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ご覧いただきありがとうございます。ソフトバンクのIBM Cloud担当チームの山中です。
本記事ではIBM Cloudの他のクラウドサービスには見られない特長である、世界中のIBM Cloudデータセンターを結ぶ高速プライベートネットワークが無料*で使える、というメリットについて紹介します。
*一部有償あり記事内で解説
災害対策で海外のデータセンターにバックアップをしたいが動画データ等サイズが膨大でデータ転送料金が結構負担になりそう、可用性向上のため国内の複数データセンターを用いたシステム構成を取りたいがデータ更新も頻繁でデータ転送料金がどのくらいかかるのか、などデータ転送の従量課金に対する懸念をお持ちの方はぜひご一読ください。
皆さんよくご承知の通り、大規模に国際的にサービス展開している所謂メガクラウド(AWS、Azure、GCP、Alibaba Cloud、IBM Cloudなど)は多くの企業において多様なユースケースでとても活発に活用されております。
これらクラウドサービスに共通する特長の一つとして、日本国内の複数のデータセンターは勿論、世界中にデータセンターを配置しそれらを結ぶ大容量で高速のプライベートネットワークを展開していることがあげられます。この仕組みによって世界の中でビジネスに最適な地域で素早くシステムを構築し迅速にビジネスを展開したり、災害対策やシステム可用性向上の仕組みをとても効率的に作り上げることが可能となっています。
こうした大規模クラウドサービスのデータセンターとネットワークは、リージョンとゾーンという考え方に基づいて構築がされていることが多いため、まずこれらの概念について簡単に紹介します。各クラウドサービス毎に少しづつ概念や用語に異なる部分はありますが多くの点で共通しています。
リージョン:
大規模クラウドサービスでは、世界を複数のリージョンに分割しています。リージョンというのはそれぞれが完全に独立していて地理的に離れた領域です。例として、IBM Cloudなら「東京」 「大阪」、「ロンドン」、「フランクフルト」等、AWSでは「米国西部」、「米国東部」等がリージョンにあたります。先に記載の通り、リージョンは完全に分離されているので、あるリージョンで障害が発生しても他のリージョンに影響が及ぶことがありません。またリージョンをまたいでプライベートネットワークで通信することも可能です。
ゾーン:
ゾーンは、同一のリージョン内の中で独立した場所にあるデータセンターとなります。独立した電源、冷却手段、ネットワークを備えた1つもしくは複数のデータセンターで構成されています。ゾーンをアベイラビリティ・ゾーンと呼ぶクラウドサービスもあります。例えば、IBM Cloudなら東京リージョンに3つのゾーンがあります。AWSなら米国西部リージョンには4つのアベイラビリティゾーンがあります。同一リージョン内のゾーン間は、低レイテンシーの高速ネットワーク(プライベート・ネットワーク)で相互接続していますので、同じリージョン内でゾーンをまたいでデータのコピーやシステム連携を行うことができます。
以下のイメージ図は、IBM Cloudでのリージョンとアベイラビリティゾーン(AZ)の例です。それぞれがグローバル・プライベート・ネットワークで結ばれています。(POPはIBM Cloudのネットワーク拠点です)。
これまでリージョンとゾーンの一般的な概念を説明してきたように、大規模クラウドサービスでは、作成したリソース(仮想サーバ等)同士で、ゾーン内(=データセンター内)は勿論ですが、ゾーン間やリージョン間でもプライベート・ネットワークを通じて相互に通信を行うことが可能です。これらのゾーン間やリージョン間の通信には、データ転送量に応じた課金が発生することが一般的です。例として、AWSやGCPではリージョン間やゾーン間のデータ転送が有償となっております。今回紹介するIBM Cloudは、グローバル・プライベート・ネットワークによるデータ転送がほとんどのケースで無償*となるユニークなサービスです。このあと具体的に紹介します。
*一部有償あり記事内で解説
「プライベート・ネットワークのデータ転送が無償」についてあらためて紹介する前に、IBM Cloudのリージョンとゾーン、それを結ぶプライベート・ネットワークについて簡単にまとめておきます。
IBM Cloud のデータセンターは世界中で 50拠点以上あります。前述の通り、各データセンター間は高速・広帯域のグローバル・プライベート・ネットワークで結ばれています。
