アリババのライブストリーミングが北京で活躍(山谷剛史の中国ITニュースまとめ 2022年1-2月)

2022年4月14日掲載

中国アジアITライター・山谷剛史さんが、中国国内で話題になったITニュースをピックアップする連載企画です。今回は、2022年1月~2月の中国主要インターネットニュースについてまとめました。

目次

北京冬季でバーチャルキャラクターやAIが活躍

アリババのライブストリーミングシステムを会場で運用(出典:アリババグループ) アリババのライブストリーミングシステムを会場で運用(出典:アリババグループ)

北京冬季の大会会場ではロボットやビデオ撮影システムが活躍したことが報じられた。そのほかにもバイドゥとテンセントは、それぞれ自社のクラウドシステムを活用してバーチャル手話キャスターをリリース。手話を行うバーチャルキャラクターは、近年のダイバーシティを政府が推進する中で続々と誕生している。

ほかにも音声系AIと翻訳に強いアイフライテックは、会場入りした人向けに多国語翻訳サービスを提供。またバイドゥも各競技の好きな瞬間を360度見ることができる「時空定格」サービスを提供した。選手育成にも演技分析AIが活用され、中国選手の能力向上に一役買ったようだ。

(参考リンク:アリババグループプレスリリース

中国のインターネット利用者は10億3200万人、利用率は73.0%に

CNNIC(中国インターネット情報センター)から、2021年末までの中国インターネット利用データをまとめた事実上の中国公式統計「第49次中国互聯網絡発展状況統計報告」が発表された。これによると、中国のインターネットユーザーは約10億3200万人で、普及率は73.0%となった。これまで少なかった中国の高齢者の利用者も増加し、60歳以上の高齢者インターネットユーザー数は1億1900万人、インターネット普及率は43.2%に達した。

中国のインターネットユーザーの一人当たりの週間インターネット接続時間は28.5時間に達し、2020年12月と比較して2.3時間増加した。その中でもインターネットユーザーのインスタントメッセージ、オンラインビデオ、ショートビデオの利用率は特に高く、インスタントメッセンジャー利用者は10億700万人(97.5%)、動画視聴は9億7500万人(94.5%)、ショートムービーは9億3400万人(90.5%)に。利用者が増加したのがフードデリバリーと配車の両サービスで、フードデリバリーは前年同期比29.9%増の5億4400万人、配車サービスは同23.9%増の4億5300万人となった。

中国自動車メーカー「吉利汽車」が携帯端末参入を示唆

中国自動車メーカーの「吉利汽車」が、携帯電話業界に参入するのではというニュースが、複数のメディアから報じられた。手始めに同社はコネクテッドカー・車のスマート化に合わせてスマートフォンをつくろうとしている。

そして、そのために同社はスマートフォンメーカーの「魅族(Meizu)」を買収し、スマートフォン端末を出すのではと報じられている。また21世紀経済報道に対し同社社員は、同社は将来のチップやOSを含め自社で開発し、同社独自の衛星通信システムを搭載したハイエンド6Gスマートフォンを開発すると語っている。

また後日新興自動車メーカーの蔚来(NIO)の李斌CEOが「スマートフォンかそれに近しい、カーライフに合わせた通信端末を作るかも」とコメントを発表した。スマートフォンメーカーとして有名なファーウェイでもコネクテッドカーの主力部品を開発しており、スマートカー向けの通信端末では従来の通信機器メーカーと自動車メーカーが競合するかもしれない。

中国政府、オンライン映画の低価格配信を支持

中国政府国家発展改革委員会は春節の消費促進を目指した「関于做好近期促進消費工作的通知」というオンライン映画やライブイベントやオンラインフィットネスなどの供給を強力に強化するよう通知を出した。オンラインビデオプラットフォームについては「期間限定の低価格での映画上映を奨励する」とした。

近年中国のオンデマンドでは、1本毎に課金するオンライン映画(映画館では上映しない)が大幅に増加。2020年春節の「Lost in Russia」を皮切りに、2020年には746本、21年には540本が上映。1本毎に課金も1本数元程度で購入可能となっている。

