月の豪雨の際は、弊社の店舗がある岡山県が水害の被害に遭いました。地域住民の方々が『家に帰るのが怖い』『パチンコは打ったことがないけれど、家で寝るのが怖いから立体駐車場を利用させてほしい』ということで、約500台の立体駐車場を無料開放しました。その日は立体駐車場が満車になり、夜も電気がついていて、まるで車のホテルのようでした。立体駐車場をご利用いただいたお客さまからは、安心したという声をいただき、こうした形で社会貢献できるんだと思いました。

嬉しかったのは、それまでパチンコ店の敷地に入ったことのなかった人が、お世話になったからパチンコに行こうかと店舗に足を運んでくださったことです。弊社の社会貢献から弊社のことを知ってもらい、店舗に来ていただくという理想の形でした」(川井氏)

コロナ禍を経て決意

コロナ禍を経て、あらためて店舗の在り方を見直したと川井氏は話します。

「新型コロナウイルス感染症の感染拡大により全国のパチンコ店に休業要請が出る中、営業を続けた一部の店舗には批判の声が集まりました。あれはごく一握りのお店であって、全国の99.5%のお店は各地方自治体の要請に応じて休業していたのですが、一部のことを全体かのように報道されたことで、パチンコ業界全体が大きな影響を受けました。業界全体がマイナスイメージに包まれ、従業員やその家族からも『パチンコ店は大丈夫か』と不安の声が上がる中で、私は従業員やその家族に弊社で働く誇りをどう与えてやれるだろうかと考えはじめました」(川井氏)

何ができるのかを考える中、日頃から行っている地域貢献活動や水害の経験から気付くものがあったと言います。

「岡山県での水害の時に立体駐車場を利用していただき、皆さんに喜んでいただいたように、世のため人のため、従業員、地域のための店舗と考えたときに出た答えが防災特化型の店舗としての在り方でした。

もちろん平常時に店舗に興味を持ってもらえるのはパチンコをする数%の人だけかもしれませんが、店舗が防災拠点になるのであれば、万が一大きな地震や水害などの災害があった場合に100%の人に必要不可欠な施設になります」(川井氏)

水と衛生という観点から必要不可欠な設備「WOTA BOX」

「ほんとにそんなことできるの?」と思った

「WOTA BOX」

断水が発生した地域の避難所では水が不足するため、体を洗うことができないこともあります。水循環型の「WOTA BOX」であれば水を繰り返し利用できるため、避難中でも水の確保や大量の排水処理を気にすることなくシャワーを浴びることができます。

防災拠点に必要な設備を整えていく中、新店舗の設計や防災設備提案を手がける株式会社メガクリエイト様の紹介で「WOTA BOX」を知った川井氏。当初はそんなことができるのかと信じがたかったそうです。

「一度使用した水を循環させて再利用なんて『本当にそんなことができるの?』と最初は信じがたかったんです。しかし、弊社に「WOTA BOX」の実物を持ち込んでデモを実施いただき、シャンプーの混ざった液体が濾過されて繰り返し使えるようになるのを見て『これしかない』と感動しました。

水は生活に欠かせないものですが、生きるためには飲めることが重要なので、有事の際に水をシャワーに使うというのはありえないと思っていました。ですが、そうした水を再利用できるのであれば、衛生面から考えても使わない手はないと思いました。

 

▼「WOTA BOX」の利用イメージ

一方で、こんなに素晴らしい設備を有事の際にしか使わないのかと考えたと言います。

「防災拠点は非常時に役立つものなので、そういう日が来ないことが幸せなんですが、有事でなければ「WOTA BOX」をずっと倉庫に入れておくべきなのか…?と考えました。

そんな時に、WOTAさんから静岡県の河川敷での「WOTA BOX」の事例を教えていただきました。河川敷で使えるのであれば、子供たちが夏の暑い日にサッカーの大会をするとか、マラソン大会をした際にシャワーを浴びて帰れるようになるのではと思いついたのです。

弊社の店舗に子供たちや保護者の方が使用申請をして「WOTA BOX」を取りに来ていただいて貸し出す。それであれば、平時の際も使えて社会貢献ができるなと思いました。「WOTA BOX」のテントに弊社のロゴを入れることで、弊社のことを地域の方々に店舗以外の場所で知っていただける、これも非常にメリットだと思いました」(川井氏)

新店舗および「WOTA BOX」への期待

地域の声に応えていきたい

地域とのつながりを強化していきたいと語る川井氏は、新店舗や「WOTA BOX」への期待を次のように語りました。

「愛媛県で流れる弊社のCMは『新居浜を遊ぼう』という内容で、地元の工業遺産など、新居浜の宝物を愛媛県の多くの方に知っていただきたくて流しています。このCMを見ていただいた新居浜の方々からは「ここの場所を採用して」「こんなパワースポットがあるんだよ」という電話もかかってきます。今回の「WOTA BOX」も世の中に出していくことで「こんな風に使いたい」と反応してくれると思うので、そんな地域の方々からの声にどんどん応えていきたい。こうした地域の声から新たなビジネスが生まれる可能性も大いに秘めていると思います。

パチンコ店はお客さまを喜ばせる業界であり、地域の方々と一緒に世の中をよくしていく力があると思っています。今回の社会貢献を通じて、弊社の取組みやWOTAさんの素晴らしい技術・驚きをどんどん発信し、多くの方に知っていただきたいです」(川井氏)

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