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数ある補助金の中でもIT導入補助金は、生産性の向上や業務効率化を進めるのに役立つ制度として注目を集めています。本ブログでは2024年度のIT導入補助金の制度概要や申請スケジュール・流れなどをご紹介します。
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IT導入補助金2024における交付申請の最終締め切り日は、2024年8月23日(金)17時00分となります。(本年中にさらに1回の公募を実施する可能性があります。)
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者向けに、自社の課題やニーズにあったITツール(ソフトウェア・サービスなど)の導入にかかる経費の一部を補助し、業務効率化やDXをサポートする制度です。安価なITツールなどにも利用でき、ほかの補助金と比べて受給までの期間が早いため、使い勝手のよさが評価されている補助金でもあります。
2024年度は、以前にも増してインボイス制度への対応に向けたツール導入を促進するため、「インボイス枠」が新設され、一部類型においては補助率が引き上げられています。
IT導入補助金の利用には審査があり、「申請したら必ずもらえる」制度ではありません。また補助対象となるITツールは事務局より認定を受けたITツ―ルのみとなり、事後の実績・効果報告が必要になるなど注意すべきポイントがいくつかあります。
また、交付申請を行うには、「IT導入支援事業者」と呼ばれる事業者とともにパートナーシップを組んで事業計画を策定し、手続きする必要があります※1。「IT導入支援事業者」は、ITツールの説明、導入、運用などの相談サポートに加え、補助金の交付申請や実績・効果報告に伴う事務局への各種手続きのサポートを行います。
※1 複数社連携IT導入枠を除く
2024年度のIT導入補助金は、大きく分けて3つの申請枠が用意されています。各枠ごとに補助率や補助限度額、補助対象となるITツールの機能数や業務プロセスの数などの要件があります。すでに使いたいITツールの目星がついている企業にとっては、ITツールごとに申請枠や類型がある程度決まっているため、迷うことは少ないと思います。より補助率の高い申請枠を選ぶことを念頭に、IT導入支援事業者と相談しながら進めるとよいでしょう。
経営課題や需要にあわせたITツール導入を推進し、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を目的としています。
さまざまな業務に対応できる、IT導入補助金の基本型となる申請枠です。通常枠は2つに区分けされており、補助限度額の違いはもちろんですが、改善可能な業務プロセスの数や従業員への賃金引上げ計画の表明を必須とするか否かなどで、いずれかを選択することになります。
どんな費用が対象になるのか?
通常枠では、以下のように各プロセスで発生する業務課題を改善できるITツールであることが要件として設定されています。
参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局「IT導入補助金2024公募要領 通常枠」をもとに作成
補助対象になる費用としては、上記のプロセスで活用できるソフトウェアの購入費のほか、オプション、役務に該当する各経費も対象になります。
ただし、ハードウェア購入費用は補助対象外となっているので、注意しましょう。
インボイス枠には、「インボイス対応類型」「電子取引類型」の2つの類型に分かれています。
「電子取引類型」は取引における発注者が、インボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、受注者である中小企業・小規模事業者に対して無償でアカウント配る場合など、利用シーンが限定的になります。そのため、本記事では「インボイス対応類型」について詳細に説明します。
なお、「インボイス対応類型」はインボイス制度への対応などを見据え、会計、受発注、決済のいずれかの機能を有するITツール導入に特化した申請枠です。補助限度額に下限はなく、安価なITツールにも補助金を申請することが可能です。
以前は対象となるツール機能に「EC」が含まれていましたが、2024年度より対象外になったようです。
どんな費用が対象になるのか?
通常枠とは異なり、ハードウェアの購入費も対象経費とすることができます。ハードウェア購入費の中でも補助限度額が定められており、PC・タブレットなどは10万円以下、レジ・券売機などは20万円以下となっています。
ハードウェア購入費の補助は限定的
ハードウェアの購入費が補助対象となるのは、いずれも会計、受発注、決済の機能を持つソフトウェアとあわせて購入する場合に限られます。
また、PC・タブレットなどはソフトウェア購入先として選んだIT導入支援事業者からの購入に限られ、POSレジもIT導入支援事業者により事前登録されたパッケージの中から選ぶ必要があります。
本枠で申請するITツール導入に関連しない、汎用的な利用を目的としたPCなどの購入は補助対象外になるためご注意ください。
サイバー攻撃による事業停止や生産性低下を防ぐために、企業がサイバーセキュリティ対策の強化を行う際に導入するITツールの経費の一部を補助します。
どんな費用が対象になるのか?
