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2022年10月24日掲載
皆さま!こんにちは!コアネットワーク本部の野田です!
前回から【One Tech】という連載企画が始まっており、今回はその2回目になります!
【One Tech】とは、さまざまな部署・職種のエンジニアが世の中にあるさまざまなIT関連のキーワードや流行の1つに着目し、独自あるいはその職種ならではの視点からIT関連の技術用語やトレンドについて執筆していく連載企画です。
みなさん、5Gと聞いて何を思い浮かべますか?
高速・大容量な通信でしょうか。高信頼・低遅延な通信を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうか。
通信の質の進化ばかりが注目されていますが、私が考える5Gの真価は通信網機能の解放です。5Gでは通信事業者ではないアプリ事業者に通信網機能がAPIとして解放されます。アプリ事業者側から通信帯域やサービスレベルを指定・変更することも可能になるのです。
今回は私、野田が、そんな5G通信網API化の要である”NEF"という装置について解説することにしました!
「API(Application Programming Interface)」とは、「ソフトウェアの機能や情報を共有する仕組み」のことです。APIを使ってアプリケーションどうしをつなぐことで、データや機能の相互共有が可能になります。例えばLINEは、LINEの機能を使って自動返信ボットなどを作ることができるMessaging APIを公開しています。このMessaging APIを活用した、運送会社からのお届け予定連絡や不在連絡のシステムを利用したことがあるという方は多いのではないでしょうか?
また、APIによって複数のビジネスをつなぎあわせながら広がっていく経済圏のことをAPIエコノミーと呼びます。APIエコノミーでは複数のアプリケーションやサービスにおいてスムーズな連携ができたり、既存システムの機能を他のシステムに代替することで拡張することができたりします。APIエコノミーで成功した有名なサービスとしてはGoogle MapsやUberがあげられます。
そして、5Gでは通信事業者のデータや通信網設備もAPIとして使用できるようになります。すなわち通信事業者のデータや通信網設備を用いたAPIエコノミーが形成される可能性が出てくるのです。
API連携のイメージ https://www.cloudec.jp/ecnews/column_api/より引用
それではどのようにして5G通信網をAPI化するのかということですが、API化の役割を担うのが「NEF(Network Exposure Function」なのです。下図に示すように5Gのコアにはさまざまなネットワーク機能がありますが、それらの機能および集積された情報の一部をNEFを介してAPIとして公開することができます。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01700/00021/より引用
NEFには、5Gコアの機能がアプリのサーバからの要求に従うことで5G通信網のいろんな機能を操作できたり、さまざまな設備からさまざまな情報を取得できたりする特徴があります。また、5G通信網の機能は沢山あるのですが、今回はNEF経由でアプリケーション側から利用できる機能とその内容をセットで表にしてまとめてみました!
NEFを介してアプリケーション側から利用できる機能
NEF経由で利用できる5G通信網の機能 | 各機能の内容 |
|---|---|
AMF(Access and Mobility Management Function) | 端末の認証や無線接続の管理 |
SMF(Session Management Function) | データ転送経路の管理 |
UDM(Unified Data Management) | 各ユーザの契約情報や端末認証情報、 |
PCF(Policy Control Function) | 各アプリからの要件に基づく通信の品質設定 |
NSSF(Network Slice Selection Function) | 端末が使用するネットワークスライスの切り替え |
NEFを用いることでさまざまな5G通信網機能を公開できること、さらにこれらをさまざまなビジネスに活用できる可能性があることがわかりました。
最後に、通信網機能の解放で具体的にどんなサービスへの利用が検討されているのかを見ていきたいと思います。スマートシティやヘルスケアなど、下図のようにさまざまな分野での活用が検討されています。
https://businessnetwork.jp/article/7848/2/より引用
例えば公共安全を守る監視カメラであれば、常に高画質での録画データを伝送していては通信費が高額になってしまいます。しかし、不審者の侵入等のイベントに応じてアプリケーションが警戒度を判断し、アプリケーション側から「平常時だから映像の伝送帯域を絞って通信費を節約しよう」、「警戒時だから帯域を広げて高画質の映像を伝送して侵入者の特徴を記録しておこう」なんてことができるようになります。アプリケーション側から動的に通信帯域を制御することで、より経済的に高クオリティのサービスを提供できるシステムが作れるかもしれません。
また、今の時点より少し先の時点での通信網の負荷や通信品質を通信網内の機能もあるのですが、この通信品質予測をアプリケーション側から利用しネットワークの状態にあわせてアプリケーション側でも通信品質の安定化を図ることもできるようになるかもしれません。安定した接続が求められるコネクティッドカーなどに役立てられそうです。
今回はNEFについて解説していきましたが、いかがだったでしょうか?
単に高速・大容量とかではなく色々な機能を外部に解放できるようになった5Gコアを、通信網の機能や情報を使用することで、さらに便利なアプリケーション・サービスが出てくるのではないかとわくわくしています!
次回の【One Tech】もお楽しみに〜!
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