フォーム読み込み中
2023年に入り、ChatGPTを筆頭に文章や画像を生成する「生成AI」と呼ばれるAI技術が注目を集めています。ビジネスにおける生成AIの活用や開発の意義、ソフトバンクの優位性、そしてビジネスへの影響や可能性について、立教大学ビジネススクール教授の田中 道昭 氏とソフトバンク株式会社 取締役会長の宮内 謙が対談形式で語りました。
本記事は、2023年10月3日に配信されたSoftBank World 2023でのNewsPicksコラボ企画「NewSession」の特別編「イノベーション解体新書 〜宮内会長が語るソフトバンクの歩みと進化〜」を再編集したものです。
生成AIは2023年に入り急速に注目を浴びています。宮内は、従来は研究対象でしかなかったAIが、今では私たちの身近な存在になってきたと指摘しています。
「僕らは何かあったらググる(Googleで調べる)ということに慣れてきました。Webで調べるという行為が自然な形で生活の中に入ってきたように、生成AIも我々の生活の中に入ってくると僕は思っています。
スマートフォンがポケットやハンドバックに入っているように、その上でAIを簡単に使えるようになってきた。コンピュータの世界ではストレージに入れてしまえば全て覚えられるわけです。AIが身近にきて推論する世界になり、自分の腹心のように手伝ってくれる存在がポケットの中にあると思うとすごいことになるなと」
コンシューマ(B2C)の世界での変化に加えて、エンタープライズ(B2B)の世界も生成AIによって変化しつつあると宮内は続けます。
「6月にシリコンバレーに行った際、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOが生成AIの爆発的な発達と、これからの産業は AIファクトリーになると話してくれました。
ファクトリーは工場という意味ではなくて、あらゆる産業・あらゆる分野でAIを通じてデータが入っていき、アウトプットしていく世の中になると言うのです。
クラウドの世界があり、その上に生成AIを作る会社がある。生成AIを作る会社は相当なコストがかかるので、OpenAIとマイクロソフトが提携するように、多分大企業のGAFAMとくっついていくでしょう。
でも、もっと大事なのはその上で、生成AIの上にあるアプリケーションのレイヤーなんです。アプリケーションのレイヤー上にすでに1万5,000社くらいのベンチャーが動いてるよと言う話でした」
それを聞いた宮内は、コンシューマのビジネスだけではなく、B2Bの世界も大きく動きだしていると感じたと語ります。
実際に日本の投資先の企業でもAI活用が進み始めています。
「ソフトバンクが投資している日本の会社でも、すでにAIを入れ始めています。
これまでもビジネスの世界でオートメーション化など色んなことを僕らはやってきました。
今後は生成AIを使うことで、単なる言語処理のLLM(大規模言語モデル)だけじゃなくてマルチモーダル※だったり、コンピュータのプログラミングもできる。さらに、動画や画像も・・・となってくると、使い方ひとつで爆発的に新しいマーケットが登場してくるでしょう。ソフトバンクはデジタルプラットフォーマーとして、そんなビジネスの世界を見ていきたいなと思うわけです」
※マルチモーダル:複数のデータや手段を組み合わせて処理すること
宮内は、AIを利用することで、今までのサービスやアプリがより効果的で快適なものになることができるのではと述べました。
田中氏は、今後デジタルプラットフォーマーという部分に生成AIが掛け算されると、ソフトバンクの優位性はどこに出てくるかと宮内に投げかけました。
「いろんな産業がありますが、それぞれのデータが重要です。生成AIでは色々な質問に即座に回答してくれます。でも、実際に一番重要なのは、生成AIにそれぞれの産業のデータをどうアノテーション(学習)させていくかというところなんです」
「いわゆるOpenAIが持つデータも重要ですけれども、それ以外に自分たちのデータ、産業別のデータ、企業別のデータをどう作っていくかです。
データを学習させていくことをアノテーションといいますが、これをきちんと自分たちでやる。そして状況によっては自分たちのデータで動かすものと、一方で、例えばマイクロソフトやOpenAIともリンクドイン(つなげて)していく。両方だと思います。
自分たちでトライしてチャレンジしていかないと。単に諸外国のものを使うだけでやっていてはダメだと思いますね」
二つ目のキーワードである情報革命のさらなる進化について、宮内は続けました。
「情報革命の進化はy=ax²のグラフのように急激なカーブで進んでおり、まだまだいくと思います。1980年代のスパコン並みのパワーを今のスマートフォンが持っているように、ストレージの量も膨大でダウンサイジング化し、小型化と集積度が強烈に上がってる。
ストレージが小型化して一挙に安くなり、CPUも進化していますね。特にGPUですね。すごい性能のものが出てきています」
CPUやGPUだけではなく、ほかのIT環境も大きく変わってきたと語ります。
「クラウドの環境も整ってきてるんですね。今まで、AIの世界が身近なものじゃなかったのは、ITのインフラストラクチャーが整っていなかったからです。しかし今は全てが安くてダウンサイジングして整ってきたわけです。
ポケットの中に入ってるスマートフォンとクラウドの環境がつながる。この環境が整ったので、これからのステップは途方もないことができるのではないでしょうか。
AIが人間に近づいてくるのはいいのか悪いのかと言う議論が盛んにされていますが、それ以上にどんな形で産業、あるいはコンシューマに置き換えていくか。ここのビジネスモデルの作り方次第で、非常に面白いことが起こるんじゃないかと思います」
進化のスピードが止まらない中で、宮内はますますGAFAMは強くなるだろうと述べつつ、シリコンバレーやイスラエルのベンチャーなどもベンチマークしておくべきだと言います。
「日本の企業との違いは、考え方の規制がないことだと思うんです。新しいユーズが出たときに今までの考え方がひっくり返される、破壊されることがあるわけです。そんな中で世界中の新しいベンチャーや技術の最先端をやってる人間たちが何をしているか、どう観察するかが大事だと思います。インターネットですぐ見れるわけですし。
今までの自分の主観だけで考えるんじゃなくて、よく見て、どう現状突破するかというふうに考えられるかどうか。ここが日本のベンチャーとシリコンバレーの違いだと思います」
「シリコンバレーだって途方もないことをやって失敗もします。でも失敗したってそれで終わりじゃないんです。
だから今のスマートフォンもがらっと変わるかもしれないし、それを誰かが考えるだろうと思います。延長線上で発想するだけじゃなくて、全く違った環境のところから出てきたアイデアをベースにして、今の進化したテクノロジー、インフラを組み合わせると面白いことができるのではないでしょうか」
宮内は、世の中には常にさまざまな課題があり、その課題に対してどう解決していくかということを徹底的に考えることが、新たなビジネスにつながっていくのではないかと述べました。
その言葉を裏付けるように、インタビューの本編ではソフトバンクがこれまで歩んできた道を、宮内の目線で振り返っていました。
AIや機械学習を活用することによって自然言語処理や映像解析、精度の高い予測シミュレーションができるようになります。
生成AI(ジェネレーティブAI)は、コンピュータが学習したデータを元に、新しいデータや情報をアウトプットする技術です。これまで人間が実施していた「考える」や「計画する」をAIが実行し、アイディアやコンテンツを生み出します。
Azure OpenAI serviceは、OpenAIのAIモデルをMicrosoft Azure上のセキュアな環境で利用できるサービスで、機械学習や自然言語処理などの高度な機能を提供します。簡単にAIを組み込み、スケーラブルなソリューションを構築し、効率的にビジネス価値を生み出すことができます。
条件に該当するページがございません