フォーム読み込み中
2019年8月27日掲載
Alibaba Group CTOの張建鋒(Jeff Zhang)氏。Alibaba Cloud Intelligence Business Group 総裁も務める。
2019年は、Alibaba Cloudが発足してから10周年になります。この10年間で、Alibaba Cloudは、IaaS市場のシェア(※)で世界第3位まで成長し、リージョン数は20地域、58カ所のアベイラビリティゾーンを運営しています(※出典:Gartner, "Market Share: Public Cloud Services, Worldwide, 2016”, 19 September 2017)。
Alibaba Cloudが世界各地で開催する「Alibaba Cloud Summit(阿里云峰会)」ではAlibaba Cloudの最新プロダクトや戦略、実績などが発表されるため各業界から注目を集めています。
このコラムを読んでいる方はAlibaba Cloudについては知っている方も多いと思いますが、まず、簡単にAlibaba Cloudの概要を押さえた上で、2019年7月25日に上海で開催された「Alibaba Cloud Summit(阿里云峰会 · 上海)」の内容を紹介します。
Alibaba Cloudは2009年にアリババグループのクラウド事業として発足し、「More Than Just Cloud」といったスローガンを掲げ、先進的なクラウドテクノロジーとセキュリティシステムを活用し、世界中のクライアントにクラウドコンピューティングサービスを提供してきました。
世界的にも知名度が上がっている中、2017年1月、Alibaba Cloudは、国際オリンピック委員会のクラウドサービスパートナーになりました。
日本においては、アリババグループとソフトバンク株式会社が2016年に設立した合弁会社である「SBクラウド株式会社」がAlibaba Cloudを運営しています。
日本国内では、独自のデータセンター運営を行っており、セキュリティレベルの高いサービスのため、エンタープライズでも安心して利用可能な様々なサービスを提供しています。
プロダクトは、仮想サーバー、データベース、ストレージ、ネットワーク、セキュリティなど200を超えています。また、データ活用プラットフォームや動画配信サービス、AI技術を駆使した画像認識サービスなど最新技術を活かしたソリューションの開発・提供を行っており、ビジネスのデジタルトランスフォーメーションに利用可能です。
2019年7月25日に、上海にて「2019 Alibaba Cloud Summit(阿里云峰会 · 上海)」が開催され、アリババグループCTO兼Alibaba Cloud Intelligence Business Group(阿里雲智能)総裁である張建鋒(Jeff Zhang)氏などがAlibaba Cloudの経営陣が登壇しました。
張建鋒(Jeff Zhang)氏は、「ターニングポイント(Inflection Point)」、「オール・イン・クラウド(All in Cloud)」などについて基調講演を行い、Alibaba Cloudの現在や今後について語りました。
張氏は、IDCの調査データを踏まえ、クラウドコンピューティングはこの十数年間の発展を経て、重要技術や利用規模などで伝統的なITインフラを超えることとなり、「全面的にクラウドを利用することは、時代の流れであり、今年(2019年)は非常に重要なターニングポイントとなる」と断言。
クラウドと伝統的なIT(オンプレミス)の比較を見ると、クラウドは伝統的IT(オンプレミス)と比べ、コストでは半分程度、安定性では10倍程度、安全性では50倍、そして効率性では3倍程度になることで、張氏は今後の流れとして「All in Cloud」になると説明しました。
張氏は、アリババがクラウドを利用してきた経緯を踏まえ、All in Cloudのプロセスは、4つのマイルストーンに分けられると説明しています。
Alibaba Cloudの10年間の発展において、今後の鍵を握る重要な切り札を用意しました。これらの切り札はクライアントのクラウドリクエストを強力に支えています。
アリババはAlibaba Cloud、Alipay、DingTalk、高徳地図などの技術、製品、サービスを統合し「オンラインガバメント」を中心としたデジタルガバメント1.0から「デジタルオペレーション」を中心としたデジタルガバメント2.0へデジタルガバメント戦略をアップデートします。
20年間蓄積できたデジタルオペレーション能力を全面的に社会に開放することより、公共機関のより便利なサービス能力、より精細化した社会管理能力、科学に基づいた意思決定能力を向上することができます。
アリババは、2018年にチップ専門会社「平頭哥半導体有限公司(Pingtouge Semiconductor)」を設立し、「AIoT時代のチップインフラプロバイダー」と位置づけています。
今回のサミットでは、この会社が開発したプロセッサー「玄鉄910(XuanTie910)」が公表されました。これは、RISC-Vに準拠したプロセッサーであり、5G、人工知能、及び自動運転用チップを設計・製造することができ、チップの性能を向上するとともに大幅にコストダウンすることも実現可能だと言われています。
アリババが今後玄鉄910 IP Coreを全面的に開放することにより、開発者は、FPGAソースコードを無料でダウンロードし、迅速にチップを設計することができます。
それにCPU IP、SoCプラットフォーム、及びアルゴリズムなどが含まれたカスタマイズ向けチップ開発プラットフォーム (Domain specific SoC)などのサービスも提供します。
カンファレンスの内容について簡単にまとめてみましたが、以上のことを実現していく今年は、Alibaba Cloudにとっても、ユーザーにとっても大きなターニングポイントになることでしょう。
Alibaba Cloudは、強固な基盤をもとに、世界のクラウドコンピューティングのキープレーヤーとしての存在感がますます高まると期待できるのではないでしょうか。
※画像出典:阿里云 WeChatアカウントより
条件に該当するページがございません