1950年に創業者が新聞販売所を開設したことから始まり、次々と新事業を展開してきた株式会社オカモト(以下、オカモト)は、公共施設の運営・管理にも注力しています。2023年4月に足寄町内の温泉浴場としてオープンした「銀河の湯あしょろ」では、訪れるお客さまに発行している紙の入浴券に、紛失やセキュリティ上の課題があると認識していました。そこで紙でのアナログ管理ではなく、顔をかざすだけで本人認識される「顔認証システム」を導入し、デジタルに情報を管理することで業務効率化を実現。利用者と管理者双方にとって便利でセキュアな環境を整えることに成功しました。
オカモトは創業当初から、ガソリンスタンドやスイミングスクール、官民連携などさまざまな事業を手掛けています。特に近年は、公共施設の運営を民間が引き受けて実施する指定管理者制度※によって、指定管理者として温泉の運営も行っています。2023年4月に足寄町にオープンした「銀河の湯あしょろ」は、毎月のべ約3万人に利用され、近隣の方にとても親しまれている公共温泉浴場ですが、お客さまは訪れるたびに券売機で券を購入、または定期券や回数券を利用して施設に入館していました。しかし、入場券を紛失してしまうことがあったり、定期券に記載している個人情報の管理といったセキュリティ上の問題が課題になっていました。
※指定管理者制度
民間企業やNPOなどの団体が、自治体に代わって公共施設の管理運営を行う仕組み・制度。管理運営を行う民間事業者等を「指定管理者」として指定することにより、民間のノウハウを活用しつつ、サービスの向上と経費の節減等を図ることを目的とした制度。
「通常、お客さまは券売機で入場券を購入して入り口で券を見せ、施設側が内容を確認してから入館します。しかし、お客さまの9割が地元の方なので、1ヵ月定期券を購入されている方が多いです。この定期券は毎回忘れずに持参していただく必要がありますが、紙の券なので、紛失してしまったり誤って洗濯してしまったというご相談をいただくことがあります。また、個々にお渡しする券のため、お客さまの名前や住所といった個人情報が記載されています。この定期券を毎回持参・提示するという煩わしさに加えて、セキュリティ面の強化という意味もありデジタル化の検討を進めました」(西尾氏)
顔認証システムの導入に至った経緯について伺いました。
「もともとは月会員さんの会員証を発行するのに、紙ではなくデジタルに管理できないかという相談を受けたところから始まりました。いろいろ方法を検討したのですが、ご利用者さまに高齢の方が多いということから、スマホを使ったりするものは抵抗がありそうで浸透しにくい。何か違うもので活用できるものがないかと悩んでいました。そこで以前、ソフトバンクさんから顔認証の仕組みがあるということを聞いていたので、それをうまく活用することはできないかと考え、社内で具体的に検討が進みました」(川上氏)
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