フォーム読み込み中
2022年11月30日にOpenAI からリリースされた人工知能チャット(生成AI)サービスである「ChatGPT」は、その自然な言語処理と性能の高さから大きな注目を集めています。大手金融機関の調査によると、2023年1月時点で月間アクティブユーザ数は1億人に到達し、今も急激に成長しています。今回は「ChatGPT」や「OpenAI」などの用語解説や、企業がセキュアに利活用する方法を紹介します。
※こちらの記事は2023年5月29日現在の情報をもとに執筆したものです。
まずは、よく耳にする用語から解説していきます。
「ChatGPT(チャットジーピーティー)」とは、OpenAI(後述)が開発した自然言語処理ができるGPTシリーズを用いた対話型AIモデルのことです。
「GPT(ジーピーティー。Generative Pre-trained Transformer)」は、自然言語の生成や応答、会話のモデリングに特化して開発されており、会話の質の向上のため訓練データとしてニュース記事やWebページ、書籍、会話ログなど、さまざまな種類のテキストデータが使用されています。
GPTはバージョンアップを重ねており、GPTシリーズとして複数登場しています。
「ChatGPT」は、自然言語処理モデルであるGPTシリーズを用いて、よりユーザとの対話に重点を置いたものです。人間のような自然な応答を生成することができ、一般的な質問に答えたり会話の流れにあわせて応答したりする能力を持っています。
「OpenAI(オープンエーアイ)」とは、人工知能(AI)の研究開発を行うアメリカの企業(研究団体)のことです。2015年にサム・アルトマンやイーロン・マスクなどの人物によって設立されました。2023年4月10日には、CEOのサム・アルトマンが来日し岸田総理大臣と面会を行い、大きなニュースにもなりました。
OpenAIは、「人類全体の利益のために、人工知能の進歩を推進すること」をミッションとしており、AIシステムの開発や展開に伴う社会的な影響に対処するため、その技術と知見を広く共有し、公平な利用が可能な状態を創ることを目指しています。
そのようなOpenAIによって開発されたのが「GPT」「ChatGPT」です。
GPTは、OpenAIが開発した自然言語処理のためのAIモデルです。ChatGPTには主に、2022年11月にリリースされた「GPT-3.5」と、2023年3月にリリースされより進化した「GPT-4」のGPTシリーズがあります。
こちらの違いについて詳細は省きますが、「GPT-4」では言語モデルの精度に直結すると言われているパラメータ数が飛躍的に向上しており、より自然で正確な会話・応答ができるようになりました。入力方法も「GPT-3.5」ではテキスト(文字)のみだったものが、「GPT-4」になると画像入力や表現(マルチモーダル※)も可能となっています。OpenAIによると、「GPT-3.5」は模擬司法試験では受験者の下位10%程度のスコアだったものが、「GPT-4」 では上位10%程度のスコアになった※と述べています。
ChatGPT(GPT)は、一般的な自然言語処理ができ、文章生成、文章補完、質問応答、文書要約など幅広く活用できます。ChatGPTに回答してほしい内容の条件(プロンプト)を送ってあげれば返答が返ってくるため、個人的にも業務にも利用できるでしょう。
利用例
ChatGPTの主要な利用方法には、サービス(SaaS)利用とAPI連携で利用する方法の2つがあります。
OpenAIから提供されているサービス(SaaS)は、一般の方々にもWebページ上で公開されており一番イメージしやすい利用方法です。
サービスを利用するためには、ID(メールアドレス)&パスワードの認証かGoogleやMicrosoft、Appleのアカウントを利用したシングルサインオン(SSO)で認証を行って、インターネットで接続します。個人的な情報収集や文書の作成などで利用する場合はこちらの方法が主になります。
なお、「ChatGPT Plus」は先ほど紹介した「GPT-4」を利用できる有償版のSaaSのことです。2023年5月現在、月額20ドルで提供されています。(現時点で画像機能は未対応)
OpenAIが提供するSaaS以外にも、APIで連携して利用する方法があります。
これは、企業のエンジニアなどが社内システムとAPIで連携しChatGPTを活用したい場合や、会社でChatGPTの機能を利用した新たなサービスを立ち上げるときなどに適しています。API連携はOpenAIが提供するOpenAI API Keyを用いて認証を行い、インターネットから接続します。
なお、入力したデータの取り扱いはそれぞれの方法で異なります。
API経由の場合はOpenAIのサービス開発や改善に使われることはないとされています。しかし、Webブラウザ経由で提供されるサービス(SaaS)のChatGPTでは入力したデータが学習データとして利用される可能性があるので、企業として利用する場合は注意が必要です。
企業がChatGPTを有効活用するためには、一般消費者も利用するサービス(SaaS)を従業員が利用する際に、機密情報を漏らさないようにする(規律を決めるなど)ことだけに留まりません。上述の通り、社内システムやデータとAPI連携させることで入力した情報が学習に使われないように考えていかねばならず、加えて、企業がよりセキュアな環境でChatGPTと連携できる環境を整えていくことも必要でしょう。
そのような場合は、「Azure OpenAI Service」 を検討してみるのもおススメです。
「Azure OpenAI Service」 は、Microsoft社が提供するクラウドサービスのAzure上で提供しているAIサービスです。2023年3月からChatGPTが利用できるようになりました。
Azure OpenAI Serviceでは、SaaSとしての提供ではなくAPIとしてChatGPTを提供しており、API認証はAzure OpenAI API KeyまたはAzureADを利用します。
また、Azure OpenAI Serviceでは、インターネット接続に加えて、閉域接続を行うことができます。ChatGPTのAPI(エンドポイント)にアクセスする認証方式に加えて、接続方式も選択できる点は、よりセキュアな環境でChatGPTを利用したい企業にとって重要なポイントとなります。
ChatGPTの利用方法(Azure OpenAI ServiceとOpenAIの違い)
Azure OpenAI Serviceの場合 | OpenAIの場合 | |
---|---|---|
提供会社 | Microsoft | OpenAI |
利用方法 | API連携 | サービス(SaaS) API連携(OpenAI API) |
認証方法 | API KEY Azure AD ※2 | API KEY(連携時) |
接続方法 | インターネット接続 | インターネット接続 |
学習データ |
|
|
データ保持 | 悪用/誤用の監視目的で30日間保持 ※5 | 悪用/誤用の監視目的で30日間保持※6 |
支払い方法 | Azureに準拠 | クレジットカード |
開発 | Restful API公開 (Azure OpenAI Studioの環境もあり) | Restful API公開 |
2023年5月29日時点 ソフトバンク調べ。最新の情報は各社サイトをご参照ください。
今回は、ChatGPTやOpenAI、GPT-3.5、GPT-4、SaaSとAPI連携の違い、Azure OpenAI Service などこれからAIを活用する上で知っておくべき基本的な内容について解説しました。
今後、企業におけるChatGPTのような生成AIの活用はどんどん拡がっていきます。自社でどのように活用していくべきか検討する上での参考にしてもらえれば幸いです。
Azure OpenAI serviceは、OpenAIのAIモデルをMicrosoft Azure上のセキュアな環境で利用できるサービスで、機械学習や自然言語処理などの高度な機能を提供します。簡単にAIを組み込み、スケーラブルなソリューションを構築し、効率的にビジネス価値を生み出すことができます。
条件に該当するページがございません
条件に該当するページがございません