WeChat(微信)が有料動画配信を強化

テンセントのインスタントメッセンジャー「WeChat(微信)」の動画サービス「視頻号」で、有料のライブストリーミング機能を追加した。

まずはバスケットボールNBAの試合を配信する有料ライブストリーミング「Tencent NBA」を開設した。ライブルームでユーザーは入室後3分間無料で視聴することができ、それ以降は9元を支払うと視聴が可能になる。

浙江省、大学生の起業支援を発表

浙江省が大学生の企業を支援する発表を行った。大学生が起業を目指す場合には浙江省政府設立の創業担保基金から10万元~50万元の融資を受けられ、事業が失敗した場合にも10万元以下の融資は全額、10万元以上の融資は融資額の80%を創業担保基金が負担する。また大学生が卒業後浙江省で仕事を行う場合、2万元~40万元の生活・家賃補助を行うとした。

浙江省はアリババの企業城下町の杭州が省都で、杭州市政府はアリババに依頼してスマートシティや健康碼を開発するなど、DX化に積極的に取り組むことで知られている。

2021年の5Gスマートフォン出荷台数は2億6,600万台

中国信通院によると、2021年の中国における5G携帯電話(スマートフォン含む)の出荷台数は前年比63.5%増の2億6,600万台に。これは携帯電話端末全体の75.4%を占め、世界での数値40.7%を大幅に上回る。

中国での普及が加速している一方で、5G携帯電話の利用率は2020年末の8.5%から2021年末の28.0%となっている。利用者は増加しているものの、まだ多くが5G携帯電話を利用していない。使用されている5G携帯電話のメーカー別シェアでは昨年も制裁を受けて不調だったファーウェイ(29.2%)がトップで、vivo(15.4%)、Apple(14.1%)、OPPO(13.6%)、シャオミ(11.4%)と続いた。

ファーウェイは2021年にはほとんど5G携帯電話を売っていないのにも関わらずシェアが高いのは、中国の消費者が買い替えをしなかったことの裏返しでもある。関連して、中国では消費者が使用しているスマートフォンの性能に満足して買い替えをしなくなったことを指摘するニュースがしばしば報じられるようになった。

メタバース系SNS「TRUE.LY」が人気急上昇も外部非公開へ

Truly Truly

かわいいアバターを使ったメタバース系SNSの「TRUE.LY」がリリースされ、リリースされるや否や、ファーストユーザーから支持を得て話題となっている。アバター数人が集まって盛り上がった様子などが、各所から配信された。

しかし、2月中旬以降サービスを新規ユーザーが利用できない状態となっている。遅延やちらつきなど技術的な問題が原因とのことだが、改善すればそれなりにユーザー数を確保するかもしれない。またTRUE.LYは組織的な悪意あるアプリ低評価のレビューを受けているとし、法的措置で対抗すると発表した。

アリババ系の「アント」の春節福探しイベントでNFTを導入

「五福」キャンペーンでもらえるデジタルデータの一例(出典:騰訊新聞) 「五福」キャンペーンでもらえるデジタルデータの一例(出典:騰訊新聞)

アリババ系のフィンテック企業「アント」は、春節のタイミングで「福」の字を探す、自ら「福」の字を書くなどの条件にあった行動を全て行うとプレゼントがもらえる「五福」キャンペーンを実施した。五福イベントは毎年行われるイベントだが、今年は全て集めた人へのプレゼントとして、中国の21の博物館と提携した寅年をモチーフとしたNFTアートが用意された。

(関連リンク:騰訊新聞

ネットイース、伴奏が購入できるプラットフォーム「BeatSoul」をリリース

ネットイースの音楽サービス「網易雲音楽」は、伴奏(Beat)のアップロード、表示、購入、交換機能を集めたワンストップBeat取引プラットフォーム「BeatSoul」のサービスを開始した。 網易雲音楽の登録ユーザーは、プラットフォーム上でオリジナルの伴奏を自由に価格や範囲を設定して販売することが可能になる。またBeat Starsと提携し、同サイトのコンテンツも利用が可能になった。

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