北海道を基盤とし、誠実・堅実なものづくりを通して「安心で豊かな社会環境づくりに貢献する」ことをミッションとして掲げる総合建設業者の岩田地崎建設株式会社(以下、岩田地崎建設)。以前より業界全体の課題でもある業務効率化・生産性向上を目的とした業務改革に取り組んでいたものの、思うように成果が表れない状況だったため、外部のリソースを借りて大きくDX推進・業務改善の取り組みを行うことを決意しBPR(※)サービスを導入しました。これにより社内業務が明確に可視化され優先して対処すべきターゲットの洗い出しに成功、次の業務改革実施ステップに進むための基盤を整えることができました。
※BPR(Business Process Re-engineering):企業の目的を達成するために、顧客志向をベースに、現在の業務内容、業務プロセス、組織構造等を抜本的に見直して再構築すること。
「業務をデータとして可視化することで、対処すべき課題が定量的・定性的に把握でき、会社全体の業務効率化と生産性向上につながる基盤ができました」
岩田地崎建設株式会社 経営企画室経営企画課 佐藤 氏
岩田地崎建設は北海道を基盤に東北、東京、大阪、海外(東京支店内同所)にも支店を展開する総合建設業者です。特に昨今はニセコエリアのホテル建築や札幌市内の再開発プロジェクトにも取り組んでおり、昨年度の売上高は1000億円を突破しました。しかし、長年にわたって内勤部門と外勤部門が縦割りになっていたことから、連携不足による業務の非効率化が大きな課題となっていました。特に外勤部門は建設業の特性上、業務を網羅的に言語化することが難しく、またその専門性から内勤部門が業務改善に関与しづらい状況でした。
建設業界特有の人手不足や少子高齢化の影響を受け、生産プロセスのデジタル化が急務と感じた同社は、2022年より中長期経営計画の柱として立案されたDX推進を本格始動しました。同社は、以前にも業務の洗い出しと改善に独自に取り組んだことがあったものの、目に見える効果は得られなかったそうです。
「社内業務を大きく分けると『内勤部門業務』と『外勤部門業務』の2つに分けられます。内勤部門については、長年続けられてきている慣習的またはアナログな業務が多いと仮説を持っていましたが、ボリュームや課題感を正確に掴めていなかったため、まずは業務全体を定量的に把握することが必要だと思いました。不要な業務を減らし、会社のトレンドとなるような部署や業務に人を充当するなど、人材ポートフォリオを見直すことが目的です。一方、外勤部門である現場業務は、業務量の圧縮が急務であったものの、現場の人にしか分からないことが多く、内勤部門がそこに入っていける隙間が少ないと感じていました。内勤も外勤も共通して第三者の意見を取り入れて改善していくような仕組みもなかったので、部署内でブラックボックス化している状態でした」(佐藤氏)
社内のリソースだけではなかなか目に見える成果を作るところまで辿り着けず、違った形でアプローチを試みるためには外部支援が必要であると判断。長年の取引実績と企業文化への深い理解を持つソフトバンクに、業務が見える化できるようなサービスはないかと相談を持ちかけ、業務プロセス改革(BPR)の取り組みが始まりました。
「自分たちだけで業務改革をすることに限界を感じ外部の力を借りようと考えました。ソフトバンクさんなら改善策の提案だけではなくソリューションも持ち合わせているので、社内のあらゆる業務改革を一貫して支援してもらえるのでは、という期待も込めてパートナーとして選定しました」(佐藤氏)
まずは非定型業務の多い4部署でのスモールスタートとしてBPRサービスを導入し、業務全体の定量的な把握と詳細な分析を行うことで会社として取り組むべき改善ポイントを把握することができました。また、可視化できたことで今後の改善に向けた材料が揃ったとのこと。
「『DX』というとITツールの導入が先行してしまうイメージがありますが、弊社の場合はツール以前に業務の見直しや廃止で改善できる点が多々あったので、まずは可視化するところからソフトバンクさんと一緒に業務改革を進めました。BPRという取り組みを一緒にしていくことで、業務を可視化する手法を学べたことは大きな成果だと思っています」(佐藤氏)
佐藤氏はBPRサービスによって改善すべき業務ポイントが浮き彫りになったと続けます。
「問題となる箇所の見当はついていたものの確証が持てずにいたところを、BPRサービスの導入によってデータとして数値化できたので、明確な答え合わせができたイメージです。特に内勤部門の情報システム部門では、問い合わせ対応やシステム保守に多くのリソースが割かれていることが明らかとなり、DXを推進していくうえでの重要なデータが得られました。ソフトバンクさんの一貫したサポートとともに、内部の負担を最小限に抑えることができたので、効率的に推進することができました。」(佐藤氏)
BPRサービス導入の前半で業務可視化と効率化を行った同社。今後は具体的な改善策の実装フェーズを検討中とのこと。
「外勤部門では引き続き業務改善を推進し、情報システム部門では新たなツールの導入やプロセスの最適化を進めていく予定です。また、ソフトバンクさんとの連携を強化しながら、全社的なデジタルトランスフォーメーションを継続的に推進していければと思っております」(佐藤氏)
全社的なDXが継続的に推進される基盤が整った同社では、BPRの取り組みを通じて改革を受け入れる流れに少しずつ社内が変化してきていると言います。誠実で堅実な社風を基盤としつつ新しいことへチャレンジしていく姿勢に今後ますますの発展が期待できそうです。
お話を伺った方
岩田地崎建設株式会社 経営企画室経営企画課 佐藤 氏
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