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供するものかつ、事務局に事前登録されたサービスに限られます。対象経費は以下の通りです。
▶どの枠で申請するか迷ったら?「補助金コンシェル」に相談できます。
2022年度でのIT導入補助金の各申請類型別の採択件数は以下の通りです。申請が集中する通常枠とデジタル化基盤導入枠(インボイス枠の前身)においては、デジタル化基盤導入類型が採択されやすい傾向にあるようです。
参考:中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2023』の概要」を元に当社で作成
自社の解決したい課題に対して、IT導入支援事業者がITツールの提案から補助金申請のサポートも行うため、申請枠についてもIT導入支援事業者に相談ができます。
主に通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)で迷うケースが出てくると思いますが、どの枠で申請すべきなのかを判別したい場合は、以下の図を参考に整理してみましょう。
全ての申請枠で、中小企業・小規模事業者が補助対象※2となっています。業種分類ごとに「資本金の額または出資の総額」「常時使用する従業員の人数」のいずれか一方が記載の金額や人数以下となる場合、補助対象となります。(個人事業を含む)
※2 インボイス枠(電子取引類型)では、中小企業・小規模事業者等と受発注の取引を行っている事業者(大企業含む)も対象
(中小企業の一例)
業種・組織形態 (資本金もしくは従業員のうち一方の条件を満たせば対象) | 資本金 (資本金の額または出資の総額) | 従業員 (常勤) |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 (ソフトウェア業、 情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
(小規模事業者)
業種・組織形態 | 従業員 (常勤) |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業、娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
ただし、以下のような「みなし大企業」に該当する事業者については、補助対象外になります。
補助対象者の詳細な要件はIT導入補助金2024公式サイトをご確認ください。
申請が採択(交付決定)される前に、申請していたITツールの発注・契約・支払いなどを行った場合は補助対象外になります。(例えば提案段階でのコンサルティング費用など)
自社の社内事情にあわせてカスタマイズを行うなど、いわゆる汎用品に該当せず、大規模な開発が必要になるソフトウェアなどは対象外となります。
すでに購入済みのソフトウェアに対する増台や追加購入分のライセンス費用、過去購入した製品の保守・サポート費用などは対象外です。新規導入のITツールが対象となり、中古品やリース・レンタル契約※3のITツールも対象外となります。
※3 サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く
申請数が多くなると予想される通常枠とインボイス枠で特に注意が必要ですが、2022・2023年度のIT導入補助金で交付決定を受けている場合、交付決定日から12カ月以内には2024年度IT導入補助金の申請ができません。
<いずれも交付決定から12カ月以内の場合>
■2022・2023年度:通常枠(A・B類型)、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入枠)交付決定あり
→2024年度:通常枠の申請は不可
■2022・2023年度:デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・商流一括インボイス対応類型・複数社連携IT導入枠)交付決定あり
→2024年度:インボイス枠(インボイス対応類型)への申請は不可
過去申請済みの申請枠がある場合には、IT導入支援事業者へ共有し申請が可能かどうかを確認してください。
IT導入補助金は採択のための審査があります。手続きの流れを把握し、IT導入支援事業者と協力して申請を進めていく必要があります。
補助金を利用することが先行しがちですが、まず初めに業務改善したい領域の選定など自社課題の整理・優先順位付けから始めましょう。ITツールを使うことになる現場からの意見なども重要です。
次に、申請枠の違いなど各枠の公募要領の確認をしましょう。公募には複数回の申請期間が定められていますが、採択件数と予算の状況によっては公募が終了してしまう場合もありますので、早めに申請するように計画を立てていきましょう。
ITツールの導入においてはIT導入支援事業者との連携が不可欠です。普段から付き合いのあるIT導入支援事業者がいない場合は、その選定から進めていく必要があります。
IT導入支援事業者には、幅広い種類のITツールを複数取り扱っている事業者や、ITツール自体を開発・販売しているITベンダが登録されている場合もあります。
導入したいITツールが決まっているのか、その前の課題の相談から行いたいのかを整理して、適切なIT導入支援事業者を決定しましょう。
▶「補助金コンシェル」で課題整理/ITツール選定を支援します。
IT導入補助金はWebサイトから補助金申請を実施します。補助金申請の実施にあたって必要なアカウント登録や書類の準備は以下の通りとなりますので、漏れなく実施するようにしましょう。
■「gBizIDプライム」のアカウントを取得する
gBizIDは、国や地方自治体のさまざまな行政サービスをインターネットから手続きできる仕組みを提供しています。アカウントの種類が2種類あり、IT導入補助金の電子申請するにあたっては「gBizIDプライム」のID・パスワードを使用します。(「gBizIDエントリー」のアカウントでは手続きできないのでご注意ください)
※アカウントID発行には、おおむね2週間かかるため早めに申請しましょう
■「SECURITY ACTION」の宣言
中小企業・小規模事業者等自らが、情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度でIPAが実施しています。IT導入補助金の申請には「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかを宣言していることが申請要件となっています。
