InsurTech※事業を行うリードインクス株式会社(以下リードインクス)は、親会社であるソフトバンクと連携し、保険業界における新たな価値の創出を目指しています。同社では急速な事業拡大によりAWSの利用料が増大し、クラウドコストの変動を把握するためエンジニアの負担が大きくなっていました。そこで、AIによってクラウド料金の最適化を行う「Spot for AWS」を導入し、コスト削減とエンジニアの負担軽減を実現しました。
※「インシュアランス(保険)」と「テクノロジー」を掛け合わせた言葉で、保険分野のDXを進めるためのデジタル技術を意味する
定量的な数値効果
サーバー費用 4割削減
全体額 15〜20%の削減
「Spot for AWS の導入によりクラウドコストの最適化を実現し、15〜20%のコスト削減とエンジニアの負担軽減を達成することができました」
リードインクス株式会社 情報システム本部 本部長 浦井 裕司 氏
リードインクスの事業内容について伺いました。
「当社はソフトバンクと連携して、お客さまに新たな価値を提供するべく、新しい保険商品の企画やビジネスマッチング、InsurTechシステムの提供、保険販売におけるマーケティング支援を行っています」(浦井氏)
昨今の保険業界の課題についてこう話します。
「人口減少や技術革新等により旧来型のビジネスモデル・サービスモデルのままでは国内市場が縮小する可能性に直面しています。それに伴い、業界全体のデジタル化が推進されています。リードインクスではこれまで少額短期保険※を中心に取り扱っていましたが、今後は医療や生命保険、火災、自動車保険などの長期かつ高額な保険領域への進出も目指しています。複数の保険会社や銀行、事業会社と協力することで、デジタル保険の拡大、並びに事業の拡大を進めていきたいと考えています」(浦井氏)
※保険金額が少額で保険期間が短い保険。ミニ保険とも呼ばれシンプルながら充実した内容が特長
続いてお二人の業務内容や、「Spot for AWS」を導入した際の役割について伺いました。
「今回のサービス導入を担当しました。現在は情報システム本部として、情報システム部とセキュリティ部を掌握しており、他本部との調整や組織全体を見ています」(浦井氏)
「私は情報システム部に所属し、OA関連や社内IT環境全般を見ています。その中で浦井より業務を引き継いだ形で、本サービスの運用部分も任されています」(川岸氏)
2022年4月に発足した同社。急成長の過程をこう話します。
「事業開始当初の従業員数は30名程度でしたが、現在は100名以上に増え、会社の急成長に伴いクラウド環境の利用も拡大しました」(浦井氏)
保険の開発から保険料の計算など、さまざまなシーンでAWSを利用している同社。これまでの課題について伺いました。
「もともとAWS※を直接契約して利用していましたが、事業成長に伴いコスト管理に課題が生じました。必要なサーバー数が増えたことでAWSの利用料が増えているものの、実際にどこにどれだけコストがかかっているのか、全体を把握するのが難しくなっていました」(浦井氏)
「長期的な利用を前提としたAWSのRI(リザーブドインスタンス)※を直接購入して活用するには、将来の需要を正確に予測する必要がありますが、1年後や3年後にどれだけのリソースが必要になるのか、スペックを上げるべきか、台数を増やすべきかの判断が難しく、その需要予測に対応するリソースがありませんでした」(川岸氏)
※AWS:Amazon Web Services の略で、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスの総称
※RI(リザーブドインスタンス):AWSの料金プランの一つで、特定のインスタンスを長期間予約することで割安な料金で利用できるサービス
AWSの最適なコスト運用に課題がある中、ソフトバンクよりクラウド料金最適化の提案があったと言います。決め手はなんだったのでしょうか。
「AWSのコストが増大し、なんとか削減できないかと考えていたところ、AIを活用したコスト最適化サービス『Spot for AWS』の提案を受けました。AWSから直接RI(リザーブドインスタンス)の購入をすることを検討しましたが、現状では長期のコミットメントが難しく、『Spot for AWS』なら手軽にRIの適用が受けられ、期間の縛りがほぼないことが決め手となりました」(浦井氏)
「これまではAWSのマネジメントコンソールからコストの把握や管理をしたり、請求書ベースでチェックをしていましたが、情報システム部が事業部側で契約したAWS環境の管理をしている訳ではないため、不明瞭な点も発生し、全体を把握することが困難だと感じていました。そのため、AIで料金の最適化を図れるという提案は魅力的に感じました」(川岸氏)
導入時や使い勝手の部分はいかがでしたか?
「導入自体はスムーズで、利用開始までは1.5カ月ほどでした。英語表記のユーザーインターフェースのため『書いてある単語の意味は分かるけど、これは何の設定だろう』と戸惑う場面もありましたが、不明瞭な部分はソフトバンクのプロダクト担当のサポートによってすぐに解決できました」(浦井氏)
「『Spot for AWS』によってコストを削減できた場合のみ利用料金が発生するので、無駄なコストが発生することはありません。RI(リザーブドインスタンス)を自動的に購入され適用される部分も便利だと感じました。Spotのコスト確認用アカウントも提供されるのでコスト削減効果やAWS予算管理に活用できると感じています」(川岸氏)
「Spot for AWSによるコスト最適化で、サーバー費用としては4割の削減、全体額では15〜20%の削減ができました※。特にエンジニアの負担が軽減され、コア業務に集中できる環境が整いました」(浦井氏)
※削減効果は環境により異なります
「今後もクラウドコストの最適化を継続的に行い、さらなる効率化と事業成長を目指しています。まだコスト管理を網羅的に行えていない部分もあるのでその部分を行いつつ、本来かかる費用と削減した費用の可視化をしていきたいです。クラウドにかかるコストは年々増加しているため、何が最適なのかを日々検討しながら、利用するクラウドやそれに付随するサービスの選定を進めていきたいと考えています」(浦井氏)
同様の課題を持つ企業に対して、次のようにアドバイスをいただきました。
「『Spot for AWS』を導入することで自動で割り引きの適用が可能になります。成長途中のスタートアップ企業において、多くの工数を割かずにコスト削減ができることは非常に魅力的です。導入後のサポートについてもソフトバンクであれば十分な知見があり、ユーザー企業の課題を一緒に解決してくれるソリューションも豊富なため、本サービスの導入をきっかけに、さまざまな提案を受けられるのではないかと思います」(浦井氏)
テクノロジーの力で保険の可能性を広げ、業界の変化に対応したInsurTechサービスを提供し続ける同社の取り組みを、システム面から支えるお二人の取り組みはこれからも続きます。
お話を伺った方
リードインクス株式会社
情報システム本部 本部長
浦井 裕司 氏
リードインクス株式会社
情報システム本部 情報システム部
川岸 正之 氏
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