私たちの生活に欠かせない「水」。その水を運ぶために必要な水道管の耐用年数は40年程度、配管費用は1kmあたり約1億円とされています。今、全国で耐用年数を超えた水道管が増える中、水道事業の財政問題は大きな社会課題となっています。
ソフトバンク株式会社は、資本業務提携を行うWOTA株式会社(以下「WOTA(ウォータ)」)とともに、秋田県での持続可能な水インフラの実現に向けて、2024年10月から仙北市(せんぼくし)で実証実験を開始しました。両社はこれまでも過疎地域や島しょ地域など、水インフラの課題を抱える場所で実証実験を行っております。
水循環システムの運用を検証
秋田県は過疎化が進み水道事業の収入が縮小する一方、耐用年数を超えて老朽化した水道管の更新に膨大なコストが必要となるなど、水道インフラの維持に関するさまざまな課題を抱えています。このような課題を解決するため、ソフトバンクは、WOTA、秋田県および仙北市と連携し、上下水道に頼らずに水の供給と排水を住宅単位で完結させる水循環システムの実証実験を開始しました。
実験で使用するのは、WOTAの住宅向け「小規模分散型水循環システム」。WOTAが独自開発した水処理自律制御技術により、生活排水の100%近くを再生循環する仕組みを構築しています。雨水や生活排水をその場で回収・処理し、再び同じ家に給水することで、既存の上下水道インフラに頼らず、独立した環境下で生活用水を全て賄うことが可能です。
住宅単位で排水の再生・循環利用を可能にすることで、老朽化が進む既存の水道インフラに代わる新たな選択肢となることが期待されています。
仙北市の田口知明市長や秋田県生活環境部の萩原尚人次長らが、水循環システムの視察の一環として実証住宅を訪れ、再生水を使用した手洗いを体験しました。
田口市長は「水道インフラの維持が財政的に厳しい地域において、活路になる技術だと思う。私たちが直面している水道インフラのさまざまな課題に対して選択肢が一つ増えることで地域のあり方が変わってくる。地域への実装につながる良い結果を期待する」と語りました。
ソフトバンク 執行役員 法人統括 デジタルトランスフォーメーション本部 本部長の河西慎太郎は「仙北市での実証実験は日本の水インフラの10年後20年後であると同時に、世界の水インフラの20年後、30年後を映し出す鏡であると思っている。技術的なところはWOTAの力を借りながら、われわれソフトバンクは社会実装を推進し、分散型の水インフラが安全であるということを示していきたい」と意気込みを語りました。
実証実験は来年3月末まで行われ、寒冷地における水循環システムのオペレーションの最適化などを検証していきます。
(掲載日:2024年12月9日)
文:ソフトバンクニュース編集部
持続可能な次世代水インフラ
ソフトバンクは、WOTA株式会社と資本・業務提携し、水利用の課題解決に向けて取り組んでいます。水に関する自由の実現と環境への責任を両立し、より創造的で持続可能な暮らしの実現を目指しています。