■「みらデジ経営チェック」の実施(2023年度より)
2023年度より新たに申請要件となった手続きです。経営課題の解決につながるITツール導入が重要となるため、中小企業庁の「みらデジ経営チェック」による自社のデジタル化への取り組み状況を可視化します。本チェックの利用に「gBizIDプライム」の連携も必要になります。
通常枠に関してはみらデジ経営チェックが必須要件、インボイス枠・セキュリティ対策推進枠については加点要件になっています。
■履歴事項全部証明書などの書類準備
法人が交付申請するにあたって必要な書類は以下の通りです。
IT導入支援事業者と商談を進めて、事業計画の策定を行います。事業計画の中には、ITツールの選定以外にも「労働生産性の伸び率の向上」など計画値の設定が要件となっているものや、「従業員に対する賃金引き上げ表明」が必須要件となっている通常枠(補助額:150万円~450万円以下)のようなケースもあるため、IT導入支援事業者と相談しながら進めていきましょう。
IT導入補助金の手続きは、全て電子申請になります。パートナーとなるIT導入支援事業者から各種手続きを行うポータルサイト「申請マイページ」の招待を受け、申請画面から必要情報の入力と書類添付を行い事務局へ提出を行います。
事務局から再提出を指示される場合を除き、一度提出した交付申請は結果が公表されるまで取り下げできないため注意しましょう。
申請内容に基づき、事務局・外部審査委員会での審査が実施されます。交付の決定通知は「採否結果通知メール」として申請者が登録した通知メールアドレス宛に送付されます。
交付決定を受ける前に、一部でも契約・発注・支払いなどを行った申請は補助金の交付を受けることができないため注意しましょう。
事務局より交付決定の通知を受けたら、申請したITツールの導入など補助事業の実施をします。この段階では、まだ補助金の交付はされていないため、全額自社で前払いをする必要があります。ITツールの導入費用が高額であっても、リース契約などはできない(補助金対象外)ため、資金繰りに注意する必要があります。
事業実績報告では、申請されたITツールがきちんと導入されたかをチェックします。事業スケジュールごとに定められた期限までに、「申請マイページ」から事業実績報告を行います。報告時には、以下の証憑などを提出する必要がありますので、捨てずに保管するようにしましょう。
<証憑の例>
事業実績報告が完了し、補助金額が確定すれば「申請マイページ」から補助額を確認できます。その内容を確認した後に補助金が交付されます。
ITツールの導入によって、生産性向上にどのぐらい効果があったのかを報告することが定められています。効果報告は「申請マイページ」から必ず決められた期間内に実施する必要があります。報告内容は申請枠によって異なりますが、交付申請の際に計画した「労働生産性の伸び率」「賃上げ目標への達成度」などの数値報告が必要です。
<労働生産性※4の伸び率>(通常枠のみ)
※4 労働生産性とは、粗利益(売上-原価)/(従業員数×1人当たり勤務時間(年平均))により算出された値
<賃上げ目標>
労働生産性の伸び率については目標が未達であっても申請者へのペナルティは明記されていませんが、賃上げ目標を必須項目とする通常枠(4プロセス以上)では、補助金の返還が求められる可能性があります。
▶「補助金コンシェル」は効果報告までしっかりサポートします。
2024年2月16日より、2024年度の受け付けが開始されています。各枠で設定されている直近の締め切り日は以下の通りとなります。事業スケジュールは段階的に発表されるため、最新の情報についてはIT導入補助金事務局2024公式サイトにてご確認ください。
なお、2024年度の交付申請の最終締め切り日は、2024年8月23日(金)17時00分となります。(本年中にさらに1回の公募を実施する可能性があります。)
【通常枠】
4次締切分
ー締切日 2024年6月19日(水)17時00分
ー交付決定日 2024年7月29日(月)
5次締切分
ー締切日 2024年7月19日(金)17時00分
ー交付決定日 2024年8月30日(金) (予定)
6次締切分
ー締切日 2024年8月23日(金)17時00分
ー交付決定日 2024年10月3日(木) (予定)
【インボイス枠(インボイス対応類型)】
9次締切分
ー締切日 2024年7月19日(金)17時00分
ー交付決定日 2024年8月30日(金) (予定)
10次締切分
ー締切日 2024年8月2日(金)17時00分
ー交付決定日 2024年9月9日(月) (予定)
11次締切分
ー締切日 2024年8月23日(金)17時00分
ー交付決定日 2024年10月3日(木) (予定)
【セキュリティ対策推進枠】
4次締切分
ー締切日 2024年6月19日(水)17時00分
ー交付決定日 2024年7月29日(月)
5次締切分
ー締切日 2024年7月19日(金)17時00分
ー交付決定日 2024年8月30日(金) (予定)
6次締切分
ー締切日 2024年8月23日(金)17時00分
ー交付決定日 2024年10月3日(木) (予定)
IT導入補助金は、中小企業がDXを進めていく上で非常に役立つ制度です。制度の注意点に留意しながら、まずは自社の業務改善点を整理し、IT導入支援事業者に相談してみましょう。
ソフトバンクは2024年度IT導入支援事業者として「ソフトバンクコンソーシアム※5」を運営しています。IT導入補助金のオンライン申請サポートなどを「補助金コンシェル」として展開しており、幅広いITツールにご活用いただけます。「申請が煩雑で理解しにくい」「どんなITツールの組合せができるのか確認したい」などご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
※5『補助金コンシェル』は、IT導入補助金2024支援事業者「ソフトバンクコンソーシアム」が運営しております。「ソフトバンクコンソーシアム」とは、IT導入補助金2024において支援事業者として、ソフトバンクソフトバンク株式会社、株式会社ライトアップの2社によって構成された事業団体です。
※掲載の内容は記事作成日(2024年8月)時点の情報に基づいて作成しています。最新情報についてはIT導入補助金2024公式サイトにてご確認ください。
条件に該当するページがございません