【2023年12月版】Google Workspace 管理者がメール送信者のガイドラインについて知っておきたいこと 

2023年12月14日掲載

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メール送信者のガイドラインとは、個人のGmailアカウント(@gmail.comや@googlemail.comで終わるアカウント)にメールを正常に送信および配信するために、メール送信者が守るべきルールのことです。2024年2月から施行されるとアナウンスされており準備期間も短いが非常にインパクトの大きい変更となっています。このガイドラインに準拠しないと、Gmailにメールが届かなかったり、迷惑メールフォルダに振り分けられたりする可能性があります。 

ではGoogle Workspace利用者はどうしたら良いのでしょうか?Google Workspaceユーザーが使っているものもGmailです。この点について分かりにくいところやはっきりしないところが多く、Google Workspace管理者様を悩ませていると思います。結局我々は何をしたら良いのか?がよくわからないので弊社調べと一般公開情報をもとにまとめました。

本記事が送信者ガイドラインへの対処の一助になれば幸いです。

 

注)

・本記事中に記載している送信者のガイドラインの要求事項はEmail sender guidelinesをベースに日本語訳したものを記載しております。

・本記事執筆時点の情報であり、ガイドライン自体が流動的なため改訂等により追加/変更となっている可能性があります。常に最新の情報を確認されることを強く推奨いたします。

・本記事記載の内容は執筆者の個人的な見解や調査結果であり、ソフトバンク株式会社の公式的な見解を示すものではありません。

目次

1.送信者のガイドラインとは?

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2.最初にまとめ

ざっくり今回のガイドライン発表を受けてGoogle Workspace管理者の皆様に押さえておいていただきたい事項は以下の通りです。

  • 2024年2月から施行される送信者のガイドラインは個人用Gmail宛のみに適用される。Google Workspace宛は対象外
    • 12/13現在日本語ヘルプは情報が古いです。英語版に切り替えて参照いただくことを推奨します。
  • 一括送信者の定義と5000通のカウント基準
    •  送信元のカウントはFromドメイン単位
    • 1名が5000通でも、100名が50通ずつでも5000通扱い
    • 会社全体(同じドメイン)からの送信が5000通を超えるようなら一括送信者と認識される可能性が高い
  • 1通のカウント基準
    • 送信先カウントの宛先(設定した個人用Gmailアドレス)単位
    • 1通のメールを5000以上のGmailアドレスに対し送信した場合も5000以上のGmailアドレスに対し1通ずつ送信を行った場合も両方 5000 通としてカウントされる
  • ガイドラインへの準拠(個人用Gmailへの不達対策)対応
    • GWS利用者の内部配送(=社内メール)の対処としては現時点では不要
      • Google Workspace の受信メッセージとドメイン内メッセージは適用の対象外 
    • 個人用Gmail宛のメールが不達となると業務影響が大きい可能性がある場合はSPFに加えDKIM/DMARC対処すべき
      • 送信メール数を会社単位で5000件未満にコントロールすることは困難
      • 5000通はあくまで目安。5000通未満でも一括送信者として認識されてしまうケースがある
      • 個人用Gmailアカウントへの到達性を高めたいのであれば、5000件以上の要件に対応することが推奨
    • 送信件数に関わらずSPF or DKIMの設定は事実上必須
      • メール配送経路の棚卸作業を行い、対象ホストはSPFに含めておく
      • 中長期的にはDKIM/DMARCへの対応はした方が良い
      • 将来的には個人向けと同等レベルを要求される可能性がある
  • ポストマスターツールを使える状態にしておくのが推奨
    • 送信者ガイドラインと現行構成のギャップを把握できるようになる予定(2024初旬)
    • ポストマスターツールはGWSサポートの対象外であることは理解しておく必要がある
    • あくまで調査ツールなのでポストマスターツール自体の障害は配送等への影響なし

3ガイドラインの詳細

「一括送信者」か「一括送信者でないか」で、要求事項が異なります。

一括送信者とは、 24 時間以内に 5,000 件近くまたはそれ以上のメッセージ (From: ヘッダーに同じドメインが含まれる) を送信する電子メール送信者です。24 時間以内に 5000 近くのメッセージを 1 回以上送信した送信者は、一括送信者とみなされます。

厳密に5000通というわけではない点にご注意ください。5000通以下だから必ず一括送信者とはみなされないわけではないようです。ですので、Gmailへの到達性の期待値に応じて「一括送信者としての対応まで実施するか」を、判断することが良いと考えています。

