Oh! B2Bマーケティング 第25回レポート
マーケティング組織の成長

2023年3月22日掲載

SoftBankのBtoBマーケティング担当者が語る「Oh! B2Bマーケティング」

前回は営業とマーケティングのコミュニケーションをテーマに、「営業とマーケティングは同じ方向を向いていますか?」という問いについて、3人で話をしました。今回もテーマは変わらず、「コミュニケーションをどのように取っていけばよいのか?」という問いについて、参加者を交えて考えていきます。

目次

第25回出演者紹介

ソフトバンク 竹之内彩歌

竹之内 彩歌

2021年に、全く違う職業からBtoBマーケターに転身。日々BtoBマーケティングを学習中。現在は、早川さんと同じくソフトバンクでメールマーケティングを主たる業務として行う。

 

ソフトバンク 宮野 綾

宮野 綾

2019年からBtoBマーケティングに従事。2022年4月からソフトバンクにてWebマーケティングを担当。普段の放送ではブログ執筆を担当しているが、今回は司会として登壇。

Webマーケティングチームの変化

松村さんはWebチームのマネージャーで、現在のWebチームでは日々のメンテナンスはもちろん、様々なサービスやソリューションにあわせたページの企画、制作を自分たちで行っています。では、以前のソフトバンクのWebチームはどのような動き方だったのでしょうか。

松村さん:例えば法人のサービスページを制作する、となった際には、まず製品担当からページ制作依頼をいただいて、私たちは依頼に忠実に、かつわかりやすく製品の内容をお客さまにお届けする、という製品ファーストの考え方で制作していました。また、制作の進め方も、製品担当と外部の制作会社の仲介役としての業務を行っていました。

数年前のソフトバンクでは、基本的にコーディングなどの制作は外注し、社員は協力会社と製品担当者との間に立って主に確認作業を行っていました。関与する人が多ければ多いほど制作のスピードは遅くなるため、1ページを作るのに約1か月かかっていたそうです。多くの会社でも、このような体制でWeb制作が動いているのではないでしょうか。

宮野:私も前職の会社で、Webの業務を担当するのであれば、まずディレクションを上手に回すことが大事だと教わっていました。協力会社の人とうまく連携を取って、ミスなく漏れなく迅速に依頼をこなす、という業務を行っていました。

こういった体制で動いていると、なかなか顧客ファーストのメッセージをWebでお届けすることが難しくなってきます。そのため、商材の説明を掲載しているカタログサイトのような構成でした。

そんなある時、ソフトバンクのWebマーケティングチームに転機がやってきました。Webページを作る仕組み、いわゆるCMS(Content Management System)を新しいものに切り替え、HTMLの知識が少ないマーケターでも自分でページ制作ができるようになったのです。Webマーケティングの内製化に舵を切ったソフトバンクですが、実際に内製でページ作成をするためには、色々な不安や課題がありました。

本当に内製でできるのか?

ソフトバンクでは、約2か月で新しいCMSを使ったWebサイトを立ち上げ、実際に自分たちでページの制作を始めました。今までWebページを自分たちで作ることがなかったため、本当にできるかどうか不安が大きかったそうです。しかし実際に使ってみて、本当に簡単にできるようになったと実感できるようになりました。
自分たちで作るようになったことで、今まで製品中心の考えで制作していたWebページの中身についても、お客さまのためのWebページを作る、という考え方に思考がシフトしていきました。

宮野:内製化して制作し始めたときにも、元々のやり方にしたがって製品担当者から作成・修正依頼が来ていたのではと想像しています。いきなりガラッとやり方を変えていったのか、それとも徐々に変わっていったのか、その過程が気になります。

松村さん:新しいCMSを使って内製でページ制作をすることで、今までの3分の1ほどの期間で制作ができるようになりました。制作のスピードが変わってきたことで、次のステップとしてお客さまにメッセージをどのようにお届けするかを徐々に考えるようになっていった、という流れです。

宮野:ガラッと変えるのはなかなか難しくても、まずはスピードを上げることで次のステップを考える余裕ができた、ということなんですね。

これまで製品のことだけを考えていたところから、その情報をお客さまに向けていかにわかりやすくお届けするか、という思考にシフトすると、はたしてどのようにするべきなのか、という課題も浮上してきました。この課題に対しては、チーム全員で他社のサイトを見て研究したり、書籍で勉強したり、外部の知見を取り入れながら進んできました。他社がWebページ上でお客さまに情報をお届けしているのかを見ることは、実践的に考える上で非常に有効です。このように、学習面でもチームやメンバーの動き方に変化が起こりました。

ライブ視聴者からの質問

現在はすべて内製で行っているということですが、もし可能なら外注に戻りたいですか?

松村さん:もう外注には戻れないと思います。外注制作のスピード感ではマーケティング組織全体のスピードに追い付かないですし、今は内製以外の選択肢はありません。

竹之内さん:マーケティングを行う上でお客さまにリアルタイムでほしい情報をお届けしなければいけない場面も多いですし、やはりスピード感は重要ですよね。

内製で行うことでメンバーの負担が増えるのでは?

ライブ視聴者からの質問

自社で内製で対応しているとメンバーの負担や残業が増えてしまった、ということはありませんか?内製と聞くと残業が強いられるようで怖いです。

松村さん:まさにその問題はあると思います。内製でなんでもできるようになると、予算などの都合もあまり気にせず数多くの依頼がきたり、手を入れられるポイントはいくらでもあるので、どこかで区切りをつけなければいけません。ですので、私たちは基本的に残業を一切しません、というスタンスでいます。時間のコントロールはきっちり行う必要があります。

内製化すると、自分たちで修正や公開が迅速にできる分、こだわろうと思えばいくらでもこだわることができます。そのため、むしろ自分たちで時間の区切りをきちんとつけて、効率的に業務を行うことが重要になってきます。

内製化してコンバージョンの数は増えたか?

ライブ視聴者からの質問

内製化に切り替えてから、Webサイトに来る新しい商談に向けたお問い合わせ件数の数は増えましたか?

法人向けのWebページにおいて、お客さまからのお問い合わせは、商談に繋がる可能性も高いため非常に重要です。ソフトバンクでは、新しいCMSに移行した際にコンバージョンを増やすためのテンプレートを検討、作成しました。新しいテンプレートを作成するにあたっては、他社のサイトを参考にしながら最適な形を追求し、実際に数倍のコンバージョンを獲得したページもありました。

松村さん:資料を含めたフォームの通過数は、内製化に切り替えてからかなり伸びました。その要因としてはやはり思考がお客さま中心に切り替わったことや、新しいテンプレートを作成しただけでなく常に改善を追求してアップデートを繰り返してきたことが大きいと感じています。自身で制作を行うことを通じて、こうしたWebページの改善や自身の成長を目指すという文化が根付いたのではないでしょうか。

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