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2022年3月2日掲載
中国アジアITライター・山谷剛史さんが、中国国内で話題になったITニュースをピックアップする連載企画です。今回は、2021年11月~12月の中国主要インターネットニュースについてまとめました。
美団の配送ドローン(出典:美団微博アカウント)
美団は深センのショッピングモール星河Worldにドローン配送拠点を設立し、ドローンによるデリバリー配送を開始した。星河Worldから周囲7カ所の住宅地にドローン配送拠点を設置し、配送できるようになっている。
美団によると、採用するドローンは最大3kgの物を運ぶことができ、地上でのデリバリーよりかなり早く5分から15分で配達ができるとのこと。今後対応店舗を増やし、またカバー範囲の住宅地へのドローン配送拠点設置を目指すという。
さらに普及すれば、将来的には二輪車が運転できるだけでなくドローンが操縦できる配達員が重宝されそうだ。
(参考リンク:美団微博アカウント)
テンセントのWeChatpay(微信支付)は「品牌視頻号」と呼ばれる企業向け有料動画サービス「品牌視頻号」を開始。品牌視頻号では、支払い後に動画にジャンプする機能や、支払い後にライブ予約する機能、チケットやクーポンや紅包の発券サービスを提供している。
「これにより、加盟店のブランド露出とトラフィックの集中が強化される」とテンセントはコメント。微信ユーザーを自社サービス内に誘導して消費強化を狙う。
一方、テンセントは京東(JD)の17%の発行株式を2.3%まで減らした。「変わらず戦略的パートナーであり続ける」とテンセントは発表しているが、ショートムービーからの購入の流れが進む中で、アリババ包囲網としてのEC企業との提携から、微信内での流れを強化させていくと解釈できる。
WeChatpayは、他にも機能を追加している。追加された「不正防止カスタマーサービスリマインダー」は、 支払過程でリスクの高い取引に遭遇すると、決済インターフェースに「回答リマインダー」ボタンがポップアップされ、テンセントクラウドのインテリジェントサービスがリアルタイムのオンライン顧客サービスを提供するというもの。現在の取引のリスクを判断し効果的にリスク警告を行い、ユーザーに安心して利用してもらうことを狙う。
また親族の支払いを肩代わりする範囲を、中国の3人っ子政策にあわせて「子供3人」までWeChatpayでの支払いを肩代わりできるようにした。
KADOKAWAはテンセントとの資本提携を発表。テンセントがKADOKAWAの発行株式の6.86%にあたる300億元を出資、テンセントはKADOKAWA第3位の株主となる。
KADOKAWAは「両社間の資本面における提携関係を構築するとともに、アニメ、ゲーム分野における両社共同による取組強化を図ることで、当社IPの中国を含む世界市場を見据えた「グローバル・メディアミックス」戦略推進の一層の強化・加速に寄与しうるものと判断し、同グループとの資本業務提携に係る契約の締結に至った」とコメントしている。
ダブルイレブンに天猫が元宇宙芸術展をオンライン開催(出典:新浪)
11月11日を頂点としたダブルイレブンセール(双十一)が行われ、今年は10月20日より、アリババの天猫(Tmall)、淘宝(タオバオ)、ピンドゥオドゥオ、京東といった各ECサイトほか、動画の抖音(ドウイン)や快手などが販売を行った。天猫だけでGMV(流通総額)が過去最高額の5403億元(約9兆6173億円)となった。
(関連リンク)
過去最大の金額が動いたダブルイレブン(出典:捜狐)
これまでもダブルイレブンセールになると、サービスのアップデートがしばしば行われていた。今回の変化としては、政府の指導により、アリババやテンセントなどが自社のサービスでライバル企業同士へのリンクを表示するようになり、他社サービスにユーザーが流出入するようになった点や、中国の一部大学や住宅地内で小型の自動運転配送ロボットが配送を行うようになった点、有料会員制度を取り入れた点などが挙げられる。
ただ全体的には「例年に比べ盛り上がりにかけていた」と各社メディアから伝えられた。11月11日と並んでEC祭りとなっていた12月12日(双十二)は、当日各ECサイトが盛り上げようとしていたが、各サイトがどれだけ盛り上がっていたかという結果を出さないなど寂しいものに。
ダブルイレブンを振り返る記事では、「いくら動いたか」というGMVよりも「どんな体験が得られるか」にシフトしているとの分析もあった。
(関連リンク)
抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)に続くショートムービーの「快手(Kuai)」とクーポンやデリバリーなどの生活サービス最大手「美団(Meituan)」が、戦略的提携を発表した。快手のユーザーは美団の提供するアプリインストール不要のミニプログラムプラットフォームに直接アクセスできるようになり、たとえば動画を見たユーザーが美団のレストランや観光地、宿泊施設、美容院などのミニプログラムでクーポンをゲットしたり予約したりできるようになる。
百度Create大会(出典:百度)
米国発のメタバース(中国語で元宇宙)が話題になる中、中国のインターネット各社がそれに追随する姿勢を示している。
アリババがダブルイレブンに合わせて著名企業とともにメタバース芸術展を開けば、11月15日、バイドゥ(百度)はソーシャルアプリ「希壌(XiYang)」を発表。テンセントやネットイースやビリビリなどの中国企業もメタバースに追随するコメントを発表。
メタバースのゴールがはっきりしたらリリースし追いつくというポジションを示した。スタートアップ企業もメタバース的な元宇宙製品を続々と発表するように。
(関連リンク)
テンセントやアリババやバイドゥやネットイースなど8社は、中国政府の情報産業省にあたる工業和信息化部の改善指令を受け、有料無料サービスでクラウドストレージの速度に差をつけないという「個人網盤服務業務用戸体験保障自律公約(個人向けクラウドストレージのユーザー体験保障保護に関する自己規制公約)」を北京にて共同で締結した。
また各社は2021年内に速度面で違いを出さないサービスを投入すると約束。その後バイドゥは5GBだけ提供する無料サービスをリリースなど、各社は容量面で差別化するサービスをリリースしている。
アリババ系金融企業のアントがリリースするネット互助保険「相互宝」が、1月28日にサービスを終了した。
最初はテック系のファーストユーザーが参加したが、後に病気になりやすい人がオンライン相互扶助に参加してコストを押し上げたことで、負担額が増加し比較的健康な人々が去っていった。
アントは「個人の年間配分は188元を上限とする」と宣言していたが、これを超える勢いになっていた。 相互宝のほかにも、2021年には美団互助や水滴互助など10件の相互扶助プラットフォームが停止したとのこと。
新型コロナウイルスの感染者が増えた西安で、西安市が京東、美団、盒馬などEC企業各社やオンライン薬局や市場やスーパーに対し、商品の値上げをしないよう念押しをした。
武漢から始まる新型コロナウイルスの都市内ロックダウン感染対策がよりスピーディーになった感がある。対応システムがよりスピーディーに構築され運用され、多くの市民が家こもりの生活を余儀なくされたが、一方でカバーしきれない人々についてはロックダウンの間に非常に苦しい経験したとも。厳しい生活を強いられた日々をつづったブログは共感の声を集めるも消されるといったことも起きた。
在りし日の人人網字幕組
上海市第三中級人民法院は11月22日、著作権侵害罪で「人人網字幕組」のる梁永平被告に対して、懲役3年6ヶ月、違法収益や犯行に使うために押収した自己の財産は没収と罰金150万元という判決を言い渡した。
字幕組は外国語学習のための資料提供などを行う慈善事業と称して海外のウェブサイトから無許可で映画・テレビ作品をダウンロードし、翻訳・制作して関連サーバーにアップロードする組織。人人網字幕組は規模が大きい字幕組で、サイトおよび関連サービスを通じてユーザーにオンライン視聴・ダウンロードサービスを、寄付を募る形で有料にて提供していた。
同ウェブサイトおよび関連サービス上には32,824本の非正規タイトルがあり、会員総数は約683万人で、梁永平被告は、オンラインサービスでの会費の徴収や、海賊版コンテンツが大量に入ったハードディスクの販売を行い、また広告売上を得ていた。
2018年1月からの売上総額は1200万元余りだったが、2021年1月6日に逮捕された。中国で字幕組は日本をはじめとした外国コンテンツに関心を持ち始めるとすぐに気づくような存在であり、この逮捕時や判決時にはそれなりに話題になった。
中国の「ライブコマースの女王」と呼ばれて莫大な商品を売りさばいた女性インフルエンサー「viya」が、脱税したと浙江省税務署から指摘され、追徴課税と罰金で13億4100万元の支払いを命じられたことが話題に。その後中国の各SNSのviyaのアカウントは封鎖された。
ダブルイレブンまではviyaと男性の李佳琦が二大インフルエンサーとして安く仕入れ大量に販売し、ダブルイレブンの際には一晩で約200億元を売り上げた。しかしこの脱税騒ぎの後ライブコマースではインフルエンサーは静まり、代わりに企業のオフィシャルアカウントによる配信が、徐々に注目されるようになった。
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