IBM Cloudのリージョンとゾーン
これまで説明しましたようにIBM Cloudのリージョンは、地理的および物理的に分離された1つ以上のゾーンのグループであり、他の地域から分離された独立した電源とネットワークのインフラストラクチャーを備えています。リージョン内のゾーン間の最小遅延による通信を保証するように設計されています。ゾーンは、地理的に異なる箇所に配置されたデータセンターを指しています。 例として、東京リージョンは3つのゾーンで構成されており以下の特長を持ちます。
-物理的にそれぞれ異なるデータセンターで構成されている
-それぞれのゾーンは独立した電源、冷却、ネットワークインフラで構成され、他のゾーンと共有しない
-各ゾーン間で共有された単一障害点は存在しない
-ゾーン間は広帯域・低遅延のネットワーク 複数本で接続されている
ほとんどの大規模なクラウド・プロバイダーではデータセンター間の通信に課金がされてしまうと申し上げましたが、IBM Cloudでは世界各国のデータセンター間のグローバルネットワーク(10G)の通信費がゾーン間でもリージョン間でも無料*です。このためネットワーク転送の従量課金制に縛られることなく、グローバルにまたがるシステムを比較的安価に構築できるため多くの利用者から高く評価されています。以下の例のように、プライベートネットワークを用いた東京リージョン内のゾーン間の通信も、東京リージョンと大阪リージョン間の通信もいずれも無料です。同様に例えば東京リージョンとシドニーリージョンの通信も無料です。
*通信費無料はIBM CloudのClassic Infrastructureで実現しています。Classic Infrastructureは旧SoftLayer時代から長くご利用をいただいているIaaSサービスで、GPUはじめニーズに合わせ柔軟に構成可能なベアメタルサーバーを提供する等、他クラウドサービスに見られないユニークな特長を持っています。
ここでIBM Cloudの高速かつ無償で利用できるグローバル・プライベート・ネットワークを有効に用いたユースケースを紹介します。
製造業におけるCAD VDI環境のクラウド活用
課題:
-ハードウェア保守切れに伴う移行が必要
-CAD高度化、開発体制のグローバル化に伴い表示遅延の改善が必要
-自社での運用負荷を軽減したい
解決策:
-グローバル展開しているIBM Cloudでグローバル開発を支援
-高パフォーマンスなGPU搭載高性能物理専用型(ベアメタル)サーバを選択
効果:
-クラウド化によるEOS課題を解消
-高性能サーバと10Gの高速グローバルネットワークによりCAD表示遅延を削減
-CAD処理とデータ保管のクラウド化による運用負荷を軽減
なお、IBM CloudにはClassic以外にも第二世代と呼ばれる最新IaaSサービスであるIBM Cloud Virtual Private Cloud(VPC)も提供しております。IBM Cloud VPCは他メガクラウドで提供されているVPCサービスと基本的な位置づけや特長はよく似たサービスとなっております。このVPCでも同じリージョン内のゾーン間のプライベート・ネットワーク通信は無料です。ただしリージョン間の通信は有償となりますのでご注意ください。以下の図の例を参照ください。なお、有償とは言え毎月1TBまでは無料です。 1TB を超えると1 GB あたり 0.02$ が課金されます。(2022年9月時点になります)。
今回はIBM Cloudのデータセンター間のプライベートネットワーク利用が無料であることを紹介させていただきました。ユースケース例で紹介しました大容量データを扱うCAD VDIのグローバル活用以外にも、海外のデータセンター に災害対策としてバックアップやデータ転送するときにもプライベートのネットワークに関する費用が発生しません。また東京リージョン以外にも大阪リージョンが稼動しており、両リージョン間のプライベート通信も無料となっています。そこで2つのリージョンを活用してDRサイトを構築するユーザも増加しています。
加えて月々の費用がネットワーク費用で変動しないのでコストが予測しやすくなります。こうしたユニークな機能を活用しコストダウンを図れないか、ぜひ一度クラウドのご利用状況や計画を見直していただいて、IBM Cloud利用の可能性を検討いただければ幸いです。
【注釈】
※上記内容は 2022 年 9 月時点で公開されている情報となります。今後変更となる場合もございますのでご了承ください。
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