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4.Google Workspace管理者の検討事項

各ガイドラインの要求事項と、それに対処する検討事項と対応案について記載します。実装にあたっては十分な検討と検証の上、本番環境への適用をお願いいたします。

全ての方が対応すべきは1から7、一括送信者の場合はすべての事項に対応する必要があります。

#

ガイドラインの要求事項

検討/対応事項/対応案

1

ドメインに SPF または DKIM メール認証を設定します。


<一括送信者の場合>

ドメインに SPF および DKIM メール認証を設定します。


未設定時のみ要対応。最低限SPFは必須。

個人用Gmailへの不達は業務インパクトあり あるいは 5000通を超える場合はSPFに加えDKIM必須

SPF を使用してなりすましと迷惑メールを防止する - Google Workspace 管理者 ヘルプ

DKIM を使用してなりすましと迷惑メールを防止する - Google Workspace 管理者 ヘルプ

Google Admin Toolbox Check MX の応答を確認してspf/dkimレコードがあるかを確認する。

2

送信元のドメインまたは IP に、有効な正引きおよび逆引き DNS レコード(PTR レコードとも呼ばれます)があることを確認します。詳細

Google Workspace単体利用であればGmail経路上のホストはGoogleがPTRを登録している。GWS単体利用の場合は対応不要

サードパーティ製品等を併用されている場合は、それらのホストの逆引きを確認

3

電子メールの送信には TLS 接続を使用します。Google Workspace で TLS を設定する手順については、「メールに安全な接続が必要」をご覧ください。

Google Workspaceの場合TLS送信が標準実装されているので対応不要

サードーパーティ製品を併用されている場合は提供事業者へ確認

4

ポストマスター ツールで報告されるスパム率を0.10% 未満に保ち、スパム率が 0.30% 以上にならないようにしてください。

結果が0.3%以上の場合は迷惑メール率を下げる取り組みが必要


スパム率とはアクティブユーザの受信箱に届いたメールの中で、ユーザが手動でスパムとしてマークしたメールの割合

ポストマスターツールを使わないと実態がわからない

Postmaster Tools を使ってみる - Gmail ヘルプ

適合してしまった場合は送信者が作成するメールの作りを見直す必要がある

5

Internet Message Format 標準(RFC 5322)に準拠する形式でメールを作成します。

Gmail からメールを送信する場合であれば、RFC 5322 に準拠した形式でメール作成されるため、RFC に関してお客様側で意識する必要は無し

6

Gmail の From: ヘッダーのなりすましはしないでください。Gmail では、DMARC の検疫適用ポリシーの使用が開始されます。Gmail の From: ヘッダーのなりすましをした場合、メール配信に影響する可能性があります。

GWSでホストしていないドメインの独自From(=差出人の変更)の設定をしている場合は要注意

特にFROM ヘッダーのメールアドレスを「@gmail.com」に変更している場合、Gmail のなりすましと判断される可能性がある(※2 月以降、Gmail にて新たな DMARC ポリシーが適用される)

7

メーリング リストや受信ゲートウェイを使用するなどして、メールを定期的に転送する場合は、送信メールに ARC ヘッダーを追加します。ARC ヘッダーによって、メールが転送されたことが示され、送信者が転送者と見なされます。メーリング リストの送信者は、メーリング リストを指定する List-id: ヘッダーも送信メールに追加する必要があります。

Googleグループ宛のメールの場合 ARCヘッダが追加されておりGmail側で対応済み。

他の手段(外部のメーリングリストやサードパーティ製品)を併用している場合は要確認(各提供元へ確認)

8

<一括送信者の場合要対応>

送信ドメインに DMARC 電子メール認証を設定します。DMARC強制ポリシーはnoneに設定できます。

判断に迷う場合は暫定対処としてp=noneで回避

DMARC を使用してなりすましと迷惑メールを防止する - Google Workspace 管理者 ヘルプ

9

<一括送信者の場合要対応>

ダイレクト メールの場合、送信者の From: ヘッダーのドメインは SPF ドメインまたは DKIM ドメインのいずれかに一致する必要があります。これは、 DMARC アライメントを通過するために必要です。

配信するメールごとの考慮事項

システム的な対処ではない

10

<一括送信者の場合要対応>

マーケティング メッセージと購読メッセージは、ワンクリックの購読解除をサポートし、メッセージ本文に明確に表示される購読解除リンクを含める必要があります。

配信するメールごとの考慮事項

システム的な対処ではない

 

5. まとめ

今回は、メール送信者のガイドラインに準拠するために知っておきたいことを紹介いたしました。

Google Workspaceを単体利用しており個人向けGmailとのやり取りが少ないお客様であれば対処事項はあまり多くないと思います。一方で、個人用Gmailとのやり取りが多いお客様や不達となってしまうとビジネスそのものに影響があるお客様の場合は対処すべき事項があります。

SPF/DKIM/DMARCといったシステム的な対応と、購読解除リンクを備えるなどメールそのものの対応両面ありますがシステム的な対応を中心に今回記事にさせていただきました。本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

6. 参考リンク

 

 

 

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