Oh! B2Bマーケティング 第20回レポート
メールマーケティングの「定石」

2023年2月2日掲載

SoftBankのBtoBマーケティング担当者が語る「Oh! B2Bマーケティング」

今回は、前回に引き続き『BtoBマーケティングの定石』を基に、メールマーケティングを担当している早川さんと竹之内さんが、自分たちが業務を行う上で気になったポイントをいくつかピックアップしてお届けします。

目次

第20回出演者紹介

山田泰志

山田 泰志

長年BtoBマーケティングを専門とし、ソフトバンクのBtoBマーケティングの戦略から実行まで広く行う役割を担う。世界レベルのBtoBマーケティングの仕組みや実践を知る専門家。

早川 真理奈

早川 真理奈

BtoBマーケティング経験は3年目。現在はソフトバンクで主にマーケティングオートメーション(Marketo)を使ったメールマーケティング活動を行う。

ソフトバンク 竹之内彩歌

竹之内 彩歌

2021年に、全く違う職業からBtoBマーケターに転身。日々BtoBマーケティングを学習中。現在は、早川さんと同じくソフトバンクでメールマーケティングを主たる業務として行う。

 

メールの配信頻度は抑えるべき?

早川さん:お客さまにうるさいと思われてしまわないように、ある程度頻度を抑えて配信することが定石なのかと思っていましたが、逆にどんどん送ったほうが良い場面もある、というのが印象に残りました。

本の中で日常生活フェーズと呼ばれている、マーケティングファネルの初期段階のお客さまに対しては、純粋想起を高めるためにむしろ頻度を上げて企業名とソリューションを紐づけるようなメールコンテンツを配信することが有効だとされています。

メールマーケティングは特に、お客さまの信頼を得られるようなコンテンツをお届けすることが重要です。そのためには、配信するメールを受け取ったお客さまの反応をどれだけリアルに想像することができるか、ということもポイントになってきます。マーケティング業務を行っていると、ついつい目の前の作業を行うことに気を取られ、お客さまがどのような反応をされるか想像力が働かなくなってしまう場合があります。特に、営業部門などから「この商品を訴求するメールを配信してほしい」といった依頼を受けてマーケティング担当者が手を動かす場合は、機械的な作業になってしまいがちです。

お客さまの反応をよりリアルに想像するためには、自分たちがメールの受信者になってみることも役立ちます。他社が配信しているメールマガジンを受け取った際に、自身がどう感じるかを体験することで、自分自身が書いているメールも客観的に見る視点を手に入れることができるようになります。

ソフトバンクのマーケティング組織でも、メールチーム全員で毎朝受け取っている他社のメールを見ていろいろなコメントをし合っています。実際に自分たちが受け取ったメールが、件名とメール内のコンテンツにギャップがあったり、逆にうまく資料ダウンロードまでつなげるような導線設計がなされていたり、こういった実例を1顧客として体験し、自分たちが配信しているメールコンテンツの改善につなげています。

どんなABテストを行ったら良い?

マーケティング施策の中でよく話題に上がることの1つに、ABテストがあります。メールのABテストを実行している組織も多いのではないでしょうか。ABテストをする際、皆さんはどの部分をテストしているでしょうか?また、ABテストをしても思ったよりもテスト結果に違いが出ない、という経験をされた方もいると思います。

山田さん:メールを書いている方は隅々まで気を配って書いたものを送っていると思います。しかし、特にマーケティングメールのような一斉送信のメールは、実際にはほぼ読まれていないと思ったほうが良いです。

そもそもBtoB領域で配信されるメールマガジンなどはほとんどが読まれていません。開封されたメールも、ほとんどの場合、件名やコンテンツのタイトル、CTAボタンのマイクロコピー程度しか見られていないのです。そんな中で、本文の細部にこだわったり、配信曜日を水曜から木曜に変更してみる、などの細かい調整を行うよりは、件名のABテストを徹底的に行った方が成果が見えやすくなります。忙しいマーケターにとって、いかに効率よく効果を上げるかを追求することは重要課題です。件名だけであれば、もう1つ件名を作ってABテストをセットするのに5分あればできます。せっかくパターンBを作るなら、コンバージョンなどお客さまの具体的な行動につながるABテストを意識しましょう。具体的には、上で述べた件名のテストと、CTAボタンのマイクロコピーのテストが有効手段です。ただし、マイクロコピーについては既に手法が確率されており、具体的なお客さまの行動を促すような「登録する」「ダウンロードする」などの言葉が、より行動に直結するマイクロコピーの例です。

メールは、お客さまに行動を起こしていただくための強力なマーケティングコミュニケーションツールです。この強みをさらに活かすべく、このようなポイントを押さえてABテストを行うと良いでしょう。

入力フォームはどこまで簡易化すれば良い?

メールを配信する際、常套手段として資料のダウンロードフォームやウェビナーの申し込みフォームをメールからリンクさせて、資料ダウンロードやウェビナー登録につなげるというやり方が一般的です。その際に、皆さんの組織で使っているフォームでは、どの程度の情報入力をお客さまに求める仕組みになっているでしょうか。

本の中で印象に残ったキーワードとして、フォーム入力を「簡単そうに見せる」必要がある、とされていました。EFO(Entry Form Optimization、フォーム最適化)という言葉があるように、フォームの見せ方や入力項目の多寡によって、お客さまが入力完了に至らず離脱してしまう率は変化します。フォームの最適化は比較的取り組みやすいため、取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。ソフトバンクでも、2回目以降のフォーム入力についてはお客さまにお聞きする項目を減らすなどの工夫を行っています。

お客さまの負担を減らして入力率を上げる、という取り組みはよく聞く話ですが、一方であえてたくさんの項目を入力していただくようなフォームを作る場合もあります。それはどのような場合でしょうか?

山田さん:例えば、そのフォームを入力したら100万円が手に入る、となったら入力します?

早川さん:します、します(笑)。何回でも入力します。

もちろん、BtoBマーケティングにおいて金銭を対価に置くことはありません。ポイントは、どれだけフォーム入力が面倒でも、お客さまが本当に欲しい情報(価値)であればお客さまはその価値を得るための手間という対価を払っていただけるということです。つまり、情報の価値に見合った入力の面倒さのバランスが重要なのです。お客さまに合った適切なコミュニケーションを行うには、ある程度お客さまについての情報をいただく必要があります。入力の面倒さに見合うコンテンツを作成するのがコンテンツ担当マーケターの役割ですし、フォームを越えた先に入力の面倒さに見合う情報がある、ということをお客さまにきちんとお伝えするのがデリバリー担当マーケターの役割です。

逆に、入力項目の少ない、お客さまの負担がほとんどないフォームであったとしても、その先にある情報の価値が正しく伝わっていなければお客さまは入力のコストを払わない、とも言えるでしょう。目先のテクニックだけではなく、根本的なパワーバランスを理解することで、お客さま体験と自社のメリットを両立できるのではないでしょうか。

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